2001.01.09
日 本鉄鋼連盟の千速晃会長(新日本製鉄社長)は5日、東京・紀尾井町のホテル・ニューオータニで開かれた新年賀詞交換会の冒頭にあいさつに立ち、「急速に発展する21世紀の技術革新のなかで、トップをいく強い意思を持って鉄鋼業界を運営してもらいたい。自ら21世紀を開くには、技術開発の先頭を走ることが大切」と述べ、『21世紀は技術がすべてを決する』という考えを示した。

 具体的には、高機能・効率化製品や、環境問題に適した技術などに力を入れて、技術開発に取り組む。政府も官民一体となって技術開発に取り組む体制を具体化していることから、「自らの手で鉄鋼需要を創造するためにも、こうした動きを加速させる」とし、「技術力で世界をリードして、国際競争力を強めていく」という意向を述べた。

 昨年は国内経済が上昇して、鉄鋼の国内需要は好調に推移。年度前半までは輸出も好調に推移、今年度の粗鋼生産は1億400万―1億500万トンに達する勢い。しかし、秋口からアジアを中心に一転して厳しくなり、アジア市場で価格が下落した。

 こうしたなかで「今年はアジア市場の正常化を取り戻すことが第1の課題」と位置づけたうえで、「アジアの混乱と市況下落が世界にまん延すれば、日本は世界の非難を浴び世界の孤児となり、事業基盤が崩れる」と指摘。「各社が姿勢を正して、国際市況の健全化に強い意思で取り組んでもらいたい」と促した。

 千速会長は昨年、鉄鋼業界の構造改革が進展したことを評価。普通鋼電炉業では関西地区のアライアンスが完成、関東地区でも意見交換に着手した。高炉間では品種別提携、業務の効率化が進んでいる。日本鉄鋼連盟と鋼材倶楽部の来年4月の統合も決まった。「こうした構造改革を進めることで、日本の鉄鋼業を新しい世紀に向けて構築する」という構えだ。

特 殊鋼倶楽部は5日、東京千代田区紀尾井町の赤坂プリンスホテルで新春恒例の新年賀詞交歓会を開催した。当日は高山剛会長(大同特殊鋼社長)、守山淳副会長(三井物産取締役)、経済産業省の岡本巖製造産業局長など関係者約700人が参集し、新年を祝った。

 高山会長は「20世紀は科学技術を追求した世紀。21世紀は技術革新の世紀だと思う。今年は国内では民間設備投資や情報関連での好調が見込まれるものの、アメリカ、EUの景気減速、アジアの景気後退などもはっきりしてきた。個人的には特殊鋼生産はうまくいって昨年並みだと思う。21世紀はキーワードとして経済のグルーバル化、IT革命が挙げられる。ITによる高度化が進めば特殊鋼の新たな需要創出の機会を生む。ニーズに迅速、かつ的確に対応することが重要だ。新世紀に明るい展望を抱き、製販一体で果敢に取り組み、未来を切り開いていきたい」と新世紀に向けた抱負を語った。

米 国際貿易委員会(ITC)は昨年末、中国、台湾、インドネシアなど11カ国から輸入されている普通鋼熱延鋼板のダンピング販売に関する調査を継続することを決めた。投票結果は6対0だった。これを受けて米商務省(DOC)は同調査を継続、2001年2月6日までに相殺関税を、4月23日までに反ダンピング・マージンを仮決定する。このケースは高炉大手各社、ニューコア、スチール・ダイナミクスなどミニミルが提訴したもの。AD提訴対象国はアルゼンチン、インド、インドネシア、南アフリカ、タイ、中国、カザフスタン、オランダ、ルーマニア、台湾、ウクライナ。

米 国第3位の高炉一貫ミル・グループのLTV・コープは昨年末、チャプター11(連邦破産法に基づく再建手続き)を申請したが、W・ブリッカー会長兼CEOは、「鉄鋼製品の違法輸入により市況は20年来の最低水準に落ち込み、われわれはビジネスの40%を失った」とコメント。また追加資金を獲得できない場合は、すべての操業を停止せざるを得ない可能性があると述べていた。

