2001.05.08
N KKの鋼構造本部は、2000年度の鉄骨受注量が過去最高の8万400トンを達成するとの見通しを明らかにした。同社は、国内五指に入る大手橋梁鉄骨メーカーだが、これまでの過去最高だった92年度の6万4000トンを大幅に上回る受注量を確保することになる。2001年度の鉄骨発注量は、99年度並みの700万トンとなる見通しだが、2001年度もほぼ横ばいの7万トンの受注確保を狙っていく方針。

 全国の鉄骨需要は、90年の1300万トンをピークに落ち込み、99年度は746万トンと非常に厳しい状況。2000年度も全国的には需要低迷といった状況が続き、全国で814万トンと微増にとどまった。一方、低調な需要環境のなか、品川や六本木など首都圏では、15件に及ぶ超大型プロジェクトがスタート。2000年度は、首都圏だけで180万トンの発注量があった。

 同社では、関東地区中心に鉄骨営業を行ってきたこともあり、こうしたプロジェクトを確実に受注したことが過去最高の受注量達成につながったものとみられる。

 営業面では、ゼネコンの設計施工まで踏み込んだ技術提案を推進。予算縮減のなか、低コストで製作しやすい鉄骨供給体制を整えてきたことも大きい。ターゲットを絞り込み、大型案件1件ごとのボリュームを増やすことで効率化とコストダウンを徹底させた。工場のベースワークになる。

住 友金属工業はこのほど、米GM社から部品素材メーカーとして貢献度の高い企業に贈られる「2000年サプライヤー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。同賞の受賞は一昨年に続いて2回目で、日本を含むアジア大洋州の鉄鋼メーカーでは同社が唯一の受賞メーカー。先月28日ワシントンで表彰式が行われ下妻社長が出席した。

 今回の受賞は、GM社が世界展開の中で重要性を高めているアジア大洋州地域での長年にわたる貢献度が認められたもの。とくに、同社では自動車用鋼板の製造を鹿島製鉄所に集中させており、高級自動車用鋼板の製造、短納期協力、SCMサービスなどに関し鹿島での対応が評価された。

 GM社では評価基準として品質、サービス、技術、価格などを要求しているが、品質に関しては豪州ホールデン社向けに30年にわたり高級自動車用鋼板を安定供給しているほか、タイ新工場向けに東南アジア初のBH鋼板を供給するなどの実績が評価された。またサービスに関してはSCM構築、新規プロジェクト立ち上げへの鹿島からの集中支援、短納期対応などが挙げられる。

 なお、住金とGM社との取引は、豪ホールデン社との取引のほか、近年操業を開始したタイ・中国(上海)の新工場向け供給、GM本社、欧州拠点との技術交流などがある。

普 通鋼電炉工業会(会長=佐々木喜朗・合同製鉄相談役)は7日、正副会長会議を開き、2月に発足した「小棒取引き勉強会」の中間報告(第1ステップ)を行った。メーカー、商社が参画して、全国各地区の小棒取引の実態と問題点の所在を明らかにし課題を上げた。中間報告を踏まえ、今月から約3カ月間の第2ステップに入り、改善に向けた具体的方策を検討する。

 同勉強会は、「時代の変化で不具合の生じている」(佐々木会長)小棒取引の実態と問題点を把握し、改善策を見いだすことが目的。日野斌・合鉄取締役を委員長に、メーカー7社、商社4社のメンバーで計6回行った。

 実態について、まず契約書が明確でない点を挙げ、例としてメーカーの販売契約方式である「枠」を商社が完全に消化する認識が希薄であり、「契約概念の明確化が必要」(佐々木会長)とした。

 また、メーカーと商社の姿勢をとらえ、(1)価格に対するメーカー姿勢が不明確(2)商社がメーカーと同じ立場に立脚していないことが、「市況製品」化を増幅している―とした。メーカーが直接ゼネコンと交渉する際の価格と店売り価格との差異、あるいは商社による価格変更など価格に対するメーカー、商社それぞれの責任を明確にする必要性を論じた。

 取引方式にも触れ、プロジェクト・定期商談・店売りの3タイプに区別するが、各メーカーで運用・解釈がマチマチであり、価格変動要因の一つとした。また、規格・サイズ・運賃などのエキストラがメーカーの過剰サービスもあり、各地区で異なる点を取り上げた。
経 済協力開発機構(OECD)は、今月10日、11日の両日、中国・上海で「OECD・中国ワークショップ(WS)」を開催、中国の鉄鋼産業動向や鉄鋼貿易などをテーマに意見を交わす。WS開催に合わせ、9日にはOECD鉄鋼委員会の非公式鉄鋼会議を開き、米国での保護主義台頭も踏まえ、通商問題などについて討議する。中国の世界貿易機関(WTO)加盟も見据え、中国の国際化促進や、米国をはじめとする保護主義台頭や生産能力と消費の需給バランスなど、鉄鋼をめぐる国際通商問題を中心に議論が展開されることになる。

