2001.04.11
三 菱商事系の電炉メーカー、関西製鋼(本社=大阪府堺市、清吾修三社長)と臨港製鉄(本社=大阪府交野市、中野修行社長)は10日、10月1日付で対等合併すると発表した。合併後の新会社は月間生産量4万トン強、うち平鋼が3万トン強。平鋼の全国シェアは26―27%に達するとみられ、平鋼では関東の王子製鉄と肩を並べる国内トップメーカーとなる。合併でシナジー効果を発揮し、コスト競争力を強化、関西地区において平鋼の安定軸を構築する。

 両社は昨年10月に業務提携強化を打ち出し、提携強化施策の実施に向けて検討を進めてきたが、その過程で効率生産と電炉工場としてある程度のスケールメリットを追求するために、合併による施策実行が不可欠と判断、先月、トップ間で合併合意に達した。

 合併比率は1対1で法手続き上、臨港製鉄が存続会社となる。関西製鋼の清吾修三社長が新会社の社長に、臨港の中野修行社長が代表権のある会長に就く。合併後の資本金は15億円の予定で、三菱商事が筆頭株主になる見込み。新会社名は「新関西製鐵」(仮称)。本社所在地は堺市の現関西製鋼本社。工場名は関西製鋼の工場を本社工場、臨港の星田工場を臨港工場とする予定。年間売上高は216億円規模、従業員数は約500人。新会社は一昨年12月の王子製鉄、関西製鋼、臨港、三菱商事の4社業務提携に基づき、王子製鉄との提携関係を継続するが、王子の出資は当面ないという。

経 済産業省は官・民レベルで日本、韓国の鉄鋼業について話し合う「第4回日韓鉄鋼対話」を、このほど同省内で開催した。日本からは経済省の半田力・鉄鋼課長、新日本製鉄の三村明夫副社長、日本鉄鋼連盟の弘津匡啓専務理事らが、韓国からは産業資源部の安※鎬・基礎素材産業課長、浦項綜合製鉄(POSCO)のパク・ハンヨン熱延資材部長、韓国鉄鋼協会のカン・ダェシク常務理事などが出席。日韓の鉄鋼貿易では米国の通商法201条発動の可能性など保護主義への懸念で認識を共有、正統性のない貿易制限措置に協力して対処することで一致した。両国鉄鋼業での構造改善でも事業再調整などについて情報交換を緊密化していくこととなった。

 日韓鉄鋼対話では冒頭、経済省の岡本巖・製造産業局長が「グローバルな環境変化の中、両国の協力は重要で拡大、均衡を図る」と述べ、両国間の情報、交流の必要性を強調。これを受けて対話では、@日韓両国の鉄鋼業の現状A両国の鉄鋼貿易動向B鉄鋼業界の構造改善C経済協力開発機構(OECD)鉄鋼委員会への対応―などについて意見を交わした。また、次回第5回日韓鉄鋼対話の開催については、今年秋をメドに韓国・ソウルで開くことを決めた。開催は今回と同様、官民レベルの形で行われる。

(※は王に玄)

鋼 製ラックメーカーの双福鋼器(本社=大阪府東大阪市、資本金2800万円、管財人=中井康之弁護士)は民事再生計画案をスムーズに進めるため、今月25日増資を行う。増資金額は8400万円(一株の額面=500円、発行株式数=16万8000株)で、増資後、新しい資本金は1億1200万円となる。増資には材料納入業者など10数社が応じる予定。鉄鋼関係では鋼材販売業者の港鋼材(本社=大阪市西区)が5750万円(11万5000株)を出資するもようで、出資後、出資比率が51・3%と過半数を占める。また、鉄鋼二・三次製品の特約店の大東鉄板(本社=大阪府門真市)も600万円程度(1万2000株)を出資する方向。管財人サイドでは「さらに、増資を予定しており、再建に向けて頑張っていきたい」としている。

 同社は1967年に設立、スチールラックなどの鋼製物流機器を製造・販売・施工していたが、景気の低迷や上野工場(三重県上野市)の過大な設備投資が影響し、資金繰りが悪化、昨年5月に民事再生手続きを開始。

