2001.02.20
住 友金属工業は、鹿島製鉄所に190億円を投じて行ってきた製鋼総合効率化工事を3月末に完了する。2ラインだった3CCを1ストランド増設して3ライン化し、連続鋳造機と熱延ミルを完全直結化。これにより、従来50%程度だった熱延のダイレクトチャージ比率は、今年度中に目標とする70%強に達する見込み。同製鉄所では今後、効率的な生産体制の利点を生かし、さらなる製品競争力強化を図る方針。

 鹿島製鉄所は、高級汎用鋼の最適生産プロセスを追求、プロセスやレイアウトを含めた「直行一貫」体制構築を狙って、98年3月から製鋼総合効率化工事をスタートした。

 これまで4基のCCで行ってきた熱延、厚板、形鋼の3つの熱間ミルへの素材供給体制を直行一貫化。99年10月に、3CCをストラッド化して連続鋳造機と熱延ミルとの完全直結化を実現した。

 VBマシン導入など2CCの新鋭化工事は昨年5月に完了済みで、厚板用スラブは2CCに集約した。それまで厚板スラブを供給していた1CCは、2001年1月に大型形鋼ミル素材専用ブルーム鋳造設備へ改造した。

 この1CCの改造工事が完了したことで、熱延素材は3CC、厚板素材は2CC、形鋼素材は1CCに集約され、一連の連続鋳造機と熱間3ミルの直結化が完了する。これに伴い、SHCC(昭和54製造の住友ローハイトCC)は、本年1月に休止した。

 これら一連のCCのリフレッシュにより、エネルギー原単位向上のコスト削減に加え、スラブ在庫の削減、製造リードタイムの短縮など製品の競争力向上が狙える。

大 手溶接式鋼管継手メーカーの住金機工(本社=兵庫県尼崎市、中室光治社長)は4月1日から、溶接式鋼管継手および鋼板製溶接継手の建値を約15%引き上げる。採算改善を目的とした値戻しで、建値変更は6年ぶりのこと。

 価格改定に関するユーザーへの説明を先週から始めており、新年度からの実施を目指す。

 今回、価格を改定する品種およびその引き上げ率は溶接式鋼管継手FSGPが15%、溶接式鋼管継手PT370が13%、鋼板製溶接継手PY400が15%。

 それぞれについて、4月1日出荷分から値戻しを実施する。

 現在、溶接式鋼管継手などの扱い製品は、需要の減退および受注小口化の進展により、98年水準と比べ扱い量で30%、価格で20%程度の後退を余儀なくされているという。同社では今回の価格改定を採算確保への第一歩と位置付け、今月下旬から3月にかけて、需要家への説明を本格化する方針だ。

N KKは19日、02年度基幹職社員の採用計画を事務系約60人、技術系約90人と決めた。採用形態は、定期採用については、02年4月入社を前提に、新卒の大学・大学院卒を対象として、全国9カ所で延べ約50回の会社説明会を行い、採用選考を行う。

 通年採用(秋の定期採用)は、96年より実務経験者、3月卒業でない国内外留学生などを対象に、通年で行っている。この「定期採用」を軸に、「秋の定期採用」を合わせて行うことにより、年度を通じた採用を行う。

 また、NKKでは特に、法務・財務・知的財産・情報システムの4つの分野について強化分野と位置づけ、高い専門能力を有する者、また、この分野においてキャリアアップ志向を持つ者など、広く人材を募る。

 採用活動においては、公平・公正を旨とし、会社説明会開催に当たっては、学事日程を尊重し、学業に支障のないよう配慮。採用情報に関しては、ホームページ(http://www.nkk.co.jp)、就職情報誌などで、タイムリーに提供する。

大 同特殊鋼と三井物産は共同で、台湾の大手ステンレスメーカーであるイエレン鋼鉄からステンレスの製鋼ダスト処理プラントを正式受注した。年間5万トンの処理設備で、ステンレスメーカー向けダスト処理プラントとしては、世界初の設備となる。昨年3月に契約し、これまで守秘義務などに関する詳細を詰めていたが、今回正式契約したことで、2001年12月のホットランに向け設計、製作などが本格化することになる。

 同プロセスは、大同特殊鋼と三井物産が米国のステンレスダスト処理事業者のインメトコ社から技術導入した回転炉床技術。ダストに還元材である石炭粉とバインダー(粘土)を混ぜて混練し、そのペレットをドーナツ型の回転炉でダストの金属分を還元する。

 還元されたペレットは特殊なアーク炉に投入、最終的な還元溶融で溶銑を取り出し、スクラップと共に製鋼用電気炉に投入して再利用する。これによりダスト中に含まれる金属分は、ほぼ100%近くがリサイクル可能となる。

