2000.08.25
三 井物産は25日、インターネット上でH形鋼を販売するシステムの開発・試験運用を終え、9月1日から実運用すると発表した。対象は三井物産H形鋼センター(MHC、千葉県浦安市)のH形鋼在庫販売で、アクセス権を持つ既存取引先がネット上で在庫照会・発注する。受発注業務を効率化できるうえ、顧客は自社在庫と同様にMHCを利用できるため、物産側には回転率の向上などの効果が見込めるという。品種の拡大や取引先との連携などで拠点を増やすなど、拡張可能な「仲間商売のプラットフォーム」(条鋼建材部)として今後、改良を重ねる方針だ。 システムは電話などを使った従来の受発注業務を代替する仕組みで、ネット上で在庫や物産が設定した価格の照会、発注を受け、出荷指示する。利用者は自社在庫と同様、販売財源として任意にMHC在庫を利用できる。顧客の利便性を向上させることで、MHC在庫の利用率が向上すると物産では見ている。

 システムは7月から野水鉄興(野水清志社長)との間で1カ月半の試験運用を経て開発を終えた。28日から既存の取引先12―13社を対象に参加を呼びかけ、アクセスに必要な認証ID、パスワードを付与し、9月から実運用を始める。

 今後は業務開始を控えたスマートオンライン(西村博夫社長)との連携も視野に入れているが、今回のシステムでは契約・商流は従来通りで、既存取引の効率化に主眼を置く。



共 英製鋼(高島秀一郎社長)は、小棒を主体とした減産を意図して、今年度下期(10月1日)から圧延部門などで減直体制を実施する。小棒トップメーカーとして範を示し、製品の販価是正を強力に推し進めるため生産圧縮を図るもの。減直により小棒生産量は99年度実績比10%弱(月間1万トン強)減少する見込みで、余剰となる100人以上の要員は、定年退職者不補充、高齢者の早期退職優遇制度導入により、来年3月末までに削減する。

 減直体制に移行するのは、同社の山口事業所(山口県小野田市小野田)圧延工場および名古屋事業所(愛知県海部郡飛島村)圧延工場、それにビレット製造の大阪事業所(大阪市西淀川区佃)。山口、名古屋は現行の4直3交代から1直減の3直3交代に、またこれに伴い大阪事業所は変則3直から2直に移行する。枚方事業所(大阪府枚方市中宮大池)は以前から3直体制にあり、今回の減直により、同社の小棒生産量は99年度実績比10%弱減少する見込み。また要員は間接部門を含め100人以上が余剰となるが、それについては定年退職者の不補充や今月から導入した高齢者の早期退職優遇制度(今年末までの期間限定)により対応する。

住 友金属小倉は、普通線材価格を8月契約、10月出荷分からトン当たり3000円値上げすることを決め加工メーカー、流通筋に通知した。立ち遅れている採算の回復を図るとともに、加工メーカーの採算改善を支援するのが狙い。この値上げを達成するため、出荷量も4―6月期比15%以上のカットを実施する。普通線材の値上げは、神戸製鋼所、新日本製鉄に次いで3社目。

 普線メーカー各社は昨秋トン5000円の値上げを実施したが、建築向け需要の低迷などで3000円の値上げにとどまり、いぜん採算ラインに乗っていない状況が続いている。しかもその後の市況が低迷、製品価格の下落で加工メーカーも採算確保が一段と厳しくなっている。

 こうしたことから秋需に向け、トン3000円の値上げを打ち出したもの。

 住友金属小倉は、全生産量のうち普通線材およびバーインコイル、鋲螺用線材を含め20%強生産しているが、70%を占める自動車部品向け生産が好調で、ロールは満パイ状態にある。このため、ロール面からも普通線材については受注カットせざるを得ない状況にあり、8月契約以降、4―6月比15%以上の供給カットを実施していく方針。

新 日本製鉄は25日、棒線事業部室蘭製鉄所(市瀬圭次所長)が米国ビッグスリー(クライスラー、フォード、ゼネラルモーターズ)が要求している品質システム「QS―9000」の認証を取得したと発表した。この品質システムは国際標準である「ISO9000」にビッグスリーの要求を加えた、より高度なもので、日本国内鉄鋼メーカーでは、新日鉄の自動車用鋼板(大分、八幡、君津、広畑、名古屋)がすでに認証を取得しているが、自動車部品の素材である特殊鋼棒鋼線材の製鋼メーカーでは、同社が国内初の認証取得となる。

 現在、自動車業界では部品のグローバル調達が始まっており、国境や系列を超えて大量・集中発注する動きが広がっている。国内の自動車各社においても欧米の自動車各社の調達先へ発注先を変更する動きが活発になってきている。新日鉄室蘭製鉄所は、米国ビッグスリーが要求する品質システムに適合していることで、新たなビジネスチャンスにも柔軟に対応できる体制を整えた。



