2001.08.02
興 国鋼線索(管財人=田中一家・日亜鋼業社長)は、更生計画の最終決定を受け11月完成をメドに大阪工場の拡張に乗り出す。隣接地1万2000平方メートルを買収し、千葉工場から伸線機、ディスケーラーなどを移設。さらに亜鉛メッキラインの新設を行う。全体の投資額は28億円。工場完成後、日亜鋼業は興国鋼線索の亜鉛メッキ線、興国鋼線索は日亜鋼業のアルミメッキ線のOEM生産を行う。最終的には相互に月間500トン程度を出し合う。

 99年7月に会社更生法を申請して倒産した興国鋼線索は、日亜鋼業が全面支援に乗り出している。7月4日の債権者集会で10月末での減資と4億5000万円の再増資を決定。再増資分は、日亜鋼業が全額出資する。同時に越野雄治・日亜鋼業取締役が社長に就任する。

 新体制後、千葉工場は閉鎖。11月から大阪工場だけの操業で黒字化を目指す。千葉工場は従業員110人で月間700トン程度の線材2次製品を生産している。この分は、11月以降大阪工場で生産する。従業員のうち100人は、10月末で退職。

 閉鎖後の生産量を大阪工場でカバーするため、新たに隣接地1万2000平方メートルを買収。約5000平方メートルの工場を建設し、千葉工事から伸線機、ディスケーラーなどを移設する。メッキラインは、新設する計画で、完成後合金メッキ線月間340トン、アルミメッキ線340トンの生産を計画している。投資額は、土地代を含め28億円。これらは、再増資分4億5000万円と日亜鋼業からの融資でカバーされる。

 最終的に大阪工場の増強が完了すれば、従業員230人、月間加工量4000トンが見込まれている。2年目から売上高100億円で黒字化を目指す。

経 済産業省が集計した2001年度第2四半期(7―9月)の特殊鋼熱間圧延鋼材生産計画は、国内、輸出合わせて、399万1500トン(前期比0・4%増、前年同期比1・8%減)となった。国内向けは自動車生産を前期比増と想定したものの、鋼種によって在庫調整を実施するため前期を若干下回る。逆に輸出は東南アジア、中近東などでのプラントに絡み、高抗張力鋼が伸びるため全体を押し上げる。計画通り推移すると前期比では2期ぶりの増加に対し、前年同月比では99年度第1四半期以来、9期ぶりの減少となる。

 生産計画の内訳は、国内が278万トン(同0・5%減、同5・5%減)、輸出が121万1500トン(同2・3%増、同7・9%増)。国内向けは3期連続の前期比減、2期連続の前年同期比減。一方の輸出は前期比、前年同期比とも3期連続の増加となる。

 鋼種別にみると、国内では機械構造用炭素鋼、ステンレス鋼板、その他鋼を除く7鋼種が前期比増を計画。輸出では対前期で高抗張力鋼のほか、ばね鋼の伸びが顕著となっている。

経 済産業省は1日、同省内で鉄鋼業の技術面、生産面などから競争力強化方策を検討、中長期的な発展の方向性を具体的に検証する「鉄鋼業の競争力強化と将来展望研究会」(座長=足立芳寛・東大大学院教授)の第1回会合を開催した。今回は日本鉄鋼業の位置付けと環境変化への対応について討議。鉄鋼業を製造立国として産業基盤を形成する基幹産業と位置付けたうえで、取り巻く環境は構造的、不可逆的な変化が生じているとし、競争力強化の方向として生産プロセス効率化、製品の高付加価値化、需要拡大、強みを活かした事業拡大――の4視点を挙げた。量から質、川下展開を加味したマテリアル・ソリューション産業へのシフトが重要と提言された。

 同研究会は経済省の岡本巖・製造産業局長の私的懇談会として高炉メーカーなどのメンバーを加え発足。基幹産業である日本鉄鋼業が環境変化の中で今後も優位性を有し得るか―、「技術力向上など、5年から10年先をにらんだ中長期的な観点で議論を進める」(同局長)。

