2001.04.27
住 友金属工業は26日、大競争時代にグループとしての総合力をフルに発揮するため、2002年10月以降の早い時期に純粋持株会社体制に移行することを骨子とする「変革と再生」に向けた実行プランを発表した。持株会社に移行することの効果について、同社では労務費削減で300億円、本社経費の削減で50億円,計350億円を見込んでいる。これに加え、今後2年間で固定費300億円、変動費200億円、合計500億円程度のコスト削減を実施するとしている。

 持株会社制への移行に先立ち、6月に大規模な組織改正を実施。同時に、固定費削減策と要員計画に取り組む。

 持株会社は鋼板事業、シームレスパイプを中心とする鋼管事業など製品別の分社化が構想されている。鋼板事業については、自動車や電機用鋼材分野で海外企業との提携を検討する。シームレスパイプ分野では欧州の世界的メーカーであるV&Mと製品技術開発で関係を深め、世界NO1の事業とすることを目指す。

 同社は昨年4月、小倉製鋼所と直江津製造所を分社化し、効果を上げている。分社化で機動力を高めるとともに、給与の見直しなどを行うことで、人件費を圧縮、競争力を強化する。

 組織改正は6月下旬の株主総会日付で、行い、「本社共通部門の再編・統合」「技術本部の廃止」「鉄鋼事業本部の再編」「シリコン製造所内組織の改組」「エレクトロニクス事業本部の廃止」などがその内容。

経 済産業省は26日、鉄鋼各社の2001年度第1・四半期(4―6月)鉄鋼生産計画の集計結果を発表した。粗鋼生産は2587万3000トン(前期比1万2000トン、横ばい、前年同期比84万トン、3・1%減)で、3月末に同省が策定した需要見通し2520万トンと比べ、67万3000トン、2・7%上回る。台湾への輸出も含めスラブなど半製品の積み増し、前期の高炉不調と今後の高炉改修を勘案して粗鋼生産は前期比横ばい。普通鋼鋼材生産は国内、輸出とも減少、市況下落、在庫増を考慮した生産計画となっている。

 今期生産計画が需要見通しを上回った点について、中間製品、半製品ベースでの減少が小さいことと、需要見通しよりも在庫圧縮へ向けた対応が小幅にとどまったことが要因として挙げられる。今後、同省では、これまで3カ月置きとしてきた生産計画ヒアリングについて、より詳細に実態をつかむため、必要に応じて主要メーカーなどを対象に、ヒアリングしていく方針だ。

 第1四半期生産計画では、普通鋼鋼材生産が1925万トン(前期比42万9000トン、2・2%減)。内訳は国内向け1500万3000トン(同33万6000トン、2・2%減)、輸出向け424万7000トン(同9万4000トン、2・2%減)。輸出については、中近東向けなどのパイプ輸出の増加や2月、3月に減少した韓国への輸出が通常ベースに戻るものの、市況など環境悪化の著しいアジア市場を見据えた対応となっている。

日 立金属は26日、2001年度から03年度までの中期経営計画を策定、発表した。自助努力で成長できる体質づくりを念頭に既存事業での収益性を高め、情報・エレクトロニクス、環境・省エネルギー分野の展開を拡大する。連結ベースで03年度の売上高を00年度比755億円増の5550億円、営業利益を同218億円増の472億円、ROEも5%を10%に高める。併せて有利子負債を342億円圧縮し1510億円とし、人員も国内外で1176人減の2万2600人とする。3年間の設備投資は累計765億円とし、収益基盤強化と開発・事業化への重点投資を行う。

 具体的には、4月からの社内カンパニー制、執行役員、経営役制度導入などマネジメント機構改革を踏まえ、既存事業(Tビジネス)での利益最大化とエレクトロニクス、環境など新規事業(E―ビジネス)の再構築を図る。

 E―ビジネスでは電子金属材料、携帯電話関連部品、耐熱鋳造製品とこれまでけん引材料だった事業で市場環境の変化を加味し、競合優位性を確保するための戦略を再構築。これ以外では成長製品に特化、ファインメタル、超微細加工、先端磁性材料・応用技術など独自技術基盤を生かし、大差別化、新製品別創出を図る。

