2000.07.28
関 西地区の小棒メーカー、国光製鋼(本社=大阪市住之江区、岡田恭雄社長)と中山鋼業(本社=大阪市西淀川区、事業管財人=高島成光・共英製鋼会長)は、6月下旬以降、中山鋼業での集中生産を念頭に置いた生産提携交渉を進めてきたが、27日両社間で合意に達したと発表した。

 合意内容は(1)国光製鋼が9月1日をメドに同社の製鋼工場・圧延工場を休止、小棒生産を中山鋼業に委託する(2)中山鋼業は、生産体制確立のため国光製鋼の従業員約70人を受け入れる(3)小棒の委託圧延数量は月間約1万5000トンとする――というもの。

 この生産提携の実現により中山鋼業では、同社の持つ新鋭設備の稼働率が大幅に向上、コスト削減効果と合わせて収益力がアップすることで更生計画の作成が早まるとともに、今後、3年間で約40人が見込まれている定年退職者の要員確保にもメドが付く。

 また、中山鋼業の再建協力を打ち出している合同製鉄(本社=大阪市西淀川区、猪熊研二社長)も、9月末をもって大阪製造所で行っている小棒生産を休止、中山鋼業に委託することになっており、ベースメーカー3社の生産は中山鋼業に集約されることになる。3社の生産量は月間ベースで6万5000トン程度だったが、集約後は5万トン程度にとどまる見通しで、設備廃棄とともに生産数量の減少により、関西地区のベース小棒需給は一気に引き締まる公算が大きい。

新 日本製鉄は27日、7月末のときわ会H形鋼流通在庫が6月末比1万7000―1万8000トン減少し、33万2000―33万3000トンになるとの見通しを示した。

 在庫率は1・3カ月程度に0・1ポイント低下する。東名阪3地区だけで1万4800トンの減少が見込まれる。引き受け30%カットなどで今後も入庫量が増えない状況で、盆休みの停滞を考慮しても8月も出庫超過による在庫の減少傾向が続き、9月以降は一段と需給が引き締まると新日鉄では見ている。

 7月末の予測は東京が入庫前月比6%減、出庫4%増、在庫7%減。大阪は入庫3%減、出庫3%増、在庫6%減。名古屋入庫13%減、出庫1%減、在庫8%減。3地区合計で入庫6%減、出庫3%増、在庫7%減の見込み。

住 友金属工業は27日、建材事業の中核であるH形鋼事業の基盤強化のため、子会社であるキョウエイ製鉄(高島成光社長)の増減資を9月中に実施、累損解消を含めた財務体質の強化を図ると発表した。現在、キョウエイ製鉄の資本金は140億円で住金が90%、系列電炉メーカーの共英製鋼(高島秀一郎社長)が10%出資している。

 今回、9割5分の減資を行い累損の解消を図るとともに、住金の全額引き受けで40億円程度の増資を行い、新資本金を50億円程度とする。また同時に共英製鋼の持ち分を譲り受け、100%子会社とする。

 H形鋼事業は、市況低迷の長期化により赤字経営を余儀なくされていたが、生産抑制による在庫調整の進展に加えコスト面での溶銑比率のアップ、製造コスト切り下げ、要員削減などの固定費削減により、収益性のある事業になると判断、事業基盤の強化を図ることにしたもの。

 キョウエイ製鉄は年商350億―360億円規模、これまで133億円の累損があり、これを9割5分の減資によって解消する。このうち住金の損失分は119億円で、これはすでに2000年3月期決算で計上済みである。

伊 藤忠商事、丸紅、住友商事は今月14日、米メタルサイト社と金属製品の電子商取引運営会社「日本メタルサイト」を設立した。資本金は約10億円。出資比率は伊藤忠、丸紅、住友商事、米メタルサイト社で各25%。社長には伊藤忠の子会社でシーアイ鉄鋼サービス顧問の菊池紀男氏が、副社長には丸紅・鉄鋼製品部門IT推進チーム長の花井喜則氏と、住友商事・鉄鋼第1事業企画室eコマースチームメタルサイトプロジェクトマネージャーの石原将氏が就任した。日本メタルサイトには、川鉄商事も出資を前提に参画する。

