2000.12.18
三 菱商事は15日、建設鋼材の事業分野での連結ベースでの収益を強化するため、関連会社のダイヤスティール(浜口洋志社長)、上野鉄鋼(松岡直人社長)、エムシー・メタルテック(永吉剛社長)の事業を統合し、三菱商事から小棒の受け渡しや、一部土木製品の業務を移管・委託して、来年4月2日付で統合会社を設立すると発表した。同業他社がすでに有している内販会社とは違い、三菱商事との連携を強化し、工事、在庫、販売、加工、物流、ITなどの機能を持つ新会社として収益力を拡充。03年にはROA(総資産事業利益率)2%を目指す。

 統合会社はIT武装化を進め、物流・加工機能の強化を図り、三菱商事との連結ベースでの建設鋼材分野における基盤を確立するための前線基地として機能を発揮する。今後は情報インフラ整備のための投資を考え、必要があればハード面の投資も検討する。

 ダイヤは北関東、東北に、上野は浦安、高崎、東北に拠点を持つ。このうち、東北は加工が上野、在庫はダイヤと上野で補完して有効活用する一元管理に着手しており、今後もこうした重複拠点は見直していく。東北地区では柴田鉄店を含むアライアンス(提携)も課題となってきそうだ。

 また、統合会社は関東・東北地区だけではなく、中部や関西地区への展開を図り、三菱商事の取引業務のアウトソーシング先として機能することも検討。中国地区にある三菱商事中国鉄鋼センター(MTC)との連携を深め、三菱商事・統合会社・MTCを軸として連結収益の拡大を図る。有力販売業者ともアライアンスを組むことにより、建設鋼材取引分野での全国展開を推進していく。

 三菱商事の持つ総合的な機能に、ダイヤと上野の在庫・加工・物流機能、さらにはエムシー・メタルテックの工事機能などを加えることで、現場に密着した体制を強化。さらには、三菱商事の実務を既存の取引先にアウトソーシングすることで、互恵関係を深めると同時に、建設鋼材の需要をすべてカバーできる体制を構築する。 統合会社の社長は浜口洋志氏(ダイヤスティール社長)。本社所在地は従来通り東京都千代田区岩本町3―2―4。3社統合の資本金は5億6600万円だが、新会社発足時には10億円超とし、三菱商事が100%出資する。上野鉄鋼は累積損失を持つが、統合までに三菱商事と商工中金で整理して、新会社には引き継がない。

住 友金属工業は、住友商事を窓口にサウジアラビアのNPC(ナショナル・パイプ・カンパニー)向けに、スパイラル鋼管用ホットコイル18万トンを受注した。納期は来年1―9月となっており、熱延鋼板の国際市況が急落し量的にも大幅に減退する中で、住金は貴重な熱延工場のベースカーゴを獲得、しかも追加発注が期待され、この商権が動き出した意味は大きい。

 住金が先週末明らかにしたところでは、ホットコイルは口径24、42、48、56インチのガス輸送用パイプに使われ、API規格はX65の耐サワー用高強度・高靭(じん)性高級鋼板で、肉厚は15―18ミリ。

 成約価格はエキストラ込みFOB400ドル、ベース換算では200ドルを十分に超える。現在の国際相場は200ドル割れが珍しくないため、かなり割高。

 住金はNPCから正式発注されたことにより実質全量を納入、和歌山製鉄所でロールし船積みする。ただ、高級品のため製造面で数量的な制約があり、住商経由で一部が川崎製鉄に発注された。

 サウジの最大手石油会社「ARAMCO=アラムコ」は、全長771キロメートルのガスパイプライン事業「ハラドゥ・プロジェクト」を推進するにあたり、637キロメートル分に使うスパイラル鋼管23万トンを12月に入って発注、NPCはうち18万トンを受注に成功、また、ストレートシームの5万トンは、ユーロ安に支えられたイタリアのイルバ社に発注されたと伝えられる。

通 産省は15日、全国鉄鋼販売業連合会、全国コイルセンター工業組合、全国厚板シヤリング工業組合の流通3団体から、2000年度第4四半期(01年1―3月)鉄鋼需給、在庫見通しなどを聞き取り調査した。1―3月の需要は3団体とも前年同期比プラスとの予測で一致するものの、薄板類を中心に輸出減少への懸念、国内供給に対する不透明感が高まっている。在庫や価格動向についても、供給側を中心とした対策が必要になるとの認識だ。

 3団体トップのコメントは次の通り。

 ▽全国鉄鋼販売業連合会・大川宏之会長(芝浦シヤリング会長)=全般的に不需要期を控えてピークアウトしているが、目先大きな落ち込みは考えられない。条鋼は強含みで推移する。鋼板は荷余り感はないが、メーカーの競争が激化したことなどから先安観がある。1―3月の需要は前年比増は間違いない。ただ、季節的に需要が減り、輸出減の影響がある。在庫はある程度減らさないとマーケットがさらに悪くなる。需要面の押し上げは期待できないので、供給の施策によるところが大きい。

