2001.03.14
新 日本製鉄は13日、店売り向け熱延鋼板の受注を1カ月分スキップする方針を明らかにした。3月の足元から在庫水準の適正化に向けた受注調整を実施することで、4―6月にかけて薄板市場環境の整備を図る。流通各社に調整意向を伝えた。減産幅は店売り定尺で少なくとも1万トン以上となる見通し。同社が店売り熱延鋼板の受注調整を行うのは、昨年9月以来半年ぶり。

 国内の薄板需要は昨年夏から秋にかけて盛り上がったものの、年明け以降は沈静化しつつあり、引き合いが弱まっている。新日鉄では大店法(旧大規模小売店舗法)改正に伴う駆け込み需要、IT(情報技術)関連工場の新設・増設など特需的な要素がなくなったことに加えて、自動車向け需要が季節的に減少したことが要因と分析している。

 一方、在庫は秋需の影響から昨年9―11月に改善されたが、12月以降は再び増加に転じている。薄板3品在庫(熱延、冷延、表面処理)は1月末で439万8000トン(メーカー・流通合計)と400万トンを大幅に上回った。このうち熱延薄板は223万2000トンと、2カ月間で10万トン以上増えている。

 新日鉄は「薄板の不需要期である4―6月に向けて、在庫レベルが過大であることは危険な状態」(薄板営業部)と認識。在庫量や在庫率から見て、市中で特に過剰感の強い熱延鋼板(酸洗鋼板を含む)を対象に、3月足元から1カ月分の受注をスキップすることにした。

亜 鉛めっき鋼線メーカーの竪川線材(本社=千葉県市川市、吉野忠男社長)は13日、北九州市に進出し外装線専門の亜鉛めっき鋼線工場を建設すると発表した。光海底ケーブルの最大手OCC(本社=北九州市、舟木社長)の北九州事業所の能力増強に対応するもの。約3億円を投じて住友金属小倉構内に、月間1900トンの能力を持つ工場を建てる。人員は約20人で本年9月稼働開始の予定。

 工場稼働後は、同社の外装線部門は九州工場にシフトする計画であり、フル稼働後は「全社で亜鉛めっき鋼線など年間5万トンを生産し、50億円の売上高を目指したい」(吉野忠男社長)としている。

 同社の新工場建設は、@OCCが北九州事業所に第2工場を11月完成予定で建設を進めており、光海底ケーブルの生産力が現行の3万キロメートルから6万キロメートルに倍増する。外装ライン能力も増強されるため、これに対応するA北九州市内にあり、ユーザーにも近接している住友金属小倉の立地を生かし、既存設備等も有効利用することで、原材料(線材)調達および製品(外装線)納入時の運送コストダウンと製造コストダウン削減による競争力強化が狙える―などの理由によるもの。

 工場は住友金属小倉構内の旧圧延工場(住倉鋼材第2工場、建屋面積約3000平方メートル)を活用し、同社から土地・建物とも賃貸を行う。ここに、浸石管方式の亜鉛めっきラインなどの最新鋭設備を導入し、月間1900トンの光海底ケーブル用亜鉛めっき鋼線加工を行う。

日 本鋳物工業会がまとめた鋳物用銑需要調査によると、2001年度の鋳物製品生産見通し(鋳放重量)は400万1260トン(前年度比0・1%増)、この見通しに伴う新銑需要は72万300トン(同710トン、0・1%増)と試算された。製品生産は98年度に15年ぶりに400万トンを割って以降、300万トン台が続いてきたが、01年度は97年度以来4年ぶりに400万トン台に乗せる予想だ。電気機械用、輸送機械用は前年度を下回るものの、金属工作・加工機械用など一般機械用やその他用の伸びにより、前年度実績見込みを3184トン上回る、各用途とも年度上期から下期にかけて増加傾向をたどる。

 用途別の生産量は、一般機械用が121万2060トン(同0・2%増)、電気機械用が6万9000トン(同0・1%減)、輸送機械用が248万9200トン(同0・1%減)、その他用が23万1000トン(同1・7%増)。

 一般機械用では、産業機械器具用が63万9000トン(同0・2%増)、金属工作・加工機械用が17万4400トン(同2・5%増)、ロール・鋳型・鋳型定盤用が7万7660トン(同2%増)などがプラスとなる。