 第1回会合では、位置付けや環境変化について認識を示し、この共通認識を踏まえ、鉄鋼業の将来像、戦略を考察。9月中旬に第2回会合を開き、月1回のペースで今年11月末か12月初旬まで合計5回行い、検討結果をとりまとめる。

 鉄鋼業の位置付けについては「基幹産業」とし、世界最高水準の技術により、幅広い産業分野に最高品質の鋼材製品を供給、国内製造業全体の競争力を支えていると明示。「製造業の住みやすい国」として発展する意味でも鉄鋼の競争力維持は必要とした。
阪 和興業の鋼材電子商取引サイト「ハンワ・スチール・ドット・コム」の7月単月の成約量が2万363トン(2897件)となり、当面の目標だった2万トンを突破した。

 単月での成約量が1万トンを突破した3月から4カ月で2万トンを達成したのは、関西地区の稼働によって東京、大阪、名古屋の3店が出そろい、全社的に営業基盤が確立したことと同時に、「鋼材市況が低迷しているなかで同サイトの実用性が認知された結果」と同社では判断している。

 成約累計は10万トンを超え、現在キャンペーン中の15万トンヒットもそれほど遠くない。

 10月からはユーザー向け「物件管理対応」(顧客が物件ごとに価格や数量を管理できるシステム)を稼働させる予定。現在、阪和興業の各鉄鋼部隊と綿密な打ち合わせを繰り返し、商売の実態になじむようなシステム開発を急ピッチで進めている。

 これまでの店売りを主体とした実績に加え、需要家のニーズに対応していくことで、さらにeコマースの普及を目指す。10月の新システム稼働以降は月間目標値を3万トンに引き上げていく。

関 西地区の中板扱いコイルセンターは1日から、中板の唱えを1000円程度引き上げた。国際価格と比べても陥没している国内価格を是正し、採算が確保できる状態に戻すのが狙い。また、価格エキストラ体系も修復させるため、5幅サイズについては3、4幅に比べ1000円高で唱えていく方針。

 今回、地区コイルセンターが中板の唱えを引き上げるに至った要因は韓国のポスコ、国内の高炉メーカーが6―7月にかけて、ホットコイルを3000円引き上げる方針を打ち出し、「これが本気だ」と流通段階で確認されたため。

 特に、国内の高炉は値上げを優先し、販売数量は抑制する動きに出ている。地区のコイルセンターでは「メーカーからは必要がなければ、申し込みを減らしてくれと言われた」とし、実際、業者は一部のメーカーへの申し込みを1カ月分スキップしたもよう。

 すでに、コイルセンターでは中板の販売が完全な赤字となっており、経営に大きな打撃を与えている。今回、メーカーの姿勢が本気と認識できたことで、地区コイルセンターは採算面の改善、さらには国際価格よりも2割程度陥没した状態の是正に乗り出す。
東 京フェンス工業(狩野壽男社長)は今年度(4月期)、ステンレス事業部の売上高を前年度比20%以上引き上げる構え。このための施策として、同社では今秋にも同業メーカーとの提携によるOEM供給をスタートするほか、現行フル稼働状態の協力工場を今年度中にも1―2社増やして供給能力を高めるなど、体制を強化する方針だ。

 東京フェンス工業は、各種フェンスや門扉の製造・販売を全国展開している。ステンレス事業部は昨年7月1日付で新設され、大同特殊鋼から材料供給を受け、協力加工業者の3工場(群馬、川崎、海老名)がメーンで製作。

 同社は前年度、全国の代理店と「リスクを分かち合えるパートナーづくり」を推進する一方で、東北営業所の人員を増強するなど営業力を強化、施主や設計事務所に積極アピールしている。

