2001.09.14
大 同特殊鋼は13日、精密鋳造品の生産体制強化を目的に製造委託子会社のダイドープレシジョンパーツ(略称DPP/岐阜県中津川市)の築地工場のチタン生産設備を中津川工場に今月末までに集約すると同時に、生産設備を拡充すると発表した。精鋳部門を1カ所に集約した中津川工場では需要がおう盛なターボチャージャー用ホットホイール、ノズルベーンなどの生産を増やし、売上高を現在の50億円(昨年度)から今年度63億円、来年度には72億円へと拡大させる計画。

 同社はこれまで精密鋳造品をDPPに生産委託し、同社築地工場でチタン合金ゴルフヘッド、中津川工場でチタン合金排気バルブ、ターボチャージャー用ホットホイール(チタン・アルミ系、高合金系)、ガスタービンホイール用部品(高合金系)を生産してきた。この結果、生産工場が2カ所にまたがり、設備、管理、人材面においてロスが生じ、またチタン合金系排気バルブの生産は季節変動が大きく、冬季のピーク時には築地工場で一部工程を受け持つなど効率が悪かった。このためチタン合金製品を含めた精鋳品の生産拠点を1カ所に集約すると同時に、中津川工場の工場レイアウトを改善、造型設備を増強する。移設を含めた総投資額は約2億円。

 一連の合理化、設備増強で、DPP全体の生産能力がアップし、またチタン精密鋳造関係の人員も15人削減、83人体制にスリム化させる(15人は大同特殊鋼築地工場の業務に振り向ける)。

平 沼赳夫・経済産業大臣は13日、米国での同時多発テロ事件を受けた記者会見で、物流、株、為替、エネルギー・資源での影響に対する懸念を表明、「石油、レアメタルなど資源の備蓄を持っており、当面は対処できるが、混乱が長期化しないよう、対策を適切に講じていく」と述べ、物流確保などにも努めていく方針を明らかにした。また、株価が17年ぶりに1万円を割ったことについては、経済対策を強化していく考えを示した。

 会見では同省管轄の企業などでは犠牲者が出ていないことを報告したうえで、「貿易額90兆円のうち、米国は4分の1を占め、日米は補完関係にある」とし、米国での混乱が長期化した場合の日本経済への影響が拡大することに対する危惧感をあらわにした。早期の立ち直りに向けた対米支援を明示した。

 今年11月にカタールで予定されている世界貿易機関(WTO)の閣僚会議など今後の通商交渉への影響については、「基本方針は固まっている」とし、現時点では予定通り実施されるとの見通しを語った。

経 済産業省はこのほど、商社との連絡会議を開き、鉄鋼需要などの動向を聴取した。商社各社は、鉄鋼需要は建設分野、製造業分野ともに7―9月期以降、さらに厳しくなると予見、粗鋼生産が4―6月期2638万トン、7―9月期見通し2530万トンと続いた高位推移に対して慎重な生産対応が必要との見方を示した。品種別については普通鋼薄板の在庫率上昇、厚板、形鋼の需要減予想を指摘、市況面に関してはホットコイル、酸洗鋼板、冷延鋼板、表面処理鋼板の値上げは需給の実態に照し、厳しい状況にあるとし、逆にH形鋼については現状を底とし、強含み状況にあると予測した。

 需要面は、建設分野が公共土木が低調であるほか、住宅建築も4―6月前年同期減となって以降、7―9月期、10―12月期とも低レベルを予想、非住宅も4―6月期同20%減で、7―9月期以降も民間設備投資、大店法改正に伴う需要が減少していると報告された。

 製造業分野は自動車の4―6月国内販売が同0・7%減にとどまったが、今後は新型車種効果で生産もプラスに転じると予測された。造船は4―6月期受注が同60%増と唯一、好調を保つ。電気機械、産業機械は減少見通しで、製造業は造船と国内向けを除き、悪化予測となっている。輸出についても4―6月期同3・4%減の後、低迷傾向が続く見通し。