 輸送機械用では、主力需要分野の自動車が226万6200トン(同0・3%減)と、完成車輸出の減少予想などから、わずかながら前年を下回る。

大 手を中心とした軽仮設リース各社は、ゼネコンとの新年度契約(4月)に関して、リース料金を現行水準プラス20―30%の値戻しを図る。また、これまで取り組んできたリース料金の値戻しは徐々に浸透し、全品種トータル平均で前年度比10―20%アップするなど、上伸基調が高まってきた。

 軽仮設リース業は、長引く建設需要の減退にともなって稼働率が低迷し、リース料金は99年度下期で“大底”にまで落ち込んでいる。

 ただ、本年度は建築、土木ともに需要が回復。また、ゼネコンが機材センターを閉鎖したことでレンタル依存率が高まったことから、稼働率は軒並み上昇した。とくに需要期である下期は60%を超える高水準が続き、10月は70・9%と予想外の展開に。現在も建枠など建築向け、システム支保工など土木向けともに品不足が深刻化している。

 景況感が高まる中、軽仮設業者は、長期化するリース料金の低迷で体力を消耗しており、新規機材の購入が難しい状況。これを受けて、需給は一層タイト化し、ユーザーへの供給責任と現場作業の安全性が脅かされているのが実情だ。

 この状況を改善するため、大手を中心とした軽仮設リース各社は、本年度下期から値戻しを実施しており、ここにきてリース料金(全品種トータル平均)は前年度比10―20%アップしている。

中 山三星建材(本社=大阪府堺市、佐藤亘社長)は4月1日の出荷分から、高力ボルトのプロジェクト向けの価格をトン当たり1万円引き上げる。すでに、昨年10月出荷分からは特約店向けで1万円引き上げており、この店売り向けの値上げが浸透したことから、今回、ヒモ付きの是正に乗り出したもの。

 同社は陥没した価格の是正を図るため、昨年から供給削減に乗り出していた。実際、昨年の同社の高力ボルトの生産は一昨年の平均比15―20%減らした。

 こうした需給調整と並行して、昨年10月の出荷分から店売り向けをトン当たり1万円引き上げた。値上げ後に半年が経過し、ほぼ市場に浸透したと判断、4月出荷分からはプロジェクトなどヒモ付き向けも1万円引き上げる。佐藤社長は「4月から新年度がスタートし、長期契約の大型物件の発注が出てくる。これに合わせて、プロジェクト向けも価格を是正していきたい」としている。

ト ルコ唯一の薄板ミル、Eregli・Demircelik・Fabrikarari(Erdemir)は12日、新酸洗ラインの建設工事を国際コンソーシアムに2580万ドルで発注したと発表した。発注先は、三井物産、新日本製鉄、米デルタ・ブランズ、トルコのジモントで構成され、工期は22カ月。

このプロジェクトは総額22億ドルの設備近代化および拡張計画の一環で、2004年までの第1期工事(投資額4億6500万ドル)の一部として実施されるもの。

なお同社の2000年の売上高は9億7100万ドル、前年比25%増、純利益は前年の7400万ドルの損失から1億2400万ドルの利益に黒字転換している。

鉄 塔メーカー各社によると、本年度の鉄塔需要は8万トン前後(前年度比30―40%減)と電力関連の大幅減が影響し、過去最低水準を更新する見通し。来年度は本年度比10―20%減との見方が強く、鉄塔メーカーを取り巻く環境は、さらに厳しくなりそうだ。

 日本鉄塔協会がまとめた99年度受注実績(対象16社)によると、電力合計が約8万2000トン(内訳=山形鋼鉄塔約4万7000トン、鋼管鉄塔約3万2000トン、その他約3000トン)で、98年度比約22%減と4年連続でマイナスを示している。

 一方、電力以外は約4万トンと、同約15%増と7年連続プラスとなり、携帯電話の急速な普及を受けて、通信用鉄塔が大きく伸びた。この電力・非電力を合わせた総合計は12万2000トン(同13%減)、4年連続のマイナスに。

