2000.10.11
川 崎製鉄と住友金属工業は10日、13Cr継目無鋼管に関する特許係争について和解したと発表した。

 両社は、昨年4月7日の川鉄による住金に対する提訴、ならびに昨年11月24日の住金による川鉄に対する提訴に基づき、13Cr継目無鋼管の特許をめぐり裁判で争ってきた。その後、裁判を通じて双方の主張が明確になってきたことと、このたび裁判所が和解の機会を設けたので、裁判の長期化による弊害などを総合的に判断して、この機会に和解することにした。

 両社とも知的財産権を尊重するという共通の認識のもと和解をしたもので、双方の13Cr継目無鋼管の製造および販売には何ら影響を与えることはないとしている。



三 菱商事系の電炉メーカー、関西製鋼(本社=大阪府堺市、深見泰三社長)と臨港製鉄(本社=大阪府交野市、中野修行社長)は10日、合併に向けて業務提携を強化すると発表した。両社はすでに提携関係にあるが、より一層の合理化を進めコスト競争力を高めるため、双方の生産設備の有効利用や持ち株比率のアップなど提携強化に踏み切る。提携強化の過程で合併の合意が得られれば、即その体制固めに入る。目標としては来年中の合併に向け取り組みを進める。両社の提携強化により関西地区の平鋼業界は安定軸構築に向けて大きく前進することになる。

 両社は戦前から阪口興産を通じ緊密な関係にあるが、昨年12月、両社のメーン商社で大株主でもある三菱商事、それに平鋼トップメーカーの王子製鉄を加えた4社で業務提携している。その内容は共同配送、生産の受・委託、副資材の共同購入などだが、同じ関西地区に拠点をもつ両社の関係は関西から臨港へのビレットの一部供給にとどまっていた。しかし長期電炉不況の中、生き残りをかけてコスト競争力を強化し、体質の改善を図るには合併を前提とする一歩踏み込んだ提携が不可欠と判断した。

 提携強化の内容は生産集約、人事交流、技術交流、主原料の鉄スクラップの共同購入、物流の効率化、販売の強化、資本提携の強化など。



普 通鋼電炉工業会(会長=佐々木喜朗・合同製鉄相談役最高顧問)は10日、東京・大手町の経団連会館で正副会長会議、運営委員会、理事会の合同会議を開いた。会見した佐々木会長は関西電力に対して料金改定について再考を要望したことについて「電炉業は夜間電力に特化して構造改革に取り組んできた。電力の負荷平準化にも役立っていると評価されていた。改定は急な話だ。電炉はかなりのコストアップになり、大きなインパクトがある」と述べ、電炉業界全体として看過できない重大な問題という認識を強調した。

 関電の料金改定では従量制で契約している場合は値下げになるが、夜間電力に特化している場合は、基本料金分が新たに加わり、合鉄の場合で「年間億を超える単位のコストアップ」(佐々木会長)になるという。10月1日からの実施で希望すれば最大1年半適用を延長できる。普電工ではリサイクル産業としての役割や電力負荷平準化など、電炉業の情勢を理解したうえで再考するよう要望した。

 また、佐々木会長は今期の生産について「需要期で需要は伸びるが前期より減らして対応すべきだ。今の価格は満足できる水準ではない。今以上に価格を上げることは電炉存続のために絶対に必要だ」と述べ、前期以下に生産を抑制することで価格優先で取り組むべき局面にあるという考えを強調した。





神 戸製鋼は10日、自然環境保全と地球温暖化防止の観点からモンゴル政府が進めている植林回復事業への支援として、モンゴル政府に500万円の寄付を実施すると発表した。  同社は植林資金支援について、今年8月末にモンゴル政府との正式調印を行っており、00年度と01年度の2年間にわたって、年間500万円ずつ計1000万円をモンゴル政府に直接寄付することとしている。

 同社の寄付によるモンゴルでの植林面積は約500ヘクタールと想定され、モンゴルにおける自然環境保全に大いに貢献できるとみられる。

 96年から98年にモンゴル国内で発生した山火事によって、森林400万ヘクタール程度が焼失した。このためモンゴル政府は、各方面に対して回復措置を拡大するための資金的な支援を要請してきた。今回の契約は、モンゴル政府より支援要請のあった兵庫県からの呼びかけに同社がこたえたもの。

 同社は、モンゴルの森林回復の重要性と、植林による二酸化炭素の吸収、すなわち地球温暖化防止の2つの観点から、昨年夏に現地調査を実施した。その結果、山火事で焼失した森林のかなりの部分は自然に回復できる状態でなく、計画的な植林による継続的な回復作業が必要だと判断し、直接モンゴル政府に植林資金として2年間で計1000万円の寄付を行うことを検討してきた。このモンゴル植林回復事業支援は兵庫県の技術的指導を受けて実施している。

