2001.04.02
大 手電炉メーカーのエヌケーケー条鋼(本社=東京都中央区、折井晃社長)は、2001年度、02年度の2年間で1トン当たり2000円のコストダウンに取り組む。01年度は10億円の累積損失を一掃。中期経営計画の最終年度の02年度には売上高は現状の横ばいの1200億円だが、経常利益と最終利益はそれぞれ20億円が確保できる体質に強化する。要員は00年度末で1080人だが、02年度末には1000人に削減する。

 00年度は数量増と価格上昇で増収、原料価格の低位安定とコストダウンが利益に貢献、黒字化する見通し。99年度と00年度の2年間で1トン当たり2000円、合計60億円の合理化を達成した。

 01年度は売上高1200億円、経常利益10億円以上を確保する目標。姫路製造所内と仙台製造所内の遊休地を売却した場合の特別損失を、コストダウンと販価引き上げでカバーして累損を消す。

 00年度に引き続き国内需要は伸びないと想定して、販売数量は横ばいを見込む。その一方で、輸出は00年度実績の月間5万トンから、01年度は10%増の同5万5000トンに引き上げる。一般形鋼は00年度に9000円値上げし、さらに値上げを検討するが、棒線は自動車メーカーからの値引き要請が強い。このため、01年度の業績は00年度の横ばいと予想している。引き続き、生産性の向上、物流の合理化、請負費用の削減、各種原単位の抑制により、1トン当たりのコストを1000円引き下げる。02年度も継続して1000円のコストダウンに取り組み、01年度、02年度の2年間で合計2000円のコスト合理化を目指す。現在の有利子負債は1300億円だが、NKKの支援を得て02年度末には1000億円に削減を計画している。

エ ムシー・メタルテックが1日、発足した。三菱商事の関連会社だったダイヤスティール、上野鉄鋼、エムシー・メタルテックを統合した。100%出資する三菱商事と連携して、建設鋼材分野のすべての需要にこたえられる体制を構築する。05年度にはROA(総資産事業利益率)2%を目指す。

 エムシー・メタルテックには、三菱商事の総合的な機能に、旧ダイヤと旧上野の在庫・加工・物流機能と、旧エムシー・メタルテックの工事機能などが加わる。さらに三菱商事から小棒の受け渡しや一部土木製品業務を移管・委託する。統合による相乗効果として、初年度売上高は420億円を見込む。

 事業は次代をにらんだもの。物流、加工、在庫など次世代型機能の強化を図り、流通再編のリーダーを担っていく。また、コスト競争力を高め、IT武装化も推進する。建設鋼材分野における強固な基盤の確立を狙う。

新 日本製鉄は30日、2002年度の社員採用予定数について、大学・高専の事務約35人(01年度20人)、技術約75人(同47人)、高卒約100人(同54人)の合計210人で01年度より約89人増員することを決めた、と発表した。

 同社によると、00、01両年度は、半導体事業の撤退やシームレスパイプ製造の休止など緊急避難的な措置で採用を全体として120人前後に抑制せざるを得なかった。一連の対応にメドを付け、02年度は最近では通年ベースに戻した。

九 州地区有力ヤードディーラーの竹田商会(本社=福岡県粕屋郡宇美町、竹田奉正社長)は、東京製鉄から直納業者の指定を受け、4月から直納業務を開始した。東鉄九州工場を中心に納入に注力し、必要に応じて他工場向けにも船積み出荷を行う計画である。この結果、同社は東鉄向け取扱量を現行月間3000―4000トンから同1万トン(代納分含む)へ拡大することを目標にしている。

 同社は、北九州支店(北九州市若松区)と太宰府工場(太宰府市)の北九州、福岡二極のヤード体制を確立している。全社の月間平均取扱量は1万2500トンで、HS1、新断くず関係などに強い。特に北九州支店は、97年4月に東鉄九州工場近隣の若松区二島地区に開設した。

