2001.09.20
合 同製鉄(猪熊研二社長)と東京鉄鋼(吉原毎文社長)は19日、関東地区での鉄筋棒鋼販売部門を統合し共同販売会社を設立、さらに相互での受委託生産を行うことで合意したと発表した。共販新会社は50%ずつの出資で02年2月1日設立で4月1日に事業を開始する(社名、資本金額など詳細は未定)。月間5万5000トンを販売し、両社が持つ継手加工部門は含まない。

 合同・船橋製造所(千葉県)と鉄鋼・本社工場(栃木県小山市)の生産機能の統合も視野に入れ、生産・技術・輸送の効率化を進める。関東地区のベースメーカー5社のうち、大手2社が共同歩調を強めることで関東棒鋼市場の安定軸となりそうだ。

 両社は1980年に業務提携を行い、合同が鉄鋼の株式4・9%、鉄鋼が同1・67%を持ち合っている。バブル崩壊以降、長引く建設不況からマーケット環境は厳しく、両社はかねて生産・販売面での提携を模索。01年3月期で合同が4期ぶり、鉄鋼が8期ぶりに黒字転換し、おのおのの経営基盤が確立したことで具体化した。

 提携によって販売力の強化、要員削減、生産・輸送の効率化、共同購買など事業強化を図る考え。新会社の年間売上高は200億円超。従業員は10人強で販売量は5万5000トン、関東シェアの2割を有する。鉄鋼が東京鋼鉄から受けている小棒の生産委託分も含まれる。生産面では、鉄鋼が製造しているD16―19の一般棒鋼は、合同・船橋に一部委託。ロールマークは統一する。両社の販売商社はほぼ重なり、現時点での変更はないという。会社所在地、役員体制などは今後詰める。

東 京鉄鋼は、ネジ加工品事業、本社棒鋼事業、東北棒鋼事業のうち、本社棒鋼事業は合同製鉄との販売統合を進め、東北棒鋼事業は分社化、今後はネジ加工品事業を中核とした事業基盤を確立する。本社棒鋼事業は電気炉1基と圧延の一部を休止、東北棒鋼事業(青森県八戸市)は棒鋼とネジに加え産業廃棄物処理事業を拡大して、新たなスタートを切る。一連の事業再構築に伴い、同社は近く産業活力再生特別措置法(産業再生法)を申請する。

 同社の年商300億円のうち、ネジ加工品事業が140億円、本社棒鋼事業が90億円、東北棒鋼事業が70億円の内訳で、利益の大半はネジが生み出している。今後も需要は拡大すると判断して、ネジ加工品を事業の中核に据える。本社棒鋼事業は02年4月に合鉄との販売統合を行い生産統合も視野に入れ、本社工場の50トン炉と第1圧延工場を02年12月までに休止、要員は40人減の140人とする。東北棒鋼事業は02年4月に分社し、廃家電の中間処理を中心とした産業廃棄物処理事業の拡充を図り、棒鋼とネジ事業に加えた柱を育成する。

 東北棒鋼事業の新会社は、社名が東京鉄鋼東北(仮称)。01年12月1日に設立し、02年4月から営業を開始する。社長は桜井憲一氏(東北棒鋼事業部長)。資本金は1億円で東京鉄鋼が100%出資。従業員は30人程度削減して95人とする。給与は70―85%にカットしてコストを見直す。初年度は売上高66億円、経常利益3億円を目指す。

神 戸製鋼所は1998年8月から実施している「21世紀コベルコ環境創造プロジェクト」の一環として、社外の環境保全活動を対象とする支援制度をこのほど設立、2001年度として総額2227万5000円の支援先を決定した。神鋼では2010年度まで支援活動を継続、年間2000万―3000万円、10年間で総額3億円の寄付を実施する予定。こうした環境保全に限った支援は、鉄鋼業界としては初めてとなる。

 今回設立した支援制度は(1)コベルコ自然環境保全基金(2)コベルコ環境創造基金―の2制度。

 「コベルコ自然環境保全基金」は、一般市民の環境保全活動を支援するもので、兵庫県内の営利を目的としない法人、団体、グループなどに1件当たり最大20万円、年間総額400万円程度を支援する。運営は公益信託制度を活用、信託銀行に5000万円の基金を預託して運営する。

