2001.05.17
新 日本製鉄のエンジニアリング事業本部は、新中期経営計画初年度に当たる2000年度は受注高3100億円、売上高2900億円台を計上し、収益面では6事業部すべてが黒字化を達成したことを明らかにした。受注高3100億円のうち、国内の受注高が2900億円と過去最高の実績となったが、海外プロジェクトの期ずれなど、海外受注で一部目標値が未達だった。全体では売上高、収益面では各事業部ともほぼ計画をクリアしながらも、収益面で99年度3ケタ台の黒字が数年ぶりに2ケタ台へと落ち込んだ。

 同社のエンジニアリング事業本部は、バブル期に当たる92年の受注高4000億円をピークに、ここ数年、受注売上高ともに3000億円レベルで推移してきた。

 2000年度は若干ながら持ち直し、前年度比微増の受注高3100億円を計上した。今年度は、受注高の90%以上となる2900億円を国内受注が占め、海外受注が伸び悩んだ。2900億円実績は、国内受注高としては過去最高レベル。

 収益的には、これまで競争力強化の取り組みが功を奏し、6事業部すべてで黒字化を達成。「黒字は2001年度も継続していける」(小山副社長)見通し。各事業部のベースアップは2001年度も確保できそうだが、全体では3ケタ黒字には届かなかった。

 事業部ごとに見ると、ダイオキシン規制の影響から、99年度受注高550億円から前年度比45%増の800億円と過去最高の受注高を達成した環境・水道や、新規事業に意欲的に取り組むエネルギーエンジニアリングの健闘が効いた。

 一方、海外で積極的に事業展開する鉄構海洋事業部やプラント事業部では、プロジェクトの期ずれなどを背景に受注面で当初の年度計画をクリアできなかった。特に、東南アジアを中心とするプロジェクトが実を結ばないことが主な原因と見られる。

新 日本製鉄のエンジニアリング事業本部は人事処遇制度を改革し、2001年度から業績主義を徹底させた「コンピテンシー」のコンセプトを導入定着させる。学歴や年次、入社年数に関係なく「解析的に人の実力や業績をオープンにして適正評価していくこと」(小山巌副社長)でエンジ部門に携わる社員の能力開発を強化し、全体のレベルアップを狙っていく。

 今回、導入する「コンピテンシー」は、従来の業績評価制度が累積的評価だったのに対して「解析的に人の実力や業績をオープンにして適正評価していくこと」(小山巌副社長)。

 過去の実績や学歴、入社年次などに関係なく、プロジェクトでの役割など、その時での実績評価を具体的に徹底させる。

 社員一人一人が自ら能力開発の目標を掲げ、その結果やプロセスなどを適正評価する力を養うことで、各人のレベルアップや目標管理徹底など、エンジニアリング事業部の能力アップを図るのが狙い。

日 本鉄鋼産業労働組合連合会(荻野武士中央執行委員長)は16日、第8回総合政策委員会を開き、造船重機労連、非鉄連合との3産別組織統合について、全国9ブロック別の機関討議を踏まえ、鉄鋼労連として基本的に合意し、9月7、8日開催予定の次期定期大会に正式に提案することを決議した。同委員会はまた、統合に関する総合政策については荻野委員長に一任することも合わせて確認した。

 鉄鋼労連によると、3産別組織統合について、4月上旬から下旬にかけ、中国、九州、東海、東北、北陸、関東、北海道、四国、関西の全国9ブロックで単組、支部の代表や執行委員などに説明会を開いてきた。統合に関する検討内容は(1)組織統合の背景(2)経過と現況(3)組織統合の意義・目的、など7項目。

住 友商事の東南アジアの鋼板サービスセンターのひとつ、パンダイ・スチール・インダストリー(本社工場=シンガポール・ジュロンタウン、前田恒明社長)は、市場環境の変化に応じて競争力を一層強化することを目的に第1―3工場の設備・機能を本社がある第1工場に集約する。第1工場の隣接地に工場建屋を新設、すでに在庫、主要設備の移設をほぼ完了しており、「1工場、一元管理の新体制を6―7月に本格的にスタートさせる」(前田社長)方針である。

 生産・在庫拠点の集約は、足下の市場環境が厳しいことに加え、中期的にも同国内の鋼板需要規模の縮小が見込まれる中、おもにコスト競争力の強化を目的に実施するもので、建屋新設を含め投資総額は約600万シンガポールドル。

 従来の体制では第1工場がスリットおよびシャー加工、第2工場がおもに在庫、第3工場がプレス加工とサービスセンターとしての機能を分担していた。

 これを第1工場に集約することで、輸送コストの低減と人員削減を実施、またデリバリーおよびサービス管理を徹底することで生き残りを図る。同社は現地のパン・グループによって77年に操業を開始したもので、住友商事は78年に同社の株式49%を取得、95年に100%子会社化。
N KKは、改良型場所打ちコンクリート杭「NKTB場所打鋼管コンクリート杭(略称=NKTB杭)」に関して、本年度から土木分野への本格進出を図る。

 建築基礎向けを含む全体需要量4万トンのうち、50%のシェアを確保していく方針だ。

 NKTB杭は、従来の場所打ちコンクリート杭の杭頭部などの大きな曲げモーメントや、せん断力の作用する部分を内面リブ付鋼管巻きコンクリートとした複合場所打ち杭。

 同製品は(1)普通場所打ちコンクリート杭に比べて軸径を縮小できるため、残土・産業廃棄物の量を大幅に削減する(2)鋼管とコンクリートの複合体として強度的にねばり強さを有するほか、大きな曲げやせん断力に耐えることができる(3)鋼管の外径・厚さ・材質を変えることによって、自由に設計することが可能――などの特長がある。

