2001.05.29
世 界の鉄鋼メーカー35社で自動車軽量化に取り組む「ULSAC」は23日、高強度鋼板とシートハイドロフォームの組み合わせで、ドアなどのクロージャー部品を昨年のベンチマーク比33%から37%へ軽量化したことを明らかにした。厚さ0・6ミリ、強度600MPaのDP鋼とシートハイドロフォームを用いて、ドアの外板を製造することに成功。今後、「スチールの可能性追求」をコンセプトに、さらなる軽量化に取り組む。なお、今回、試作したドアは、東京の鉄鋼会館で近日中に公開される予定。

 「ULSAC」は、IISIが中心となり世界の主要鉄鋼会社35社で推進するプロジェクト。現在、スチール製車体で車体性能・衝突安全性を確保しつつ、コスト増なしで25%軽量化できると実証したULSABと同様にプロジェクトを進めている。

 昨年5月にポルシェ・エンジニアリング・サービス社と共同で33%の軽量化を実現した試作ドアの製作に成功。今回は、この試作ドアの外板をパイプを液圧で加工するシートハイドロフォームを転用、さらに0・1ミリ薄くすることでベンチマーク比37%の軽量化を実現した。

 プレス加工された外板は、車のスタイルにもよるが、部品中央部の引っ張りが不足して十分な加工硬度が得られない。耐デント性を改善するには、これまでは材料の厚みを増す必要があり、なかなか軽量化が進まなかった。

 シートハイドロフォームは、下型が液体のため型内での材料の伸びを制限する摩擦がない。外板中央部に加工硬化で十分強度を与えて軽量化しても、耐デント製やオイルキャニング性能が維持されるなどが特徴だ。試作ドアの性能試験では、剛性、側面衝突に対する強度が確認された。
三 菱商事、三井物産、住友商事の大手総合商社3社は28日、石炭のスポット市場を対象とする電子商取引サイト「コール・オン・ネット(COAL・on・NET)」を共同運営することに合意した、と発表した。

 同サイトはインターネットを通じた石炭の売買を行う場を提供することを目的に日本国内向けとして最初に開発されたものであり、日本の年間石炭輸入数量である1億3000万トンのうち、約15%程度と試算されているスポット市場が対象。

 また、同サイトは海外の石炭サプライヤーと内外のバイヤーの取引を24時間体制で仲介するものであるが、ネット上では日・英文のどちらでも対応できる。仲介手数料金はテンダーを落札したサイドからトン当たり10セントを徴収する。

 海外では同様のサイトとして豪州や米国における国内向けサイトがある。国際間の電子商取引としては、欧州域内でエンロン社のサイトにおいてもすでに売買が行われており、4大シッパー(グレンコア、ビリトン、アングロ、リオティント)も欧州を中心とした国際展開を進めようとしている。

 鉄鋼の原料炭は電力向けの燃料炭と異なり、鉄鉱石の還元剤との位置付けで、しかも高炉によって炭種などに違いがあるため当面対象にはならない、とみられている。ただし、鉄鋼ミル向けPCI、燃料炭は対象となる。

日 本製鋼所は28日、川崎製鉄が技術移転した「川鉄ステーブ」の鋳造技術をベースに、水島製鉄所第4高炉の全面改修工事を引き受け、2400トンすべてのステーブ鋳物納入を完了したと発表した。同社室蘭製作所と、100%子会社である日鋼マテリアルでの部分取替工事を通じて技術を確立。今後、川鉄で計画される高炉新設や改修工事のステーブについては、日本製鋼所から100%供給することとなる。

 「川鉄ステーブ」は、熱負荷の高い高炉内を保全するため、高炉鉄皮と耐火物の内側に設置する冷却設備。世界記録を更新中の水島第2高炉や21年の長寿命化を果たした第6高炉にも採用されている。

 ステーブ鋳造は、鋳包み技術や鋳造ノウハウなど高い品質管理レベルが要求されるため、これまでは川鉄知多製造所で鋳造してきた。ただ、同製鉄所では需要が好調な鋳造ロールとVプロ鋳物に生産を特化、ステーブは日本製鋼所に技術移転することにしていた。

