2001.02.16
新 日本製鉄と住友金属工業は、三井物産と住友商事を窓口にノルウェーのスタットオイル向け大径鋼管各2万5000トンを輸出成約した。タイ・マレーシア間パイプライン事業など、いくつかの有力案件が遅れる中で、今年初めての大型受注。計5万トンの大径鋼管は5―6月積みと期近物で口径28インチ。

 10万トン商談として昨年来、交渉が続けられたきたが、15日までに入った連絡によると、納期上の制約があるため半分はEUのユーロパイプに回され、日本2社の全量受注は成らなかった。

 大径管商談は、タイ・マレーシア共同プロジェクト14万トンなど発注が間近に迫っているものが、アジアを中心に世界中に多く控えている。大型事業のためタイのように選挙が絡み、環境問題も発生するなど障害もあるが、UOE工場を満ぱいにするような勢いで、今年の厚板の需給にも大きな影響を与えそうだ。

日 本鉄リサイクル工業会(会長=鈴木孝雄・鈴徳社長)は14日、環境対策委員会(委員長代行=中島賢一・リーテム社長)内に自動車リサイクル専門の特別委員会(仮称)を設置すると発表した。自動車リサイクルの法制化に向けて、シュレッダー業者を中心に鉄リサイクル業界の意見を早急にまとめ、産業構造審議会(経済産業大臣の諮問機関)の自動車リサイクルワーキンググループへ積極的に提案する。

 特別委員会はシュレッダー業者を中心に、自動車リサイクルに関連する全国の会員企業10社程度で構成する予定。構成企業は今月中に決定する。工業会では運営委員会のもと環境対策、業務対策など5つの委員会を設置。環境対策委員会はISO取得の支援など環境問題を中心に取り組んできたが、これとは別に自動車リサイクルやASR(自動車シュレッダーダスト)問題に特化して議論する。

 特別委員会は運営委員会の承認後、正式に発足。自動車リサイクルワーキンググループへの提言を進める。具体的にはASRリサイクル事業者とシュレッダー事業者の事業が重複する実態、カープレスによる輸出や鉄鋼メーカーへの直接投入を含めた広範囲での自動車リサイクルシステムなどを議論する。

合 同製鉄グループ企業の合鉄建材工業(本社=大阪市北区、野本嘉孝社長)は、2000年12月期で若干ながら経常利益を確保、実質4期ぶりに経常黒字転換した。主力製品の一つで、矢板式構造物の緊張材などとして使用されるタイロッドの価格上伸や内部コスト削減効果などが浮上要因となったもので、売上高は前期比微減。

 メーン製造品種のタイロッド、ケーソン吊り筋、アンカーボルトのうち、アンカーボルトは若干の赤字となったものの、タイロッド、ケーソン吊り筋の黒字でカバーした。タイロッドは土木向けが減少したが、建築向けが21世紀未来博である「山口きらら博」の多目的ドーム向け大口受注のほか、小口物件の受注積み重ねで、前期を上回り、トータル売り上げでは横ばい。ケーソン吊り筋は売り上げ、利益とも横ばいで推移したという。

 今期は決算月を合同製鉄と合わせる形で3月に変更するため3カ月間の変則決算となるが、受注残もあり、まずまずの業績見通し。
新 日鉄情報通信システム(ENICOM)は、15日の取締役会で4月1日付で発足する新日鉄ソリューションズの代表取締役社長に棚橋康郎・新日鉄情報通信システム社長を決めた。代表取締役副社長には鈴木繁・新日鉄取締役エレクトロニクス・情報通信事業部長、新日鉄情報通信システム取締役が就任。

 新日鉄ソリューションズは、新日鉄エレクトロニクス・情報通信事業部(EI事業部)と子会社であるENICOMが事業統合し、4月1日にスタートする。 2000年度のEI事業部およびENICOMの売上高合計は約1300億円となる見通しで、この実績をもとに、今後、新日鉄ソリューションズはソリューション事業の発展拡大に取り組むとともに、インターネット社会における新たな事業領域にも積極的にチャレンジする。

米 ナショナル・スチールはこのほど、収益性改善を目的としたコスト削減計画を策定したと発表した。それによると労働効率改善、配置転換、人員削減、残業の削減などにより年間4500万―5000万ドルのコストを削減。加えて購買費の10%削減、生産分担の見直しなどにより、さらに5000万ドルを削減する考え。

 同社の2000年の業績は売上高29億7900万ドル、前年比0・9%増、営業損失が前年の300万ドルから1億1400万ドルに拡大、純損失も同2900万ドルから1億3000万ドルに膨らんでいる。00年の出荷は625万トン、同2・3%増。

大 手軽仮設リース業者、新日本ビテイ(本社=東京都台東区、宮本裕司社長)は新スタート後、初の通期決算となる2000年度(3月期)は売上高38億円、利益は経常ベースで黒字転換する見通しとなった。来年度は大型支保工「ビッグベン」など、同業他社にない独自製品のPRを強化。売り上げ目標40億円を達成するとともに、黒字拡大を目指す。

 新日本ビテイは、前身である日本ビテイリースが99年9月末で解散したことに伴い、営業権と債務を引き継いで、同10月1日付で再出発した。下半期のみの変則決算である99年度は、売上高が約20億円。利益は、需要減に伴う価格破壊の影響を受けて、経常ベースで赤字となった。

 このため、同社は、厳しい経営環境下でも利益を確保できる企業体質を構築するため、ここ数年で大幅合理化を実行。99年には神戸支店を大阪支店に統合し、横浜支店を東京機材センター内に移転するとともに、全国の機材センターを9カ所から7カ所に集約。出先機関と機材ヤードのスリム化を推進している。

 本年度は、昨年5月1日付で機材安全部を新設し、機材センターを効率的に運営。それと同時に、業務部と総務部を統合して管理部とするなど、社内スリム化に取り組んだ結果、コスト競争力は一段と向上している。

日 本鉄鋼産業労働組合(荻野武士・中央執行委員長)は21日、東京・乃木坂のはあといん・乃木坂で第131回中央委員会を開き、2001年春季総合生活改善闘争方針などを審議・採択する。

 鉄鋼労連によると、昨年9月の定期大会で採択された運動方針(TAP=Total Action Plan=2001)に基づき、今春闘では夏・冬一時金について高炉各社の業績連動型要求方式を採用する。

 例えば、新日本製鉄の場合、今期業績のうち経常利益が目標の1200億円に対して800億円の見通しでは、これに比例して夏・冬合計の一時金要求額が平均で約150万円となりそう。同様な方式から住友金属工業、神戸製鋼所などの要求額は前年の回答(約100万円)なども勘案しながら、住金140万円、神鋼130万円になりそうだ。

 鉄鋼労連はこれまで統一要求、統一回答方式を踏襲してきたが、今回、大手高炉各社の業績連動型要求方式の採用により、一時金で10万―20万円の格差がつくことになる。

東 京地区の 厚板は荷動きが鈍っており弱含み。市中価格は(12_、ベースサイズ)4万―4万1000円。 シャー母材は在庫が増加気味で韓国、台湾メーカーの日本向けの販売姿勢も積極化している。POSCOが3―5月出荷分で値下げの方針を出しており、この影響と東京製鉄の値下げ発表による中板市況の下落から、厚板にも弱気ムードが広がっている。

 溶断業者の稼働状況は「温度差は出ているが建築などで忙しいところもある」(浦安鉄鋼団地)ため、切板価格についても崩れがなく、弱含み横ばいで動いている。ただ、中板の動向次第で下げ圧力が高まる展開も考えられる。