ニ ューヨークのワールドトレードセンターのツイン・タワーが時間差をつけて予想外の崩壊をしたのは、航空機の衝突などが主な原因で上部の自重を支えきれなくなったり次々と床が崩壊し、ドミノ倒しのように一気に崩れたため、と計良光一郎氏(新日鉄プロジェクト開発部)はみている。さらにWTCの構造も影響したという。

 「鉄骨だけで1棟当たり7万5000トン。床なども含むとその3倍ほどの重量がある。今回衝突した航空機は200トン程度のため、ぶつかっても局部的に穴があくことはあるかもしれないが石ころが飛んできたようなもの」(計良氏)だった。これが全壊にまで至ったのは、航空機の燃料による火災で、ガソリンをばらまかれたような状態になり、高温から鉄が柔らかくなったためだ。そこに重力が加わって、加速度的に崩壊した。後から衝突された棟が先に崩壊したのは棟の下部に衝突したため、より多くの上部の重さが加わったことによる。さらに、WTCの構造も影響した。

 チューブ構造と呼ばれる鳥かご状のWTCは、エレベーターホールの周りにある内側の柱44本と外側の柱約240本で構成構成、柱と床の接合部分はピンで留めた程度。柱と梁の太さは日本のビルの半分ほどしかなく、床面積当たりの鉄骨量も日本のものより少ないという。少なく、細い柱のうちの一部が衝突により破壊されたため、火災による柱の強度低下により上部構造を支えきれなくなり、崩壊につながった。

丸 紅、伊藤忠商事両社は13日、10月1日に設立する鉄鋼建材専門商社「伊藤忠丸紅テクノスチール」の会社概要を発表した。両社によると、本社は東京・日本橋、関西支社は大阪・北浜で、支店は札幌から福岡まで11カ所、営業所は4カ所で、従業員約370人。組織形態は、管理、東日本営業、東京営業、西日本営業の4本部の下に各支店・営業所、部、室が置かれる。新会社の概要は次のとおり。

 ▽本社=東京都中央区日本橋室町2―4―3新室町ビル8・9F
 ▽関西支社=大阪市中央区北浜3―5―29日本生命淀屋橋ビル9F
 ▽支店=札幌、仙台、新潟、水戸、横浜、名古屋、富山、長野、広島、高松、福岡
 ▽営業所=宇都宮、福井、鹿児島、那覇
 ▽株主=伊藤忠丸紅鉄鋼100%

 【役員体制】
 ▽代表取締役社長=松村輝彦
 ▽代表取締役副社長=平島義和
 ▽常務=矢部一郎・西日本営業本部長、歳谷秀幸・東京営業本部長
 ▽取締役=阿部和夫・管理本部長、岸上通夫・東日本営業本部長、矢向潔・関西支社長、千原基典・相談役、北嵐昭雄・伊藤忠丸紅鉄鋼取締役建材本部長(非常勤)
 ▽監査役=金子一、山田毅、阿部禎員・伊藤忠丸紅鉄鋼取締役管理本部長(非常勤)、泊久次(非常勤)

日 鉄建材工業(岡田明久社長)は、中期3カ年計画(00―02年度)における製造所集約を含む生産体制の再構築の一環として、川崎製造所から野木製造所(栃木県下都賀郡野木町)への設備移設を進めてきたが、これがこのほど完了し、今月20日に竣工式が執り行われる。

 移設した設備は、軽量形鋼(カラーC)ラインのほか、デッキプレートのカラーラインとエンクロラインで、軽量形鋼は8月7日に、デッキプレートは同27日にそれぞれ営業生産を開始している。

 当日は、岡田社長ら日鉄建材工業首脳をはじめとして、建設にかかわった鹿島や太平工業関係者、新日本製鉄など来賓を含む70人が出席し、今後の安全と繁栄を願う。
名 古屋地区の丸棒メーカーである山口鋼業、共英製鋼名古屋事業所、トピー工業の3社は今週、9月契約から販価を1000円値上げし、下限2万3000円(ベースサイズ)とする方針を正式に決め、流通筋に伝えた。輸出や雇用調整助成金などによって需給がタイト化したと判断したもので、ゼネコンの抵抗があるものの、採算の厳しくなっているメーカーは「不退転の決意で臨む」(地場メーカー)としている。