 T―ビジネスでも徹底したコスト低減と高付加価値を生む置換型製品などに注力する。市場全体を見据えたM&A、アライアンスも進め、アジア価格を念頭にコスト競争力を高め、適地適産体制を敷く。これらによって、755億円の増収のうちE―ビジネスで630億円、全体構成比36%(現状29%)に引き上げる。
住 友金属工業は26日、役員人事を内定した。6月下旬の定時株主総会、総会後の取締役会で正式決定する。

 取締役人事では退任予定は小島又雄会長、森禮次郎相談役、橋本重彦副社長、上田英一副社長、川田洋輝副社長の5氏。小島氏は相談役に、森相談役は相談役のままシリコン ユナイテッド マニュファクチュアリング社長に、橋本氏は住友シチックス尼崎会長、上田氏は住金物産社長にそれぞれ就任する。

 取締役就任予定は藤原勝行常務執行役員・和歌山製鉄所長。これにより取締役は現在の12人から8人に削減され、平均年齢は60・1歳と2・3歳若返る。

 執行役員人事では、取締役を退任する橋本、上田、川田の3氏のほか、小林純夫、吉住堯宇、長野一宇、吉野好男、竹井功一、本城厚、宮崎隆の7常務が退任する。小林氏は5月31日付で退任、6月1日付でエア・ウォーター顧問に就任する予定。また本城氏は社友に就任する。

 執行役員就任は作田頴治(42年慶応卒、元通産相基礎産業局長、中小企業金融公庫理事)、松尾嘉久(42年九州工業大卒、シチックス事業本部シリコン製造所副所長)、八木克彦(44年神戸大卒、ステンレス・チタン事業部長)、本部文雄(45年京大卒、薄板営業部長)、重松達彦(47年京大院卒、シチックス事業本部シリコン製造所副所長)の5氏。

 執行役員は33人から28人に減少し、平均年齢は57・2歳へ1・2歳若返る。

 昇格人事は、橘昌彰取締役専務が副社長に昇格するほか、藤原勝行、末光邦彦、戸谷靖隆の3常務が専務執行役員に就任する。

住 金物産は26日、上田英一・住金副社長の社長就任などをはじめとする役員人事を内定した。6月28日の定時株主総会、総会後の取締役会で正式決定する。

 取締役人事は上田英一・住友金属工業副社長が社長に就任するほか、宮崎隆・住友金属工業常務執行役員が常務に、また吉住克正・北京事務所長、梶敏彦・大阪機械部長、瀧茂樹・東京建設建材部長がそれぞれ取締役に就任する。

 退任予定取締役は幾佐田隆二社長、幸田明治副社長、平木剛常務、山本紘四郎常務、北崎勝征取締役、樋富昭宏監査役の6氏。

 幾佐田氏は特別顧問に、幸田氏は顧問、平木氏は監査役、山本氏はつぼ八副社長、北崎氏はテイセン社長、樋富氏は滝本顧問にそれぞれ就任する。

 昇格人事では、井上尚男専務が副社長に、大塚隆平常務、中路孝行常務がそれぞれ専務に昇格する。
大 同特殊鋼は26日、同社がシェルグループと共同開発したPTT(PPW Technology Tube)が、シェル化学の本社工場(オランダ)の全炉で採用される見通しになったと発表した。大同特殊鋼では既に、同工場のエチレンプラント1炉分(約1000メートル)を受注・製造しており、8月までに納入の予定。同社では世界のエチレン製造炉管市場を年間1000億円と推定、PTTの最終的な売上高を50億円と設定している。

 PTTは、エチレン精製炉の熱分解反応管内に生じる炭化物の付着を防止するため、管の内側にCr―Ni―(Mo)の高合金粉末を約3ミリ厚で肉盛溶接し、耐浸炭性および耐コーキング性を高めた複合管。昨年2月から14カ月間行われた国内エチレンメーカーの実機試験では、世界で初めて、出口管部で完全ゼロコークが確認された。

 発表会見に出席した、PTT販売のサポートを担当するシェルグループのシェル・グローバル・ソリューリョンズのターバイン技術部長は、PTTの採用メリットについて@プラントオペレーション時間の倍増Aパイプ寿命が3倍に延長Bメタルダスト防止効果――などを挙げ、「年産5万トンのエチレンプラントでPTTを採用すると、約1億8000万円のコスト削減効果がある」と説明した。

