2000.12.20
伊 藤忠商事、丸紅、日商岩井の3社は19日、石炭の会員制B2B電子商取引サイトの共同事業化を推進することに合意したと発表した。来年1月末をメドに3社均等出資によるコーリンク社を設立、2月上旬には営業を開始、3月に機能を追加し4月から本格稼働する予定。サイト設計、開発にはNTTコミュニケーションズを起用した。

 新会社の設立当初の資本金は1億―2億円、都内に本社を置く。対象とする石炭は電力会社、一般産業、製鉄会社向けの一般炭と原料炭の一部。市場規模は600億―1200億円を見込んでいる。

中 国政府が18日下した、日本および韓国からのステンレス冷延薄板輸入に対するアンチ・ダンピング提訴での「クロ」とする最終決定で、日本のダンピングマージンは17―58%となった。被提訴企業は日本が新日本製鉄など9社、韓国が浦項綜合製鉄(POSCO)など6社で、このうち川崎製鉄は、これまでに中国政府とサスペンション・アグリーメント(価格約束)を締結しており、マージンは賦課されない。今回の最終決定に対し、通産省は「遺憾」(平沼赳夫通産大臣)とし、来週26日をメドに担当官を派遣、中国・国家経済貿易委員会(経貿委)との間で来年開催する予定の日中官民鉄鋼対話についての調整と並行して、AD決定の状況把握に当たる方針だ。

 今回のAD提訴は中国の太原鋼鉄公司、上海浦東鋼鉄、陜西精密金属の3社が行った。被提訴企業は日本9社、韓国6社で、各社のダンピングマージン率は新日鉄(24%)、住友金属工業(26%)、日新製鋼(17%)、日本冶金工業(27%)、日本金属(58%)、日本金属工業(26%)、高砂鉄工(58%)、ナスステンレス(58%)、その他(58%)。韓国企業はいずれもサスペンション・アグリーメントを締結した。

 また、カミソリ、電子レンジ、ブラウン管、自動車などの排ガスマフラー用の使用分は対象から除外される。

日 鉄鋼管(坂井勝義社長)は、収益基盤を急速に回復・改善させている。

 (1)製造・販売などコスト改善(2)有利子負債の削減―など、連結経営の移行に対応した一連の収益力強化の取り組みが、現行中期経営計画(99―02年度)を上回るペースで進展中。企業の再構築・収益構造の改善を背景に、01年度中にも累積債務の解消と早期の復配にメドをつけ、再編が一巡した溶接鋼管業界の競争に耐え得る企業体質を構築する。

 日鉄鋼管は名古屋、川崎、水江の3生産拠点でSTKM、ガス管、一般構造用鋼管、電線管などを生産する大手溶接管メーカー。連結ベースROA(総資産事業利益率)5%以上を目標に中期計画を実施中。

 同社は93―94年の新日本製鉄系の多摩鋼管工業の合併、新日鉄名古屋製鉄所小径管工場の譲受などで企業規模を拡大してきたが、その後、95―96年度に2期連続の赤字に陥るなど経営が悪化、抜本的な立て直しに迫られた。

 この一環として、製造・販売両面のコスト削減などによる鋼管事業の競争力の強化とともに、98年7月には旧本社川崎工場跡地を活用した不動産賃貸事業をスタートさせた。

 00年度からの連結経営への移行に対応して、連結キャッシュフロー重視の経営に着手。資産圧縮による有利子負債の削減など、財務構造の改善を含めた企業体質の強化策の実施に入った。

 また、コストカンパニーとしての日管製造と日管ビジネス、販売会社の日鉄鋼管通商と東名パイプの4社を連結子会社とする新体制を整え、グループ戦略を強化。

 鋼管事業では、日管製造(定年者の雇用継続を実施)に造管付帯業務などライン業務を移管し合理化を推進。この結果、00年度末で中計の最終目標の70%以上を達成する見通しを固めるなど、大幅な改善が進展中。



近 江産業(小八木規之社長)は、関係会社である大正伸鉄(本社=大阪市中央区)九州工場(北九州市若松区)の敷地の一部が第4地方建設局の道路整備により収用され、これに伴い、同工場の再整備を行うと18日発表した。今回の収用により、敷地内の事務所、ジブクレーン、門型クレーンのある場所が道路となることから、工場の増築と設備レイアウトの改造、および事務所も工場内に建築する。着工は来年1月末、完成は同4月末となる予定。また、大正伸鉄は事業内容と企業名がハク離していることから、近く、名称変更を検討している。

 大正伸鉄は、九州工場で鋼板用のショットブラスト1基、形鋼用のショットブラスト1基を持ち、造船と鋼構造物向けにショット加工をしている。ショットの加工能力は一直で月間4000トン(鋼板用が月間3500トン、形鋼用が同500トン)、現在、加工量は月間2000トン弱。