 今後、川鉄で使用するステーブは、日本製鋼所の100%子会社の日鋼マテリアルを主体に供給し、技術開発については、同社室蘭製作所鋳造部門が協力していく。
シ ーヤリング工場(本社=堺市築港新町、浅井武二社長)は今期(02年3月期)、売上高で年間50億円と前期比2億円減、損益は経常段階で5000万円と同3000万円増を目指す。厚板部門は景気後退の影響から減少するものの、最低でも月間平均で3000トンの切板を維持する。産機部門は月間平均で750トンと前期実績比約2割増を計画。鉄構・橋梁部門は月間1000トンと同100トン増を予定している。人員は期初の91人の横ばい体制で臨み、総合歩留まりも期中内で1%の向上を図る。新業務管理システムは、すでに一部が稼働しているが、今年秋には在庫の番地管理システムを確立させる。

 同社は住友金属工業の指定シャーで、工場は本社工場と第2工場(堺市松屋大和川通)で、厚板部門が橋梁・鉄骨向けの切板、産機部門が産機・建機向けの切板、鉄構・橋梁部門が海洋構造物・橋梁・遊戯物・建築鉄骨の製作を行っている。

 今期は主力の厚板部門が橋梁の発注減の影響が大きいとの見方をしており、目標は月間平均で3000トンと前期実績比400トン減を予定している。ただ、採算性を重視した受注を展開していく。

 産機部門は前期、ワコースチールの商権の引き継ぎが当初、スムーズでなかったが、今期は年間を通じて、コンスタントに受注していく。同向けの切板も月間750トンと前期実績比約2割増を目指す。

 鉄構・橋梁部門は第2工場の生産性を高めるとともに、鋼構造物の受注を強化する。これにより、同部門の製作量は月間1000トンと前期実績比100トン引き上げる。設備は5月に、本社工場に4・8トンクレーン1基増設した。
神 鋼鋼線工業(上村眞彦社長)は、需要増に対応してPC線、バネ鋼線などの生産増投資を実施する。主力のPC線部門では3億円を投じて、加工ラインの増強を行い、生産能力を20%―30%程度拡充する。バネ鋼線部門は、ピアノ線を主体に巻取り設備の更新を実施。ラインスピードの引き上げを行い20%の生産性アップを計画している。投資額は2億円を予定している。PC線部門の強化は大型の橋梁工事が増加するのに対応したもので、秋口から生産量が増加する。

 同社は、神戸製鋼系の硬鋼線メーカー。PC線、バネ鋼線などを主体に生産しており,前期は単独で232億円の売上高。

 PC線部門の高級化と生産能力の増強は、昨年度から着手。PCより製品の生産能力の拡大とともに、PC加工製品の生産体制の強化を数億円規模で実施した。これに続けて、2001年度でPC線の増産投資を計画。3億円を投じて加工ラインの増強を行う。すでに一部工事に着手しており、今年9月には完成する。

 バネ鋼線部門の増強は、ピアノ線を主体としたもので、2億円を投じて巻取り設備の更新を行う。これにより、ライン全体のスピードアツプが図れるとともに品質面での向上を進める。
リ サイクル装置エンジニアリングの日青鋼業(静岡県浜松市坪井町4532、川窪謙介社長)は、空き缶、ペットボトル、ビンのリサイクル用の破・集袋機(HRS/特許申請中3件)を開発した。これまで実操業で連続操業が難しかった収集袋の破袋工程に特殊な切断装置・機構を採用することで、破袋トラブルを解消し、高効率を実現した。新システムはメンテナンスも容易で、1台1000万円の低価格化を図った。

 同社は鉄・非鉄スクラップ販売から事業転換し、原料確保(入り口)からプラント操業(生産技術)、さらにリサイクル製品販売(出口)に至るトータルシステムを検証しながら構築し、それを基にしてプラント販売、システムサポートを行う研究開発型のベンチャー企業。すでに自社開発した「空き缶再資源化システム」は、スチール缶の新しい再生システムとして昨年秋に北九州のエコタウンで採用が決まって以来、特に高い評価を得ている。また高効率なペットボトルリサイクルシステム「PRS」も好評だ。

 今回、開発したHRSは、従来機(各種タイプがある)が実操業において抱えていた連続操業・安全面などでの課題を解決するため、3年前から開発に取り組んできた。
5 月下旬に入り、唱え上げに本腰を入れる商社が増え、若干ダレ気味の関東の小棒市況に刺激を与えそうだ。ベースメーカーが5月契約まで3カ月連続の枠売りを実施。いずれ安値に動くと見ていた商社は、ここへきてメーカーの強気を受け、さらに唱え上げにかかっている。一部ショートポジションにある商社が安値売りに動いており、商社間で思惑に違いがあるが、大半の商社はメーカー値上げ分の転嫁が急務と考え、ゼネコンからの発注が期待される6月にも一段高をねらう構えだ。

