2000.10.10
川 崎製鉄は原料購買で、(1)海外の原料関連プロジェクトとの連携強化(2)安価原料など新鉱種の開拓と中長期の安定購買―を同社の特徴、強みとして拡充していく方針。この一環として、主原料に続いて、合金鉄など金属類でも安価原料の調達を増やすとともに、NKKとの製鉄所間の購買部門での協力を通じてコストダウンに取り組む。現行の新中期経営計画(99―01年度)の原料購買コスト削減計画をすでに1年前倒しして達成するメドを固めていることから、01年度ではこれの追加削減・達成を図る。

 川鉄は原料関連で、フィリピンの焼結鉱会社「フィリピン・シンター・コーポレーション社」(PSC)、リオドセ社などとの合弁鉄鉱石会社でカパネマ鉱山を運営するブラジルの「MSG社」、リオドセ、三菱商事との合弁フェロシリコン会社「ノバエラシリコン」、グループの川鉄鉱業と運営するドロマイトの「フィリピン・マイニング・サービス・コーポレーション」(PMSC)など、海外のプロジェクトに早期に取り組んできた。いずれも高水準の生産が続いており、川鉄の原料購買の一翼を担っているとともに、リオドセなど有力資源サプライヤーとの関係強化にも寄与している。

 安価原料では川鉄は非微粘結炭とともに、いち早く、安価なピソライト系鉄鉱石である豪州ヤンディ鉱の開発、購入に踏み切り、新鉱種を使いこなす技術開発の結果、日本鉄鋼業の重要なソースとして成長させてきた。

 一連の原料購買での取り組みとPCI(微粉炭吹き込み)操業の向上などを含む製鉄現場との連携の結果、コークス配合用を含む非微粘炭比率は70%弱。ピソライト系など安価鉄鉱石の使用比率は50%を超えるなどコストダウンが進行中。

 新中期経営計画の中の原料購買コストの削減計画で、これを1年前倒しして00年度で達成するメドを固めていることから、01年度では金属類などの安価・低品位原料の調達を増やすなどしながら、追加達成に取り組む。

 また、NKKとの製鉄所間の協力で原料購買関連では(1)原料輸送形態についての相互協力―両社間の多港揚げ(比較的少量の合金鉄などの輸送をパナマックス型など大型輸送船に一本化し、福山、水島など両社の製鉄所に揚げるなど)(2)相互融通による原料在庫の圧縮(3)海外廉価副原料などグループ会社製品の相互活用―などを通して、コストダウンを進めていく。



通 産省は6日、2000年度補正予算要求の概要を明らかにした。日本新生プランの中でIT(情報技術)関連施策に重点化を図り、1200億円を要求。このほか中小企業金融対策で983億円、ダイオキシン、PCB、フロン対策など環境対策、バイオテクノロジーなど高齢者医療の技術開発、中小商業の活性化を目指した都市基盤整備、科学技術創造立国実現のための研究開発基盤整備などを要求に盛り込んだ。総額では2783億円規模の要求額となる。

 IT関連施策(要求額1257億円)では、電子政府の実現(同40億円)、経済構造改革のための市場環境整備(同100億円)、中小企業IT革命への対応(同400億円)や、技能のデータベース化などを図るデジタルマイスターを進めるIT社会資本形成(同44億円)、IT高度化を実現する研究開発の促進(同332億円)、アジアIT革命推進(同5億円)などに取り組む。

 環境対策(同156億円)では、資源循環型建築物技術開発の推進や自動車、家電製品などのリサイクル技術開発を進める循環型社会構築(同156億円)、地球温暖化対策推進(同27億円)、PCB、ダイオキシンなど有害化学物質の完全管理体制の構築(同36億円)などを挙げた。

 中小企業金融対策では、一般無担保保証の限度枠(5000万円から8000万円へ)など信用補完制度の充実(同260億円)、政府系金融機関を通じた円滑な資金供給確保(同396億円)を配分する。

 これら以外に工業用水道、情報通信基盤施設整備など公共事業関係費合計24億円なども織り込まれた。



北 九州鉄鋼特約店組合(小野建理事長)はこのほど、北九州地区ビッグプロジェクトである「室町一丁目地区再開発事業」に関連し、開発母体の北九州都市協会および施工ゼネコンの前田建設工業に対して、地元特約店組合の資材優先発注の陳情を行った。

 同プロジェクトは、総合事業費約500億円で、JR小倉駅南西に位置する旧小倉北区役所跡地を含む約3・6ヘクタールの区域を整備し、そこに中核施設となる「リバーウォーク北九州」を建設する。

 「リバーウォーク北九州」は、敷地面積2万4600平方メートル(第T期約2万2000平方メートル、第U期約2600平方メートル)、延べ床面積17万6000平方メートル(第T期約16万平方メートル、第U期約1万6000平方メートル)でSRC造の地下2階、地上15階建て商業、業務、文化、情報施設などが入居する高度複合施設。

 また、総鋼材使用量は関係者の推定で6万5000トン、鉄骨関係で3万5000トンが見込まれるなど、地元鉄鋼業界にとっても波及性の大きいプロジェクトとして注目されている。





エ ヌケーホーム(本社=東京都目黒区、田浦正昭社長)は、NKKとの共同開発による新3階建て住宅「プレミール3」を10月6日から新商品として発売を開始した。販売目標は年間100棟に設定している。

 同社は商品開発にあたって、(1)市街地(都市部)の建替需要に対応(2)従来商品以上に求めやすい価格設定(木造3階建並)(3)従来の3階建住宅「ザ・シティ3R(重量鉄骨ラーメン構造)」での対応の難しかった居住空間のデッドスペースをなくし、より柔軟な対応ができる構造躯体(4)高耐久性のある住宅―の4つを基本に、商品開発に取り組んできた。

