2000.08.24
中 国の陳健・駐日特命全権大使がきょう24日、平沼赳夫通産大臣を表敬訪問する。会談は表敬訪問として行われるため流動的だが、中国による鋼材輸入規制問題やステンレス冷延薄板のアンチ・ダンピング(AD)提訴問題についても触れる公算が大きい。かねて中国政府に対し、IL(輸入許可証)の円滑発給など事態の改善を求めているが、対応は一部にとどまるなど問題は長期化している。このため再度、通産相が状況の早急な打開を要請することになる見通しだ。

 中国鉄鋼貿易問題では、今月初に中国対外貿易経済合作部(経貿部)の石広生部長と平沼通産相が東京で会談し、中国側に対し発給遅滞となっている輸入枠について十分な枠の確保と早期実施を申し入れたほか、ステンレス鋼板ADについてマージン率の算出方法、損害認定方法の開示と世界貿易機関(WTO)ルールとの整合性上の問題を指摘した。これに対して中国側からは輸入枠についてはすでに130万トンを割り当てるなど「大部分では解決している」(石部長)とし、マクロレベルでは事態は収拾されたとする認識が示された。ステンレス鋼板ADについても中国国内法、WTOルールに則して調査などを実施するとする見解が伝えられた。

 ブリキのローモ板などではILの発給が行われたものの、一部にとどまっており、依然として数量面などは不十分で問題の抜本的解決には至っていない。

 日本サイドとしては陳大使との会談で改めて早期な改善と是正を要望、状況の前進を促したい考えだ。

エ ヌケーケートレーディング(本社=東京都中央区、木崎肇社長)は23日、日本メタルサイトへの出資を決め、鋼材の電子商取引(eコマース)に新規参入すると発表した。出資比率などは未定だが、来年3月までに詳細を煮詰める。日本メタルサイトを選んだ理由は、「米国でのサイトの運営に実績があり、金融などの機能が他社より進んでいる」(企画・財務グループ)と判断した。

 日本メタルサイトには、米メタルサイト社、伊藤忠商事、住友商事、丸紅がすでに出資。川鉄商事も出資することを決めており、NKKトレーディングが6社目となる。

 当面は薄板や鋼管などの店売り分野から取引を開始。関係会社のエヌトレ東部薄板建材、エヌトレ西部薄板建材、鋼管管材トレーディングや取引先と共同で、薄板、鋼管の商権拡大を狙う。その後、ヒモ付き分野にも取引を広げる。

 同時に事務処理の効率化も狙う。取引先のIT(情報通信技術)のインフラ整備にもつなげたい考え。電子決済など、取引先のIT基盤整備にも有効活用していく。

新 日本製鉄と日鉄建材工業は23日、優れた耐火性能を持ちBCR規格に適合する「UコラムBCR―FR」を共同開発したと発表した。立体駐車場向けを中心に、耐火鋼を用いたBCRの年間需要(約1万トン)のうち、約3000トンのシェアを狙う。価格はFR鋼を用いない新規格プレスコラム(BCP)より安く、ロールコラム(BCR)より高い水準。材料となるホットコイルは新日鉄・君津製鉄所が供給し、日鉄建材・仙台製造所と広畑製造所で製品に加工する。

 新製品は、耐震性建築構造部材の新規格BCR(99年度末の推定普及率は約35%)と、耐火鋼(年間需要は約10万トン)をミックスしたもの。これまで肉厚16ミリまでのBCR―FRはあったが、今回初めて19ミリまで拡大した。

 従来までのFR鋼は、モリブデンを0・5%、ニオブを0・01%混入していたため、モリブデンが炭素と結合して結晶となることで、降伏比が95%と高くなっていた。新製品はモリブデンを混入せず、ニオブを0・3%混入して鉄の結晶構造のなかに残すことで、降伏比を85―88%に抑制。同時に耐火性も持たせた。

 製造サイズは9×250角・300角、12×250角・300角・350角・400角、16×300角・350角・400角・450角・500角、19×350角・400角・450角・500角の15種。



合 成床板のメーカー直送価格が需給のひっ迫を背景に、1994年以来約6年ぶりの7万円(カラー品ベース、切りそろえ)乗せとなった。昨年来のメーカーの相次ぐ撤退により供給不足が露呈しているもので、現在、各メーカーの納期は1カ月まで伸長。メーカー筋では「今の需要環境からしても、少なくとも10―11月まではこの状態が続く」としている。

 合成床板を製造する建材メーカーの撤退は98年に日本フォーミング、99年に神鋼建材工業と続き、この9月末には住友金属建材が事業撤退する。残るメーカーも生産工場を集約するなどの合理化に着手しており、市場全体の生産能力が大幅に圧縮されている。この中で、大店舗立地法の施行に伴う大型スーパー・ショッピングセンタの駆け込み需要などが出件。今年度のS造建築も回復傾向にあるため、市場の供給不足が露呈している。

 建材メーカー各社は今春以降、直送価格7万円を目指し売り腰を強化。これが納期の伸長を背景にようやく通り始め、一部大型物件ではまだ6万円台が残るものの、おおむね7万円台乗せが確実となったもの。これにより、価格は底値からほぼ1万円方上昇した。メーカー筋は今後もタイトな需給環境が続くとして、引き続き売り腰を引き締め、今後、採算ラインである7万5000円を目指す方向。

 また、メーカー直送のひっ迫を背景に、関西地区の店売り在庫も比較的活発な動きとなっている。扱い特約店筋は「少ない在庫を大切に売る」として売り腰を引き締めており、市況もここにきて9万円乗せ(カラ品ベース、定尺)となってきている。

