2000.10.16
鈴 木金属工業(佐藤眞樹社長)は13日の取締役会で、日商岩井が全額出資する「西日本ステンレス鋼線」(本社=山口県田布施町麻郷)の株式85・5%を取得し子会社化することを決議し、株式の引き渡しを完了した―と発表した。これによって鈴木金属は、東の習志野工場に対する西の拠点を確保、設備の有効活用と交錯輸送の排除を進め、技術交流を活発化させてシナジー効果を上げる。鈴木金属の久保田丈夫専務が来週23日開催の株主総会で西日本の社長に就任する。取得価格は1億9000万円。

 日商岩井鉄鋼部門は、かねて連結対象子会社の育成・整理を進める一環として、鈴木金属に西日本への出資を要請、鈴木金属もステンレス鋼線業界が輸入材の増加もあって競争が激化、厳しい環境となっているのを背景に、基盤強化のため受け入れることになった。

 現在は競合相手である西日本を子会社とすることで鈴木金属グループのステンレス鋼線生産量は、プラス700トンの月2000トン、輸入材を合わせ1・2万トンとされる市場の17%を占めることになり、ステータスを一段と高める。

 鈴木金属は西日本の経営権を取得したが、社名、ブランドさらには組織(社員58人)などを現状のままとする。派遣するのも社長以外は非常勤の役員若干にとどめる。社長に就任する久保田氏は鈴木金属の非常勤取締を兼務。

 西日本は堅実経営で知られ、売上高規模は30億円前後、この10年間のうち7年は黒字決算、98年度では6900万円の経常赤字だったが、前99年度は5500万円の黒字と健闘、配当も実施している。

 西日本が連結対象となることで鈴木金属は連結業績見通しを、00年度で売上高285億円、経常利益9・4億円、01年度では309億円、13・4億円としている。



日 鉄商事コイルセンター(伊藤三智麿社長)は、昨年9月から建設を進めていた移転先の新コイルセンターが竣工、きょう16日に竣工披露を行う。新コイルセンターは東京湾岸・有明地区の日鉄流通センター内に位置しており、製鉄所からの一貫物流を含めた総合的な薄板加工の効率化を実現。設備も自動化クレーンやレベラーなど新鋭機を導入、従来以上に幅広い需要家層に対応した営業活動を展開していく。

 同社は日鉄商事が100%出資、関東地区薄板流通加工の中核機能を担う目的で98年8月に設立された。京葉コイルセンターの営業権と従業員を引き継ぐ形で業務を開始し、11月には福島鋼業と合併(資本金4億円)。千葉県市川市を拠点に薄板加工事業を行っていたが、当初から新立地への移転を検討していた。

 検討の結果、新日鉄の物流中核基地である日鉄流通センター(東京都江東区有明)内に移転が決定。99年9月に着工、今年3月に完成した。加工設備の移設や据え付けを進め、8月17日から業務を開始。本格稼働に入ったことから、関係者や取引先に披露する。

 新コイルセンターはT字型のレイアウトが特徴的。入出庫する車両の流れに対して直角に加工ラインを配置し、材料搬入から加工、製品出荷まで円滑で迅速な物流を具体化。母材コイルは隣接する日鉄流通センターの岸壁から1回のハンドリングで入荷できるうえ、全天候バースなど充実した物流設備の活用により、効率化と品質管理面の強化を図った。

 コイルヤードでは、入荷から各加工ラインへの供給までをコンピューターで一括管理。在庫スペースの拡充と大型天井自動クレーン2基の採用により、円滑なコイルの荷さばきを実現した。夜間は天井自動クレーンが無人運転でコイルを輸送するため、昼間の作業待ちが解消された。新日鉄・君津製鉄所、日鉄流通センターとそれぞれオンラインで接続し、母材コイル情報を即座に確認できる。



中 山製鋼所(神崎昌久社長)は在籍人員の圧縮による労務コストの低減、新熱延ミルの本格稼働、生産量回復による固定費の削減などから今年度下期で25億円の経常利益を確保、上期の赤字を補い通期で4、5億円の経常黒字化を狙う。

 同社の今年度上期は新熱延ミルの建設、稼働に伴うフープ、中板工場の休止など新旧ミルの切り替えによる生産減もあり当初、約10億円の経常赤字を見込んでいたが、5月から7月にかけての第1高炉の不調、これに伴う電炉生産への振り替えによるコスト高や、新熱延ミルの後工程である精整部門の操業技術習得の遅れによるコストアップなどマイナス要因が加わり、収益がさらに10億円程度悪化、20億―21億円の経常赤字となったもよう。