 現地報道などによると同社は2億2500万ドルの融資についてチェイス・マンハッタンと交渉中で、1億5000万ドルの融資について合意に達したとされている。

 同社は86年にチャプター11を申請し、93年に管理下から脱出。一貫鉄鋼事業からの川下展開を図るため、建材事業に進出し、99年は米カパーウエルドを6億5000万ドル、ウエルデッド・チューブを1億1400万ドルで買収している。その一方で、今年に入ってからの余剰資産売却が目立ち、高炉一貫事業の柱のひとつだったティン・ミル事業の売却に至り、運転資金が不足しつつあると指摘されていた。

東 京地区の一般形鋼扱い流通は今週から、山形鋼で3万6000円と、唱えを1000円上げる。先高観などから12月も荷動きが衰えず、年末までに山形で3万5000円という当初の想定を「ほぼ達成した」(特約店)と判断。減産効果などで需給の窮屈感が解消しておらず、メーカーが2月の再値上げを示唆している状況下で、遅れていた転嫁値上げを急ぐ。

 12月の荷動きはほぼ11月並みの好調さを持続した。メーカーが在庫を持たずに、受注生産の操業形態で、小口の対応を敬遠しているため、引き合いが流通在庫に移行した面もある。

 流通在庫は、メーカーの入荷遅れで溝形鋼が慢性的に少ないうえ、山形でも7―9bの中間長さなどが相変わらず品薄気味だ。NKK条鋼が11月から引受量を10月比10―20%削減しており、東京鋼鉄が1―3月に10―12月比5―10%の減産を表明するなど、今後も市中の在庫補充は限定的にとどまる。

 各社でばらつきがあるが、市況は山形で3万5000円の高値が50―90%と、半分以上移行している。溝形は3万8000―3万9000円。メーカーの相次ぐ値上げで市況への転嫁が後手に回っており、12月の1000円値上げは市況に反映していない。メーカーは1月の値上げは見送ったが、2月にも再値上げしたい意向のため、流通は早期に市況への転嫁を終えたい考えだ。

古 賀オール(本社=東京都中央区、古畑勝茂社長)は昨年12月の総合会議で、平成12年度小集団活動の表彰を行った。各事業所の生産グループ25チームのうち、総合得点の上位5チームを表彰した。小集団活動はSCASH21の重点テーマに位置づけており、今後は営業部門や管理部門にも対象を拡大する方針。

 同社は以前から行っていた小集団活動をSCASH21の中の重点テーマに位置付けて、99年1月から東京工場の生産部門11チームで発足させた。工場組織の活性化や作業効率化、製造技術・品質向上、安全面の確立などをテーマに発表。各事業所間の意見交流を図り、全社工場のレベルアップを目指す取り組み。2000年度からは全社の生産部門に広げてSCRAMチーム生産部門が主宰、25チームが活動している。

 四半期に1回の予選会で上位6チームを評価会の対象に選出、それぞれの評価会で審査を行い、得点を1年間蓄積したうえで総合得点の上位5チームを表彰した。併せて販売部門のテーマ別活動で優れた成績のグループ、個人の表彰も行った。現在は生産部門だけを対象としているが、今後は営業部門や管理部門にも拡大する方針。

H 形鋼は200×100で3万7000―3万8000円と横ばい。荷動きが鈍化したことで、市況の上昇は一服している。

 ただ、メーカーが減産を強化し、流通は転嫁値上げに再度取り組む意向を示しているため、年明けの商いが本格化するに従って上昇圧力が加わる可能性もある。

 12月の出庫量は11月より10%程度減少。流通各社の在庫は歯抜け状態だが、在庫の減少が止まり、荷動きが鈍化したことで、一時のひっ迫感は薄れている。メーカーは1―3月で10%の減産を表明しており、今後も低水準在庫を維持するとみられる。

 メーカーが11月に2000円値上げした分が入荷して在庫単価が上昇しているため、流通は持ち込み運賃を含めて、市況を4万円に押し上げたい考え。当面は同値圏で、年明けの荷動きを含めた需給環境を見極める展開になりそうだ。