2001.09.21
三 井物産は米ミシシッピー州に自動車用鋼板対応のサービスセンターを新設する方針を固めた。日産自動車の新ミシシッピー工場の操業開始に合わせて、03年早春までに設備を立ち上げる。

 新SCは、米大手SCのスチール・テクノロジーズとの折半出資合弁事業として展開するマイテック・スチールの第4工場となる。マイテックは新SCの建設候補地をミシシッピー州カントンに絞り、選定作業を進めているところ。主要設備は72インチ幅対応のスリッターおよび自動車外板用の検査ラインで、設備投資金額は500万ドル弱となる見通し。三井物産はマイテックに加えて西海岸、中西部などでもSC事業を展開しており、新SCは米国で10工場目となる。

 マイテックは、スチール・テクノロジーズと米国三井物産の鉄鋼関連投資会社、ミツイ・スチール・デベロップメント(MSD)との合弁事業。テネシー州マーフリーズボロー、インディアナ州グリーンズバーグ、アラバマ州ディケーターに3工場を持つ。テネシー州のSCはスリッター2ライン、レベラー、検査ラインなどを持ち、日産のスマーナ工場(テネシー州)対応をメーンとする。インディアナ州にあるSCの主要設備はスリッター2基、レベラー、プレスなど。

経 済産業省は製造業の海外移転に伴う空洞化と日本国内での生産維持など今後の日本経済のあり方を経済界の代表と意見交換、検討する「産業戦略研究会」(仮称)を立ち上げる。鉄鋼業界から新日本製鉄の千速晃社長、自動車業界からトヨタ自動車の張富士夫社長など経営トップと、経済省から岡本巖・製造産業局長、太田信一郎・商務情報政策局長、日下一正・産業技術環境局長などが参加する。第1回会合は今月26日に開かれ、月1―2回ペースで開催、必要に応じてワーキンググループも設置。研究会での討議を同省の政策に反映させていく方針だ。

 製造業では、中国をはじめとする後発・途上国の能力向上から、低付加価値品の分野では競争力が大幅に低下。さらに、東南アジア地域などへの生産拠点の移転や、素材、資機材の現地調達の動きも拡大する方向にある。このため日本製造業での空洞化は顕著で、将来的に国内での事業運営について大幅な転換も必至な状況となっている。

 こうした情勢を踏まえ、経済省では新たな研究会をスタートさせ、製造業を中心とした日本経済の今後のあり方、方策について議論、製造立国として日本経済再生も念頭とした戦略ビジョンを考案していくことにした。

東 京製鉄は20日、10月販売価格を発表し、薄板品種のサイズエキストラを一部改定、ホットコイル(HC)1・5ミリ以上1・6ミリ未満を1000円引き下げるなど実質値下げを行った。「市場の実態に合わせた」(安田英憲常務)とし、サイズのくくりをHC1・7ミリ以上12・0ミリ以下から1・6ミリ以上同以下に変更、1・6ミリは前月から2000円下げでエキストラは消失した。流通では1・6ミリにエキストラ3000―4000円を付けており、市況への影響が予想される。また、酸洗コイルも1・5ミリ以上6・0ミリ以下に一本化し、1・5ミリ以下1・7ミリ未満は実質2000円の値下げ。その他、条鋼品種などは据え置いた。

  前月までHCのサイズ価格は、1・5ミリ以上1・7ミリ以下2万7000円、1・7ミリ以上12・0ミリ以下2万5000円としていた。これを10月から、1・5ミリ以上1・6ミリ以下2万6000円、1・6ミリ以上12・0ミリ以下2万5000円に切り替え、サイズのくくりを変更した。「市場では1・6ミリ以上が同価格で通っている」(安田常務)との理由からで、1・6ミリのエキストラは消失した。

 また、酸洗コイルでは、前月まで1・5ミリ以上1・7ミリ未満3万円、1・7ミリ以上6・0ミリ以下2万8000円としていたが、1・5ミリ以上6・0ミリ以下2万8000円に収れんした。

