2001.09.26
川 崎製鉄は、橋梁事業部門を播磨工場に一本化した統合効果として、従来15%だった粗利率が17%、純利益がこの2年間で4億3000万円計上したことを明らかにした。NKKとの統合を控え、より高収益な体質を確立。今後は営業強化を図ると共に、都市型橋梁や海洋港湾工法、耐震・メンテナンス事業などで業界内でのシェアアップを狙っていく方針。

 同社は99年から千葉工場の設備移設と自動化を推進し、千葉工場を営業拠点として活用、生産ラインは播磨工場に一本化した。橋梁メーカー各社が数年後のマーケット縮小をにらんで、生産拠点の集約統合するなか、同社でも徹底したコストダウンと競争力強化すべく播磨工場への生産ラインシフトに踏み切った。

 その成果としてVE提案などユーザーニーズに対応した受注活動を強化、この2年間で約4億3000万円の大幅な収益改善に成功した。01年9月末時点での要員は、グループ全体で300人、播磨で150人。高収益体制が整ったことで、今後は攻めに転じる。

 具体的には、都市型橋梁をターゲットにコンクリートとメタルのハイブリット橋「KCSB」や海洋港湾工法など強みを生かせる分野に特化。さらに今後、ニーズが高まると見られる耐震工法やメンテナンス工法などへの営業強化を図る。

神 戸製鋼所は25日、10―12月ロールの店売り向け構造用鋼の受注数量を4―9月比で30%削減すると発表した。米国の景気減速やIT(情報技術)関連の設備投資の減退などで、店売り材の主要需要分野である産業機械、建設機械需要が年初から急後退、市況も弱含みで推移している。このため、大幅減産に取り組み需給調整を図ることで、市況の下落に歯止めをかける考え。同様の環境下にあることで他メーカーも、追随しそうだ。

 トラック関連や産機・建機向けに使用される構造用鋼は昨年秋から需要が軟化している。市中在庫は保有月数が増え、現在の在庫水準は2・5―2・6カ月。神鋼は「需要後退時の適正在庫として2カ月を切る水準」(営業担当者)にまで減産を強化し、3カ月間で在庫調整を進める。

 全国の構造用鋼生産量は月間22万トンで、うち店売り向けは2万4000―5000トン。神鋼の店売り向け生産は月3000トン弱だが、在庫過剰感の払底に向け、店売り向け構造用炭素鋼および合金鋼(倉入れヒモ付き含む)を全国一率で4―9月比70%以下の受注に抑える。

来 月上旬に韓国・ソウルで開催予定のIISI(国際鉄鋼協会)第35回年次大会が中止されることになった。今月11日に米国で起きた同時多発テロを考慮してのもので、同協会は先週末に関係各位に通達した。

 同大会は、韓国の浦項総合製鉄などをホスト役に、10月7日から10日までの4日間にわたって開催。全メンバーを集めての総会や年次報告のほか、中国鉄鋼業をテーマとしたパネルディスカッションなど複数の会議が予定されていた。また、今回は隣国での開催とあって、日本の高炉各社などからも約40人程度の参加が見込まれていた。

日 本高周波鋼業は25日、新冷間工具鋼「RC55」が国内自動車メーカに足回り部品のプレス成形用金型、ガソリンタンク成形用型として採用されたと発表した。被削性に優れ、熱処理が不要なうえ、硬さ55HRCの高硬度プリハードン鋼。昨年市場投入され、特定ユーザーでの拡販を進めてきた。今回の採用も金型製作のリードタイム短縮や放電加工省略化などのコスト低減が可能な点が評価され、採用につながった。今後も高硬度でも汎用の切削加工機による切削加工ができることなどの優位性を生かし、最適加工条件を加味した販売展開を進める。

 「RC55」は被削性、高硬度、プリハードンの特性を持つ。通常、金型に使用する工具鋼では焼入れ、焼戻しの熱処理を施す必要があるが、プリハードン鋼のため、熱処理を省略できる。加えて被削性に優れるため、高硬度で汎用の切削加工が可能だ。従来鋼では40HRC以下で使用されるプラスチック金型に限定されていたが、55HRCの高硬度での加工にも適応、プレス金型領域でプリハードン化を実現した。ユーザーサイドでは工程省略による金型製作のリードタイム短縮による納期や、製作コスト低減、仕上げ精度の向上などでメリットが得られる。

 こうした特性から、今回、自動車メーカーから足回り部品のプレス成形加工型として全面採用となったほか、別の自動車メーカーではガソリンタンク成形型として採用された。

ス テンレス鋼線メーカーの日新鋼業(本社=大阪府柏原市片山町、中川景温社長)は今年4月から、異形線工場の拡張と新本社社屋の建設を進めていたが、きょう26日に竣工する。今回の工事は異形線の生産効率を高めるとともに、本社社屋の老朽化に対応したもので、投下金額は設備の増設を含めて約2億円。今後、異形線事業はさらに拡大させる計画で、2年後には生産量を現状比30%強増の年間2000トンにする予定。

 同社はネジ、ボルト、金網、ワイヤロープ、医療用具など各種多様な用途向けに一般材・冷間圧造用鋼線、溶接棒などを生産している。1998年11月からは普通ステンレス鋼線に次ぐ第2の柱を確立するため、異形線分野に参入した。

 当初、設備は三重ステンレスから移設したものを活用、生産対応していた。その後、生産量が順調に伸びたことから、設備の増設を検討。さらに、設備レイアウトの改善も併せて行うには工場の拡張が必要と判断した。

