2000.08.22
日 鉄鋼管(坂井勝義社長)、積水化学工業(大久保尚武社長)、クボタ(土橋芳邦社長)の3社は21日、今年10月から塩ビライニング鋼管を3社の間で生産委託(OEM)する事業提携に合意したと発表した。具体的には、(1)クボタは塩ビライニング鋼管数管種(月間約200トン)を積水化学(滋賀栗東工場)に生産委託する(2)積水化学は関東地区への供給分のうち、クボタからの委託分と同量を(月間約200トン)、日鉄鋼管(川崎工場)に生産委託する―ことを柱に、輸送費、固定費を削減し収益構造の改善を図る。塩ビ管メーカーと鋼管メーカーでは初めての異業種間提携として注目される。

 塩ビライニング鋼管は、公共投資の低迷による需要減や市況下落などにより、一部に回復基調の兆しが出てきたものの、依然として厳しい状況が続いているほか、樹脂管の他の金属管などとの一層の競合が予想されている。

 クボタと積水化学は、塩ビライニング鋼管の主要素材である鋼管の大半を新日本製鉄から購入している関係もあって、新日鉄の塩ビライニング鋼管を受託生産している日鉄鋼管を含めた3社間で、OEMすることで合意に達した。

 相互に生産委託する量は、それぞれ年間約2400トン程度(月間約200トン)。事業提携により(1)積水化学は滋賀栗東工場(滋賀県栗東町)から関東地区への供給分のうち、日鉄鋼管委託分の輸送費が削減できるとともに、同工場の生産量はクボタからの委託があり減少しない(2)クボタは生産委託分の設備(神奈川県小田原工場)を順次廃棄し、スペースを他で活用できるようにする(3)日鉄鋼管は、川崎工場(神奈川県川崎市)での生産量が年間約2400トン増え、稼働率が向上する―など各社がそれぞれメリットを得るとともに、輸送費や固定費の削減などによるコストメリットは年間約4000万円を見込んでいる。

 塩ビライニング鋼管(LP管)は、配管用炭素鋼鋼管の黒管または水道用亜鉛めっき鋼管の内側に硬質塩化ビニル樹脂をライニングしたパイプで、中・高層ビルの給水、空調、配水管と地中埋設の給水、消火管として使用されている。

 需要量は年間約9万トン(99年度実績・日本水道鋼管協会発表)で、うち水道用が6万7000トン、排水用が1万4000トン、給水給湯用が9000トン。

 メーカーは積水化学をトップに、NKK、新日鉄、住友金属工業、川崎製鉄、クボタ、三菱樹脂、協成の各社。近年は樹脂管(塩ビ管、ポリエチレン管など)、ステンレス管、銅管など競合管種との競争が激しくなっている。

 なお、今回の事業提携は、クボタと積水化学の間では昨年冬の北海道の塩ビ管の事業提携に続く第2弾。

東 京製鉄(池谷正成社長)は21日、9月契約分で鋼矢板を除いた建材類の全品種を1000円値上げすると発表した。申し込み締め切りは24日。建材類全般の値上げは6月以来、3カ月ぶり。需要は土木から建築へと徐々に上に広がり、H形鋼・異形棒鋼など建材製品の市況も強含み推移の基調が続くと判断した。鋼板類の価格は据え置いたが、建築需要の回復に合わせて、秋には薄板建材など鋼板需要にも波及するとみている。

 今回値上げするのはH形鋼、縞H形鋼、I形鋼、山形鋼、溝形鋼、線材の実行販価をそれぞれ1000円。異形棒鋼は建値・実行販価とも1000円上げて2万6000円とした。

 その他の品種は据え置きだが、建材類の鋼矢板は秋需が期待できるものの、今後の需要動向を見極めることにした。鋼板類は世界的にも需給調整局面となっており、今後は建材向けを中心に需要が増加。価格も上向く見通し。

 全般的な鋼材市況は商業施設、大型物件に加え、中小物件やIT関連施設などが回復して徐々に上向いている。「鋼材価格は依然として安すぎるため、今後もステップ・バイ・ステップで引き上げ、良い環境を保ちたい」(安田英憲常務)。

新 日本製鉄が21日発表した7月末の「ときわ会」H形鋼流通在庫の集計速報によると、全国在庫は33万7400トンと6月末比3・7%減少した。減少は2カ月連続。減少幅1万3000トンは、4月に集計基準を変更する前の、99年11月に1万2700トン減少して以来の1万トンを超える大幅な減少。在庫率は1・33カ月と0・1ポイント低下した。在庫の水準について新日鉄では、適正ラインに到達したと評価しており、8月から9月にかけては需給の引き締まり感がさらに強まるとみている。

 地区別の状況は、東京が入庫7万1800トンと前月比0・6%減、出庫7万7300トンと5・9%増、在庫10万2900トンと5・1%減。大阪は入庫5万500トンと0・8%増、出庫5万2800トンと3・9%増、在庫6万400トンと3・7%減。名古屋は入庫2万7100トンと1・1%減、出庫2万9600トンと6・9%増、在庫3万8000トンと6・2%減。

