2001.05.14
大 同特殊鋼は、精密鋳造部門で自動車関連分野を中核に事業基盤を強化する。減圧吸引法のCLA・CLVや、チタン鋳造のレビキャスト・減圧吸引精密鋳造法など同社の整備、プロセスを生かせる領域に特化させ、競争力を高めていく。自動車産業での環境対策を踏まえ、鉄系では減圧鋳造の溶解鋳造設備を増強、2ライン体制としたのを受けて、ディーゼル車向けを中心にターボホイールの生産を2003年までに月間30万個(現状22万個)にアップ、ターボラグのノズル弁の生産も6月から同50万個(同7―8万個)とし、今秋からは100万個に引き上げる。

 チタンでもチタン・アルミ合金のターボホイールを拡大させる。世界戦略製品と位置付け、用途開発も推進、新規成長事業として現行中期計画の最終年度02年度には売上規模を30%増の年間72億円レベルとする。

 同社・精鋳品事業部では、展開分野も同社保有設備や、プロセスによって優位性を発揮できる分野に特化。この結果、環境対応ニーズの強まる自動車関連分野を基軸に事業の高度化を図ることにした。これまでに品質、技術も含めた競争力強化を実施、生産子会社のダイドープレシジョンパーツ(岐阜県中津川市)での体制整備や、対応領域の拡大と不採算品対策として国内2社、海外5社(米国1社、韓国1社、台湾3社)へのアウトソーシングを行った。

 前年度下期で事業部の収益も黒字化、これをテコにより強固な体制づくりを進める。

伊 藤忠商事および丸紅は11日、両社の鉄鋼製品分野の事業統合会社の社名を伊藤忠丸紅鉄鋼梶i英語名=Marubeni―Itochu Steel Inc.)とすると発表した。設立は01年10月1日付、資本金が300億円、本社を千代田区の大手町フィナンシャルセンター内に置く。

 新会社の代表取締役会長には伊藤忠商事常務取締役の重富昭夫氏が、社長には丸紅常務取締役の岡崎誠之助氏が就任する予定。

 両社は新会社設立に向けて、総合商社としての機能を有効活用することを目的に(1)両社本社営業部門内の新会社対応組織(2)両社コーポレート部門内の全社横断的な組織(3)両社および新会社による3社連絡協議会――などの新組織を設置することも決定している。

 なお、両社は会社分割法により「分社型共同新設分割」による統合新会社を設立することを最終決定し、東京証券取引所に届け出済み。

 新会社の概要は次の通り。

 ▽伊藤忠丸紅鉄鋼(株)(英語名=Marubeni―Itochu Steel Inc.)

 ▽資本金=300億円

 ▽出資比率=折半

 ▽設立年月日=2001年10月1日

 ▽本社所在地=東京都千代田区大手町1丁目5番4号大手町フィナンシャルセンター

 ▽連結総資産=6300億円

 ▽連結売上高=1兆7000億円

 ▽総人員=730人

 ▽会計監査人=監査法人トーマツ

 【役員】

 丸紅=岡崎誠之助、西沢和彦、北嵐昭雄、佐藤隆治、高捷雄、北村猪之進

 伊藤忠=重富昭夫、木村俊雄、安部禎員、米澤常克、藤田純孝、山田清実

 【監査役】

 丸紅=米澤勇治、佐々木正典

 伊藤忠=菊池紀男、中村匡雄

川 鉄商事は、東日本地区での条鋼建材事業会社の収益拡大に拍車をかける。個々の事業会社が黒字化してきたことに加えて、川商が過去の負債を処理したことで財務体質も健全化。今後は販売機能にIT(情報技術)を絡め、配送機能まで拡充。要員のプロパー化によるローコスト・オペレーションも進めていく。

 条鋼建材事業会社は川商シビルコ(本社=東京都千代田区、川瀬忍社長)、諏訪熔工(本社=東京都千代田区、藤井洋司社長)、川商鉄鋼センター(本社=千葉県浦安市、神藤保社長)、トーセン(本社=東京都江東区、山本明社長)、東北川商鉄鋼建材(本社=仙台市青葉区、守屋義雄社長)の5社。

 川商シビルコは1000万円の資本金を、3月と4月に川商が8000万円払い込んで9000万円に増資。過小資本と債務超過を解消した。地場中心の直需営業が寄与、札幌の営業所開設、新潟や東京も地場ユーザー向けのキメ細かい営業が貢献した。今後は、川商鉄鋼センターの「ルート便」を利用して、ゼネコンの現場に土木資材を納入する体制を整える。すでに一部のゼネコン向けには納入を開始した。

 諏訪熔工は昨年の減資・増資で債務超過を一掃。期間損益では3年連続の黒字化を達成している。鉄筋のメッシュ工法の効果が出てきていることから、都内の大型プロジェクト物件向けにフル生産が続いている。
合 同製鉄は11日、船橋製造所で6日夜発生した電気炉のトランス故障により製鋼の操業が停止していることについて、「電機メーカーによるトランスの補修を22日ぐらいに終え、遅くても26日前後には操業を再開する」との見通しを明らかにした。

 故障したトランスを富士電機に持ち込み調査した結果、2次巻線の一部に損傷が見つかったとしており、その部分の補修を22日ぐらいまでに終え、その後、船橋製造所に搬送、据え付けを行い、遅くとも26日前後には操業を再開するという。

 故障がおきて約3週間で復旧のメドが立ったことで、ビレット在庫と大阪製造所からのビレットの応援供給という内部対応のみで、製品供給面への影響は回避できる見通しとなった。
エ ヌケーケー鋼板は11日、01年3月期決算について、売上高346億4900万円で前年度比34・8%増、経常利益1億8800万円で同49%増加したと発表した。同社はこれで2期連続して黒字決算を達成した。

