2001.07.06
日 商岩井は、海外の線材加工拠点の能力を増強する。00年12月に稼働した中国の南京宝日鋼絲製品有限公司(現年産能力2万5000トン)は、2―3年内に能力倍増を計画。米国のカヤホガ・スティール社では年内に現状10―20%増の月産1万トンを目指す。タイのコウベCHワイヤ社も昨年の増強に加え、さらに設備投資を検討している。自動車・弱電など日系および海外ユーザーのアジアへの投資拡大や材料・部品の現地調達の動きに合わせ、各地域で供給力を引き上げる方針。

 日商は、線材・特殊鋼関連で海外に36カ所の製造・販売拠点を持つ。内訳は米国11社、カナダ1社、メキシコ2社、ブラジル1社、スペイン4社。アジアは中国7社、タイ6社のほか、フィリピン、インドネシア、マレーシア、インドに1社ずつ。主に自動車や弱電向けのワイヤ・ファスナー・バネ製品の加工拠点(30社)および販売商社(6社)を構えている。

 とくに米国、中国、タイは自動車産業を中心に市場が拡大し、日商では重点分野に位置づけ経営資源を投入する。現地の販売子会社とも連携し、線材・特殊鋼部門の海外事業年間約3000億円の規模拡大を図る。

 中国の南京宝日は、99年9月に設立し、00年12月に稼働を開始した。出資は宝鋼グループ49%、日商25%、神戸製鋼所5%、南京新港開発21%。主に日系ねじメーカー向けに冷間圧造用鋼線や硬鋼線を製造。月に数百トン単位でサンプル出荷を行ってきたが、ユーザー先での品質承認を得たことで7月から本格生産に移った。

 米国のカヤホガ社(ペンシルベニア州クリーブランド)は、磨棒鋼製品を月に約3000トン、冷間圧造用鋼線を5000―6000トン生産している。日商92%出資。米国の景気不振が懸念されるが、顧客のねじおよび部品メーカーからの品質承認が増えつつあり、製品開発など機能をアップし、月産1万トン超えを早期に達成する。

 自動車、家電の輸出基地となっているタイでは、神戸製鋼などと共同出資のコウベCHワイヤ社について、今期は前期比25%増の月産1000トンに乗せる。昨年5月に熱処理炉と酸洗設備を増強したが、さらに増産対応を検討している。

韓 国・東国製鋼の金鐘振会長が5日午前11時40分ごろ、ヘリコプターの墜落事故により死亡した。同会長は元ポスコ社長で同国鉄鋼業界の重鎮。60歳だった。

 この事故により金会長、金東賢専務、金信紀常務を含む同社関係者5人の死亡が同日夕までに確認されている。同ヘリコプターは巨済に向けて飛行中、鎮海近海に墜落。大宇造船に向かう途中だった。金会長は94年3月から98年3月までポスコの社長を務めた。

神 戸製鋼所は10月から、国内初となる最終処分場向けの浸出水処理設備「AOP」のオンサイト処理をスタートする。ダイオキシン類を99・9%まで無害化できる浸漬型膜分離によるオゾン促進酸化技術が特徴で、モバイル方式の実用化でローカルコンディションに合わせた処理が可能になる。実際に現地で原水のFSをすることで、ユーザーニーズに最適なプロセスや設備スペックをエンジニアリングできる体制を整える。同社の環境ソリューション部では、2005年度をメドに30億円規模のビジネスに育てていく方針。

 今回のオンサイト処理設備の実用化は、自治体のローカルコンディションに合わせた処理を提案することで、きめ細かいエンジニアリングを徹底させるのが狙い。今後、全国の自治体の最終処分場向けに積極的に提案していくとともに、実際に現場に行って原水の処理をすることで適切なスペックでエンジニアリングしていく。

 浸出水は、ローカルコンディションによって性状が異なる。例えば、鉄分が多い場合にはスケールの付着が多くなるが、こういった場合には、紫外線ランプ洗浄装置でスケールの自動除去も提案できる。オゾン発生装置など、設備メーカーとしての強みを生かしていく。

