2001.03.08
新 日本製鉄、住友金属工業、神戸製鋼、日新製鋼の高炉4社が7日、2001年3月期の決算見通しを発表、高炉6社の見通しが出そろった。連結売上高は前回(昨年11月)見通しと比べ、新日鉄が500億円増、住金が200億円減、他4社は変わらず、経常利益は新日鉄が20億円減、川崎製鉄が70億円減。

 当期利益は各社それぞれ異なる要因により、増減額がマチマチとなっている。当期利益見通しを大きく変えたのは、本社ビル売却益等で特別利益685億円を捻出したNKKで、同社は11月時点の連結当期利益見通し260億円を980億円に上方修正している。逆に川鉄は前回見通し160億円の連結当期利益を350億円下方修正、190億円の赤字とし、当期利益での比較に関する限り、明暗を分ける格好となった。

 川鉄の当期利益見通しの修正は転籍に伴う特別退職金負担、退職給付債務積み立て不足の償却負担や540億円の有価証券の評価損が発生したことによるもの。新日鉄の連結当期利益は前回見通し比30億円のマイナスだが、主たる要因は2月に突発的に発生した高炉(大分)操業の不調によるものと同社では説明している。住金は60億円の下方修正、日新は40億円の上方修正。

 期末配当は新日鉄が前期と同じ1株1・5円、日新が同2円を実施、NKK、住金、神鋼は見送り。

高炉6社の2001年3月期決算見通し
【単独】 (単位:億円)
売上高 経常利益 当期利益 配当
新日本製鉄 今回 18,400 750 150 1.5
前回 18,300 800 150 1.5
前比 + 100 - 50 0
NKK 今回 10,000 450 10 無配
前回 10,000 400 270 無配
前比 0 + 50 - 260
住友金属工業 今回 8,600 120 60 無配
前回 8,700 120 90 無配
前比 - 100 0 - 30
神戸製鋼所 今回 8,200 150 640 無配
前回 8,200 150 640 無配
前比 0 0 0
川崎製鉄 今回 7,800 400 250 未定
前回 7,800 415 20 1.5
前比 0 - 15 - 270
日新製鋼 今回 3,200 150 10 2.0
前回 3,200 150 30 2.0
前比 0 0 + 40
合計 今回 56,200 2,020 660
前回 56,200 2,035 140
前比 0 - 15 - 520
高炉6社の2001年3月期決算見通し
【連結】 (単位:億円)
売上高 経常損益 当期損益
新日本製鉄 今回 27,400 1,030 220
前回 26,900 1,050 250
前比 + 500 - 20 - 30
NKK 今回 17,700 40 980
前回 17,700 400 260
前比 0 0 + 720
住友金属工業 今回 14,800 20 30
前回 15,000 200 90
前比 - 200 0 60
神戸製鋼所 今回 13,700 500 70
前回 13,700 500 70
前比 0 0 0
川崎製鉄 今回 12,700 460 190
前回 12,700 530 160
前比 0 - 70 - 350
日新製鋼 今回 4,400 150 10
前回 4,400 150 50
前比 0 0 + 40
合計 今回 90,700 2,740 1,100
前回 90,400 2,830 780
前比 + 300 - 90 + 320


日 本鉄鋼産業労働組合連合会(荻野武士・中央執行委員長)は7日、東京・東日暮里のホテルラグウッドで緊急中央闘争委員会を開催、「鋼材・製品価格の是正を求める」緊急アピールを採択した。同採択を踏まえ、鉄鋼労連傘下の各単組は今春闘の団体交渉などで「鋼材価格の是正に不退転の決意で臨むことを経営側に強くアピール」していく。

 鉄鋼労連はアピール採択に際し、「鋼材価格はここ1、2年間下落し続け、現在の価格は20数年前の水準と同じ。2000暦年の粗鋼生産は1億700万トンで高いレベルだったが、価格下落の影響で利益が出ていない状態だ。仮に1トン当たり平均で1万円ほど価格が下落した場合、鉄鋼産業全体で1兆円損失したことにつながる」と指摘した。