 同社は、98年よりスタートした「21世紀コベルコ環境創造プロジェクト」の活動の一環として、01年度以降、行政や環境NGOが行う植林などの自然環境保全活動を対象に年間2000―3000万円規模の支援を行うことを決めている。今回のモンゴル植林回復事業への支援は、活動を1年前倒しして実施するもの。



N KKは大阪府八尾市のホシデンの1号館立替工事で新しい建設工法「いちいち基礎工法」を現地施工で初めて採用したが、6日、現地で施工実施の見学会を開催した。同工法は建物の柱・鋼製地中梁と鋼管コンクリート杭を一体化させたもので、従来工法の柱と梁を連結する基礎フーチングが不要で、廃土が減少、工期の短縮と施工コストの低減ができる。今後、11月に静岡県内、来年2月に東京都内、同4月に神奈川県内で採用、施工する予定。また、将来は一般評定の取得を目指していく方針。

 従来の一般的な建物構造物は柱・基礎梁・杭がフーチングを介して接合されている。この場合、コンクリート杭から複数の鉄筋を伸ばし、RC製の基礎フーチングで固定したうえでRC製の梁をつくり、鉄骨柱を構築していた。

 しかし、この従来工法では地震時に、建物本体の揺れが杭頭部と建物基礎部分に集中し、損傷しやすいという問題があった。このため、施主や設計者などから建物の耐震性を高める施工法の開発が求められていた。これに対応し、NKKと大洋基礎、丸五基礎工業、東洋テクノ、ヨーコン、NKKトレーディングが実用化研究を行い、今年開発し、4月には日本建築センターの個別評価を取得した。

 同工法は内面に突起のある鋼管コンクリート杭の上部に、コンクリートのない空間部分を設けて、この部分に柱部材を差し込み、コンクリートを打設し、柱と杭を緊結する。また、地中梁にはH形鋼を用い、鉄骨柱と地中梁との接合を強固なものとした。地中梁の設置精度と柱位置決めは梁の裏側、杭頭部分に治具を設置、この治具のボルトを動かすことで調整する。

 これにより、地震の時の建物基礎部分の損傷が防止できるほか、工期は従来工法に比べて10―15%短縮できるうえ、掘削費を含めた全体費用も10%程度低減できる。さらに、建設排土を低減し、地球環境にやさしい。

 なお、初めて実地施工したホシデンの1号館立替工事の概要は工事場所が大阪府八尾市北久宝寺、発注者がホシデン、設計が昭和設計、ゼネコンが熊谷組・辻本工務店JV。敷地面積が1万1844平方メートル、延べ床面積が7615平方メートル、構造がS造。掘削深さが16メートル、基礎形式は現場打ちコンクリート杭。柱には450ミリ、500ミリ角のコラムを使用する。



小 財昭和スチール(本社=大阪市中央区、小齋康正社長)は、三重工場(三重県上野市)にワイヤメッシュ加工機などを導入する設備増強工事がこのほど完了し、今月から本格稼働を開始した。

 今回の増強により、従来のせん断補強金、蛇篭、ふとん篭、カゴマットなどに加え、フレームや菱形金網なども生産品種に加わり、生産能力は従来の2倍の月間1000トンとなった。今月は月産600トン程度でスタートする見通しだが、営業の強化により、来年3月には月産1000トン体制とする考えである。

 同社は、小財スチール、昭和産業、青森昭和産業、小野建が出資して96年に設立した金網及び鉄筋加工製品メーカー。生産拠点は今回増強した三重工場のみで、敷地面積は6500平方メートル、建屋面積が9200平方メートル(3階建て)。

 同社では、今後、アンカーも生産品目に加える予定である。



東 京地区の 異形棒鋼は2万6500円中心と強含み。メーカーが安値回避に転じたことで流通にも安値警戒感が出ており、安値が切り上がっている。新規の引き合いは低調でまだ様子見の域を脱していないが、他地区市況の上昇などを支援材料に目先は強含みで推移する見通し。

 大型物件の配送などでベースを中心にメーカーのロールは窮屈になっている。メーカーは新規の受注分を2万7000円下限とし、月末までに古い枠を取り消す方針を打ち出している。高値の成約は一部にとどまっているが、メーカーは値上げの正念場ととらえて強気の販売に徹する構えだ。

 中小ゼネコンの値上がりへの抵抗やメーカーの対応を見極める態度などから、まだ上値は重い。しかし、流通は2万5000円などの安値提示を手控えており、市況は2万6500円の高値寄りで推移し、安値が切り上がってきた。