2001.07.13
日 新製鋼は12日、01年度を初年度とし03年度を最終年度とする3カ年の新中期経営計画を策定したと発表した。国内外で薄板を中心とした競争激化が進む中、国際コスト競争力の確立と顧客満足度を重視した施策をとる。単独ベースで、販売では150億円向上、コスト削減で350億円を見込み、最終年度には単独の経常利益200億円以上、ROA5%以上、連結は240億円以上、4・5%以上を確保。10%(1株5円)配当が可能な体質を構築する。要員は単独3500人、連結では6400人に削減する。

 将来的には単独ベースで経常利益280億円以上、ROA(総資産事業利益率)6%以上を目標とするが、00年度実績比で03年度に単独の経常利益を30億円以上、連結では約80億円引き上げる。

 主要な施策として、「販売戦略」の再構築、「生産構造、コスト構造改革」の推進を実施。単独で販売政略効果150億円、コスト削減効果350億円により、200億円の経常利益が確保できる体質を確立する。

 販売戦略では、高付加価値化を推進。ZAM、燃料タンク用アルスター、環境対応型後処理めっき鋼板などの新商品比率を現在の15%から23%まで拡大。ITも積極的に活用し、今年6月1日付で設置した「基幹システム改革プロジェクト班」でシステムの見直しを進め、CRM・SCMを導入し納期短縮による競争力強化を図る。

 生産構造、コスト構造改革では、各事業単位でコスト引き下げに取り組み、比例原価220億円、固定費100億円、減価償却費30億円の圧縮により、トータル350億円のコスト削減を図る。引き続き要員の合理化も進め、03年度末には単独で800人強減少の3500人、連結では1100人強減少の6400人体制を構築する。

神 戸製鋼所と日商岩井は、建築基準法38条廃止に伴う告示化を受け、金属屋根やサイディングパネルなどスチールハウスのブランド化を図り、2001年度は、600棟2500戸の販売を目指す。2000年度の販売実績は106棟、417戸と好調で、新日本製鉄と並び業界トップクラス。今後は、早期にブランド化を推進し、年間1000棟体制構築を目指す。

 同社のスチールハウスは、KN(神戸製鋼と日商岩井の頭文字)型と呼ばれ、共同住宅向けに特化して販売展開をしてきた。同社のKN型の特徴は形鋼の板厚が他社の1・2ミリメートルに比べて1・6ミリメートルと厚く信頼性が高い。外熱断熱方式のため、高気密・高断熱構造で、省エネルギー効果が高いなどがポイントだった。

 建築基準法38条廃止に伴うシステム改定を受け、KC型スチールハウスは事務手続きが簡便化が図られるようになる。このため従来のKN型ではなく、KC型(鋼材倶楽部型)にシフト。他社との差別化を図るために、金属屋根メーカーやサイジングパネルなどトータルシステム化を狙っていく。

 現在の体制は、神戸製鋼5人、日商岩井3人で、工務店向けなど3人が営業を担当、技術面では一級建築士4人でサポートしている。今後、従来のKN型での業界トップクラスの実績とこれまでのノウハウをベースにKC型スチールハウスの提案営業を強力に推進する。

丸 紅と住友商事は12日、コイルセンターの大利根倉庫(本社=群馬県太田市、中島弘道社長)に対する出資比率の引き上げおよび資本参加を決定したと発表した。新資本構成は丸紅40%、住商39%、富士重工業21%の比率となり、8月から実質丸紅と住商の共同経営に移行する。

 社長は丸紅、副社長は住友商事から派遣する。共同経営により両商社の物流ノウハウを結集し、コイルセンター機能だけでなく、主な需要家である富士重工業の推進するSCM構築に対応できる加工・物流拠点を目指す。

 中島社長の退任と新体制移行に際して、同氏の保有株式60%のうち丸紅に20%、住商に39%を譲渡する。出資比率は丸紅が20%から40%に引き上げ、住商は新たに取得した39%となる。富士重工業は20%から21%に引き上げる。