 九州地区最大の1600トンギロチンを導入したことで、HS1クラスのスクラップ集中効率加工体制を確立した。これに加えて、同社のキメの細かい営業努力が功を奏して扱い量の拡大につながり、ゼロからのスタートで現在は月間7000―8000トン規模の取扱量となるなど、地区有力ヤードディーラーとしてその一角を占めている。

 一方、同社は表面処理鋼板、パイプ、H形鋼、丸鋼、切板加工、鉄鋼原料などを幅広く扱い原料から製品、製品加工まで「鉄」のすべてを知りつくしたインテグレーテッド企業として健闘している。年商は前期(2000年11月)が39億3000万円で、部門別では鋼材部門23億円、鉄鋼原料部門16億円の内訳となる。今期は43億円を見込んでいる。

 また、鋼材関係では、竹田社長は福岡鉄鋼特約店組合の事務局長の要職を務める。

 鋼原料部門の産業廃棄物許可関係では、収集運搬業をはじめ中間処理業(福岡県、北九州市)、特別管理産業廃棄物収集運搬業などを取得している。

関 東のベースメーカー各社は、ベース小棒の4月契約について3月と同様に、4月2日から6日までの5日間に限定した枠売り(数量、価格を固定)を実施する。価格は据え置く。市況は2万8000円どころで強含みに転じつつあるが、メーカーはさらなる地合い固めに、4月契約も2月比1000円アップの販売を続ける。3月分は月末までに枠分の70%強が消化され、総合商社を中心に流通の理解を得た。4月は評価実績に見合った分しか売らず、3月に明細を寄せた商社とそうでないところを区別した販売対応を取る。

 メーカー各社は、2、3月と25%減産、30%販売カットの方針を掲げ、市況改善に努めてきた。3月契約では、異例の5日間限定の枠売り販売を実施し、2月契約比1000円の向上を図った。総合商社の反応はよく、3月後半にかけて明細の出が活発化し、メーカー販価は浸透。商社は3月初旬から2万8000円以上での高唱えに入った。

 一部専業商社では、メーカーに対し発注を見送っている向きもあり、商社の対応にはバラツキはある。これに対しメーカーサイドは、「3月の販売量に見合った量しか売らない」と、3月契約で協力姿勢をみせた商社と明細の出が少なかった商社とで、販売対応を明確にする。

北 越メタルは30日に開いた取締役会で、トピー工業常務の清水良朗氏を社長として迎え入れることを内定した。6月下旬の株主総会後の取締役会で正式に決める。大谷壽正社長はトピー工業常務に就任する予定。

 大谷社長は99年に就任。生産面のエキスパートとして体制を構築、2年目の00年度下期で黒字化にメドをつけた。国内外の営業面で実績のある新社長・清水氏は、販売の強化に取り組む。経営企画の経験を生かして、信越地区での業界再編も進めるものとみられる。

 ▼しみず・よしろう氏=47年8月2日生まれ。早大法卒。71年4月トピー工業入社。94年6月海外部部長。98年6月取締役、経営企画部部長。00年4月常務、経営企画・関連会社に関する事項担当。岐阜県出身。53歳。

日 本鋳鍛鋼会がまとめた2001年度鋳鋼、鍛鋼生産見通しによると、鋳鋼生産は27万トン(前年度比横ばい)、鍛鋼生産は57万6000トン(同0・9%減)と予測された。鋳鋼は豊富な手持ち工事量を持つ船舶や、発電用機器、自動車などの伸びが、鋳鋼管、プレス・せん断機などのマイナスを相殺、前年度横ばいとしたほか、鍛鋼も石油精製プロジェクトに絡む容器類や、型用鋼、船舶が増加、自動車、鉄鋼用ロールなどの減少を補い前年度水準を堅持すると予見した。