 かねてから、第4地方建設局は新若戸道路の整備事業を進めているが、その道路計画では大正伸鉄の一部の敷地が建設予定となっていた。このため、近江産業では大正伸鉄の事業を継続するか、撤退するか検討していた。ただ、同工場が北九州市企業局の誘致で建設し、同局から事業の継続を要請されていること。さらに、ショット加工は近江産業の本体でも鶴浜鉄鋼センター(大阪市大正区)で手掛けており、グループ全体で中長期的な事業を再検討した結果、工場の継続がベターと判断したもの。



川 崎製鉄は19日、「金属組織のコンピュータ・カラーマッピング技術」について、総合分析メーカーである英国のオックスフォード・インストゥルメンツ社(Oxford社、アンドリュ・マッキントッシュ社長)に、特許ライセンス供与を行ったと発表した。

 この技術に関するライセンス供与は昨年、米国のテクセムラボラトリーズ社(TSL社)に続いて2社目。Oxford社、およびTSL社は、この技術をシステムとして組み入れた分析装置を製造・販売している世界大手の分析装置メーカー。

 この技術は、川鉄が1986年から技術研究所で実用化している世界初の金属内部構造の分析技術で、@X線あるいは電子線を用いて、金属材料を構成する微細粒の結晶方位情報を分析A得られた結晶方位情報をコンピューター処理変換し、カラーマッピングにより金属内部の微細構造を画像処理して視覚化―の特長を有している。特に微細構造の視覚化に関しては、従来手作業で数カ月かけて色づけを行うという大きな作業負荷がかかっており、その改善が求められていた。川鉄はその作業の大幅な効率化を企図し、82年から開発に着手し、約4年かけて開発し、コンピューター画像処理による瞬時の色づけを可能とした。

 また、この技術については、(社)発明協会から98年10月に「発明奨励賞」を受賞したことに加え、日本金属学会から87年4月に「金属組織写真賞」をはじめとする5回の受賞、さらには、国際金属組織学会から89年10月に「国際金属組織写真賞」をはじめとする5回の受賞を受けているなど、国内および海外の著名な学協会において高い技術的評価を得ており、金属材料のみならず、電子材料、セラミック、鉱物等の分野でも既にこの技術を使った分析機器が利用されている。今後は生物・医療分野での応用も期待されている。

愛 知製鋼は、鍛造部門の競争力強化の一環として鍛造工場にホットホーマーを増設すると共に、フローフォーミング機を新設した。昨年のローリングミル4号ラインに続く鍛造関連設備の増強で、低コスト、ならびに高精度・ネットシェイプ化を推進する。

 鍛造部門の強化は、主力需要家の自動車メーカーが世界最適調達を進めるなど特殊鋼を取り巻く環境が激変していることから、材料開発を含め特殊鋼鋼材生産から鍛造品までを一貫生産する同社の特色をさらに引き出し、体質強化を図ることが狙い。鍛造工場の生産量は年間約20万トン。

 今回増設したホットホーマー(NA5―4)は、ギヤ部品のコスト競争力向上を目的とする。92年に導入した1号機に続く設備で、トヨタ自動車から譲り受けた。製品外径は22―92ミリ。既設のAMP70(製品外径80―145ミリ)より小型部品が対象となる。この結果、既設のAMP70、冷間ローリングミルを含めると、製品外径が22―180ミリまで製造可能になり、部品レパートリーが広がった。ラインは材料供給機↓高周波加熱炉↓NA5―4↓熱処理炉(鍛造恒温焼きならし炉)↓後工程設備。特徴としては@母材切断から出荷までが同一工場内の一貫ラインで、製造リードタイムが短い(最短3時間以内)A高生産性(サイクルタイムが0・75秒で手動プレスの7―8倍の生産性)B複合加工による大幅なコストダウンが可能(冷間ローリングミルとの組み合わせ)など。月産能力は100万個。投資額は約3億円。



東 京地区の 異形棒鋼はベース2万7000―2万8000円と強含み。ベース、細物ともメーカーが強気姿勢を継続しているのを受けて、市況はジリ高ムード。年末年始を控えて新規の引き合いは停滞しているが、窮屈な需給状態とメーカーの値上げ姿勢を受けて、当面は強基調で推移しそうだ。

 メーカーのロール予定が窮屈なため、即納が困難な状態。メーカーはベース2万8000円で強気の販売姿勢。流通は仕入に応じた価格提示で、期近の即納明細では2万8000円が通っており、先高観が支配的な市況展開。

 当面は大型物件の配送がピークを迎えるなど、出荷予定が立て込んでいるため、メーカーは強気の販売姿勢を維持する見込み。ゼネコンは当面の必要量をほぼ手配済みで、ここにきて新規の引き合いは細っているが、ジリ高ムードのまま越年する情勢だ。