 本年度は、電力各社の設備投資抑制が一層強まり、幹線工事(超高圧・高圧)や2次系(275Kボルト以下)ともに低調で、電力向けは7万トン程度にまで落ち込む見通しだ。また、電力以外では通信用鉄塔が前年度で頭打ちとなり、年々、漸減傾向が高まっている。

 この需要減退を受けて、昨年は日本橋梁が鉄塔事業から撤退するとともに、同7月には関西の大熊鉄工所が大阪地裁に自己破産を申請した。来年度需要は本年度をさらに下押しすると見られ、依然として厳しい環境が続くとみられる。

全 鉄連流通情報網研究会(通称DDN、委員長=斉藤栄一・栄鋼管社長)はこのほど、大阪鉄鋼会館で第13回勉強会を開催した。大阪開催は今回3回目で、大阪鉄鋼流通協会(OSA)会員など40―50人が出席した。

 勉強会は、最初に各地区委員会が報告。東京地区は、昨年に新会社を設立して店売り対象の電子取引サイト立ち上げを目指している「鉄鋼流通イーシー・SEC」の進捗状況説明とデモンストレーションを実施。ネット初心者でも簡単に同一画面で売買ができる点を強調、「もう少し改造を加えて、夏前には完全版が完成する」(斉藤氏)と説明。運送情報やリクルート機能、他団体とのリンクなども付け加えて、東鉄連会員約350社のうち約半数の登録を目指している、とした。

 大阪地区は、OSAの2世会組織AKINDSのメンバーを中心に運営している「なにわの鉄鋼百貨店」について説明。現在、メンバー20社に新規15社を加え35社で運営。「サイトで商売をするというよりも、末端消費者に向けて情報を発信する広告塔のような役割を果たしている」(西岡伸起・AKINDS代表)とした。

 また、今回は鉄鋼EC普及拡大策の提案と題して、新日本製鉄・営業システム企画およびEI事業部(4月から新日鉄ソリューションズ)が講演。鉄鋼業界が電子取引やSCMシステム構築などIT対応を迫られている現実を踏まえ、システム利用を販売するサービス事業「ASPサービス」の有効性を紹介した。

東 京地区のH形鋼市況は200×100で3万6000円中心。3万7000円よりも3万5000円の割合が多くなった。荷動きが悪い。ときわ会調べの在庫量は5カ月連続増。需要がなく、入庫減が出庫減に追いつかない。

 先安観による買い控えが続いている。3月の現在の出庫量は2月比横ばい。S、Hクラスのファブには仕事があるが、出庫量に影響を与えるMクラスの手持ち工事は少ない。流通は3月の申し込みを2月比で平均半分程度に絞っている。メーカーも大幅減産継続を表明したが効果はまだ表れない。ただ、今後は手控えられた明細が出るとみられるため、3月末の在庫は減る見込み。

関 東地区の厚板市況は供給面に不安感があるため弱含み。市中価格(12_、ベースサイズ)は4万―4万1000円中心。

 定尺市況は大崩れしていないものの、小口の当用買いがほとんど。特に6―12_は東京製鉄など熱延コイルの影響で、19_以上のロール厚板と価格差が出ている。溶断業者の加工は短納期で細かい注文が多いため、忙しさの割に加工量が伸びないようだ。

 シャー母材は国内メーカーの足並みがやや乱れている。年度末の季節要因もあるが、鋼管の輸出プロジェクト向けなど、需要が一時的に停滞していることが供給側の販売価格に影響しているようだ。目先も弱気の商いが続く見通し。

大 阪地区の等辺山形鋼市況はベース3万4000円どころで弱横ばい。建築をはじめとする需要環境が急速に冷え込んでおり、市中の荷動きは低調。流通の出荷量も昨年11月比で20―30%近い減少(大阪鉄鋼流通協会調べ)となっており、今月の出荷量も「良くて前月並み」(特約店筋)の情勢だ。

 また、建材主力のH形鋼市況が需給緩和から下押しており、これも流通の売り腰を弱める材料となっている。

 このため、市況は一部で安値折り合いも散見される。ただ、市中在庫については増加基調であるものの、メーカーのロール調整などの効果で「他品種ほどの過剰感はない」のが現状。