 「コベルコ環境創造基金」は、比較的大きな案件を対象に国内外への支援を行う。1件当たり最大500万円、年間2000万円程度を予定、運営は宮本岩男常務執行役員を委員長に社内外4人の委員で行う。

 このほど決定した2001年度の支援先は「コベルコ自然環境保全基金」では、「野生生物を調査研究する会」「ブナを植える会」「三木自然愛好研究会」など14件、総額227万5000円。

阪 和興業は18日、10月1日から、同社が行っている会員制の電子商取引サイトhanwa―steel・comの利用者を対象に、鋼材1トンの購入につき300円を還元する「ポイントバック・キャンペーン」を開始すると発表した。サイトの利用促進が目的で、期間は02年3月末まで。サイトの充実では9月に角パイプの扱いと11月に物件・枠対応サービスを始め、来年1月には配車システムを立ち上げる予定。同社では一連の機能充実により、サイトの扱い量を現在の2万トン(月間)から、年度末までに3万トンに引き上げたい意向。

 ポイントバック制度は、利用者がhanwa―steel・comで鋼材を購入すると、1トンにつき3ポイント(1ポイント100円換算)が得られ、次回の購入時にポイントを使うことで、値引きメリットが受けられるシステム。ポイント発生期間は10月1日から02年3月31日までで、ポイント利用期間は11月1日から02年4月30日まで。

 昨年10月にスタートしたhanwa―steel・comは従来の東京、大阪、名古屋の3地区に加え、9月から北海道地区でも扱いを始めた。7月の扱い実績は2万362トン(3557件)、8月は1万9462トン(3350件)で、阪和興業では月間2万トンの扱い量が定着したと判断している。
浅 見商工(本社=大阪府門真市、悦喜章社長)は年内にも、新しいコイルセンター業務管理システムを構築、立ち上げる計画。これに先立ち、今年7月に本社のホストコンピュータを大容量の新鋭機(富士通)にリプレースするとともに、事務所内の人員すべてにPC端末を配置した。また、営業を主体にeメールアドレスを持たせ、顧客とITを活用した取引ができる体制とした。今後、業務管理のソフトを完成させ、早急にシステム稼働を目指す。

 同社は日商岩井系のコイルセンターで、本社工場に大型レベラー1基、大型スリッター1基、ミニレベラー1基、大東工場にシャーリング設備5基(セミオート2基、手動3基)を持ち、事務機器、鋼製家具、家電、建材向けに薄板を1・2次加工している。

 昨年度から、「浅見再生プロジェクト」を実行、これに基づいてコスト低減を展開してきた。このコスト低減の一環として、新しいコイルセンターの業務管理システムの構築を計画、作業を進めていた。

 まず、今年7月にはホストコンピュータを容量の大きい最新鋭機にリプレースした。また、事務所の人員すべてにPC端末(23台)を導入し、営業を主体にeメール・アドレスを持たせた。
屋 根メーカー、川鉄ルーフテック(本社=東京都中央区、阪口登社長)は、厳しい経営環境下において年度目標を達成するため、今下期から積極施策を展開する。一般住宅向けは、川鉄グループ企業の販売ルートを活用した拡販活動を本格スタート。また、非住宅向けは鋼板メーカーによる10月実施のカラー厚物値戻し分を自社建材製品にスライドさせる構えで、収益改善にも力を注ぐ。

 同社の前年度決算(3月期)は売上高が40億円、利益は経常ベースで黒字を確保している。今年度は住宅、非住宅とも需要環境が悪化の一途をたどっている中で売上高、経常利益ともに前年度並みをキープする計画だ。

 一般住宅向けは、住宅建築着工戸数が115万戸前後(前年度約121万戸)に落ち込むとみられ、1―6月の住宅着工戸数実績は、前年同期比で軒並み減少が続いている。

 一方、非住宅向けは今年度、IT施設や大規模小売店舗など昨年好調であった分野の冷え込みが著しい。建築着工床面積は、第1・四半期で前年同期比2ケタ減が続き、第2・四半期も回復の兆しがみられず、需要減退が色濃い。
ゲ ーテハウス(本社=東京都中央区、川村敏之社長)は、伝統あるヨーロッパの技と素材を用いた欧風住宅を、国内に導入・浸透させてきているが、このほど手がけた南欧プロバンス風の邸宅(岡山市内)が評判を呼んでいる。