 小棒市況は今年に入ってジリジリ値を下げ、最安値では2万2000円どころともなった。原料の鉄スクラップ価格が低位安定しているとはいえ、こうした価格ではメーカーは採算割れの状態で、価格立て直しが急務とされていた。共英・名古屋とトピーの輸出、山口の雇調金申請などにより供給を絞り、太物サイズを中心に徐々にタイト感が出てきたことから、今回、約1年ぶりとなる値上げを打ち出したもの。

 流通筋もメーカーに呼応する形で、来週にも唱え引き上げを図る構えだ。メーカー側では国内向け出荷の削減を継続することで、年内にベース=2万5000円にまで価格を引き上げたい考え。

日 本水道鋼管協会は、塩ビライニング鋼管のリサイクル環境の整備を進める。従来2カ所だった同製品のリサイクル協力工場は、6月に同協会会員の多久製作所の九州工場(佐賀県多久市)が加わったことで、全国3カ所を合わせた処理能力は従来比50%増の年間1800トンに拡大した。協会では今年度、工事現場などから端材や廃材として発生する同製品の量を4500トンと推定、そのうち10%の450トンの回収・リサイクルを目指している。

 塩ビライニング鋼管は、鋼管の内側に硬質塩化ビニル管を接着ライニングし、主に建築物の給水・給湯設備などで使用される管材。リサイクルするには処理設備で加熱し、鋼管と内側の塩ビ管を分離する必要がある。

 6月に新たにリサイクル協力工場となった多久製作所九州工場の処理設備は、従来の処理設備と比べ加熱炉を大きくしたことで、長尺管(長さ5・5メートルまで)およびフランジ付鋼管(口径20ミリメートルから400ミリメートルまで)を扱うことが可能で、処理能力は年間600トン。主に九州地区で発生する端材・廃材の処理拠点となる。

東 京地区の軽量C形鋼市況はベース4万7000―4万8000円中心と下値寄りになった。工場、店舗などの需要の落ち込みが主因。一方で、高炉メーカーによるホットコイルの建値上げを背景に、一部軽量形鋼メーカーには値上げを検討する動きもある。

 東鉄連の調査によると、8月末の出庫は、稼働日数の関係もあって前月比7・8%減と大きく落ち込んだ。入庫は同1・4%減で、在庫は同1・1%増と横ばい。「下期は、これまでの工事の契約残があるため、なんとかなる」(大手メーカー)ものの、来年はさらに悪化するとの見方が支配的。

東 京地区の表面処理鋼板(電気亜鉛めっき)市況は弱含み。市中価格は5万3000―5万4000円(熱延下地)、6万3000―6万4000円(冷延下地)。

 8月後半以降も販売が回復しないため、在庫が高水準。店売りは主力の建材が不振で、小口の当用買いに終始している。関東地区では8月下旬に入り、電気めっきの需要が「まるで消えたようだ」(コイルセンター)との声も聞かれた。

 国内高炉メーカーは需給改善の姿勢を明確にしてきたが、4―6月、7月以降の需要減が上回り調整はほとんど進んでいない。熱延と同様、メーカーが今後、値上げに踏み切る可能性もあるが、市場への浸透は難しそう。

大 阪地区の等辺山形鋼市況はベース3万1000―3万2000円どころで横ばい。大阪製鉄、エヌケーケー条鋼などメーカー各社が大幅減産、一部出荷調整を実施しているため、市中在庫はタイト。

 現状の在庫状況は4×50、6×50、6×65などベース中心に歯抜けが多数散見、流通各社は入荷待ちの商売となっている。さらに、今後の入荷量についても「契約量の半分近くが削減されるケースもある」(特約店筋)とあって、一層タイト化する見通し。

 このため、荷動きは建築不振で盛り上がりを欠くが、流通間ではここにきて安値警戒感が台頭。各社は売り腰を強化している。