 今年1月に再生計画案をまとめ、大阪地方裁判所に提出、3月12日に債権者集会を開き、計画案は圧倒的多数で可決した。その後、3月29日にメーンバンクの大和銀行と民事再生の協定が成立。これは大和銀行の持つ上野工場の担保評価額などで合意したもの。

 また、再生計画案の具体策として増資が必要としており、計画案の可決認可後、材料納入業者などに出資を要望・要請していた。このほど、納入業者のうちの10数社が内諾したもので、鉄鋼関係では港鋼材と大東鉄板が出資に応じる予定。

N KKは10日、今年1月に営業運転を再開した京浜製鉄所内にあるエヌケーケー鋼板の第3溶融亜鉛めっきラインのプロセス制御コンピューター(プロコン)として、Linux(リナックス)をオペレーティングシステムとした汎用パソコンシステムを、日本で初めて採用したと発表した。

 リナックスおよび制御用補助ソフトを搭載したオープン系プロコンシステムを採用することにより、システム構築費用は従来の専用コンピューターに比べて40%以上の大幅なコストダウンを達成した。

 このシステムでは、将来のリプレース時期においても、機能アップしたパソコン本体のみの単純更新が可能であり、従来のようにハード・ソフト一体となった更新が不要となるため、従来の10分の1と非常に安価で短期間かつ容易なリプレースが可能となった。

 新システムは、現在トラブルもなく順調に稼働中であり、今後、京浜製鉄所の製鋼のプロコン、福山製鉄所のラベル張り付けのプロコンなどに普及を図っていく。また、開発を担当したNKKグループ会社である鋼管電設工業が、今後は製造業向けにシステム全体を外販していく予定。
大 手重仮設業者、丸紅建材リース(本社=東京都港区、冨貫秀一社長)は、日商岩井鉄鋼リース(本社=東京都中央区、佐藤喜久二社長)、ヒロセ(本社=大阪市西区、廣瀬太一社長)と、ヤード共有化・重仮設資材共同保有で地域提携に向けた話し合いを進めていることが明らかになった。早ければ本年度中にも地域提携を全国に広げ、さらにコスト競争力を高める目的で一歩踏み込んだ包括提携を視野に入れるものとみられる。これによって業界再編が加速する。

 丸紅建材リースは現在、相手先と地域提携に向けた話し合いを行っているが、その第一段階として、東播工場(兵庫県加古郡播磨町、現在賃借中)の在庫と機能を今後、日商岩井鉄鋼リースの大阪工場(大阪市西淀川区)に移設・統合し、資材を共同保有する。

 丸紅建材リースは、3月30日付で東播工場の敷地(約2万2000平方メートル)と建物(延べ床面積約1600平方メートル)を9億4600万円で芙蓉総合リースに売却し、この固定資産売却益5億9900万円は前期決算に特別利益として計上する予定。同社では現在、同敷地と建物を賃借しているが、日商岩井鉄鋼リースとの地域提携で大阪工場の一部を借りて在庫を共同保有するか、ヤードを共有化するかで検討を進めている。

 第二段階は、ヒロセと南東北・北関東地区での提携を検討。候補地として丸紅建材リースいわき工場(福島県いわき市)と、ヒロセ郡山営業所・工場(福島県須賀川市)などが挙がっている。
国 土交通省はこのほど、2001年2月の建設機械器具リース業等の動態調査をまとめた。それによると、建設機械器具リース業(50社)、重仮設リース業(8社)、軽仮設リース業(15社)の2001年2月賃貸売上高は合計337億6500万円、前年同月比1・2%(4億900万円)、前月比16%(46億5400万円)ともにプラスとなった。

 業種別に見ると、建設機械器具リース業は197億5700万円で前年同月比3・3%増(前月比23・2%増加)。重仮設リース業が71億400万円と同7・6%減少(同9・7%増)。軽仮設リース業は69億500万円で同5・7%のプラス(同4・8%増加)に。

 建設機械器具リース業は前年同月比で増加に転じたものの、重仮設リース業は15カ月連続で減少。軽仮設リース業のみ増加し、これで11カ月連続プラスと、引き続き好調をキープしている。
欧 州委員会は、最近実施した域内鉄鋼メーカーの設備投資動向をまとめ、公表した。それによると、EU鉄鋼業は2002年までに粗鋼生産能力を、99年末現在の1億9990万トン(年間)から2億580万トンへ引き上げる計画である。特に高炉一貫メーカーの主力設備となる熱延コイルは、8720万トンから9250万トンへ530万トン、6%の拡充が見込まれている。日本鉄鋼輸出組合が明らかにした。