 OECD・中国WSはOECD、中国政府、中国鋼鉄工業協会の主催。OECDでは通常、春、秋の年2回、パリのOECD本部で鉄鋼委員会を開催しているが、今回は春開催をWSに変更して行うことにした。

 WSの主要テーマは(1)現在の鉄鋼の傾向として生産、消費、貿易の現状について(2)貿易政策(3)構造調整(4)効率性と環境について―など。

 日本からは経済産業省の半田力鉄鋼課長のほか、日本鉄鋼連盟の鈴木孝男常務理事なども出席、鉄鋼と環境の調和として環境関連について説明する予定だ。

 中国とは先月24日、北京で「日中官民鉄鋼対話」の第1回会合を開き、政府、民間合わせて日中の鉄鋼産業をめぐる諸情勢について意見交換した。

 今回のWSでは、同対話の成果も踏まえ、中国鋼鉄工業協会の呉渓淳会長とも会い、中国の国際化を念頭に、中国鉄鋼業の構造改善、設備や需給などを議論。合わせて世界貿易まで幅広く意見交換を図る。
住 友金属建材(津田和明社長)は、同社の金属屋根主力商品である高級金属瓦「ロイヤル」の販売が好調であることから、今年度販売量を前年度の2・5倍にあたる25万平方メートルへ引き上げる方針である。「ロイヤル」は、0・5ミリ厚のアルミ・亜鉛メッキ鋼板にフッ素樹脂塗装した20年保証の金属瓦で、施工性に優れ軽い、高耐食性かつ高強度、断熱性・遮音効果に優れているなどの特長を持っている。

 同製品は当初、スウェーデン・プラニィア社から輸入販売していたが、99年同社から技術導入し堺製造所に製造設備を導入、自社生産に切り替えた。素材から一貫生産の強みを生かし販売に力を入れているもので、ユーザーからの評価も高く販売量は急速に増加してきている。昨年度は10万平方メートルを販売したが、今年度は2・5倍にあたる25万平方メートルを目指すというもの。

 「ロイヤル」は施工性に優れ工期が短縮される、重さは和瓦の9分の1と軽く耐震性に優れるなど金属瓦としての特長に加え、素材に20年保証のフッ素樹脂塗装鋼板(溶融55%アルミ・亜鉛メッキ)を使用、耐食性に優れている。高強度で結露防止・遮音性に優れ、断熱効果も高い―など優れた特性をもっている。

 強度に関しては、一般の金属屋根工法が金属瓦と野地板をビスで直接留めるのに対し、「ロイヤル」はタイトフレームと呼ばれる補強金物を用いて野地板とビス留めするタイトフレーム工法を採用している。このため風速60メートルの暴風に対しても3倍以上の強度をもっている。また瓦の裏に裏貼材を使用、結露に強いほか遮音効果も高い。さらに断熱マットを使用することで、日本瓦より優れた断熱性能を示すなど多くの特長を持っている。
小 棒細物メーカーの大手、岸和田製鋼(鞠子重孝社長)は、電気炉の新鋭1基への集約リプレースを柱とする製鋼工程の再構築作業を進めているが、このほど電炉ヤード横に鉄スクラップヤードを新設する工事に着手した。新電炉の導入に伴い、現在3カ所に分散しているスクラップヤードを電炉横に移転集約するもの。

 新設するヤードは2棟(約6000平方メートル)で、旧酸素発生装置および製鋼整備工場、駐車場のスペースを活用し建設するが、今回はこのうち1棟(約3300平方メートル)の建設に着手、10月までに完成する。残り1棟の建設は新電炉の据え付け完了後に行い、来年3月までに完成の予定。建設に伴い、スクラップヤードに20トン天井クレーン6基を設置する。2棟の完成によるスクラップヤードの移転集約で、スクラップ在庫能力は従来の3万トンから4万5000トン程度にアップする。