更 生手続き中の関西地区電炉メーカー、中山鋼業(事業管財人=高島成光・共英製鋼会長)は、一般更生債権の最大96%カットなど弁済条件を盛り込んだ今後20年間の更生計画案を策定、20日に大阪地方裁判所に提出した。12月にも関係人集会を開き、更生計画案を審議、承認決議されれば、計画認可の運びとなる。

 更生計画案の骨子は、弁済に関しては更生担保権93億9100万円、一般更生債権326億9000万円のうち、更生担保権は100%、一般更生債権は債権の額に応じて4―100%を弁済する形で14億円弱を弁済する。5億円を超える債権は96%の免除を受けて4%を12回に均等分割して弁済する。弁済開始は2003年3月末で、最長は21年3月末までの19回分割弁済。中山はゴルフ練習場など鉄鋼事業にかかわるもの以外の不動産をすべて処理し、売却額約40億円を見込んでおり、それを更生担保権の弁済に充てる。 

 更生計画案は存続型で、現資本金4億9500万円を100%減資したうえで、スポンサーである共英製鋼、合同製鉄に新株を発行、出資を受ける。新株割り当ては共英、合鉄各10億円。2社以外に一般更生債権5億円を超える債権者に対し、選択肢として債権の一部を資本に組み替える形での新株割り当ても行うため、資本金は20億円プラスアルファとなる見込み。減資、新株発行は来年3月ごろの実施を予定。
川 鉄マシナリーは20日、国内初となる愛媛県砥部町美化センター焼却炉全面解体工事を竣工したと発表した。解体従事者の安全性確保を目的に厚生労働省が発行した「基発401号」による全国初の工事で、同社が独自開発したダイオキシン類の揮発を未然に防ぐ「完全無火気工法」を技術確立。ガス切断を一切使わず固体状DXN類の揮発防止工法として、今後3年をメドに焼却炉解体ビジネスで売上高20億円を目指す。

 同工法は、炉壁鋼材などに付着したダイオキシン類や重金属類などが揮発発生するガス溶断ではなく、ワイヤソーで「ゆで卵」を切るように切断するもの。

 今回の工事は、建屋30×15×22メートル、日量23トンの焼却炉、35メートルのコンクリート製煙突などを解体した。同炉は、2001年3月末まで稼働しており、洗浄作業は4月中旬からスタート。実際の解体作業は5月中旬から始めて7月31日に竣工した。

 同社では、今回の実績をベースに焼却施設など環境プラントや化学プラントなどの解体技術としての普及を狙う。さらに引き続き、解体に伴う排水等の最小化や作業方法の安全化、工期短縮などに取り組む方針。

ト ピー工業は、9月19日から22日まで開催中の「第38回建設機械と新工法展示会CONET2001」に出展し、環境面に配慮した履帯製品を展示している。

 トピーの目玉製品は環境面に配慮した鉄履帯。油圧ショベルの履帯(無間軌道)は騒音を防ぐためにゴム素材(ゴムクローラー)が使われるようになっているが、破損時に取り替えがきかないなど難点がある。トピーのシティーライナーは、鉄材とゴム材の結合タイプで1枚単位で交換ができる。

 また、新タイプのエコクロは、シティーライナーと同等の耐久性を有し、低コストの足周り商品でリンクチェーン部分は鉄履帯なのでゴムクローラーのように切れることがない。従来の鍛造リンクと異なる冷間プレス加工のエコリンクも金型費などが抑える低コスト製品として出展している。同展示会は、建設機械関連のメーカー、ユーザーが参加し、自動化機械、部品、建設関連ロボット、新施工技術などを紹介する。主催は日本建設機械化協会。

環 境機器を販売する大阪エヌ・イー・ディー・マシナリー(本社=大阪市東淀川区、力身総一郎社長)はこのほど、廃棄プラスチックを製鋼メーカー向けの化学原料に加工処理する機器を製造する工場を完成、9月から本格稼働を開始した。これまで外部委託してきた製造部門を自社に取り込み、製販を一体化、顧客のニーズに迅速に対応するのが狙い。今年度は破集袋機10台、廃プラ圧縮減容梱包機6台の製造販売を見込んでいる。