関 西鉄鋼センター、川鉄鋼材工業、シーヤリング工場、東京シヤリングの大阪事業所、神鋼シャーレックスの高炉の指定シャー5社(うち1事業所)は、各社が所有する橋梁用の小板の在庫の共同活用を行う方向で計画している。共同活用を計画している小板は、厚み40―100ミリの幅1メートル×長さ3メートルの不定厚品で、メーカーが生産できる最小サイズだが、回転率、歩留まりが悪く、各社共通の悩みとなっていた。今回、各社の小板の製品、残材の在庫情報を開示し、共同活用することで、業界ベースでのコスト低減を推進する。当面は各社のコンピューターに登録、eメールでの在庫のやり取りを行う方向で、将来は共同で在庫用のサイトを立ち上げることも検討している。これが関西地区でうまくいけば、関東地区など他地区にも波及する可能性が強い。

 これまで、地区の高炉の指定シヤーは橋梁などの切板の仕事が繁忙になると、能力に余裕がある企業に委託するなど、企業間同士での助け合いを行ってきた。ただ、高炉の指定シャーを取り巻く環境は鉄骨を中心にした需要の低迷、切板価格の大幅な下落など、依然として厳しい状態が続いている。

 このため、各社はここ2―3年、それぞれに人員削減、工場の縮小、設備のNC化、生産管理システムの再構築・強化など、一段と合理化を進めていた。しかし、企業単体での合理化には限界もあり、各社ともに業績が大きく改善するところまでには至っていない。 そうした中で、各社共通の課題は在庫の圧縮、回転率と歩留まりの向上だが、その中でも、橋梁用の小板は歩留まり、回転ともに悪かった。同製品は厚み40―100ミリで、サイズが1メートル×3メートル、橋梁の補強材に使用される。ただ、厚みが不定厚であるうえ、規格自体もバラバラで、ショット加工がされているため、他に転用しづらかった。

 このため、各社ともに、小板の製品・残材が積み上がり、企業によっては小板の在庫が200―300トンまでたまっている。この各社共通の悩みを解消するため、在庫を共同活用する方向で計画しているもの。

 当初は各社の小板の在庫をそれぞれにコンピューターで登録、これを必要に応じてeメールでやり取りする。将来的には共同でサイトを開設したい考え。

 ただ、橋梁の切板は行政(建設省など)、ファブリケーターなどの立ち会い検査があり、ここで材料、加工などの確認が行われる。今回、小板の共同活用を行う場合、検査段階でのメーカー指定の確認で支障が出ることが予想される。このため、地区の5社では行政、ファブリケーターサイドに弾力的な対応を求めていく方針。

臨 港製鉄(中野修行社長)は、9月契約の平鋼店売り価格を8月比据え置きとし、8月契約で打ち出したトン3000円値上げの完全浸透を図ることを決めた。また申込締切日については、8月契約から設定した毎月15日を厳守し、スポット引き合いには応じない方針。

 同社では店売り平鋼の採算回復に向けて段階的に販価を是正しており、2月契約と5月契約で各2000円、さらに8月契約で3000円の値上げに踏み切った。9月契約では踊り場を設け、8月契約の3000円上げの完全浸透を図り、10月契約分以降での値上げに備える。

 申込数量は6、7、8月とおおむね横ばいで落ち込みはないとしており、需要面は建築関係を中心に回復傾向にあること、7―9月は夏期定修もあって4―6月比15%の減産となり、現状在庫も同比10―15%減少していることなどから、需給改善は進むと予測している。そのうえで「採算確保にはメーカーネットでスクラップ価格プラス3万円近いものが必要」としており、いぜん採算ラインに未達のため、10月契約分以降でもう一段の値上げを検討する。



ド ラム缶工業会(理事長=近藤徹・川鉄コンテイナー社長)がまとめた、7月実績は生産が前月比2・5%減、前年同月比1・7%増の2万8800トン、出荷はそれぞれ、1・5%減、2・4%増の2万8900トンとなり、生産、出荷とも17カ月連続で前年比プラスとなった。出荷の7割を占める化学向けが、前年同月比3・4%増と堅調に推移したのが要因。

 主力の200リットル缶は、前年同月比2・8%増と伸び、100万本を突破。化学向け同4・0%増、食料品向け同9・1%増と安定して回復している。

 一方、ぺール缶は、ともに出荷の4割強を占める石油向けと化学向けがそれぞれ同0・8%減、0・6%減とわずかに落ち、0・9%減の199万9200本にとどまった。

 全缶種の用途別出荷(重量ベース)は、化学(構成比73%)のほか、石油(18%)同0・5%増、塗料(5%)同8・9%減、食料品(1%)同9・6%増、その他(3%)同7・3%増加。

大 阪地区の等辺山形鋼はベース3万1000―3万2000円どころで強含み。

 7、8月と値上げを見送っていた東京製鉄が9月契約で1000円値上げ。大阪製鉄、エヌケーケー条鋼も再値上げの意向を強めている。

 仕入れ高によるコストプッシュ要因から、扱い流通筋はさらに売り腰を強めている。旧盆明け以降の唱えは1000円高の3万3000円となっており、「仕入れ値が3万円に近づいており、マーケット環境にかかわらず販売価格を引き上げざるを得ない状況」(特約店筋)という。

 また、H形鋼など他品種の値上がりに連動する形で値を戻している。

 市中の荷動きは、産機・建機などの需要回復もあって、比較的堅調。ただ、市中在庫は流通の入荷量が思ったように減らず、今春以降、横ばい傾向が続いている。



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