住 友金属テクノロジー(本社=尼崎市、長井俊彦社長)は、新規事業部門として環境ビジネスを強化している。鹿島事業所でスタートしたダイオキシン測定の受託事業が、初めて年間3億円台を突破。さらに和歌山事業所で具体化している上水検査も、近畿圏内まで受注エリアを拡大。前年度は2億2000万円まで増加した。環境事業は参入企業の増加で、価格競争が激化しているが、需要規模が拡大しており、「今後の新規事業の柱の一つとして強化していく」(長井俊彦社長)方針。

 同社は、住金グループの企業として各種材料の分析、評価試験、車両部門の検査、試験、水質、大気の測定など多様な分野で展開している。メーンは金属素材にかかわる部分であるが、ここ数年、上水検査や空気中の汚染物質の測定などの分野にも進出している。

 ダイオキシン測定事業は、鹿島事業所が先行して具体化しているもので、精密測定器2基を導入して事業化している。

 受託事業の大半が地元自治体で、鹿嶋市周辺の自治体を中心に実績を伸ばし、前期で初めて3億円台に乗った。事業分野としても一定の規模に達しており、今後も強化していく。

関 西鉄鋼センター(本社=大阪市此花区、星山秀正社長)は来月末から、新しい生産管理システムを本格稼働させる。同システムは工場内を番地に区切った在庫管理(番地管理方式)、設備稼働状況の管理、部材の進捗管理の3つから成り、同社とマシンプランニング(本社=横浜市、並木吉治社長)が共同で開発。すでに3月末から大板の在庫管理を先行的にスタートした。

 在庫管理は非接触ICタグを母材にピンで溶接、これを工場内の倉庫部分3カ所に設置したリーダーで在庫状況を読み取り、倉庫端末から事務所端末にオンラインで情報が流れる。また、設備稼働の管理はNC内蔵の切板設備にコンピューター端末を置き、設備の稼働状況を端末のアンテナを用いた無線LANで事務所側とやり取りする。今回のシステムの導入は倉庫作業の省力化、棚卸しの軽減、生産性の向上に加え、受注・生産・出荷管理が迅速にできる体制となる。

 同社は新日本製鉄の指定シャーで、本社工場にはフレームプレーナー1基、NC溶断機3基、プラズマ溶断機2基、レーザー加工機1基、アイトレーサー2基、小物の加工設備があり、橋梁、鉄骨向けに切板を行っている。

東 京地区の厚板市況は大型連休を控えて様子見気配だが、市況の基調は弱い。市中価格(12_、ベースサイズ)は3万9000―4万円中心。仕事量について、溶断業者では「年明けの出足が悪かったことに加えて、4月から一段と落ちている」との見方。建築需要が中小加工業者に波及しないため、各社に温度差はあるが、全体的に受注が細っているようだ。

 供給は韓国を中心とした輸入材の提示価格が下がっており、先安観から手当てを控える動きが顕著。国内の無規母材は3万円台半ばの価格を維持しているようだが、今後は輸入材の影響を受けて値下がりする可能性も出ている。目先も弱含みか。

東 京地区の等辺山形鋼市況は6×50で3万5000円、溝形鋼は5×50×100で3万9000円中心の横ばい。一部メーカーの西地区向け販価据え置きで、関東流通には停滞ムードが漂っている。

 4月はメーカー販価が1000円上昇したが、それに伴って市況が上がる気配はなかった。むしろ特約店の在庫量は3月比で微増。一番の原因は実需がないこと。例年と違って、4月のほうが3月よりも荷動きが悪い。このため流通の採算は悪化。5月の申し込みも必要分のみに抑えるが、「手の打ちようがない」(特約店)。メーカーは減産するが、申し込み自体が大きく減っているためタイト感はない。当面横ばい。

大 阪地区の厚板市況は需要が細ってきており、扱い特約店は今ひとつ、販売を引き締め切れない。これを反映し、市況は4万1000円どころで弱含み。

 新日本製鉄など高炉各社が相次いで、厚板の減産を表明したが、足元の流通の入荷は目立った形で減っていない。ただ、特約店などでは申し込みを抑制する動きが出ている。

 一方、需要は主力の建築が依然として低調なうえ、機械も設備投資が落ち込んでいる。ユーザーから特約店への引き合いも小口当用買いが中心。溶断業者の加工も稼働率が70%程度となっている。ただ、流通は極端な値下げを回避しており、市況は大幅な下げがないものの、弱含み展開となっている。