2001.01.18
日 本鉄鋼連盟がまとめた生産速報によると、2000暦年粗鋼生産は1億644万トン(前年比13・0%増)と3年ぶりに1億トン台を回復した。炉別生産では、転炉鋼が7578万4000トン(同15・8%増)、電炉鋼は3065万7000トン(同6・7%増)となり、電炉鋼比率は28・8%と4年連続の低下となった。

 高炉銑は8108万4000トンと前年の7451万8000トンを656万6000トン、8・8%上回り、10年ぶりに8000万トン台乗せとなった。

 粗鋼生産は1億644万2000トンと、前年の9419万2000トンに比べ1224万9000トン、13・0%増加した。

 鋼種別の生産では、普通鋼が8756万5000トンと前年比13・6%増し、特殊鋼は1887万7000トンと同10・2%増となった。

 熱間圧延鋼材(普通鋼、特殊鋼の合計)は、9861万6000トンと前年に比べ1135万3000トン、13・0%上回り、3年ぶりに9000万トン台を回復した。

 普通鋼熱間圧延鋼材(一般)は8289万1000トンと前年を985万2000トン、13・5%上回り、3年ぶりに8000万トン台を回復した。

 品種別にみると、条鋼類が2752万1000トン(同4・0%増)、鋼板類は5440万トン(同19・2%増)となった。

 特殊鋼熱間圧延鋼材は1572万6000トンと前年比150万2000トン、10・6%の増加となり3年ぶりに前年を上回った。

N KKは17日、耐サワーラインパイプ用厚鋼板(X65、板厚30―35ミリ)の強度バラツキを、標準偏差(シグマ)でこれまでの12メガパスカルから9メガパスカルまで極少化することに成功したと発表した。福山製鉄所で、製鋼ゼロスラグプロセスによる炭素・マンガン量の狭レンジ制御と、厚板「スーパーOLAC」の高精度冷却停止温度制御を活用した。同社では、強度バラツキ極少化技術をすでに数万トンの物件に適用している。この技術を造船などの厚板や条鋼、薄板にも展開していく。

 耐サワーラインパイプには、ガス輸送操業時の内圧に対する強度を確保すると同時に、水素誘起割れや硫化物応力腐食割れ回避のため硬さが高すぎないことが要求される。強度下限と硬さ上限によっては実質の厚板強度レンジを50メガパスカル程度に制御する必要があり、標準偏差に換算すると10メガパスカル以下に抑えこむ必要が生じる。とくに最近はラインパイププロジェクトが活発化し、強度の狭レンジ制御といった品質に対する要求が厳しくなっている。

 同社では、まず製鋼段階での成分狭レンジ制御を目指し、溶銑段階での低シリコン化と低リン化により転炉での脱炭精錬時のスラグの発生を限りなくゼロにするゼロスラグプロセスに着目した。スラグ量の低減により、転炉での脱炭が有効にすすみ、炭素量を狭レンジで低位に安定させることができる。スラグの影響がないため、2次精錬での成分調整精度が向上する。

 厚板段階では圧延直後に水冷し、焼き入れ効果により高強度化が達成できるオンライン加速冷却装置「スーパーOLAC」の機能を活用。この装置は理論限界相当の世界最高冷却速度と鋼板全面の均一冷却を特長としており、これによる成分設計の自由度拡大により、安定した強度の得られる低炭素成分系の採用が可能となった。
財 務省通関統計による2000年11月のステンレス鋼板類輸入実績は、高水準で推移する冷延材に熱延の大幅増が加わったことで、単月の輸入量としては過去最高、前月比26%増の9396d(前年同月比62・5%増、99暦年の月間平均輸入量=5423トン)になった。これについて業界では、「月ごとの振れ幅が大きい韓国からの熱延コイルが、たまたま増加したもの」(調査関係者)との見方がある一方、「市況への影響を考えると無視できない水準」(商社筋)との声も上がっており、弱含み気配が出始めている市況と相まって、今後、論議を呼びそうだ。

 輸入量9396トンの内訳は熱延が同110・1%増の3363d(同183・1%増、同1507トン)、冷延が同3%増の6033d(同31・3%増、同3915トン)。熱延および冷延それぞれの主力製品(当月の各分類中、最大輸入量の製品)をみると、熱延が幅600ミリ以上のコイルで同212・6%増の2085d(同112・5%増)、冷延が幅600_以上・板厚3_未満の製品で同4・6%減の5169d(同30・2%増)。00年1月から同年11月までの輸入量累計は、99年同期比31・6%増の8万299d。

 また、輸入先国別で構成比トップの韓国からの輸入量は、前月比30・2%増の8024d(前年同月比69・5%増)。内訳は熱延が同131・5%増の2914トン(同190・2%増)、冷延が同4・2%増の5110トン(同37%増)。熱延および冷延それぞれの主力製品(当月の各分類中、最大輸入量の製品)は、熱延が幅600_以上のコイルで同265・8%増の1829トン(同107・1%増)、冷延が幅600_以上・板厚3_未満の製品で同2%増の4782d(同40・6%増)。

新 日本製鉄プラント事業部は17日、台湾の高炉メーカーである中国鋼鉄(CSC)からウオーキングビーム式ブルーム用予熱炉設備(加熱能力370d/h)を受注したと発表した。