 新工場は今年5月に破集袋機の設計、および製造を担当していた有本鉄工所が事業を清算したのを機に、破集袋機に関するすべての権利を約1億円で買収するなどして、建設を進めていたもの。投資額は設備を含め1億5000万円。建築面積は約660平方メートル。工場は主力商品である破集袋機と廃プラ圧縮減容梱包機を製造するほか、取り扱い商品すべてのメンテナンスを行う。

 同社が製造する破集袋機は、家庭から袋詰めで回収されるペットボトルなどの廃プラの袋を破り回収する。2、3重になった袋や小さな袋にも対応できる。97年6月の発売以来、5年間で130台の実績を上げ、販売先は自治体が85%、民間の廃棄物処理業者が15%。

 また、廃プラ圧縮減容梱包機は、袋を取り除いた廃プラを7分の1から15分の1まで圧縮し、ポリプロピレンバンドやシートフィルムを用いて梱包するもので、処理後は1立方メートルのブロックになる。ポリプロピレンバンドで結束した場合、型崩れや臭気の問題があるため、最近では六方包装で臭気を逃がさないシートフィルムが主流。梱包した廃プラは製鋼メーカーへ搬入し、高炉の還元剤として再利用される。3年前に販売を開始し、これまで40台の実績を上げている。

日 本造船工業会によると8月の新造船受注は、28隻120万1000総トンで前月比43・5%の増加。タンカーが18隻、87万総トンと228・3%増と大幅に増加したのが寄与した。円安傾向と韓国の選別受注の強化で船価が上昇傾向にあり、日本の受注環境が改善しているのが、プラスに作用している。また、貨物船では、短納期の受注が増加している。

 8月の新造船受注は120万1000総トンと、今年3番目の高水準となった。先月比で25・8%の増加。前年同月比では31・5%の減。船種別の内訳は貨物船が10隻、33万1000総トン、油槽船が18隻、87万総トン。

 1月以降の累計は241隻、928万1000総トン。前年比で43・5%の増加。このまま推移すれば、1000万総トンを上回るのは確実。昨年実績の1159万総トンを上回るのも確実と見られている。

東 京地区のH形鋼市況は200×100で3万4000円中心の横ばい。在庫流通による3万4000円下限での販売は8割浸透。販価上げにより、出庫量は1割程度減少しているものの「覚悟のうえの数字」(商社)と、流通の売り腰が弱まる気配はない。

 東京ときわ会の8月末在庫は、8万8148トンで前月比5・1%減。9月は新日鉄の引き受けカットが効いてくるため、減り具合は8月よりも拡大の見込み。

 半年続く在庫の減少で、ベースサイズにも歯抜けが散見。これを追い風にした流通の市況上昇への試みと、需要低迷の環境とのせめぎ合いでもちあい。

東 京地区の表面処理鋼板(電気亜鉛めっき)市況は弱含み。市中価格は5万3000―5万4000円(熱延下地)、6万3000―6万4000円(冷延下地)。

 需要の期待分野が見当たらず、とくに建材は中小規模の受注が落ちているようだ。在庫はメーカーからの入荷が徐々に落ちてきたものの、需要の減速も進み月次ではほぼ均衡した形で推移する。

 このため、在庫は出荷に対して180%以上と高い水準のまま。高炉メーカー間の薄板販売競争と重複する取引先に対する値下げ対応が残り、流通も当面は好転のメドが立たないとの認識。取引先に対して信用面を警戒する雰囲気も高まり、市場環境は悪い。

大 阪地区の冷延薄板市況は需要が依然として低迷しているうえ、在庫も過剰ぎみで、流通は販売を引き締められない状態が続いている。市況は3万8000円(トン当たり、1ミリ厚の3×6幅)どころで弱含み。

 輸入材は入着が低水準だが、高炉メーカーは生産を絞り切れておらず、今月のコイルセンターの入荷はスムーズ。一方、需要は電機が落ち込んでいるうえ、建材も低調。コイルセンターの加工も稼働が70―80%にとどまっている。また、定尺の荷動きも小口中心でさえない。

 在庫も8月にコイルセンター段階で減少したが、在庫率は1・2カ月と過剰ぎみ。このため、流通はなかなか販売を立て直せない状態が続いている。