 しかし下期は在籍人員圧縮の前倒し超過達成による労務費の低減や、8月からの新熱延ミルの本格稼働、生産量回復による固定費の削減、上期に比べての電力費のダウン、さらに季節的要因により割安な鉄鉱石の輸入手当ても可能となるため、大幅な収益改善を実現し、25億円の経常黒字を見込む。このため通期では上期の赤字をカバーし、4、5億円の経常黒字化をにらんでいる。

 在籍人員の圧縮は、昨年度からスタートした新中期3カ年計画で2001年度末目標で310人の削減を打ち出したが、今年度上期末ですでに377人を削減、在籍人員を1208人(うち出向者80人)とし、1年半で超過達成した。グループ会社などへの出向者を対象とした早期転籍優遇制度の導入による出向者の転籍で100人を削減したほか、早期退職優遇制度、定満者の不補充などにより圧縮を図った。

 販売量は上期80万トンに対し、下期は90万トンの計画で、販売単価は横ばい想定。売上高は上期350億円に対し、下期400億円を見込む。購買努力も含めたコストダウンにより、実質8期ぶりの経常黒字化を目指す。



神 戸製鋼所は、天然砂の採取禁止など規制強化を背景に、砕砂(2005)と砂を同時生産できる高効率クラッシャー「アストロGSミル」の営業を強化する。砕石や砕砂の需要増に伴って、より粒形がよく実積率の高い砕砂の需要が高まっている。これを受け、2000年度中に年間10台の受注を目指す。

 GSミルは、砕砂(2005)と砂を同時生産できる高効率破砕機。油圧で押さえる3つのローラーミルからなる電機石臼というシンプルな構造で、業界トップの好粒形、JIS規格を大幅に上回る実積率の高品質砕砂を製造できる。

 従来、大きな石は、いったん40ミリメートル程度に中間処理しなければならなかったが、いきなり80ミリメートル程度の大型の石を前処理なしに投入できるようになっている。また、1台であらゆる製品の生産が可能で、プラント自体を合理化と事故防止の切り口から、コンベヤーの本数を減らし、従来の3分に2に省スペース化が図られるのが特徴。

 毎時50トン程度の小型機ニーズに対しては、「アストロスーパーミル」で対応でき、来春には、さらにハンドリングしやすい小型機種のラインアップも計画している。

 同システムは、ローラーミルをベースに高効率化を狙い、98年に市場投入。累計受注実績6台システムで、現在、1800サイズ中心に、小型機種引き合いが強まっているという。

 現在、骨材総生産量は、年間7億3500万トン。400億―500億円マーケットといわれている。ただ、天然砂の採取禁止など法規制の強化を背景に、砕砂の需要は増えつつあり、これに伴って、より高品質な砕砂需要が高まっている。同社では、こうしたニーズに対応して、今後、アストロGSミルとアストロスーパーミルの提案活動を強化していく方針。



通 産省が実施中の2000年度第3四半期(10―12月)の鉄鋼生産ヒアリングの感触によると、今期の粗鋼生産は同省の需要見通しの2650万トンから前期実績見込みの2691万トンの間となる見通しで、内需の増加などから2691万トンレベルに達する可能性もある。ただ、輸出環境がマイナス局面に転換したことなどから高炉、電炉各社では慎重な生産対応が必要とする声も強く、鋼材ベースでは減少するものとみられる。加えて実需見合いの生産対応によって、期中減産に踏み切る公算も大きい情勢だ。

 高炉では輸出が減少、電炉は前期の夏季減産後ということで、前期よりはプラスとなる。特殊鋼は自動車生産のプラスを映し、高水準で推移することとなりそう。

 第3四半期の鉄鋼需要については、輸出に関しては、いずれも減少を見込んでいるのに対し、内需は増加としている。公共土木がコンスタントなほか、首都圏の再開発プロジェクトなどから基調は強い。さらに大店立地法の改正などに絡んで商業、店舗での需要が進展、建築でもプラスが見込まれる。さらに自動車生産が好調推移と予想され、造船も一定レベルは確保されそう。民間設備投資もIT(情報技術)関連がけん引し、プラス傾向を維持する。