建 設省は25日、国土交通省として初めてとなる2001年度予算概算要求の重点事項を発表した。国土交通省関係予算の公共事業関係費は国費で7兆8751億円と今年度比8・8%増加。新幹線を4倍強に増加させるなど、港湾空港鉄道予算が8355億円と28・8%増の高い伸び率になっている。公共事業関係費の事業費は28兆5051億円と1・7%の増加で、運輸関係は1兆7794億円と19・3%増加する。

 予算は建設、運輸、国土、北海道開発の4省庁で統一要求する。国費のうち、日本新生特別枠として5386億円を確保し、都市基盤整備、IT革命、環境問題、高齢化の4分野に重点配分する。生活関連重点化枠は6725億円。

 都市基盤整備では大都市拠点の30駅と周辺の大改造や3大都市圏の環状道路整備など、渋滞などの都市交通問題を抜本的に解決する。既存の空港、港湾、鉄道、道路の連携強化や、ボトルネックの解消により、物流の円滑化を図り、車両の大型化に対応した道路整備を進める。

 IT革命では高速大容量の情報通信ネットワークを支援するために、道路、河川、下水道、港湾などの施設管理用光ファイバー収容空間の整備・開放を進める。このほか高度道路交通システム(ITS)、申請・届出や調達などの手続きの電子化を進める。

建 設省は25日、2001年度の税制改正要望をまとめた。住宅ローン控除制度を選択式減税制度に改め、恒久的な制度として導入を求める。住宅取得資金の贈与に対する非課税枠を現行の300万円から1000万円に拡大する。また、高齢者世帯向け賃貸住宅供給促進税制の創設や土地長期譲渡所得税の軽減などを通じて、住宅投資や土地流動化を促進する考えだ。

 現行の住宅ローン控除制度は2001年6月末に期限を迎えるため、選択式マイホーム減税制度を創設して7月から適用する。ローン残高の0・75%を15年間一律で税額から控除する場合と、当初3年間は残高の1・5%、その後7年間は1%を控除する場合の選択制とする。最大控除額は前者が563万円、後者は575万円。前者は床面積50平方メートル以上、後者はマンションで75平方メートル、戸建てで125平方メートルが要件で、前者は一次取得者、後者は二次取得者を想定している。

 贈与税は現行の制度が12月末に期限を迎えるため、拡充したうえで2年間延長する。限度額を拡大し、増改築にも適用するほか、所得要件を現行の1200万円から3000万円に引き上げる。

 高齢者賃貸住宅促進税制は、所得税、法人税を5年間5割増償却、耐用年数が35年以上の建物は7割増償却の特例措置を認める。固定資産税は120平方メートル相当分につき5年間税額から3分の2を減額する。

 不動産流通税は抜本的な見直しを求め、投資法人、SPCなどに対する特例措置の創設・拡充を要望する。

ト ヨタ自動車は「S&I発想の家づくり」をコンセプトに開発した鉄骨ユニット工法住宅「シンセシリーズ」の新商品「シンセオーク21」を8月26日からトヨタホーム店28社(26都道府県)を通じて発売を開始した。

 この「シンセオーク21」は、自分だけのライフスタイルを築きたいという30代の個性派・こだわり持ち家志向層を主なターゲットとしている。ユニークな外観デザイン、内装・設備やエクステリアに個性を反映できる「スマートチョイス」システムの導入や今秋から実施される「住宅性能表示制度」でトップランクの3等級を実現した耐震性をはじめとする基本性能、また、健康で快適な暮らしを応援する設備機器などを主な特徴としている。

 なお、販売価格は116・49平方メートル(35・2坪)タイプで1650万円から。販売目標は初年度300戸を計画している。



H 形鋼は200×100で3万3000―3万4000円と強含み。

 メーカーの追加値上げを受けて、流通は3万4000円下限を掲げて値上げ攻勢を強めている。引き合いは盆明けも堅調で、在庫の品薄感は強まっているため、近く市況は一段高に移行するとみられる。

 日々の荷動きは7月を上回る水準で、盆休みによる停滞期にもかかわらず、月次の出庫量は7月並みを確保しそうなペース。在庫の減少でベースサイズにも長さ切れがある状況で荷繰りの窮屈感は増しており、引き受け削減の影響で今後さらに品薄感は強まる見込み。 東京製鉄に続いて、高炉も9月契約で値上げする意向。流通は2000円程度の追加値上げを織り込み、9月初には3万5000円を固めたい考え。堅調な実需と減産効果で需給はさらに引き締まるため、今後も市況は着実に上昇するという見方が大勢だ。