 また、鉄鋼労連は、現場の鉄鋼労働者は付加価値のある製品の製造に携わっているが、こうした労働が一時金などの諸条件に適正に反映されていない事態を重視、「生産量が問題ないとすれば、元凶は価格にある」と強調した。

日 立金属と日立フェライト電子は7日、電話線を利用した高速インタネット用音声・データ分岐装置(POTSスプリッタ)を開発、ADSL(非対称デジタル加入者線)方式のPOTSスプリッタ分野に本格参入したと発表した。デジタルデータ通信(DSL)用の音声・データ分岐装置で、日立金属が開発した高透磁率、高磁束密度フェライトコアの採用と大量のコア高精度加工技術を活用することによって、高性能で従来型より50%小型かつ低価格のPOTSスプリッタを商品化させた。過電圧、過電流に対する保護素子も内蔵、商用電源の混触、雷サージにも対処した。

 POTSスプリッタ市場は、NTT見込みだけでも2001年度140万戸のADSL加入が見込まれているほか、日立金属、日立フェライト電子の両社では、これを上回る250万―300万戸の加入を推計しており、急成長が予想されている。

 両社では01年度で30億円の売り上げを目指す。

 商品化されたのはPOTSスプリッタ「HDF19003」で、電話通信の音声信号と、DSL高速通信のデータ信号とを分岐する。対応規格はITU―T G.992・1 AnnexEe Type for japan、 ITU―T K.21(電気通信端末機器審査協会、技術基準適合認定取得済)。さらに4月からはITU―T G.992・1 AnnexE Type for North Americaの北米対応機種も量産化、輸出展開する計画だ。
住 友商事・大阪本社の大阪鉄鋼建材部は4月1日から組織変更、および一部の取扱品種の業務移管を行う。具体的には鉄鋼原料部の中の製鋼チームを大阪鉄鋼建材部に統合し、「大阪鉄鋼建材・製鋼原料部」とする。今回の統合は製品と原料を一体化することで、メーカーへの対応を一段と強化するのが狙い。統合により、部の人員は40人強から50人弱となる。また、4月1日で棒鋼の取扱業務(棒鋼の年間取扱量=36万トン強)を住商鉄鋼販売(水上義久社長)に移管する。

 これまで、大阪鉄鋼建材部は土木建材、特殊建材、棒鋼、建築建材、形鋼の5チーム体制だった。

 しかし、取り扱いの主力の棒鋼、H形鋼、一般形鋼は電炉メーカーのウエートが高く、今後、メーカーへの対応を強化していくには、製品と原料を一体化させていくことが必要と判断し、4月1日で大阪の製鋼原料チームを統合する。
大 手重仮設リース業者、川商ジェコス(本社=東京都中央区、今井良治社長)は、来年度方針の一環として(1)「GSS工法」を本格展開(2)特殊加工製品の取り扱い拡大―を重点項目に設定し、厳しい経営環境下で収益拡大を図っていく方針だ。

 重仮設業界は本年度、地方自治体の財政難など公共土木予算の縮減が著しく、ゼネコンの過当競争と受注金額の落ち込みは予想以上に深刻化。これを受けて、重仮設リース料金は上期で大底になり、前年度比で全品種平均10%前後下押しした。来年度の見通しも不透明で、リース料金も大きな改善は期待できない状況。

 川商ジェコスでは、広範にわたる現場ニーズに対応するため、鋼矢板やH形鋼などのメーン品種だけでなく、これに付随する特殊加工製品の取り扱いにも力を注いできた。また、昨年は「GSS(ジェコソイルシステム)工法」を市場投入するなど新工法の開発にも意欲的で、厳しい経営環境下でも利益を確保できる企業体質を構築している。

 GSS工法は産廃汚泥を大幅にカットし、環境に優しいソイルセメント余剰液リサイクル工法。すでに8現場(施工中の3現場含む)で実績が出ており、ゼネコンの評価は高い。また、2月16日付でGSS工法推進チーム(本社の営業スペシャリスト6人で構成)を新設するとともに、各出先機関に営業マンを兼務するチームメンバーを配置。官公庁やゼネコン営業を強化すると同時に、社内の啓もう活動に力を注いでいる。