 こうした需要予測から、鉄鋼各社の生産計画でも、国内向けでプラスを計画しているという。これに対して輸出はアジア市場の状況が変化してきているため、総じて減少する。この結果、粗鋼ベースでは半製品積み増しの動きや設備改修を控えて、需要見通しで打ち出された2650万トンは上回る感触だ。



住 友金属工業は、国内向けシームレス鋼管営業で印刷用ロール、産業機械向けなどの需要が増加中で、今後、油井管など輸出向けの回復基調に伴う国内需給への影響などを見守りながら、材料管などの値戻しを検討していく。

 国内向けシームレス鋼管は97年10―12月期をピークに、需要の低迷とともに価格も軟化基調で推移してきたが、ここにきて印刷用ロール、産業機械用の需要が回復基調を強めている。

 印刷用ロール、シリンダーなどは高度の寸法精度が要求され、和歌山製鉄所の中径ミルが、高品位製品の生産に威力を発揮している。

 建設機械向けは、国内需要の盛り上がり難とメーカーの生産拠点の海外シフトなどによる影響など不安材料を抱えているものの、全体としては需要、価格とも底打ち感を強めている。

 シームレス鋼管の相当部分を占める輸出は今年初めから数量・価格とも本格的な回復に転じており、比較的高水準の生産が続く見通しが強い。

 これが先行き国内生産と需給に影響を与えることが予想される。

 全国の国内向けシームレス鋼管の需要は約50万トンで、住金は40%を占める最大手。97年9月に値上げを実施したものの、その後の長期低迷で採算は厳しい状況に陥っている。需要の回復と輸出市況の上昇の中で、国内向け価格の改善が課題。



関 西地区コイルセンターの五大産業(本社=大阪市中央区、今西正典社長)はきょう16日から、自社のホームページ上にフープ材の売買サイト「帯鋼楽市」を開設、運用を開始する、と13日発表した。コイルセンター各社から出てくる発生品のフープ材を対象に、この在庫を処分するために開設したもの。売買者は登録なしに閲覧可能で、誰でもが売買が可能。第1段階が軌道に乗れば、将来的にはコイルの発生品も対象商品とすることも検討している。対象がフープ材の発生品ながら、鉄鋼流通業界の生産性と歩留まりに貢献するサイトとして、業界でも注目されている。

 同社は三重工場(三重県上野市)に薄板加工設備として大型スリッター1基、小型スリッター1台を持ち、パイプ、電機、建材向けなどに酸洗鋼板、冷延薄板、表面処理鋼板を一・二次加工している。現在、加工量は一・二次加工トータルで月間3000トン前後。

 これまで、同社も自社の発生品のフープ材については3分の1から3分の2が営業ベースで取り扱えるが、残りは輸出や、場合によってはスクラップダウンしなければらなかった。輸出については一定量の数量確保が必要なうえ、営業できる製品も1級、2級品に比べると、回転が悪いなどの問題があった。

 こうした問題はコイルセンター各社の共通で、企業によってはこの在庫が過剰となり、経営面で圧迫材料となっていた。このため、同社では自社のホームページ内に、発生品のフープ材を主体にしたサイト「帯鋼楽市」を開設したもの。

 帯鋼楽市の特徴は(1)格安処分品の掲載サイト(2)フープ材の売買に限定(3)登録なしに閲覧可能で、すべての掲載材料の販売価格も公開(4)誰でも売買可能(5)サイトを介しての売買とする(6)信用上、一度に行える売買金額・数量を限定している。売買数量は最大で20トン、金額では最大で150万円に限定―など。




東京地区のH形鋼市況いぜん強含み
H 形鋼は200×100で3万6000―3万7000円と強含み。

 メーカーの追加値上げを前に流通は3万7000円下限などを掲げて値上げ攻勢を強めている。在庫の減少で品薄感が強まっており、堅調な需要に支えられて市況の上昇基調が続きそうだ。

 各社の在庫は建築向けの細幅サイズで歯抜け状態が顕著になっており、引き合いに対して成約率が低下しているという。物件ごとの必要量をそろえるには2―3社の在庫で融通して対応するケースが常態化しており、仲介口銭を含めて単価は上昇傾向にある。

 既に9月契約分が入荷し始めており、仕入高が十分転嫁できていない状態で流通の収益は悪化しているという。メーカーが11月に2000円値上げを予定しており、流通は月内3万8000円、来月には4万円を目標に設定して値上げを進める方針だ。