 3月からベースメーカーが1000円上げの枠売りで本格的な価格改善が始まったことで、商社は3月中旬から唱2万8000円以上の成約を目指し、唱えを引き上げた。

 しかし、ゼネコンの指し値は依然として厳しく、5月に入って以降も2万5000円台から2万8000円の間と幅のある市況展開が続いている。「2万7000円が多く、2万7500円、2万8000円は稀なケース」と商社の高唱えほどには市況がついてこない状況。

 また、商社の間には、メーカーの強気も長続きはせず、裏での値引き対応や安値に傾くメーカーが表れると想定し、唱えを上げつつも価格交渉に今一つ迫力を欠いていた面がある。

 ところが、メーカーが徹底して枠売りでの値上げ価格でしか商社からの申し込みを受け付けないため、5月後半から商社に焦りの色が浮かびつつある。

 「いよいよ本気で販価に転嫁しなければ、逆ザヤになる」(商社)とゼネコンへの交渉にも力が入り始めている。細物の仕入れ値安で売り抜き、ベースの逆ザヤを埋めているが、「うちではカバーしきれていない」(商社)ところもあり、価格見直しへ切迫感が強まっている。

関 西地区の小棒メーカー各社は市況対策として減産を継続しており、6月の生産量も7社合計17万トン程度の低水準にとどまる見通しである。メーカーへの明細入りは先月末あたりから多少よくなっており、出荷は上向き気味で、「荷動き的には大底を脱した」との見方が強まっている。

 地区小棒メーカーは「売れないものは造らない」方針のもと、独自の減産体制を維持しており、7社の地区月間生産量は2月以降、18万トン割れが続いている。6月についても一部メーカーで計画がまだ固まっていないため流動部分もあるが、輸出を含め17万トン程度とみられている。

 ベースメーカーではダイワスチールが水島事業所の6月の生産量を5月に続いて4万5000トンにとどめ、関西店売りを重点的に削減する方針を固めており、国光製鋼、合同製鉄からの受託生産を含め3社集約生産を行う中山鋼業も昨年11月比約20%の減産を継続、月産4万トン強の体制を維持する。

 また細物メーカーでは共英製鋼の枚方事業所がクオーター1万トンの輸出成約を目安に、国内向けは月産3万5000トンを基本ベースとした減産体制を維持する方針。4―6月は6月積みで1万5000トンの米国輸出を確保したこともあり、国内向けはその分フレキシブルに対応できるとし、6月は状況によって3万5000トンから1割方の減産強化も検討するという。

東 京地区の中板市況は底値横ばい。市中価格3万4000―3万5000円(3・2ミリ、ベースサイズ)中心。

 コイル価格は国内メーカー、輸入材ともに限界に近い水準とされ、定尺在庫も過剰感はないため、市況も下げ止まり状態。ただ、5月の荷動きも4月と同様に停滞する中で「環境としては底」(コイルセンター)だが、市況上昇への期待は小さくなっている。

 5フィート幅サイズの定尺販売は3、4フィート幅に比べて従来2000円のサイズ格差(エキストラ)があったものの、これが1000円ほどに圧縮した。購入する側から「同じ価格で買えるはず」との声も出ているという。薄板全体に弱気感がある。

東 京地区のSUS304系ベースサイズがトン当たり23万円、SUS430系が同18万円を中心として、弱含み横ばいが続く。

 IT関連の設備投資の減退と、季節要因である需要減が重なり、市場の荷動きは思わしくない。ただ、採算重視の流通の販売姿勢は保たれており、市場の中心値が、目に見えて下がるような状態にはなっていない。海外環境では輸出価格が依然として思わしなく、304のベースがトン1200ドルの推移が続いており、「夏場まではこの水準」(商社)との声も。韓国からの輸入材は3月も1万トンを超え、市場への影響が懸念されている。

 市中在庫は払出しが減り、増加気味。目先、弱横ばい商状の公算。

大 阪地区の等辺山形鋼市況はこれまで足を引っ張ってきたH形市況が下げ止まったため、ようやく値戻しムード。市況はベース3万3000円中心。

 H形をはじめ条鋼市況全般に底入れムードが台頭し、これを機に扱い特約店筋が市況立て直しに着手。各社は置き場3万3000円を下限とし唱えを引き上げていくほか、市内オントラで1000円、遠隔地で2000―3000円といった運賃エキストラも確保していく方向。

 また、需給は大阪製鉄、エヌケーケー条鋼の2大メーカーが昨年以降、強力な調整を実施しているため、比較的タイトな状況。メーカーは6月販価を据え置きとしたが、依然、値上げのタイミングをうかがっている。