小 棒細物メーカーの大手、岸和田製鋼(鞠子重孝社長)は小棒の7月契約販価を前月比据え置きとすることを決めた。今回は「一方通行」的な期日限定販売の形をとらず、流通に対し個々に価格据え置きへの理解を求めながら商談を進める。また、7月の小棒生産計画についても出荷状況が芳しくない中で、当初打ち出した4万3000トンから4万トンに引き下げることにした。

 関西地区の小棒市況は需要不振から軟調に推移、流通のショート売りが目立つが、同社では値下げには一切応じず、現行販価を死守する構えで、価格最優先の考えのもと契約のスキップも辞さない姿勢。同地区細物では共英製鋼・枚方事業所が価格維持の方針を固めており、ベースのダイワスチール、中山鋼業なども同様の動きにある。
中 国鋼鉄(CSC)の郭炎土董事長は、具体化を検討している台南県での新製鉄所構想に関し、「国の代表である董事長としてやっているが、国の政策がまだ決定していない。手続きが先だが、今年中に決定したい」との意向を示した。事業化の枠組みとして一時単独で製鉄所建設を検討していた台湾プラスチックが参加することを示唆しており、「30%程度出資する可能性がある」ことを明らかにした。

 また、経営などNKKなど日本ミルの参加も要請する。国際的なJV事業化による資金調達の具体性は一段と増すことになる。郭董事長は、新製鉄所建設構想についてはまだ社内的にもオーソライズされていないことを明らかにした上で、第1期で高炉2基、第2期で2基を建設し最終的には1200万トン以上の粗鋼を目指すとしている。

 立地場所は、これまでY隆グループが、共同の出資会社・台湾スチールの製鉄所計画として進めていた台南県。岡山地区からやや離れた七股地区に現在は主体が移行しているが、台湾スチールは同地区に570ヘクタールの用地買収の権利を保有している。CSCは、Y隆に40%資本参加するとともに台湾スチールを100%掌握しており、製鉄所プロジェクトそのものがCSC主導に移行している。

 CSCは、現行の570ヘクタールでは500万トン程度の製鉄所しか建設できないが、隣接地の600ヘクタールの買収権を持っている東帝士グループが、LNG基地建設を断念する方向にあるため、最終的には800ヘクタールの用地確保にメドがついたとしている。

日 鉄ドラムの連結子会社、日本コンテック(本社=東京都中央区、中川義幸社長)は今年度、利益率の高い水産分野の売り上げ構成比率を高めるとともに、新規ユーザーの開拓や協力販売店を拡充するなど積極的に展開し、厳しい経営環境下において収益を確保できる企業体質の構築に尽力する。また、日鉄ドラムグループ内での連携による業容拡大にも意欲を見せており、新缶販売および更生缶回収業務を含めたドラム缶事業の新規参入の検討を開始している。

 日本コンテックは設立以来、水産・食品・農畜産業界から流通・工業界など、あらゆる産業界において、魚函や各種コンテナーを開発・提供。また、物流分野の変革に対応して、従来製品の拡充をはじめ、新製品や物流システムの開発など幅広いジャンルに取り組む。発行済み株式のうち、61・25%を所有している日鉄ドラムの連結対象子会社である。

 コンテナー業界では、激しい価格競争が続いており、各社ともに収益圧縮を余儀なくされている。この影響を受けて、同社決算も例年厳しい内容となっていたが、ここ数年の合理化策が功を奏し、収益体質は徐々に改善。99年度決算(3月期)は売上高68億円、経常利益4688万円。00年度決算では売上高70億円、経常利益3288万円と2期連続で経常黒字。

韓 国造船業は、3年近くの手持ち工事でフル操業が続いているが、内容的にも大きく変ぼうしている。2001年の竣工量は、日本を抜いて世界一になるのは確実。これに対応して造船鋼材の消費も高水準が続く。国内の厚板業界では、今年の需要量を284万トンと想定。前年の276万トンを3%近く上回り、過去最高の見通し。また、構造的にもLNG船など高付加価値船の拡大や、大型コンテナ船の受注強化など新しい動きもあり、世界最高の造船業への基盤が固まってきている。

 韓国の新造船受注は、00年で2079万総トンと日本の1347万総トンを大きく引き離して世界一の座に2年連続してついている。手持ち工事は、昨年末段階で3000万総トンを上回っており、今後、3年近くの工事を確保している。