 大利根倉庫は1966年の設立。富士重工業群馬製作所と協力工場を主な需要家として、スリッター2基、レベラー1基、シャー3基により月間1万3000トンを加工している。倉庫保管能力は1万トン。厚物スリッターラインの増設を計画しており、受注拡大、加工量増加を図る方針。

新 日鉄ソリューションズ(本社=東京都中央区、棚橋康郎社長)は12日、オープンシステムの主要分野で世界のトップシェアを持つベンダー3社と連携(N-vos Initiative連携)し、デファクト製品を組み合わせたITソリューションを、ワンストップで提供・保守する業界初のサービスを開始すると発表した。新日鉄ソリューションでは今回の連携を軸に、2年後をメドにITインフラ部門の売り上げ倍増を狙う。

 新日鉄ソリューションズと「N-vos Initiative」で連携するのは、ストレージ管理ソフト分野トップのベリタスソフトウエア、データベース分野トップの日本オラクル、サーバー分野トップのサン・マイクロシステムズ。顧客の要件に合わせてデファクト製品の組み立てを最適化して一括提供、その後はトラブルに対しワンストップで保守サービスを行う。

高 炉筋によると今期(7―9月)の国内造船厚板需要は、56万トン強の見通し。前期とほぼ同水準で、高いレベルの需要が続いている。大手、中手クラスともに2003年まで手持ち工事があり、当分高水準の建造が継続するもよう。

 国内造船の受注は、韓国の選別受注による船価の改善と円安傾向で、高水準が続いている。受注レベルは、昨年の下期並みの水準で、月次では100万総トンを上回る月が多い。このため、大手・中手ともに2003年までの船票が埋まっており、一部2004年分の受注が決まり出した段階。今年1月以降の累計受注量は、163隻、635万5000総トンと前年同期比52・9%の大幅増加。目先の受注交渉も、比較的有利に進めていると言われる。

 こうした状況から4―6月の造船厚板需要は、56万トン強と高い水準をマークしたようだ。これに続く今期需要見通しは56万トン台は十分と見られている。

ス テンレス鋼板の輸出市況が主力市場の中国、香港向けを中心にトン40―50ドル上昇に転じた。POSCOが7月21日出荷分から韓国国内のリローラー向けホットコイル価格をニッケル系でトン当たり70ドル相当、クロム系で42ドル相当の値上げを発表。これを機にリローラーからの安値が消える見通しとなったことが、市況反発の要因とされている。

 ステンレス冷延鋼板の輸出市況はここ数カ月、C&F1150ドル(SUS304ベース)前後で停滞していたが、POSCOのホット価格引き上げを機に再び1200ドル台への回帰が期待できそう。ステンレスメーカー各社は現在8ー9月積みの商談を進めている。成約価格はサイズにより異なるが、ここにきて全般的に6ー7月積み比トン40―50ドルアップが浸透してきた。韓国リローラー各社が1100ドルを切って売り込んでいた薄サイズ物の価格も底上げされる方向。

 中国、香港のバイヤーの多くはこれまで当用買いに徹し、在庫の積み増しを控えていたが、市況の底入れが確認されたことで、引合量も上向いてきているという。普通鋼鋼材の輸出市況が停滞状態から脱し切れないなかで、ステンレス輸出価格の回復は輸出マーケットにとって久々の好材料だ。

関 西地区の切板価格は5万―5万2000円どころで推移、5万円の大台割れとなる可能性が強まっている。主力の建築需要が大きく落ち込んでおり、地区の熔断業者は受注残が大幅に減少。この結果、業者が受注量の確保から、安値対応で動いているため。

 地区の切板の需要は橋梁が00年度下期の発注残もあったが、それでも前年同時期に比べると落ちている。建機、重電関連もさえず、産業機械が一部に動きが見受けられる程度。主力の建築は大型物件がなく、小物のマンション・店舗だけで、全体には悪い。