 NKTB杭は、これまで各種建築物の基礎杭として数多く採用されてきたが、NKKではこのほど土木研究センターの技術審査証明を取得し、土木分野での普及に尽力している。
日 鉄建材工業(岡田明久社長)はこのほど、新日本製鉄が開発した高耐食性めっき鋼板「スーパーダイマ」を使った建材類を開発。このうち、プレハブメーカー向けに角パイプのサンプル出荷を開始した。すでに一部のプレハブメーカーから正式受注するなどユーザーの反応は良く、7月にも本格販売を開始する。

 同社では、昨年秋から「スーパーダイマ」を使った製品および用途開発を進めてきたが、角パイプや軽量形鋼など建材類の開発が完了し、このほどプレハブメーカー向けに角パイプのサンプル出荷を始めた。生産は6月にも仙台製造所で行う計画。

 ユーザーであるプレハブメーカーは従来、後めっき・後塗装を施した部材や、溶融めっき鋼板や「スーパージンク」(溶融亜鉛―5%アルミニウム合金めっき鋼板)を使った部材を採用。ただ、近年は「10年保証」など、一般ユーザーの高品質住宅に対するニーズが増えており、これに呼応するかたちでプレハブメーカー各社も製品の高品質化・高寿命化に取り組んでいる。

 「スーパーダイマ」は亜鉛をメーンに11%アルミニウム、3%マグネシウムおよび微量のシリコンからなる、新しい高耐食性めっき鋼板。耐食性のほか加工性にも優れており、外観は銀白色の美麗な仕上がりを実現。また、後めっき・後塗装するケースと比べて、コスト削減や納期短縮が可能でメリットは大きい。
日 商岩井の東南アジアにおける主要鋼板サービスセンター、シンガポール・エレクトリカル・スチール・サービシズ(SESS、本社工場=シンガポール・ジュロンタウン、兵藤良久社長)は2001年の販売数量を10万トン、売上高を1億1000万シンガポールドルと、ともに過去最高水準となった前年比微減の業績確保を目指している。

 同社は75年に操業を開始した日本の総合商社初の海外鋼板サービスセンターで、日商岩井の出資比率は70%。

 主要設備はスリッター4ライン、シャー5基、スタンピングプレス16基、パワープレス5基1ライン、単発プレス5基、ブランキング1ラインなど。

 スリッティング、シャー、スタンピング、プレス、ブランキングの5部門体制を敷き、117人の人員で、月間8500トンの製品を販売している。

 97年後半の東南アジアの金融危機の影響で98年から99年前半まで業績は低迷したが、99年後半から回復基調に入り、00年はピークの95年並みの販売、売上高を残した。

 ただし今年は米国の消費停滞の影響を受けて同国の家電、電子部品産業など同社需要家の一部が10―20%の減産を余儀なくされる見通し。また鋼板の在庫調整、市況低迷が続いており市場環境は非常に厳しい。

東 京鉄鋼販売業連合会は16日、茅場町の鉄鋼会館で定時総会を開催し、新会長に岡部耕一副会長(東成鋼管社長)の就任を正式決定した。

 総会では需給調査委員会の廃止、市場調査委員会への統合も決定した。記念講演会はフリーアナウンサーの大沢悠里氏を招き、「明るく元気にイキイキと」と題して行われた。終了後、懇親会を開催した。

東 京地区の中板市況は底値感が出ているが、薄板全体の需要環境が悪化しており弱気。市中価格は3万4000―3万5000円(3・2ミリ、ベースサイズ)中心。

 メーカー、流通とも在庫調整を続けているが、4月から5月にかけては実需が一段と悪化。定尺は一部サイズで歯抜けもあるようだが、コイルは1―3月の輸入材入着もあって需要の実態に比べてさらに減産が必要。

 コイルセンターでは稼働の低下を懸念する声が多く、加工量確保に走れば一部に安値が出て、同業者間で対抗せざるを得ない状況。市中では、5月の商売も4月と横ばいか落ちたとの感触で、底打ちから浮上へのきっかけが見えていない。

東 京地区の大径角形鋼管(コラム)市況は12×300×300の一次加工付き価格で、STKR5万6000―5万7000円、BCR6万6000―6万7000円中心で弱含み。小口化しており、荷動きが悪い。

 形鋼部会の統計によると、4月の入庫量は3月比横ばいだが、出庫量は同7・7%減となり、在庫量は同2・9%減少した。しかし5月に入って、荷動きは4月よりも悪化。倉から出る量が減っている。受注残は1―2日。首都圏プロジェクトの影響力も及ばない見通し。流通には、限界を超えている状態との認識もある。このため「少量を追い求めず、仕事は少なくてもいいという姿勢」(特約店)で臨んでいく。

大 阪地区の軽量C形鋼市況はベース4万4000―4万5000円どころで弱含み。

 市中の荷動きは相変わらず低調。連休明け後も扱い流通筋の倉出し量は小口中心でさえない。

 デフレ経済化で民間の投資意欲も低いため、S造の建築需要は依然として低位安定している。

 また、母材ホットコイルの値下がりを受け、ここにきて一部メーカーの販売価格が値下がり。需要家に直納するメーカー直送価格も下押しぎみで、市況の下げ要因となっている。

 このため、流通の売り腰は引き続き締まらない。

 僚品の建材製品は連休明け以降、下げ止まりムードが台頭しているが、C形鋼は当面、弱含みで推移。