 イエレン鋼鉄は、年産100万トンと単一工場としては、ポスコと並ぶ世界最大級のステンレスメーカー。電気炉などステンレス鋼の製造工程で発生するダストをリサイクルするのが狙い。今回のダスト処理プラント導入の背景には、環境規制の強化などにより、さらに高騰することが予想されるためと見られる。

N KKは19日、米国シーメンス・ウエスチングハウス・パワー社(SWPC社)と、定置形SOFC(固体酸化物形燃料電池)発電システムの販売契約を締結し、日本およびアジアでの同システムのパッケージ化・販売・アフタサービスに関する実施権を取得したと発表した。

 SWPC社のSOFC発電システムは、300kWで55%以上、数MWで60%以上という極めて高い発電効率を特長としている。

 NKKはこの契約を契機に、SWPC社製SOFCの日本における商品化および市場開拓を積極的に展開する。

 NKKは1980年代後半からSOFC技術の開発に取り組んでいたが、1991年から、SWPC社の前身であるウエスチングハウス・エレクトリック社の発電グループと共同開発を始め、以来、技師派遣、設計協力、実証試験への参画を通して関係を深め、今回の契約締結に至った。NKKが設計に協力し、高温熱交換器を納入した100kW級のシステムは、オランダで1998年に運転を開始し、約1万6000時間の実証運転に成功している。

 燃料電池は、燃料の持つ化学エネルギーを直接、電気エネルギーに変換する技術で、従来の内燃機関を用いた発電設備では得られない高効率で環境適合性の高い発電を実現する。

経 済開発が進展している山東省青島市地区で、私営企業によるS造建築物への取り組みが本格的にスタートする。家電向けプレス部材加工で急成長している青島茂源グループは、新たに設立した青島茂源彩板有限公司をベースに、2月末からH形鋼による鉄骨加工と屋根用折板波板加工を開始する。

 鉄骨は年間1万トン、屋根用折板加工は30万平方メートルの能力。鉄骨はトン5000元(約7万5000円)が受注ラインとして、「将来は増値税17%分の還付があるため、日本向けなどの輸出対応も考慮している」。

 屋根部門は初年度で3500万元の売り上げを見込んでいる。加工母材は上海宝山鋼鉄と、昨年10月からカラー塗装ラインを導入した家電メーカー、ハイアール(HAIER)社から供給を受ける。

 青島茂源グループは、29歳の林欽茂董事長が4年前に家電メーカー向け薄板プレス成形部品メーカーとしてスタート、00年で年商8000万元と急成長しており、現在、茂源電機、茂源彩板有限公司など4社で展開している。

 今回の建築部門進出は、これまでRC造主体だった中国の建築システムにアメリカ、日本などで一般化しているS造を本格的に導入することを目的に計画された。臨海部の経済開発区では、初の試みで、今後、本格的なS造時代が到来するものと期待されている。

合 金鋼・特殊鋼製ボルト・ナットメーカーの竹中製作所(本社=東大阪市菱江、竹中弘忠社長)は、表面処理事業や電子機器事業など、従来のボルト・ナット製造以外の新事業を拡大強化し、2005年9月期での売上高50億円、売上高経常利益率15%を目標に、高収益化を進める。

 同社の2000年9月期の売上高は28億5000万円。従来のボルト・ナット製造部門とフッ素樹脂コーティングボルト・ナットの「タケコート・1000」をはじめとする表面処理ボルト・ナット製造の表面処理事業部門とで売上高の70%を占め、残りが重電機器用モーターの制御装置など製造の電子機器事業部門で25%、落橋防止装置の設計製作を手掛ける橋梁機材事業部門で5%の割合。

 同社では高収益企業を目指す中期経営計画の推進により、2005年9月期には売上高を50億円に拡大、うち従来のボルト・ナット製造部門で50%、表面処理事業、電子機器事業、橋梁機材事業の新3事業で50%のウエートとし、売上高経常利益率を15%まで高める計画。

東 京地区の 中板(3・2―4・5_厚、ベースサイズ)は雰囲気先行で弱含みだが、定尺販売の価格に大きな崩れはなく、3万7000―3万8000円中心。

 東京製鉄の値下げ発表を受けて需要家、小売販売業者ではコイルセンターに対して値下げを求める動きがあるようだが、コイルセンターの稼働は直需向けを中心に高い水準を維持している。このため定尺販売については極端な安値に流れることはない。

 在庫はメーカー、流通とも過剰感があり、輸入材も荷動きの悪さとともに増加傾向。ただし、市中段階では小口引き合いに対応して在庫を抑えており、年明け以降急増したとの認識はない。