 東名阪3地区合計では入庫が14万9400トンと前月比0・2%減、出庫15万9700トンと5・4%増、在庫は20万1300トンと4・9%の減少。その他8地区合計の在庫は13万6100トンと1・9%減少した。在庫率は3地区が1・26カ月と0・14ポイント低下、その他8地区は1・44カ月と0・03ポイント低下した。

 東名阪3地区とも入・出庫水準が予測を上回った点について、市況の先高観と在庫補充のために仲間間取引が膨らんだのが原因と新日鉄ではみている。入出庫の数字は実態より大きく出ているが、3地区で約5%減という在庫の数値は需給の窮屈な実態を反映していると評価。全国在庫の水準についても「市況が上昇を続けるラインまで到達してきた」(建材営業部)という認識だ。

 流通の報告では、8月前半までの荷動きは日量で7月並みの水準を維持しており、好調な実需が持続しそうな感触を得ている。歯抜けサイズが出るなど在庫バランスの崩れや、先行き販売に見合った在庫量を確保できないなどと窮状を訴える声が流通からは上がっている点から推して、今後はさらに窮屈感が強まると新日鉄ではみている。

 その他8地区の7月末在庫は以下の通り。

 ▽札幌=2万1000トン、6月末比1・9%減▽東北=2万4100トン、0・4%減▽新潟=7300トン、横ばい▽富山=4400トン、4・3%減▽静岡=1万800トン、0・9%減▽四国=2万400トン、3・8%減▽中国=1万3500トン、5・6%減▽九州=3万4600トン、0・9%減。



小 口混載を中心に運送サービスを行う総合トラック(本社=東京都江戸川区、梶大吉社長)はきょう22日から、関東地区を対象とした少量鋼材の混載・翌日配送サービス「メタル便」の運行を開始する。浦安鉄鋼団地に物流拠点を置き、鉄鋼団地内の小売業者の要望を採り入れた運賃、サービス内容を設定。将来的には法人化も計画している。

 「メタル便」は2トン、4トン、大型からトラック車種を指定。指定用紙に配送依頼内容をFAXし、浦安鉄鋼団地(中島鉄店敷地内)の物流拠点に鋼材を持ち込むと、関東地区の約150キロメートル圏内まで受け渡しの翌日中に配送するサービス。地域により当日配送も可能。重量50キログラム、距離30キロメートルから鋼材の重量と輸送距離に応じた分かりやすい運賃表を作成している。

 同社は鋼材運送業を中心に事業を行ってきたが、約2年ほど前から小口混載サービスを開始。現在埼玉県上尾市に拠点を持ち、建築資材関連で約20社の得意先を対象に同様のサービスを行っており、今回はこれまでに培ったノウハウを生かして、鋼材運送に特化した事業を立ち上げる。開始にあたり鉄鋼販売業者4社の協賛を得た。

 小口混載の鋼材運送は、配送や積み込みの手間がかかるうえ、品種と配送地域を効率的に組み合わせる必要があり、大手運送業者が参入しにくい分野と言われる。一方で小売りサイドの販売加工業者は得意先から少重量、短納期の注文を受ける傾向が強まっている。

 同社では運送業者がこうした要望に応じることで運賃コストが明確化し、第三者機関であるため届け先の機密保持にもつながるとしている。将来的には鉄鋼共同配送事業の利便性を高めることを目的に、数社の出資による別会社化も計画している。

 注文受付は前日午前9時から午後6時、商品受渡は前日午後1時―午後6時。問い合わせは047(382)2401。

新 日本製鉄は、岩手県花泉町から花泉町大森浄水場拡張工事(機械設備)を4億700万円で受注した。既存の浄水場と同一敷地内に併設するもので、既存上水場の保守点検が可能なように予備的な処理能力を有する。今回の受注は、同社にとって本格的な浄水設備工事として2件目。近く現地工事に着工し、竣工は、2001年6月の予定。同社の水システム部では、今回の受注を機に、さらに浄水関連設備の営業強化を図る方針。

 同設備は、原水である地下水に含まれる鉄、マンガン、濁度などを取り除いた後、消毒剤を注入し、水道水として供給するための設備で、既設浄水設備の更新と浄水能力増強を狙っている。

 酸化剤、アルカリ剤、凝集剤などの薬品を混和するための急速攪拌設備、濁質および酸化された鉄や溶存マンガンを取り除く急速ろ過設備、薬品を注入する薬品注入設備で構成。これらの浄水処理を行うために必要な機械、電気設備を含めた全体設計を請け負った。