 構成部材は、主に土台・柱・梁・ブレースで構成されている、NKKフレームキットを採用。通し土台にはH形鋼、柱は1階4・5ミリ厚、2・3階には3・2ミリ厚の角鋼を使用し、鉄骨の防錆処理には溶融亜鉛メッキを施し、より高い耐久性能を実現した。



総 合トラック(本社=東京都江戸川区、梶大吉社長)の鋼材小口配送サービス「メタル便」は、業務開始から約1カ月で浦安鉄鋼団地での取引件数が25社に増えるなど、順調な滑り出しを見せている。

 「メタル便」は、浦安鉄鋼団地内の拠点に持ち込まれた小ロットの鋼材を2トン、4トントラックなどで混載、関東地区一円を対象に翌日中に配送する新しいサービス。第三者機関であるため届け先の機密保持が可能である点や「取引先にメリットを取ってもらえる事業」という概念が特徴。

 建築資材など重量物の混載サービスで実績のある同社が、鋼材に特化する形で8月下旬から業務を開始した。以来、浦安鉄鋼団地では25社と取引が成立。これは団地組合員の1割以上にあたる。

 取引先の鋼材販売業者や運送会社の協力により、配送地域はスタート時の関東地区一円から福島県のいわき地区、静岡県の一部地区まで拡大した。また道程換算で作成した運賃表については割高感のある地域など見直しを進める考えで、今後も需要に応じた配送体制を確立する。

 また、基本路線である数社の共同出資による別会社設立は、約1カ月先にも具体化する見通し。同社では引き続き「一件一件の受注を重ね、地道に信頼を積み上げる」(梶社長)方針で、鋼材流通では初めてといわれる小口混載配送サービスの向上、事業育成を目指していく。

住 友金属工業は、02年9月完成予定で米国の連結子会社「ウェスタン・チューブ&コンジット社」(WTC)の増強工事を開始する。住金グループにとってシーモア・チュービング社(STI)の第2工場建設に続く積極策。両社とも好調な業績を背景に業容の拡大に乗り出す。

 WTC(本社=カルフォルニア州ロングビーチ)は電線管、フェンス用鋼管、メカニカルパイプの製造・販売を手掛け、既存能力は年14万トン、この分野では米国西部のトップメーカーの位置にある。

 カ州では活発な経済、人口増加に伴い建設関連需要が増大しており、パイプも高い伸びを示している。これによって昨年来、WTCはフル稼働を続け、業績は連続配当に見られるように極めて好調。

 建設関連ではとくに外観重視、メンテナンスフリー志向が急速に強まっている。住金とWTCは、表面メッキとコーティングを施したメカニカル・めっき鋼管需要が今後、一層増えるとみて、連続製管・めっきの新ライン導入を決めたもので、外径は2以下、所要設備資金は約11億円、調達は内部留保に加え、一部借入金で賄う。10月中に工事を始め、増設能力は4万トン、既存と合わせ18万トンの年産能力を備えることになる。



新 日本製鉄など高炉6社の韓国向け今期(10―12月)積みホットコイルは、前期(7―9月)積みの半分、ピーク時に比べると40%の規模まで大幅減少となりそうだ。

 高炉6社と韓国の冷延単圧メーカーとの今期積みホットコイル商談はにらみ合いが続き、決着は11月入りする可能性さえ出ている。価格面では国際マーケットを反映してマイナス修正が避けられそうもないが、特徴的なのは韓国側の引き合い数量が極端に少なくなっていること。景気の鈍化を背景にリローラー各社が在庫調整に入ったためだ。

 韓国のホットコイル輸入量は昨年後半から急速に増え、今年1―3月には全世界から128万トンを輸入、うち日本からは91万トンだった。この中で高炉6社が契約した量は85万トンほどと推定され、4―6月もこの規模を推移、7―9月ではやや減少し高炉分は70万トンとみられる。

 今期積みとしての契約量について、関係者は35万トン程度―と予測する。韓国の輸入荷揚量とはタイムラグが生ずるため、日本6社の今期契約の半減は、韓国着で来年1―3月にかけ効いてこよう。減少の中心となるのが現代鋼管、世亜製鋼、東部製鋼、聨合鉄鋼など韓国のリローラー向け。パイプ専業向けは、すでに大幅減の契約が進んでいる。

 韓国需要家に対する日本側のトレードプランには、粗鋼減産のスタンスも絡んで違いがある。ただ、リローラー向けはヒモ付きに近い商談となっており、一部店売りのような押し込み販売はできず、日本各社はリローラーの引き合いに応じなければならない―とすれば半減せざるを得ないのが現状でもある。









東 京地区の H形鋼は200×100で3万6000円中心と1000円上昇した。流通は商社を中心に3万8000円を唱えて値上げ攻勢を強めており、小口で3万7000円も通り始めているという。在庫の品薄化やメーカーの追加値上げ含みの情勢でなお上昇基調が続く。

 在庫の減少で流通各社の在庫には長さ切れサイズが多く、流通間で融通して引き合いに対処している。品薄サイズでは高値が通りやすいほか、持ち込み運賃を買い手が負担するケースが増えており、市況に加えて需要家向けの単価は着実に上昇している。

 メーカーは11月に2000―3000円値上げする意向を示しており、流通は前回の値上げ分転嫁を急いでいる。堅調な荷動きと在庫減による需給の引き締まりで「今月中に3万8000円が視野に入る」(商社)などと、流通には強気の見方が支配的だ。