 日本メタルサイトの出資比率は当初、米メタルサイト社50%、伊藤忠・丸紅・住商で計50%を予定し、会社設立後1年をメドにメタルサイト社40%、日本側60%に変更する構想だった。しかし、業界内で「米国資本の会社」と見られることへの影響や、より国内市場に合った機能をサイトに反映させる目的、また川商など新パートナー参加に柔軟に対応するためなどの理由で、日本側の比率を75%としたものとみられる。

 会員募集は8月から始め、9月から(1)トレード機能(交渉機能付)(2)トレードサポート機能を、12月以降は契約管理機能と金融サイト機能を立ち上げる予定。

大 同特殊鋼とロイヤル・ダッチ/シェルグループ(蘭)は27日、共同で開発を進めてきた新エチレン製造炉管「PTT」(PPW・TECHNOLOGY・TUBE)が実機テストで管内での対炭化物形成や長寿命化など好データが得られたのを受けて、大同・築地工場(名古屋市)で量産体制を整え、本格販売を開始すると発表した。

 エチレン精製などの工程で発生する炉管(熱分解反応管)の内面に炭化固形物が積もる現象を、大同のプラズマ粉末溶接法(PPW)を応用し炉管内面を改質し抑制する新技術で、既存製品の最高級鋼種(35%Cr―45%Ni)と比べ実機テストでは炭化物形成で誘因となる鉄分析出が0%となることや、大幅な浸炭性能の改善を実証。炭化固形物清掃間隔の50―70%延長、炉管寿命2―3倍延長が可能で、10万トン炉で年間150万ドルのコスト削減効果が得られるという。

 テスト結果を受けて、両社では25日、PTTに関する正式製造販売契約を締結した。さらに大同では来年1月をメドに量産体制確立のため、PTT製造用設備を拡充。第1ステップとして築地工場にPPW内面肉盛装置1基、加工機(内面研削)1基を数億円をかけて増設する。すでに国内外のエチレン製造各社との間で商談を始めており、エチレン分解のほか石油精製など広範な用途で来年1月以降、量産品供給に乗り出す。価格は従来品の3―4倍となる見込みだ。当面は年間50億円(シェル分含む)の売り上げを目指し、世界市場での本格展開で、順次拡大させる。

 実機テストは国内エチレンメーカーで延べ115日間実施。従来のエチレン製造炉管の最高級鋼種(35%Cr―45%Ni)と比較し、管内壁に酸化クロム被膜(Cr85―90%)を形成、炭化物形成要因の鉄分析出を0%に抑えられた。さらに浸炭深さも200時間で従来の1ミリから0・4ミリと低減、最大炭素含有量も6・5%から2・5%と半分以下に下げた。これらのデータから炉管寿命の延長のほか、炉管内部に堆積した炭化固形物を除却する清掃間隔の延長が可能となり、管材の浸炭防止効果で新炉管寿命を3―5年を11年以上に、炭化固形物堆積現象による歩留まり向上のメリットが得られる。



岡 部(鏑木俊二社長)は27日、同社の機械式鉄筋継手「OSフープクリップ」について、3月末に建設大臣認定機関の土木研究センターから土木系材料技術・技術審査証明を受けたことで、これまでの建築分野に加え今後、土木分野への拡販を進めると発表した。RC構造物や耐震補強においてのせん断補強筋などに用いる継手で建築分野では20年間の実績があり、年間100万個、約3億円を売り上げている。審査証明取得を機に土木分野だけで、初年度50万個・3億円、次年度に150万個・9億円の販売を見込んでいる。

 建築、土木のコンクリート構造物の補強筋となる鉄筋の接合は、機械式やフレア溶接継手が用いられているが、鉄筋工や溶接工などの熟練者が不足し、また高齢化の問題も持ち上がっている。これに対し、岡部は、建築分野で実績のあるOSフープクリップを土木分野にも広げ、施工の省力化や配筋作業の簡略化を進める方針だ。

