2001.06.22
新 潟県内の有力電炉、北越メタル(本社=新潟県長岡市、大谷壽正社長)は、01年度と02年度の2年間の新中期経営計画「MAG21」を策定。高付加価値製品の売上高比率を30%、数量比率では20%に引き上げる。00年度までの活動計画「MAG2000」により、00年度下期から黒字転換を実現。製造面での整備にメドをつけ、01年度からは高付加価値製品を中心とした営業を強化、異形棒鋼と線材は増やさない。新中計ではコストをさらに1トン当たり1220円引き下げ、一体営業の強化、要員200人以下に抑制なども加味して、02年度には売上高135億円、経常利益4億円を確保する。

 00年度の売上高構成比は異形棒鋼62・9%、線材11・5%だった。高付加価値製品の普通・特殊棒鋼12・4%、形鋼13・2%、合計25・6%だが、これを30%に引き上げる。00年度の生産量は32万6000トンで、比率は異形棒鋼72・6%、線材10・8%。高付加価値製品16・6%(普通・特殊棒鋼9・8%、形鋼6・8%)で5万4500トンだったが、02年度には生産量合計33万トンのうち20%に当たる6万6200トンとする。

 営業面では第1営業本部と第2営業本部を束ねて、連携プレーで拡販。生産部門と営業の一体化でユーザーニーズをつかみ、新製品開発と拡販につなげる。社長以下、関連事業会社を含む全体での営業展開にも取り組む。

 コストダウンは1220円。変動費670円、固定費470円、物流費80円が目標。要員は現在の217人を200人以下に絞り込む。

三 菱商事および日商岩井は21日、両社金属分野での統合交渉について、鉄鋼製品分野を先行して02年10月をメドに統合することで基本合意書を交わしたと発表した。鉄鋼原料、非鉄分野については、統合に向けて引き続き協議を進め、速やかに実施する考え。鉄鋼製品分野の統合会社の規模は売上高2兆2000億円、総利益1000億円、総資産1兆円、人員1100人(いずれも01年3月期ベース)。両社は「(統合による)シナジー効果として5―10%の取引拡大効果、加工・物流面での追加効果が見込める」(三菱商事・武田禅次鉄鋼本部副本部長)と試算している。

 両社は今年1月に金属分野の統合交渉を開始すると発表。「最強の金属商社を作るべく」(日商岩井・湯浅美臣・金属カンパニーSVP)両社に設置した統合準備組織間での商権分析、拠点、人事などの観点からの検討を進め、並行して役員間での定期協議を行っている。

 これまでに「当初の見込み通りの(統合の)シナジー効果を確認した」ことを受けて21日の基本合意に至った。合意内容は、金属分野全般の統合を目指すことを前提に、02年10月の鉄鋼製品分野の対等統合に向けて必要事項の詳細協議に入る(独占交渉権延期)――というもの。

日 本冶金工業は21日、同社のインバー合金が日本製としては初めて、三井造船のメンブレン方式LNG船に採用されたほか、同社開発鋼種のオーステナイト系特殊ステンレス「NAS254N」がヤマサ醤油・銚子工場の近代化醸造設備への使用が決まったと発表した。受注量はLNG船のインバー合金が450トン、醸造設備用ステンレスが850トンの合計1300トン、金額は合わせて約12億円にのぼる。高付加価値化路線を志向し、高合金や高級ステンレスなど高機能材の拡大を推進、売上構成比を今年度で30%とする計画で、両物件とも高機能材の用途開発の一環。すでに構成比は2%に達しており、今後も製造面などで同社の優位性を発揮できる高機能材の拡販を積極的に進める。

 三井造船のメンブレン方式LNG船では、13万5000立方メートルのタンク素材としてインバー合金が使用される。常温からLNG輸送時のセ氏マイナス160度の低温領域の間で、普通鋼の10分の1の低熱膨張特性を要し、メンブレン構造製作のための加工性、防錆性、溶接性の特性にも優れる。これまでLNG船タンク用インバー合金は世界的に仏・アンフィー社がほぼ独占的に供給してきたが、今回、日本製インバー合金として初めて受注に結びつけた。0・5ミリから8ミリの冷延鋼板で、今秋から来年末にかけて納入する。