 ▽全国厚板シヤリング工業組合・山田晋司理事長(東京シヤリング社長)=切断量は第3四半期実績で前年同期比3%増を予想。鉄骨関連は九州のIT需要に次いで関東地区の大型物件が出ているが、それらを除けば低調。第4四半期も需要は今期比横ばいではないか。橋梁は年度トータルでは前年より減るが、上期下期では下期が増加。産機は環境関連で好調、建機は公共投資の抑制で低迷するとみている。在庫は9月末水準比横ばいだろう。市況は一服状態。

 ▽全国コイルセンター工業組合・鈴木貴士理事長(五十鈴社長)=自動車、IT(情報技術)関連、家電など需要は総じて底堅い。ただ、ユーザーによる厳しいコストダウン要請の一方、メーカーや流通の拡販意欲が強まり価格競争が激化、粗利を圧迫していて好況感はない。来期需要も引き続き堅調と思われるが、先行きの不透明感は払しょくされておらず、現況を改善するためメーカー、流通が一体となって強力な市況対策を打ち出す必要がある。

松 尾橋梁の中国拠点である上海松尾鋼結構有限公司(中国上海市奉賢県西渡鎮西)は来年1月から中国国内で、コンクリート製の木片である「擬木」の生産販売に乗り出す。中国都心部の町づくりでは現在、高層化が進む一方、緑地化を進めるための公園建設が高まっており、同社ではこれに対応していきたい考え。

 同社は松尾橋梁の中国における鉄骨生産拠点として、1996年に設立。今年から中国の公園建設の流れに対応して、擬木の生産を検討。9月には擬木事業部を立ち上げ、日本国内のコンクリート二次製品業者の業務支援を得るなどして、このほど試作品が完成。試作品は品質や概観などに問題がなかったため、営業販売に乗り出すことを決めたもの。現在では上海松尾から約10人ほどの人員を研修生として日本に送り込んでの技術習得も完了しており、残る準備を経て来年1月から生産体制を整え、本格販売に移る考え。

仮 設工業会はこのほど、会員会社を対象に、今暦年1―9月の仮設機材全国総生産数(国内外合計)をまとめた。それによると、「挟締金具」や「安全ネット」、「単管ジョイント」の3品種が前年対比2倍以上の伸びを示したほか、「C型緊結部付支柱」や「C型緊結部付ブラケット」など低層住宅向け機材の生産も順調に推移しており、32品種のうち16品種で前年対比プラスを示している。

 本年度は建築、土木ともに需要回復の兆しが見られ、リース稼働率もアップ。ここにきて、これが市中の在庫不足が深刻化する70%を超える勢いに。昨年度までの需要減退を受けて、リース・レンタル各社は仮設機材の新規購入を控えてきたが、本年度は品薄感の著しい機材を補充するところも多く、全体の生産量を押し上げている。

神 鋼興産(本社=神戸市中央区、岡田恒彦社長。東京支社=港区海岸、電話03―3437―3203)が、神奈川県藤沢市で建築中の分譲マンション、「ジークレフ藤沢」が14日竣工した。これに続き、千葉県船橋市で「ジークレフ習志野台」に着工、01年12月竣工の予定。

 同社は、首都圏営業を強化しており、これまでに千葉県八千代市、東京・府中市などで分譲事業、東京都・高輪台で高級賃貸マンション、さらに横浜市青葉区で複合施設を完成させてきている。

 「ジークレフ藤沢」(所在地=藤沢市藤が岡2―15―7)は、東海道線藤沢駅から徒歩15分の丘陵地帯にあり、藤沢市街を見下ろし、江ノ島を遠望できる好ロケーションを誇る。本年8月までに79戸全戸完売した。

 設計・施工・監理は大林組(監修=潟Aークピア)、三菱地所住宅販売鰍ェ販売代理業務を行った。鉄筋コンクリート造、地上8階地下1階建て。2LDK+S―4LDK+FC(ファミリークローゼット)、全戸対応駐車場付き。今月下旬から入居開始の予定。

 一方、このほど着工した「ジークレフ習志野台」(所在地=千葉県船橋市習志野台3―6―3)は、総戸数69戸。東葉高速鉄道および新京成線の「北習志野駅」下車徒歩13分、東葉高速鉄道・東西線経由、大手町駅まで直通で33分。

 2LDK+S(約70平方メートル)―5LDK(約123平方メートル)。鉄筋コンクリート造、地上7階地下1階建て。予定最多価格帯は2400万円台(2LDK+S―3LDK)と、手ごろな価格設定。駐車場は65台分確保されている。



大 阪の異形棒鋼は実商いの落ち込みから軟調推移。相場はベース2万7000円どころ中心。マンション建設や大店法改正前の商業店舗の駆け込み着工などが一段落し、11月中旬以降、新規引き合いはさらに鈍化、需給は緩和傾向にある。

 こうしたなか、メーカー各社は20%方の緊急減産を実施、市況を下支える動きに出ている。流通筋では引き合いが閑散としているなか、売り焦りから2万7000円を切る安値で折り合いをつける向きもみられるが、メーカーサイドは現行販価の2万8000円を死守する方針で臨んでおり、各社の足並みが乱れなければ、いずれ安値は解消されてくるとの見方が強い。メーカーの緊急減産策が功を奏するかどうか注目される。