 従来は、既設ろ過池(3池)で3000立方メートルを処理すると、ろ過池の処理水量は、日量7800立方メートル。これを1万800立方メートルに能力増強する計画。

 同浄水場の原水は、第1水源と第2水源の混和水であるが、水質は悪く水量が豊富な第2水源での全量処理可能な設備とすることを狙っている。



英 資源大手リオティントの豪資源会社ノースの買収が決まったことで、ノースとともに豪ローブリバー鉄鉱石プロジェクトの権益を持つ三井物産、新日本製鉄、住友金属工業の日本側3社はジョイント・ベンチャー・アグリーメントのもとで(1)ローブリバー鉄鉱石の自主性・独立性を確保し同鉄鉱石にとってベストインタレストを目指す(2)新規鉱山のウエストアンジェラス鉱山は西豪州政府の許可内容に沿って開発を進める―などを核として、リオティントとの協議を進める。

 豪州第3の規模の鉄鉱石プロジェクトであるローブリバー鉄鉱石はノース53%、三井物産33%、新日鉄10・5%、住金3・5%(日本側計47%)がそれぞれ権益を保有して運営するアンインコーポレーテッド・ジョイント・ベンチャー。操業を担当するローブリバー・マイニングと販売を担当するローブリバー・リミテッドは権益保有会社との契約に基づいて操業・販売を行っている。

 リオティントはノースの株式の大半を取得しノースの経営陣は退任、全面的に同社の経営権を取得した。ローブリバープロジェクトの運営がノースと日本側3社のこれまでの権益保有者によって行われることに変わりはないものの、ノースの経営権を取得したリオティントの意向が同プロジェクトの運営に影響を及ぼすのは避けられないとみられる。

 リオティントは、新規鉄道の敷設を計画しているウエストアンジェラス鉱山の開発に当たって、新鉄道建設に代わって既存のハマスレー鉄道を使用することで開発コストの削減が可能になると主張している。

 日本側3社は、豪州鉄鉱石の長期的な安定供給体制の維持には鉄道などインフラの拡充が必要との判断に立って、リオティントが買収オファーした当初から、「ウエストアンジェラスプロジェクトでは鉄道は新規敷設の計画であり、計画の変更は認め難い」と反対の意を表明していた。

 リオティントがその主張を実現するためには、ジョイント・ベンチャー・アグリーメントの決議の変更が必要だが、これには権益保有者全員の合意が条件。

 リオティントが示した強いノース買収への意欲は、世界最大のリオドセのサミトリー買収をはじめとして鉄鉱石業界の統合・再編が進む中で、豪州2大サプライヤーであるBHPと比べて将来的に鉱量の減少が懸念されているハマスレー鉱を核とするグループの鉄鉱石事業を再構築する必要に迫られていることが背景とされている。

 今後のリオティントとの話し合いで、日本側3社は同社に対して、同アグリーメントの尊重とローブリバーの自主性・独立性の維持を強調していくことになる見通しだが、リオティントなど大手資源会社を核とする寡占化が避けられない状況の中で、世界最大の鉄鉱石バイヤーである日本鉄鋼業が今後も鉄鉱石市場に対する影響力を維持していくことができるかどうか試されることになる。

マ ンガン系合金鉄各社の間で、今期(7―9月)積みに続いて来期(10―12月)積みでも製品値上げへの機運が高まっている。高炭素フェロマンガン5000―7000円、シリコマンガン3000―5000円など、今期で打ち出した値上げのうちの未達分とその後の国際市況の上昇などを背景に販価改善を継続する公算が大きい。

 水島合金鉄、日本電工、中央電気工業など合金鉄各社は、98年後半からの国際市況の続落に伴う販価の下落・収益悪化を余儀なくされてきたが、99年末から国際市況が底入れ・回復に転じたことを背景に前期から値戻しに着手、今期積みからこれを本格化させている。この結果、ユーザーによって値上げ受け入れ幅は異なるものの、販価改定の了承は得られた状況。

 フェロマンガン市況(高炭素・欧州市況)は98年の470―480ドルから100ドル以上値下がりした後、粗鋼生産の回復、在庫調整の完了、さらにマンガン鉱石の値上がりを背景に、今年1―3月に420ドル台まで戻し、4―6月に420―440ドル台まで回復。その後、460ドル台をうかがう状況といわれ、こうした国際市況の上昇も考慮して来期積みで、今期積み値上げ未達分と国際市況の上昇分を加えて値戻しを継続する機運が強まっている。



東 京地区の表面処理鋼板(電気亜鉛めっき、ベースサイズ)は熱延下地6万―6万1000円、冷延下地7万―7万1000円どころ中心で弱含み横ばい。

 薄板類全般にムードが弱い中で、付加価値の高い電気亜鉛めっき鋼板は需給バランスの調整が遅れ気味。流通では高炉メーカー間の販売競争が影響したとの見方が強いが、秋口へ向けて再び在庫抑制の動きが出てくるものとみられる。市中商いは今週から本格化し、月末までの動きを扱い筋は注視している。

 5月から6月にかけての荷動きの悪さが影響して、小売業者が春先に主張した高値から比べると1000―2000円の下落。東鉄連市場調査委員会の発表でも2カ月連続の1000円値下げとなった。しかし、相場は足元では下げ止まっており、あくまで実勢価格を追認した形。

 目先は、様子見で横ばいか。



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