 同社は99年5月24日に設立され“自然・環境に配慮した建材と注文者のニーズを限界まで具現化する”という理念の下、伝統あるヨーロッパの技と素材、住文化を伝えてきた。組織は屋根や外壁など建材部門、戸建て住宅など建築部門に大きく分かれている。

 建築部門では、一棟ごとにプランするフルオーダーメードシステムで、需要家ニーズを最大限反映させる家作りを推進。また、すべての需要家に(1)住宅プランナー(2)デザイナー(3)技術設計士(4)施工監理技術者―など専門スタッフがキメ細かく対応する。

 このほど完工した岡山県内の邸宅では「ナチュール(木造)」を採用。内・外装については、漆喰壁(モノプラルKS)や防火・断熱に優れた新壁素材(ゲーテコート18)などを使っている。面積は敷地約288平方メートル、延床約202平方メートルの2階建て。南欧プロヴァンスがテーマの、明るく開放的なデザインは地元で話題を呼んでいる。

日 本塑性加工学会は、11月6日、東京電機大学11号館17階(東京都千代田区神田)で第207回塑性加工シンポジウム「TiおよびMg合金の加工とトライボロジー」を開催する。

 近年、軽量化・意匠性などからチタンやチタン合金が普及し、マグネシウム合金も携帯電話やノートパソコン、自動車部品などに使用が広がっている。しかし、これらの金属は組織構成が六方晶系のため、鉄系に比べて塑性加工が困難。さらに加工時に焼付きやすいなど難点が指摘されている。

 このため同学会ではシンポジウムを開き、大学研究者、素材メーカー、部品メーカーなど各業界から最先端の研究成果を集め、難加工材加工のトライボロジー的な問題点を明らかにし解決策を探る。

 申し込みは同学会まで。電話03(3435)8301、ファックス03(5733)3730.

東 京地区の冷延薄板は需要が弱く、安値寄りの展開。市中価格(1・0―1・6ミリ、ベースサイズ)は4万5000―4万6000円。

 需要は9月以降も停滞し、市中では「一段と悪くなった」との感覚が強い。自動車、電機など大手メーカーが生産計画を下方修正するなど、10月以降も不透明感が漂う。定尺品は小口注文を集める状況だが、前年同月比で10―20%の販売減と厳しい。

 全体的な在庫は輸入材の減少で過剰状態のピークを越えたが、需要との比較ではまだ多い。環境悪化で相場と離れた安値販売も一部に残るようだ。小売業者は下げを抑える姿勢だが、弱含み推移が続く見通し。

東 京地区の等辺山形鋼は6×50で3万4000円、溝形鋼は5×50×100で3万8000円中心の横ばい。山形3万3000円、溝形3万7000円以下も半数近くある。引き合いは相変わらず低調なものの、H形鋼流通が3万4000円下限での販売を維持していることを受けて、一般形鋼流通も来月から3万4000円下限を唱えていく。

 形鋼部会の統計によると、8月末在庫は山形で前月比0・9%減、溝形は同0・4%増とほぼ横ばい。

 9月の荷動きのほうが8月より悪いとの声もあるが、メーカーの供給は完全に申し込み分のみとなっているため、タイト感は出始めた。

大 阪地区のコラムはベース5万1000―5万2000円どころで弱含み横ばい。建築需要は盛り上がりに欠けるが、市中の荷動きは需要期ということもあって、やや活発化。流通筋では「小型物件の集積で先月以降、出荷量は上向き」という。各社の加工納期は3―4日程度となっている。

 流通の売り腰はやや弱いが、各社とも採算悪化による警戒感が強く、市況の値下がりは小幅に踏みとどまっているのが現状。

 また、ここにきて僚品のH形鋼が基調転換、一転、値戻しに向かっているため、これが下支え要因となりそう。市況は早晩、下げ止まりか。