 EU域内の鉄鋼生産は、99年が1億5511万トンで前年比2・9%減。00年が1億6331万トンで同5・3%増と回復したものの、01年は年初から調整局面にある。主力マーケットの一つであるドイツの鋼板市況は、00年第4クオーターをピークに低下傾向にあり、減産による在庫調整が進められている。こうした中で、ユジノールやコーラスなど巨大一貫メーカーを柱とする、再編や工場閉鎖などの動きが見られている。しかし、中期的には老朽工場の更新などが必要とされており、中核工場では設備投資が活発化している。

韓 国鉄鋼協会はこのほど、韓国の2000年の鋼材総需要動向と生産実績(確定)を発表した。それによると00年の鋼材総需要は、5215万トンで前年比9・9%の増加となった。全鋼材では初の5000万トン台乗せ。過去最高だった97年の4922万トンを293万トン上回った。国内粗鋼生産は4887万トンで、これも過去最高を記録した。

 韓国鉄鋼協会によると、韓国の鋼材需要は97年をピークに98年から縮小に転換していた。99年から回復したものの、97年レベルを下回っていた。しかし00年は、国内景気回復と輸出増が契機となって急速に回復している。

 鋼材ベースの総需要は5215万7000トンと、初めて5000万トン台を突破。内訳は名目消費が3846万7000トンで前年比13・9%増。輸出が1369万トンで同0・1%増。

 これに対応して国内生産は、4886万5000トンで同8・7%の増加となった。輸入は329万2000トンで同31・4%の増。リロール用のホットコイルを含めた輸入は、797万8000トンで同28・5%の増加。

 一方、粗鋼ベースでは、総需要は5423万トンで同9・7%の増加。内訳は名目消費が4000万6000トンで同13・7%増。輸出が1423万3000トンで同0・1%の微減。生産は4310万7000トンで同5・0%増。輸入は1113万トンで同32・8%の増加。

東 京地区の冷延薄板市況は弱含み。市中価格(1・0―1・6_、ベースサイズ)は4万8000―4万9000円。建材需要にかげりが出ているうえ、コイルの先安気配から引き合いが落ちて安値寄りの展開。輸入冷延コイルは月間8万トンを超えるペースで入着し、需要に対して供給が上回っている。発生品を含めて3月は供給が増えて在庫が増加したとみられる。

 販売業者は先行きも市況は弱いとするが、熱延薄板に底値感が出てきたことは好材料。ただ、4―6月は需要の端境期で期待が持てず、さらに下落する可能性もある。1枚、2枚のばら売りでは6万―6万2000円での商い。

東 京地区の等辺山形鋼市況は6×50で3万5000円、溝形鋼は5×50×100で3万9000円中心の横ばい。一部のメーカーによる関東のみ1000円の値上げやH形鋼の弱基調から、荷動きの悪い状況が続いている。

 特約店は4月の申し込みを、3月比で30%程度減と大きく絞っている。もともと需要が少なかったうえに値上げされたためだ。5月契約分を、メーカーは約束通り関西も値上げするのか、逆に関東の値を下げるのか不透明。このため様子見で、先延ばしできるものは延ばす動きもみられる。入荷の遅れていた溝形鋼が入ってきていることもあって、タイト感はない。当面、市況上昇は困難とみられる。

大 阪地区のH形鋼市況はベース3万2000円どころで引き続きジリ安推移。4月に入っても建築需要は低調なままで、市中の荷動きも閑散。目立った物件は見当たらず、「春需の兆しは一向に見えない」(特約店筋)のが現状だ。

 市中在庫もここにきて増勢傾向に歯止めがかかってきたものの、依然として過剰感が強い。ときわ会の2月末在庫は6・6%増の7万4300トンと連続して増加したが、3月はメーカー各社の減産、流通筋の申し込みカットなどで横ばいもしくは微減の見通し。ただ、需給調整にはまだ相当の時間がかかりそうで、市況へのインパクトも少なそう。このため、市況は当面、弱含みで推移。