 これが効果を表し、ステンレス事業部はフェンスや門扉のほか、モニュメントなど引き合い・受注ともに好調で、売上高は同事業部設置前と比べて20%増と大きく伸びた。
重 仮設および建設機械器具リース業界内では、ここにきて軽仮設リース業者との協力関係を深め、踏み込んだ提携を模索する動きがみられる。両業界ともに需要減退でリース単価が下落したことで企業基盤が揺らいでおり、重仮設業者は新規資材償却やヤード負担を軽減するため、メーン以外の品種を軽仮設業者から再リースする傾向が強い。また、建機リースの一部業者は軽仮設リース分野への進出に向けて準備を進めるなど、地盤沈下した業界内で苦しい生き残り策を講じているようだ。

 重仮設リース業の低迷は著しい。国土交通省がまとめた建設機械器具リース業等の動態調査によると、2000年度の重仮設リース業賃貸売上高(8社ベース)は759億8000万円と、前年度比69億1100万円、約8・3%減となった。また、5月末現在の賃貸売上高は同18カ月連続でマイナスになり、今年に入ってからも減少傾向は継続中。

 一方、建設機械器具リース業は2117億6700万円で同74億6400万円、3・7%のプラスとなったが、とくに地方需要の落ち込みは激しく、ゼネコン受注競争の影響でリース料金は弱含みで推移している。

日 本プロジェクト産業協議会(JAPIC、会長=千速晃・新日本製鉄社長)、東京都、および経団連は9月6日、「大交流時代における観光を考える」と題したシンポジウムを開催する。

 昨年の日本人の海外旅行者が1782万人で世界10位となったものの、外国人旅行者の受入数は、その4分の1の476万人で世界36位にすぎない。

 原因として、海外へ向けた情報発信の不足や国際空港、道路等のインフラの不備、高い宿泊代や日本の都市の魅力不足がある。外へ出ることを重視して、観光や頭脳労働力を海外からひきつける政策が欠けていた、とJAPICは指摘。これを改善すべく、東京都、経団連、JAPICはそれぞれ海外振興プランを検討してきた。今回は3者が共催することで、一般市民にも、観光政策への取り組みの必要性を発信する。

 ▽日時=9月6日(木)午後1時半―4時半

 ▽会場=日比谷公会堂

 ▽定員=2000人

 ▽参加費=無料

東 京地区のH形鋼市況は100×200で3万4000円中心の横ばい。流通は帳端明けから3万5000円を唱えているが、浸透には至っていない。需要家側は、需要が増えるまで様子見の状態。

 7月半ばから荷動きはよくなっているが、小口分散化されているため、全体でみると7月の出庫量は6月比横ばいの見通し。

 入庫量は各社需要見合いに落としているため、在庫量は減る。Mクラスのファブの手持ちの仕事量は2―3カ月と余裕のない状態。店舗、倉庫等の中小物件が少ない。流通は手を尽くしたものの需要増のメドが立たず、当面は横ばい。

東 京地区の縞板市況は弱横ばい。市中価格(3・2―4・5ミリ、ベースサイズ)は5万4000―5万5000円中心。

 需要は関連性の高い建材の他品種と同様に力強さがなく、定尺の販売は低調。価格的には下値も出ているようで市況は弱気だが、スポット販売の中心値は現状維持。供給は実需に見合う程度で過剰感はないようだ。

 販売業者は切板など小口の注文を集積し、「忙しさがある割に量はそれほど増えない」という。縞板コイルセンターの稼働も同様。流通サイドでは8月後半にかけて、メーカーの熱延鋼板値上げが流通に波及してくるか注目している。夏季休暇を控えて、目先は様子見横ばいか。

大 阪地区のH形鋼市況はベース3万2000円中心で横ばい。今月に入っても、市中の荷動きは相変わらず低調。地区の建築プロジェクトは一部大型物件に限られており、民間の建設需要は総じて悪い。特約店筋への引き合いは小口の商いに終始しており、「7月出庫もほぼ6月並みだった」という。

 大阪鉄鋼流通協会の調べによると、6月末の入出庫状況は入庫が前月比15・4%増の4万7941トンと2カ月連続で増加、出庫は同比3・6%増の4万9728トンと3カ月連続で微増に推移した。流通筋の値戻しムードも後退したままで、市況は当面、横ばいの見通し。