 今回の予熱炉設備は、ビレットミル工場内の老朽化している既存ブルーム用加熱炉の加熱負荷軽減を目的に新設されるもので、2002年7月の稼働を予定している。

 新日鉄は、CSC向けにすでに熱延スラブ用375d/h加熱炉2基の納入実績があり、国内外の加熱炉を合わせると、合計72基の建設実績を有している。特に、燃料原単位の向上、低NOx化などの環境対策の面で優れるリジェネバーナー式加熱炉では、世界有数の実績を持っている。

 今回の商談では、日欧のプラントメーカーによる厳しい競合の中、これら豊富な納入実績が評価され新日鉄が受注した。

 新日鉄は、CSC設立以来継続的に設備を納入しており、最近では第三高炉改修用ステープクーラー、CDQ設備改造などを受注している。
神 戸製鋼所溶接カンパニー(島田博夫執行社長)は、韓国の現地溶材子会社、コウベ・ウエルディング・コリア(KWK)の設備増強を行い生産能力を約4割アップさせ、2月から月産1000d体制に拡充する。主要ユーザーである韓国の造船メーカー先での大幅な受注増にあり、溶接材料の需要量が拡大しているため。昨年末に藤沢工場から軟鋼用フラックスコアードワイヤ(FCW)製造設備1ラインを移設し、現在試運転を進め今月内に完了する予定。アジア各地に生産拠点を持つ神鋼では、05年までにASEANでのシェア40%強(現在約30%)の獲得を目標に海外各地の拠点強化を進めており、KWKをはじめ今後も各地の供給力の充実化を図る方針だ。

 KWKは、95年3月に設立し、韓国国内のユーザーにFCWなど溶材を生産・販売している。韓国の新造船受注量が98年の882万総dから99年に1184万総dと日本を抜いて世界一になり、00年は2000万総dを超える見通しで、溶材の需要量が増大。KWKの受注量も増え供給力不足となっていたため、今回生産能力の拡大を実施した。今後も需要量に応じて柔軟に対応していく構え。

 神鋼は溶材事業として、アジアではタイ、マレーシア、シンガポールに関連会社を有し、フィリピンとインドネシアに技術提携先を持つ。溶材の世界シェア10%を目標とする神鋼は、昨年来からアジア重視の戦略を強め、00年1月には中国に出張所(上海事務所)を置くなどアジア市場の獲得を進めている。

 昨年10月にはタイ現地子会社のタイ・コウベ・ウエルディング(TKW)が、休止していた電弧棒設備1ラインを再稼働させ、生産能力を向上させた。
鋼 材倶楽部のボックスコラム委員会(委員長=岡本晴仁・NKK建材センター主席)はこのほど、NKK、ニッテツコラム、セイケイ、佐々木製鑵工業、ナカジマ鋼管の建築構造用冷間プレス成形角形鋼管(BCP)について、12月26日付で許容応力度など4種の基準強度を従来通りの数値で旧建設省から受けたと発表した。基準強度を与えられることで、法的な位置付けの変更にかかわらず、BCPを従来通り使用できることになる。

 今回受けた基準強度は許容応力度、溶接部の許容応力度、材料強度、溶接部の材料強度で、BCPの235、325それぞれについて従来と同じ数値。従来BCPはSN材の曲げ加工品として扱われてきたのに対して、告示2464号の施行以降は大臣認定材料として法的な位置付けは変わるが、使用する場合に従来との違いはない。

 建築構造材料の基準強度を定める告示2464号は12月26日に公布・施行された。この中で鋼材の冷間加工について新たに規定され、外側曲げ半径が板厚の10倍以下の場合、加工部分の機械的性質などの品質が母材と同等以上と確認できないと基準強度は与えられないことになった。BCPは同規定に抵触するため、規定が明らかになった昨年8月時点で各社は大臣認定を申請、11月8日に認定を取得。告示2464号では大臣認定材には個別に基準強度を与えると定められており、この規定に基づきBCPも基準強度を受けた。

 BCRについては6月の改正前の建築基準法38条で大臣認定を受けており、2年間の猶予期間中は従来通り使用できる。メーカー各社は今後、新基準法の37条2項で大臣認定を取得するなどの対応を取る方針。
吉 年はこのほど、インターネットのホームページを開設した。内容は会社概要や商品説明を中心としており、このほど販売を開始したステンレス鋼製ねじ込み管継手や、2月に販売予定のステンレス鋼管・屋内配管用メカニカル式管継手「SUSFIT(サスフィット)」についても詳細を掲載している。

 アドレスはhttp://www.yodoshi.co.jp/

大 阪地区の 平鋼はベース4万1000円どころで小じっかり。

 荷動きは小口中心で、迫力を欠く。産機・建機は堅調なものの、建築が不需要期入りして、需要は低位安定している。また、流通在庫は微増に推移しており、需給は緩和傾向となっている。

 大阪鉄鋼流通協会の調べによると、11月末の入出庫状況は入庫が前月比22・4%増の1万6532トンと大幅増、販売量は同比3・4%増の1万4458トンと安定。在庫は同比11・6%増の1万9999トンと増加している。

 ただ、メーカー各社は昨年以降、相次いで値上げを実施。今期も減産を徹底するなどして、価格重視の姿勢を継続。このため、流通筋は唱えは年明けも4万1000円。また、メーカーは2月の追加値上げを表明しており、当面、市況は小じっかり調。