 一方、ヤマサ醤油・銚子工場の醸造設備は、同設備の更新にともなって、NKKと組んで受注(NKKは施工その他)した。同社の開発鋼種「NAS254N」(ニッケル25%、クロム23%、モリブデン5%)で、防錆性など高い防食特性が評価された。3―20ミリの中鋼板で来年1―2月に納入する。

協 同組合京橋鉄友会(理事長=久富順平・中央鋼材社長)は、創立50周年を迎えた。きょう22日午後6時から、東京都千代田区の東京会館で創立50周年記念祝賀会を開催し、組合員や鉄鋼流通関連団体などから約300人が出席する。

 京橋鉄友会は51年に結成した。京橋、八丁堀地区は水運に恵まれた環境から特に関東大震災以降、東京の鉄商の源流と言われる神田に劣らぬ鉄屋の街として栄えてきた。東京鉄鋼販売業連合会の加盟団体では、本所の「鉄交会」(48年)、神田の「鉄栄会」(50年)に次いで3番目に長い歴史を持つ。唯一の協同組合でもある。

 本所鉄交会、神田鉄栄会とともに、東鉄連の前身である東京都鉄鋼取引改善委員会の発足(55年)にも加わった。当時の会員数は86社。その後68年には会員数が120社を超え、内外ともに認める東鉄連の中核団体となっていった。
住 友金属工業関西製造所製鋼品事業所(大阪市此花区、所長・戸谷靖隆常務)は、今日22日に創業100周年を迎える。これを記念して同所本館の製品ショールームを移転・拡張、創業以来の歴史・変遷を主体に、最新技術・製品を紹介する「はがね歴史記念館」を本日オープンする。また、100年の歴史を綴った創業100周年記念誌『住友の「はがね」物語』を発刊した。

 製鋼品事業所は、明治34年住友が鋳鋼事業に進出した「住友鋳鋼場」が前身で、現在は鉄道用車輪・車軸・台車、自動車用鍛造製クランクシャフトなどを製造する高炉メーカーとしてはユニークな事業所になっている。

 これまで国内初の連続鋳造の実用化(昭和31年)、鍛造製クランクシャフトで国内初の6000トン大型プレス導入(同34年)、現在、軽量標準タイプとなっている「ボルスタレス台車」の開発(同55年)など各分野の技術リード役を果たし、技術・シェアでトップの位置を占めるまでになっている。

 現在の事業規模は年間売上高500億―550億円、品種構成は車輪、台車などの鉄道製品が50%、クランクシャフトなど型鍛造品が40%、産業機械品が10%となっている。

 オープンする「はがね歴史記念館」は、総面積300平方メートル、事業経営と企業文化コーナーのほか各製品コーナーの4区画で構成され、はがねの歴史と最新の技術・製品が見学できる。
新 日本製鉄は21日、室蘭製鉄所の棒鋼工場製品品質検査ラインのプロセス制御システムにLinux(リナックス)を採用、同システムを搭載したパソコンサーバーシステムを稼働させた、と発表した。

 同ラインのシステムは大手重電メーカーなどが開発したハードに基本ソフトを組み合わせていたが、今回、一般市場向けパソコンとソースが公開され、長期的な信頼性が高いLinuxを組み合わせた。本システムは新日鉄から分社したニッテツ北海道制御システムが開発した。

 これにより、サーバー構築費は2分の1以下、年間メンテナンス費用は5分の1に圧縮できる。ニッテツ北海道制御システムは今後、産業メーカー向けに既存システムでの安価システムソリューション活動を展開していく、としている。

経 済産業省はこのほど、鉄鋼需要団体ヒアリングを実施した。それによると足元の需要産業の動向は造船は堅調さを維持、自動車生産も微減にとどまっているものの、それ以外では後退が目立ち、減少度を強めている。産業機械も4月の受注額は電力向けの伸びでプラスとなったが、短期的で今後は減少する予想だ。4月の鉄骨推定所要量もマイナスで、機械工業、建設と減速傾向がより鮮明となってきた。

