2001.06.08
フ ランスのエラメットグループ(本部=パリ)は7日、欧州、中国など世界的な事業を展開をしているマンガン部門について、合理化戦略の一環として、イタリアでシリコマンガンの生産を中止した後、フランスとノルウェー4工場間でマンガン系フェロアロイの生産調整する、と発表した。6月末までに実施するが、両国での生産規模はフランス36万トン、ノルウェー34万トンで、ほぼ従来と変わらないものとみられる。同グループは今後とも生産効率化を推進していく方針。

 同社によると、フランスのブーロン・シュール・メール工場では高炉法による高炭素フェロマンガンを生産しているが、3基の高炉のうち、昨年、1基ををアップグレード(改修)した。これにより

中央アフリカのガボンから供給されるマンガン焼結鉱(年産60万トン)を1基だけで高炭素フェロマンガンを年間36万トンほど生産可能。このため残り2基のうち、1基を閉鎖し、1基はメンテナンスを予定している。

 また、ノルウェーのサウダ工場は電炉法によるマンガンアロイを生産しているが、最も小さい電炉1基を閉鎖し、比較的規模の大きい電炉2基の生産を集約化する。

 設備閉鎖に伴う人員削減については労働組合と協定済み。閉鎖による減産はポルスグルン工場の既存設備の生産性の改善によってカバーされる。

N KKは7日、建築構造用60キロ級(590N/平方ミリメートル)TMCP極厚H形鋼について、改正建築基準法に準拠した国土交通大臣の材料認定を国内で初めて取得したと発表した。これにより厚板、円形鋼管、極厚H形鋼のすべてで60キロ級の大臣認定を取得。柱用の主要建築鋼材で業界初の60キロ級シリーズ化を実現したことになる。

 同社は99年にTMCP(熱加工制御)極厚H形鋼(製品名・HIBUIL―H325・355シリーズ)の製造を開始。今回認定を取得したのは、さらに高強度化を実現したHIBUIL―H440B・440C(板厚20―80ミリメートル)。福山製鉄所で製造している。

 建築構造用鋼材は、00年6月の建築基準法改正に伴い、従来の建物ごとの個別認定ではなく、事前に国土交通大臣の材料認定が必要となった。60キロ級TMCP極厚H形鋼については、今年2月に日本建築センターの材料性能評価を取得し、これに基づき材料認定を取得した。

 大型建築物の耐震性をさらに向上させるのに加えて、柱断面サイズや鋼材重量の低減、柱スパンの拡大が可能となり、設計自由度のアップにつながる。TMCP極厚H形鋼の納入実績としては、汐留シティセンター(2000トン、うち60キロ級320トン)などの建築プロジェクトがある。

神 戸製鋼所は、2001年度から家庭用太陽発電設備分野に本格参入する。標準化仕様により量産システムを構築し、地域別に代理店契約するなど営業体制強化を図る。一方で、自社内に組立部門を持ち、モジュールの内製化する方針を固め、コストダウンなど、さらなる競争力強化を狙っていく。太陽電池マーケットのシェア8割を占める住宅向けに事業参入することで、2001年度は受注高30億円を目指す。

 同社は98年にドイツの太陽電池メーカーのASE社と業務提携し、国内の太陽光発電システム分野へ本格参入した。2000年度の受注実績は11件(500キロワット)で現在の累計受注実績は20件と着実に業績を伸ばしている。

 これまでは公共産業市場向けにターゲットを絞って営業展開してきたが、公共産業向けはマーケットの2割にすぎなかった。そこでシェア8割を占める住宅向けに本格的に進出することに決めた。

 2000年度実績では、11件(500キロワット)を受注したが、さらなる競争力強化を狙ってモジュールの内製化に踏み切る方針を固めた。時期や処理設備については検討中。2001年度は、家庭用太陽発電設備分野への事業参入により、前年度比6倍の3メガワット、約30億円の受注を目指していく。