 同社によると、01年3月期の前半において低能率品種の増加と設備の不具合により減産を余儀なくされたが、後半は好調に推移した結果、年度を通じて増収増益を達成したとしている。

 来期の見通しについては、景気低迷により建築関連の需要が弱含みで推移しそうで、デフレ傾向を反映するとともに各品種のユーザーの値下げ要請は厳しさを増しているという。

 こうした情勢の中、同社はガルバリウム鋼板(スーパージーニアス、ガルフレックスカラー)を営業生産する体制を整え、これら高付加価値商品を武器にした拡販と一層の合理化に努力する考え。
鋼 製ラックメーカーの三進金属工業(本社=大阪府泉北郡忠岡町、新井正準社長)は今期(01年9月期)の3月中間決算で、売上高で83億円と前年同期比10億円増、利益は経常段階で5億―6億円を上げたもよう。通期では当初計画通り、売上高で年間160億円と前期比7億円増、経常利益で10億円と同1億円増の確保を目指す。

 また、今年6月1日に中部地区の販売子会社の「アイチハーディー」を合併、中部支社とする。販売の強化と子会社の総務・管理部門を合理化するのが狙い。さらに、今年9月をメドに鋼製ラックの新製品の開発・販売を目指しており、製品メニューの充実化を推進していく。

 今上期はここ数年の販売の強化や、需要が比較的堅調だったこともあって、売上高で83億円と前期比10億円増となった。また、材料購入価格の低減、物流費の削減、生産性の向上もあって、上期段階で5億―6億円の利益を上げた。

 下期は今年から本格稼働した最新鋭の福島工場をさらに軌道に乗せる。すでに、3―4月には福島工場単体で、売上高は月間4億円を上げており、今後は月間5億円、年間で60億円まで引き上げていく。
関 東地区の鉄スクラップヤード業者で構成する関東鉄源協議会(会長=渡辺淳・丸和商事社長)は11日、商社を対象に6月積み鉄スクラップ輸出入札を行い、川鉄商事、丸紅テツゲンの2社が計1万9000トンを落札した。落札価格は7560―7800円で、関東地区メーカーの炉前価格を300―500円上回る。落札の内訳は川鉄商事が7800円(9000トン)と7660円(5000トン)、丸紅テツゲンが7560円(5000トン)。

 前月の入札(伊藤忠商事・兼松トレーディング・住友商事、1万4千トン、7650―7950円)に比べると、落札価格は100―150円下落したものの、国内市況との比較では引き続き有利な価格となっている。

 関東地区の鉄スクラップ需給は、電炉メーカー各社の減産と合同製鉄・船橋のトランス故障により、鉄スクラップ余剰感が強まっている。先週からの値下げの動きは計12社となり、輸出が市況下落の歯止めをかけることができるか懸念されるところ。

関 東地区電炉メーカーのH2建値の値下げが合同製鉄・船橋の影響もあって、先週までに計12社と広がった。

 11日入荷分から実施したメーカーは以下の通り。城南製鋼所は300円値下げし6300円、ダイワスチールは300円値下げし6500円、千代田鋼鉄は300円値下げし6400円、東京鉄鋼・小山は300円値下げし6000円、大三製鋼は300円値下げし7100円、向山工場は300円値下げし6000円となった。

 12日入荷分からの実施は三興製鋼で500円引き下げ、6000円に改定した。

 これで先週までに値下げを実施したメーカーは計12社となった。今週は東京鋼鉄が14日から300円引き下げ、6000円となっている。

東 京地区の異形棒鋼はゼネコンからの発注が鈍く、様子見展開が続いている。首都圏再開発工事向けにデリバリーは堅調だが、新規引き合いは連休後も復調の気配はなく、2万8000円どころで横ばい。

 商社は高唱えのまま、3月以来2万8000円以上の成約を掲げている。しかし、「上値と下値で分けて販売している」(内販商社)と顧客の指し値に応じてバラツキのある販売姿勢をとる向きもあり、一部2万6000円台の安値も見られるなど幅のある市況展開。

 メーカー各社は、連休を前後して操業を休止し、需給調整に拍車をかけている。ゼネコンの指し値は厳しいが、5月後半に期待される明細の出方によっては、動意が芽生えそう。

東 京地区の厚板は需要の落ち込みが響いて弱含み。市中価格(12ミリ、ベースサイズ)は3万9000―4万円中心。

 シャー母材は、供給過剰感が解消されていない。価格も韓国輸入材を中心に安値の話が出回ることで、手当てを見送る雰囲気が市場にまん延。国内メーカーは減産意思を表明しているが、6月にかけてどこまで供給が絞られるか、流通は不安感を持ちながら動向を見守っている。

 切板価格は中小溶断業者の仕事量落ち込みを反映し、一部値下げ要請に抗しきれない場合もある。4―6月の需要に期待は小さかったが、予想を超えた落ち込みで短納期での稼働が続く。目先も市況底入れは期待薄か。

大 阪地区の中板は需要が建材、機械ともに落ち込んでいるうえ、在庫の調整も遅れていることもあって、流通は弱気の販売が続いている。これを反映し、市況は3万2000円どころで弱含み。

 高炉メーカーはホットコイルの減産に本腰を入れてきているうえ、輸入も月間15万―17万トンと低水準。コイルセンターもメーカーへの申し込みを控えていることもあって、流通・コイルセンターの入荷は絞られている。一方、需要は建築、機械が落ち込んでおり、特約店の定尺の荷動きは小口中心でさえない。

 また、在庫はコイルセンター段階のシートで微減傾向にあるが、引き合いが低調なことから、過剰感は解消されていない。