 自動車についてみると、5月販売は、乗用車が前年同月比2・1%増、トラックが同4・1%減で合計は同0・2%増と微増。一方の4月の輸出は乗用車同15・1%減、トラック同2・4%減で合計は同13・4%減と減少した。この結果、4月の生産台数は輸出減が響き、乗用車同4・6%減、トラック同3・3%減、合計4・3%減と減少となった。

 産業機械は、4月の受注額が内需同45・8%増、外需同16・3%増、合計同41・5%増。内需は電力向けが伸びたためで、製造業だけをみると同4・8%増にとどまる。1―3月の製造業の平均31%増と比べ、大きく後退、今後も伸び率は鈍化するとの見方だ。

 造船は5月の輸出船契約実績は82万4650総トン(同5・3%減)だが、4―5月累計は247万4300総トン(同38・3%増)と高水準を保つ。5月末の手持ち工事は477隻、2388万6736総トンと3月末の2305万3466総トンを上回っている。

 重電は4月受注額が同14・8%減。家電は4月の国内出荷が同5・3%増、輸出が同3・9%減、輸入が同49%増。

大 阪地区の鉄スクラップ業者で構成する関西鉄源協議会(代表幹事=黒川友二・扶和金属興業専務)は21日、鉄スクラップの共同輸出について検討した結果、住金物産がFASトン当たり7700円で落札した。

 先月に行った入札では三井物産金属原料がFASトン当たり7300円で落札しており、400円上昇した。今回の決定で同協議会による共同輸出は今年に入って2回目となる。成約内容は数量が2500トン、品種がH2グレード中心で、配船時期は8月10日までを予定している。

東 京地区のH形鋼市況は200×100で3万4500―3万5000円中心の横ばい。メーカー各社は、7―9月も4―6月並みに生産を抑えると表明。しかし需要の減少に追いつかず、店売り向けのデリバリーは順調。歯抜けも細幅の主要4サイズでは出ていない。

 鉄連の統計による5月の総生産量は、4月比17・3%増加した。東京製鉄は「輸出向けが増えたため」、高炉メーカーは「4月に減らした分を調整したため」と説明。国内向け供給は減っているというが、流通には、夏季減産の分を前倒しで作ったのではとの疑念も出ている。市況以下の安値にすることで、ヒモ付き分の量を増やしている可能性もある。

東 京地区の表面処理鋼板(電気亜鉛めっき)市況は安値寄り。市中価格は熱延下地5万4000円中心だが、下値部分の幅が広いようだ。

 荷動きは6月も引き続き停滞。需要家向けの価格下落が市況にも影響しており、底値を確認できていない。東京製鉄が7月の薄板販価を、亜鉛めっきをはじめ1000―3000円引き下げたことについては「すでに市況が先行して下がっている」(東京地区の販売業者)と冷静な見方も聞かれる。

 ただ、在庫過剰感がなお強い中で、安値を誘う要因ともなるため心理的には悪い材料が加わったと言えそうだ。底値から市況回復に向かうには相当時間がかかる見通し。

大 阪地区の中板市況は荷動きがさえず、東京製鉄がホットコイルの7月契約の販売価格を1000円引き下げたこともあって、扱い特約店は販売を引き締め切れない。市況は3万1000円(3・2ミリ厚の4×8幅)どころで弱含み。 高炉メーカー各社は減産に注力するとともに、先行き、値戻しをしたい考え。

 ただ、東鉄が値下げし、水を差した形。現在、コイルセンターはメーカーへの申し込みを抑制、流通の入荷も徐々に減少している。一方、需要は建材が不振な状態が続いているうえ、機械関係も設備投資の落ちを受け、低調。コイルセンターの加工も稼働率が通常よりも20%程度落ちている。在庫も過剰ぎみで、調整遅れが目立つ。