 01年の新造船受注は、選別受注の強化と欧州造船業との摩擦回避という観点からスローダウンしている。今年1―3月で340万総トン程度でこのまま推移すれば、昨年比40%程度の減少の見通し。しかし、仮に今年の受注が大きく低下しても、手持ち工事の消化という形で、建造量は増加する。これが鋼材需要を押し上げるとみられている。

 造船各社の動向を個別に見ると、サムホ重工業が昨年7月から完全稼働体制に移行。現代尾浦造船やワークアウト完了を目前に控えた大宇造船などもフル生産体制となっている。

 このうち96年から新造船事業で多角化を開始した現代尾浦は、昨年8隻建造したのに続き、今年は24隻を建造する。こうした数字を積み上げていけば、竣工量で統計上最大能力と見られている年間1200万総トンの達成は確実と見られている。

全 国ステンレスコイルセンター工業会(JSCA)が会員41事業所を対象に実施した5月のステンレスコイル・鋼板流通調査によると、304系および430系(熱延・冷延)を合わせた総在庫量(自社販売)は、前月比1・7%増の10万1636トン(前年同月比17・2%増)と過去最高量になった。在庫率(総在庫量÷総払出量)は2・21に上昇。総受入量は7・9%減の4万7664トン(8・5%減)、総払出量は5・8%減の4万5962トン(7・4%減)。自社販売量の総受入、総払出、総在庫の内訳は次の通り(カッコ内は前月対比)。

 304系の熱延は受入2618トン(18・8%減)、払出2560トン(8・4%減)、在庫3292トン(1・8%増)。同冷延は受入2万8229トン(11・2%減)、払出2万7550トン(6・8%減)、在庫6万2393トン(1・1%増)。

 430系の熱延は受入4トン(1トン増)、払出42トン(20トン増)、在庫248トン(38トン減)。同冷延は受入1万6813トン(0・6%増)、払出1万5810トン(3・7%減)、在庫3万5703トン(2・9%増)。

東 京地区の冷延薄板市況は弱含み。市中価格(1・0―1・6ミリ、ベースサイズ)は4万7000―4万8000円。定尺品は当用的な注文も減少し、販売量は4月以降低迷したまま。小売業者では「前年の同じころと比べて2―3割落ちている」との声も聞かれる。コイルの過剰感と需要減が重なり、5月末の在庫もメーカー、コイルセンターともに増加した。

 輸入コイルは7万トン前後に落ち着いたが、需要に対しては多い。薄板全体の市況が下落する中で、酸洗と電気亜鉛めっきの中間価格である冷延は、需要が他品種に逃げやすい状況もある。定尺価格の下落は緩やかだが、当面は弱含みの展開が続く見通し。

東 京地区の平鋼市況はベース5万1000―5万2000円中心で横ばい。需要減少の影響が大きく、荷動きは停滞気味。流通は最小限に申し込みを絞って市況維持に努める。

 6月の特約店の出庫量は5月比10%程度減少、前年同月比では20%程度減っている。メーカーは減産しているが、市場にインパクトを与えられない。昨年、メーカーは8000円値上げした。今年は3月ごろから上げたい意向を示してきたが、予想以上の需要減少や多品種の停滞ムードが響いて、先延ばしになっている。販価変更は当面ない模様。8月の不需要期を迎えるため、流通は量を追わずに現行価格維持に努める。

大 阪地区のH形鋼市況はベース3万2000円どころで強含み横ばい。新年度以降の在庫調整進展を受け、扱い流通筋が売り腰を硬化。今週からは地区唯一の在庫商社である阪和興業が「市内オントラ3万4000円唱え、3万3000円下限」を表明。他流通がこれに追随する形で、各社は3万5000円の市況形成を目指す値戻しムードとなっている。

 ただ、今月に入っても市中の荷動きは依然、低調。一部大型の建築プロジェクトは動き出しているものの、店売り分野の中小物件は盛り上がりを欠く。このため、市中はいまひとつ市況を押し上げる力強さに欠けるのが実態で、当面、強含み横ばいで推移。