 一方、特殊加工製品は、長沼工場(千葉市稲毛区)がメーンで製作。これは鉄道や道路、立杭やシールドなど各工事において仮設以外の現場ニーズに対応するために開発されたもので、多様な商品ラインアップを誇る。また、特殊加工製品に関しては、入社後7―8年目の中堅社員を対象に研修制度を設けている。研修を通じて、製品知識や技術的なノウハウを吸収させ、積極的な提案営業を行うオールラウンドプレーヤーの育成に成功している。
鉄 鋼製品の貿易業務を行っているアイティシー(兵庫県芦屋市、田所輝明社長)は、韓国の大手部品メーカーが開発したワンタッチ方式のハンガーラックの日本国内での販売を、3月末から開始する。現地部品メーカーが韓国で取得している特許の日本での使用譲渡を受け、ゼネコン、設備業者、特約店などを対象に独占的に販売する。ハンガーラックは、パイプ、ダクトの支持金具。ネジ留め方式が一般的だが、新たにバネ式の留め具を開発し、施工の簡便化とコスト削減に成功した。

 アイティシーは、田所テックを退社した田所輝明社長が、93年に資本金1000万円で設立。海外の大手メーカーのステンレス製品の輸入を行っている。関西地区に在庫を保有し、ユーザー向けを中心に販売している。主力輸入先の韓国とは緊密な関係にあり、ソウル市に連絡事務所を設置。リアルタイムで情報収集と発注・デリバリー業務を行っている。

 今回のハンガーラックは、配管やダクト設置用に開発された。韓国内では特許取得も終了しており、一部はアメリカ向けにも輸出されている。市場でも好評であるため、アイティシー社が日本の総代理店として国内販売に乗り出す。すでに特許の譲渡を受け、日本での特許申請も完了している。
重 仮設リース業者、日本鉄鋼建材リース(本社=東京都新宿区、柴田豊社長)は来年度(3月期)、「レジンデッキ(路面用覆工板)」や「ミニガード(移動式仮設ガードレール)」など特殊製品の取り扱いを一層拡大し、同部門の営業利益に占める割合を15%にまで高めていく。

 日本鉄鋼建材リースでは本年度、特殊製品分野の積極展開を図ってきたが、この代表商品である「レジンデッキ」が昨年特許を取得(同社を含む3社共同)。また、「ミニガード」の売上高および稼働率が、前年度比30%増と好調に推移している。これを受けて、来年度はゼネコンなどへのアプローチをさらに強化し、同部門の営業利益に占める割合を15%にまで高めていく方針だ。

 「レジンデッキ」は、鋼製覆工板の表面にエポキシ樹脂硅砂混合モルタルをコーティングした路面用覆工板。同製品は(1)雨天時でもタイヤがスリップせず、長期間使用しても摩耗しない(2)車両走行による騒音は微小に抑えられる(3)現場用途によって着色が可能―などのメリットがある。

 一方、「ミニガード」は、独国のガードレール製造メーカー「フォルクマン&ロスバッハ社」が仮設用として開発した移動式ガードレール。

 「ミニガード」は、作業帯区域内で安心して作業できる剛性の高い構造を有し、軽量かつ柔軟な継手構造が迅速な組み立ておよび解体を可能にしている。
東 京地区の等辺山形鋼は6×50で3万5000円中心。3万6000円以上は10%程度と少なくなり、反対に3万4000円の割合が増加。溝形鋼は5×50×100で3万9000円中心。4万円以上は10%程度。需要家からの指し値が厳しくなっている。

 他品種の下げ基調の影響が顕著になった。山形は3万5000円で通っていたものを3万4000円に、との値引き要求が出ている。需給引き締めのため特約店は3月の申し込みを2月比10―40%減らす。3月の出庫量は、来期に備えて在庫を決算前に補充する動きがあるため2月比増える見込み。在庫量は同微減とみられるが、現在荷動きは悪い。H形鋼の影響は避けられない。