 製品特徴は、(1)現行の示方書規定の耐震性を必要とする部材に用いることができる(2)大きな塑性変形を生じる区間に配筋される帯鉄筋にも使用可能(3)熟練工を必要としない(4)溶接と違い、現場の天候に左右されない。目視確認ができ、品質・施工管理が容易―など。

 適用鉄筋はJIS規定のD13、16、19。用途は、コンクリート柱を補強に用いられる帯鉄筋や中間帯鉄筋、フープ鉄筋、スターラップ、擁壁に使われる配力鉄筋などの継手として使用される。施工は小型の専用機械を用い、D13の場合で一個7―8秒で接合する。価格は、1個当たり400円(D13仕様)。販売は、子会社の岡部テック。

米 商務省(DOC)は26日、「グローバル・スチール・トレード――構造上の問題と解決策――」と題する240ページに及ぶリポートを発表した。DOCは「このリポートは世界の鉄鋼貿易における歪んだ慣習を排除するとともに、鉄鋼クライシスの再発を防ぐための総合的な方策を盛り込んだ」(N・ミネタ長官)ものとしており、その方策として・輸入動向の監視強化と輸入急増および市場環境の変化への早期警告・輸入が急増した場合の国内業界の救済策の迅速化・国際鉄鋼市場における不安定要因の解消に向けての取り組み・国際レベルでの鉄鋼貿易対策協議――などを挙げている。また同リポートは、97―98年の金融危機によってアジア、ロシア、南米などにおける鉄鋼消費が減少し、その反動として需要が非常におう盛だった米国市場への輸出が急増したことが、鉄鋼クライシスの直接的な原因であると指摘。また安価な鉄鋼製品の輸出を可能とする鉄鋼生産国の構造的要因にも起因するとして、ロシア、日本、韓国、ブラジルなど鉄鋼業界・市場における問題点を挙げている。

 一方で同リポートは、米鉄鋼業界は80年代から90年代初頭にかけて30%の能力縮小、60%の人員削減を含む大規模なリストラを実施するとともに、巨額の投資を行うことで生産性を300%以上引き上げ、世界でも有数のコスト競争力を備えるに至ったと説明。ところが98年の鉄鋼輸入が前年比33%増加して過去最高を記録、これにより最終製品の国内市況は20%低下、98年初頭に90%を超えていた米鉄鋼ミルの操業率は、年末までに75%を下回るに至ったと説明している。

 なお、同リポートは日本について、「最大の構造的問題は鉄鋼市場が非競争的であるところにある。大手一貫ミル間の協調体制が国内市場の価格を維持し、国内市場での利益を背景に低価格での輸出を可能としている。70年代半ばから99年の間の新日鉄、NKK、川崎製鉄、住友金属、神戸製鋼のシェアはほとんど変化していない」などと指摘。また日本に対して、大手ミル間の競争原理の欠如、市場の閉鎖性などの問題解消に向けての協議を求めるとともに、産業再生法の施行についての監視、日本開発銀行の民間企業への融資状況の監視を継続するとしている。

大 阪地区のH形鋼はベース3万1000―3万2000円どころで強含み。地区の扱い特約店筋が8月1日から再度、売り腰を引き締め、唱えを大阪市内近郊3万4000円に引き上げる。高炉などメーカー各社の値上げ玉が8月以降入荷し始めるため、この値上げ分の市況転嫁を目指すもの。

 また、市中在庫もメーカーの需給調整が功を奏し、7月末のときわ会ベースで6万トン際まで減少する見通し。流通筋によると、「約4年ぶりとなる6万トン割れも視野に入ってきた」という。このため、市中では「無理して売らなくてもいい」(特約店筋)といった姿勢が広がり始めている。

 一方、荷動きはここにきて多少、好転。ビッグプロジェクトこそ見当たらないが、流通の販売量が6月実績を上回る見通しで、切断・穴開けの一次加工も繁忙状態となっている。