 この結果、ユーザーは小口・短納期の注文で、当用買いに徹していることから、地区の熔断業者は切板の受注残が業者平均で1―2日と、極端に少なくなっている。

 一方、供給面では熔断業者自体が春から申し込みを抑制し、入荷もここにきて減少してきている。しかし、出荷の落ちが大きく、効果的な入荷減となっていない。地区の業者の在庫も6月まで増加しており、現在、在庫率も1・7―1・8カ月と過剰感が強い。

 こうした需要・在庫環境から、業者では原価意識が薄れ、価格よりも仕事の確保に傾斜している。このため、切板価格は下げに歯止めがかからず、ジリ安展開となっている。

台 湾の高雄市で、初の地下鉄工事がスタートする。第3セクターとして「高雄捷運公司」が設立されており、中国鋼鉄(30%出資)など有力企業が参加して、今後、工事が本格化する。ルートは、沿海一路から北上して橋頭火車站付近までの捷運紅線と、中山ニ路から西に伸びる大寮站までの捷運橘線の2系統。2004年に部分開通し、2006年に全面完成する。

 高雄市の地下鉄は、国内のインフラ整備の一環として計画された。市の中心を南北と東西に結ぶ路線で、これでバス、自動車に頼る市民の足の利便化を図るとともに、環境対策も推進する。

 建設工事は、新たに設立した高雄捷運公司が担当するが、中国鋼鉄や栄民工程、遠東グループなどが出資。中国鋼鉄は郭炎土董事長が第3セクターの董事長にも兼務で就任しており、全面的に協力する。

 工事は全線42・7キロで駅舎38カ所。このうちの28カ所が地下駅になる。高架駅が8カ所。主力の紅線は全長28・3キロで、15カ所が地下駅。

東 京地区の等辺山形鋼市況は6×50で3万4000円、溝形鋼は5×50×100で3万8000円中心の横ばい。出庫量の大幅な伸びは見込めないが、H形鋼が帳端明けから唱えを上げるのに伴って、一般形鋼も、現在3割ほどある山形3万3000円以下の払しょくを目指す。

 形鋼部会の調査では、6月のベースアングルの出庫量は前月比横ばい。大山の出庫量は同9・5%減で物件向けの動きが少ないことがうかがえる。日々の小口中心。小溝・中溝の出庫量は横ばい。7月以降も同様の動きだが、特約店は採算が合わないため「上げざるを得ない」と3万4000円下限を目指す。

東 京地区の縞板市況は荷動きが閑散としており、市況は弱横ばい。市中価格(3・2―4・5ミリ、ベースサイズ)は5万4000―5万5000円中心。定尺品は小口中心に注文を拾う商いだが、4―6月の需要停滞を引きずって「全く動きがない」(扱い筋)という。市況は高値が通りづらくなってきたが、「値段を安くしても2倍売れるわけではない」(同)として小売価格は崩さない姿勢。

 加工は中小規模の建築物件が振るわないものの、大手業者の稼働は好調に推移。要因は工場設備の補修関連で、夏季休暇に照準を合わせた注文が集中しているため。熱延、条鋼市況の弱気から今後も弱横ばいで推移。

大 阪地区のH形鋼市況はベース3万2000円中心で足踏み状態。地区の建築需要は駅前再開発やマンションを中心に散見されるが、工場・倉庫など民間設備投資のS造物件は極端に少ない状況。このため、市中の荷動きはいまひとつ精彩を欠き、「夏場を控えても不況感が強い」(特約店筋)のが実情だ。

 また、このほど発表された6月末のときわ数字は入庫が前月比9・7%増の3万6269トン、出庫が同比3・3%減の3万8014トンとなり、在庫は同比3・1%減の5万3000トンと4カ月連続で減少した。各流通では歯抜けも多く散見されているため、「在庫調整は限界」との見方も出ている。