 今回のスクラップヤード1棟の着工に続いて、5―6月には副原料投入装置の新設工事などに入り、7月からはいよいよ本体の電気炉の導入工事など、中核工事がスタートする。新電炉は炉外精錬設備とともに、既存の電気炉2基のうち1基(B炉)を7月に停止、撤去したその跡地に導入する。新電炉は11月ホットランの計画で、これに合わせ7―10月が工事のピークとなる。
電 炉向け酸素バーナーのパイオニア、旭工業(本社=神戸市東灘区深江北町、田淵雅也社長)は「AKバーナ」の今年の販売目標を昨年実績の約1・5倍の48セットに設定、電気炉向けのほか、近年脚光を浴びている公害関連向けで積極的に受注に取り組む。

 「AKバーナ」は同社が1966年に独自開発し、設計から製作販売までを手がける低燃費で燃焼効率に優れる酸素バーナー。

 従来、主に電気炉の鉄スクラップ溶解用として国内外で実績を挙げてきたが、近年、焼却炉のダイオキシン対策や飛灰、焼却灰、炭化物の溶解およびスラグの溶解用として脚光を浴びており、同方面での受注も伸ばしている。

 公害関連向けでは、96年からダイオキシン対策として高温による熱分解や飛灰、燃焼灰、炭化物の溶解、さらにはスラグの固着の再溶解などにトライし、予想以上の好結果を得たため商品化し、焼却炉プラントメーカーなどに対して提供し、実績を積んでいる。

 今年はこれまでに公害関連向けで18セット、電気炉向けで2セットを受注。操業合理化やダイオキシン規制強化の流れの中、公害関連向けで順調に受注を獲得している。

神 鋼パンテツク(田中滋社長)はこのほど、産業ガス最大手の日本酸素に水電解式水素発生装置「HHOG」一式を納入した。日本酸素から初受注したものだが、引き続き2台目の注文も入っており、さらに同社の支店・営業所からの引き合いも活発という。

 納入したのは日本酸素経由で粉末冶金メーカー向けに焼結炉雰囲気用として設置する水素発生装置1基(水素ガス発生量1時間当たり20立方メートル・供給圧力0・4メガパスカル)で、ボンベ供給からの切り替え。

 同装置が固体高分子電解質膜の使用により、純水を直接電気分解するため高純度の水素ガスが得られること、オンサイトで一定の圧力を保持したまま、必要なときに必要な量だけ水素ガスを発生させることができること、ボンベやタンクによる運搬・貯蔵が不要で、極めて安全性が高いこと、薬品類を一切使用せず、廃液・排ガスを出さないため環境面でも優れていることなどが客先のニーズに合い、受注に至ったとみている。

東 京地区の中板市況は市中価格3万4000―3万5000円(3・2ミリ、ベースサイズ)が中心で横ばい。在庫調整が徐々に進み、需給バランスは改善してきた。

 需要は建材が一服状態で、自動車や電機など直需向けは引き続き堅調。在庫は過剰感が残っていたが、流通では「バランスは良くなった」との声が聞かれており、高炉メーカーの受注調整も効果を表して在庫が減少に転じている。

 加工は「4―5日の受注残がある」(コイルセンター)と忙しい。ただ、コイル価格が下落してきた分、切板に対する値下げ要請も強く、特に建材は価格勝負となりやすいようだ。底値感は出ており、目先は横ばいか。

東 京地区の鉄スクラップ市況はメーカーH2建値6300―6900円どころ。実勢購入価格は6500―7000円と弱含みで推移。

 関東地区メーカーは炉休中のところが多く、「建値が動くのは来週以降ではないか」(スクラップディーラー)とメーカーの入荷を見守る情勢。メーカーの減産体制が続くため、値上げ材料は見当たらない。

 輸出は「配船遅れの船が来れば、5月の輸出量は4月と同ペースになる」(商社)との見方もあり、引き続き順調に推移しそう。一方、西日本では月2万トン程度だった東京製鉄・岡山工場の購入量が4月は3―4万トンと増えたようだ。

大 阪地区の等辺山形鋼市況はベース3万2000―3万3000円どころで安値寄り推移。

 連休明けとあって、市中は一時的に買いが入ったが、荷動きは総じて低調。

 建築、機械関連など主力需要動向に変化はなく、小口の引き合いが中心となっている。このため、扱い特約店筋の売り腰は相変わらず締まらない。

 また、僚品主力のH形鋼も連休前から下げ渋り商状となっているが、依然として軟調に推移。これに引きずられる形で、アングルも引き続き安値寄りの展開が続きそう。

 ただ、市中在庫は大阪製鉄、エヌケーケー条鋼の2大メーカーが供給調整を継続しているため、タイトな状況となっている。