ブ ッシュ大統領の鉄鋼施策について、翌6日のニューヨーク・タイムズ(NYT)が1面で報道するなど、米国の新聞は大きく報じた。政権にとって初めての保護主義的な政策と位置付け、議会で民主党の支持を取りつけやすくなるとする見方はNYT、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とも共通している。

 米紙は、今回の措置が鉄鋼業界や労働組合から歓迎され、需要家や海外からは反対の声が上がっていることなどを伝えた。WSJは輸入鋼材を一掃する制限につながる可能性を示した。NYTは米メーカーの被害は疑う余地が乏しいとして、関税引き上げなどにつながる可能性があるとしている。

 NYTは、クリントン政権が201条にはメリットがないとして導入を見送ったことや、議会運営で民主党が主導権を握ったため、詳細を決める前に急いで公表した背景にも触れている。WSJは201条導入が議会との信頼関係醸成策の一環としている。
関 西地区の大手コイルセンターの堺鋼板工業(本社=大阪府堺市石津西町、大月義介社長)は前年度(01年3月期)、売上高で85億円と00年3月期比8・8%増、損益は経常段階で1億7000万円の利益を計上、ROA6・3%を達成、配当も10%以上を検討している。今期は売上高、利益ともに前期実績以上を計画しており、ROAも中期計画の最終年度(02年度)の目標の7%に近い水準を目指す。また、今年10月から新しい生産・在庫管理システムを本格稼働させる。同システムは板取りまで含めたもので、稼働後は業務の効率化、歩留まりの向上が図れる体制となる。

 同社は神戸製鋼所系のコイルセンターで、本社工場と高石工場の2カ所に加工拠点を持っている。加工設備は本社工場が大型レベラー2基、大型スリッター1基、ミニスリッター1基で、冷延薄板、表面処理鋼板、チタンのコイルの加工を行っている。一方、高石工場が大型スリッター1基、小型スリッター2基で、溶接棒、チタンの加工を手掛けている。

 前期も自動車、電機、産業機械向けなどのプロパー営業の強化を図った。この結果、年間の取扱量は15万トンと99年3月比15%増となった。また、自販比率も50%に達した。

 また、オーダーセンターの活用、工場の生産性の向上、事務作業の効率化などにより、コスト低減を推進し、収益性を高めた。この結果、前期の業績は増収増益で、ROAで6・3%を確保した。

 今期はすでに、営業部門はこれまでの業務のうち、工程指示、出荷管理をオーダーセンターに移管、営業人員は営業業務に専任できる体制となった。このため、さらに自販分野を伸ばしていく。
神 鋼鋼線工業(本社=尼崎市、上村眞彦社長)は、公共工事を中心としたシビルエンジニアリング部門を今後強化する。特に斜長橋など特殊な硬鋼線やPC線を使った橋梁工事は、大型案件が来年度以降増加する見通し。これらをターゲットに、営業を強化して受注につなげていく。

 硬鋼線・PC線をベースにした橋梁利用工事は、競合メーカーが少ないだけに物件の増加が、受注拡大に直結すると期待されている。こうした特殊線に特化した同社の特徴を生かして「これから2年間程度、橋梁関係の物件営業を強化し、中期的なエンジ部門の売り上げ増につなげていく」(上村眞彦社長)。

 同社は、連結で前期233億円の売上高。セグメント別では、線材製品関連事業が195億円、エンジ部門34億円、不動産関連が3億5400万円。エンジ部門は構成比としては低いが、受注に伴い線材関連の売り上げ増が期待できることもあり、今後の重要な営業アイテムとなっている。

 目先のエンジ部門売り上げは、大型物件の端境期にあるため、大きな伸びは期待できない。しかし02年度から徐々に拡大していくと期待されている。

 特に、特殊線を使った橋梁工事は、矢作橋、板東大橋など1000トンから2000トンの線材需要のある大型工事が控えており、今後、物件営業を強化する。
神 鋼物流は、7月からネット上で物流の受託営業を開始する。これまでリクルート用として使用していたインターネットのホームページを拡大し、営業用としても活用する。業務内容のPRを行うとともに、引き合いがあれば見積もりをネット上で提示する。最終的には受注までを一貫して行う。物流業界ではあまり例がない営業ツールで、成果が注目されている。