 鋳鋼鋳放しは上期が13万5000トン(前年度同期比2%増)、下期も13万5000トン(同2%減)。鍛鋼打放しは上期が28万5000トン(同1・9%減)、下期が29万1000トン(同0・2%増)。鍛鋼は下期の自動車関連需要の増加を想定、下期に向けて緩やかな回復軌道をたどる予想だ。

 主な需要を機種別に見ると、鋳鋼では、船舶が5万1000トン(同4%増)、発電用機器が1万7800トン(同13%増)、バルブ・コックが2万トン(同3%増)、自動車が9100トン(同1%増)、鋳鋼管が3万1300トン(同7%減)、プレス・せん断機が8000トン(同15%減)、鉄鋼用ロールが8600トン(同6%減)など。

 鍛鋼では容器類が1万3000トン(同28%増)、型用鋼が6万トン(同3%増)、船舶が8万3000トン(同2%増)、発電用機器が5万2000トン(同3%増)、自動車が17万トン(同3%減)、鉄鋼用ロールが3万6000トン(同11%減)など。

大 阪製鉄(桑原達朗社長)は、今夏に西日本製鋼所(熊本県宇土市)の電気炉用トランスを更新する。老朽化更新だが、更新にあたり、安価電力を効率よく使う狙いから、トランス容量を大きくし、生産性を上げて、夜間操業比率を高める。NKK(トランスメーカーは富士電機)に発注、7月下旬から8月上旬にかけて更新工事を行う。投下金額は約10億円。

 西日本製鋼所は旧西日本製鋼で、1995年に大鉄に合併、大鉄の主要工場の一つとなった。主力の小棒のほか、スモールアングルなどを生産しており、現在の月間生産量は3万トン強。電気炉は70トン炉1基を保有、圧延設備は棒・形複合ミル。今回、炉用トランスが老朽化したため、約10億円を投じて今夏に更新することにした。西日本製鋼所としては、炉外精錬設備(LF)の導入以来の大型投資となる。

東 京地区の異形棒鋼は商社の高唱えが続き、2万8000円どころを強横ばいで推移している。メーカーが4月契約も枠売りを実施し、市況固めに臨んでおり、商社もおおむね了承している。商社が唱えを上げ、価格立て直しに向かっている。

 メーカーは4月も枠売りを決め、価格は据え置いた。3月は商社からの枠消化が70%と多く寄せられ、商社も2万8000円以上での受注を目指し、ゼネコンにアナウンスしている。スーパーゼネコンの反応は良いが、中堅どころが抵抗し、高値は通りにくい。

 ゼネコンサイドではいまだ様子見だが、当分強気のメーカー姿勢が引っ張る格好で地合いが固まる見通し。

東 京地区の表面処理鋼板は弱含み。市中価格は熱延下地5万6000―5万7000円、冷延下地6万6000―6万7000円中心。

 需要は店売り主力の建材が月を追うごとに落ちている感触。コイルセンターでは「自動車や家電など直需向けはそれほど落ちていない」との見方だが、形鋼など建材関係で本来引き合いが出る3月の商いが低調とされ、4―6月の需要にも不安感が広がっている。

 市況は輸入、国内材を含めてコイル価格の先安ムードが強く、市中も当用買いに徹して市況が落ち着くのを見守る状態。溶融めっきは東京製鉄が値下げを発表したが、電気めっきに対しても値下げ圧力が波及している。

大 阪地区の異形棒鋼は様子見。相場はベース2万5000―2万5500円どころ。メーカーが3月契約で販価据え置きの期日限定販売と4月契約での1000円値上げを併せ表明したことで、ゼネコンサイドは部分的に買いに転じた。

 メーカーはここにきて改めて4月契約での1000円値上げと期日限定販売方針を打ち出しており、流通サイドもこれを受けて極端な安値での販売は回避する動きにある。メーカーネットは現状ベース2万5500円どころ。

 当面、流通とメーカーの4月契約に関心が寄せられるが、需要自体がさほど多くないだけに、相場の反転展開には時間がかかりそうだ。