 同社は、神戸製鋼系列の物流会社。昨年4月に神鋼海運と神鋼陸運が合併し海陸一貫の物流会社となった。要員は530人で、前期売上高390億円。

 合併後の中期のテーマは、海陸一貫化による効率化と業容の拡大。効率化・合理化では、00年度からスタートした中期3カ年計画を2年間で前倒し完了し、02年度で新たなコスト削減を実施する。これと並行して神戸製鋼グループ以外の外注部門の強化を打ち出している。これにより、売上高拡大と収益構造の高度化を推進する。

 同社の神戸製鋼関係の受注比率は前期で86%。親会社への売り上げ依存率が高く、鉄鋼不況がストレートに業績いに反映する形態となっている。神鋼の鉄鋼部門は、薄板を中心とする減産体制で今年は、物流の拡大は期待しにくい環境にある。

住 友精密工業(本社=尼崎市、長谷登社長)は、カナダのボンバルディア社向けの航空機用・ランディングギア(離発着用脚装置)の1次加工をポーランドで行う。現在テスト中で、2002年から本格的に加工を開始する。部材加工は、ドイツから調達したステンレス高合金鋼の切削・熱処理までで、これを日本に運び最終仕上げを実施する

 同社は航空機部門、熱交換機器、半導体、その他環境機器などで展開。年間360億円のうちの半分近くが航空機部門で占められている。

 防衛庁向けの航空機用プロペラ、ランディングギア、熱交換器などを主力に、カナダのボンバルディア製のCRJやブラジルのERJ用のランデイングギアなども製造している。

 今回、ポーランドでの現地加工を計画しているのは、カナダのCRJ用のランディングギア。現在、20機分のランデイングギアを受注している。2002年から30機に増加する見込みで、これに合わせ海外生産に乗り出す。

東 京地区の縞板市況は弱横ばい。市中価格(3・2―4・5ミリ、ベースサイズ)5万4000―5万5000円中心。

 販売量は3―5月を通じて前月比で良くない状態が続き、荷動きも以前と比べて閑散としてきた。「まとまった数量の物件もポツポツあるが、民間の中小物件が少ない」(扱い筋)という。もともと縞板は小口の実需で動くため、中心価格は崩れていない。

 ただ、ロットが大きくなると需要家は複数の見積もりから安値を選んで購入する傾向があり、建築、特に工場や倉庫などの需要が低迷する中で弱気要因が支配。7、8月以降の需要に期待もあるが、目先は小売業者にとって厳しい展開。

東 京地区の等辺山形鋼市況は6×50で3万4000―3万5000円、溝形鋼は5×50×100で3万8000―3万9000円中心の横ばい。流通の大幅な申し込み削減によって、山形のスモールサイズを中心に歯抜けも出てきた。

 6月に入り、多少荷動きはよくなってきた。小口は圧倒的多数を占めるが、割合は減っている。流通は4月以降、「ピーク時の半分」(大手特約店)など大幅に契約を絞った。メーカーも受け入れ、後仕切りは完全に退けた。このため歯抜けも出始め、出庫は「1―2本が1―2束になってきた」(同)。公共事業減少で見通しはよくないが、H形鋼の底入れ基調に乗って流通は市況維持に努める。

大 阪地区のH形鋼はベース3万1000円どころで強含み横ばい。扱い特約店筋は先月から3万3000―3万4000円の市況形成を念頭に売り腰を硬化。この効果もあって、ここにきて3万1000円を下回る安値は回避されてきた。ただ、建築需要に回復の兆しが見えず、市中の荷動きは依然、低調。

 需要家の引き合いも小口中心で、需要が迫力を欠くため、高値浸透にはまだ時間がかかりそう。一方、市中在庫は流通の申し込み抑制、メーカー各社の強力減産により、5月末も4月に続いて減少するのが確実。市中ではベースサイズを中心に歯抜けが広がっている。