 設備の増設は今年初めから、段階的に行った。増設した設備は圧延機2基、異形専用伸線機1基、切断機2基。これにより、異形線の生産設備は圧延機8基、連続抽伸機2基、異形専用伸線機1基、切断機5基となった。

 工場拡張については本社社屋の老朽化対策も含めたものとした。具体的には今年4月から旧本社社屋に隣接する場所に、工場と事務所機能を持った建屋を建設。建設概要はS造・4階建て(1―2階が吹き抜け)で、延べ床面積が1000平方メートル。ゼネコンは三栄建設、設計が浅野建築設計事務所。

P OSCOの外人保有株比率が、9月5日現在で60%を上回った。収益率の向上を背景に、POSCO株の外国人からの買い姿勢が強まっている中で、自己株3%(290万140株)の消却を実施。相対的に外人持ち株比率がアップし、60・95%に達した。経営計画や配当政策への外人株主の意向は今後、より強く反映されると見られている。

 POSCO株の外人保有は、段階的な民営化移行に伴い増加。一方で外人保有株規制の緩和もあり、2000年末で48・95%と50%台に接近。2001年1月には58・95%と過半数を突破している。

 9月段階の外人保有株比率のアップは、自己保有株式の消却で発行済み株数が減少したことが背景にある。POSCOは、配当対策と株価への配慮から自己株3%の消却を8月末に議決。この後、9月5日に消却を行い、発行済み株数は9648万9625株から9358万9485株に減少。この中の外人保有株は5703万9846株で、シェア60%を上回った。

 POSCOは3%消却後、保有の自己株は1504万株から1214万株になった。シェアは16・0%から13・0%へ低下した。総株数から議決権のない自己株数を引いた株式数は8144万株。このため議決権付き株数ベースでは、外人保有株のシェアは70%に達している。

 外人保有株の中で特に、アメリカ人の比重が高くなっている。自己株消却前は41%程度だったのが、42・3%にアップ。議決権付き株数の中では、48・6%とほぼ半分に達している。

台 湾の盛餘股分有限公司(高雄市、檜垣眞史董事長)は、丸紅プロテックスと年産能力65万トンの酸洗設備導入で正式契約した。丸紅プロテックスは、スチールプランテック(NKK、住友重機械、日立造船のエンジ部門で設立)に製造を発注した。契約額は30億円弱。契約後22カ月でホットランを計画しており、2003年8月ごろに稼働予定。「完成すれば生産ラインは、酸洗ラインからメッキライン、カラーラインまで全面的にリフレッシュされる」(檜垣董事長)。

 SYSCOは、1974年に鋼管メーカーとして台湾で設立。86年にオーストラリアのCRAグループが49%を出資して系列化。その後、87年に淀川製鋼とトーメンが出資して、ガルバリウム鋼板などの表面処理鋼板部門に進出した。94年にはCRAが撤退。淀鋼が52%と過半数の資本を掌握している。 

 台湾の高雄市に工場があり、日本や台湾のCSCなどからホットコイルを購入し、冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、55%アルミのガルバリウム鋼板などを生産している。2000年の販売実績は冷延鋼板4万5000トン、メッキ鋼板34万トン、カラー鋼板10万トン。

 3年ほど前から設備の更新を進めており、2000年春に年産30万トンの亜鉛メッキラインを完成。2001年1月から年産20万トンのカラー鋼板ラインを稼働させている。これにより、今年度のカラー鋼板の販売は昨年度の2倍の20万トンが計画されている。

建 設業協同組合専務理事・事務局長会議がこのほど、東京ステーションホテルで開催され、全国から42団体が出席した。全国建設業協同組合連合会の佐藤会長は、今後見込まれる失業者の3分の1が建設業者との試算を紹介し、建設業から介護事業への移行を促した。協同組合として、労働者が建設の仕事の閑散期にホームヘルパーの講習を受講したり、補助金を受けたりできるよう提案していくという。

 国土交通省建設振興課の小瀬金融専門官は、今年度の補正予算は公共事業ではなく、セーフティーネットや新規事業に向けて組むことが検討されていると明らかにした。また、建設市場の縮小のなかで、「発注者の立場が非常に強い」と述べ、業界のスリム化や、CM方式などを用いた徹底したコスト計算で対応すべきとの考えを披露した。

東 京地区の厚板市況は市中価格(12ミリ、ベースサイズ)3万9000―4万円中心で横ばい。販売状況は9月も8月と比べて「ほとんど変わりない」(小売業者)。7、8月と続いて売れ行きが悪いうえ、熱延鋼板の値上げも市中に浸透していない。高炉各社をはじめ厚板メーカーの値上げ方針が出たものの、小売業者は「値上げに転じる状況変化がない」との見方。

 全体的な需要は造船と大径鋼管向けの受注で堅調。高炉メーカーもフル操業が続くとみている。ただ、内需は鉄骨や建機産機の低迷が続き、当面は回復に結び付く材料がない。切板価格も母材が値下がりした分、値下げの圧力となる。

東 京地区の軽量C形鋼市況はベース4万6000―4万7000円中心で弱含み横ばい。ホットコイルの下げ止まり感を受けて、底値の認識が広がっているものの、倉庫、工場などの需要低迷の影響が大きく、上昇には至らない。

 9月の出庫量は前月比横ばい。需要は昨年比15%程度減少している。東京製鉄による10月契約分ホットコイルの販価据え置きは、流通は織り込み済み。

 高炉メーカーの建値上げを背景に、一部メーカーは値上げ希望を表明するが、足並みがそろっていない点と市況の弱含みから実施は困難。中小物件の秋需は見込めず当面は横ばいで推移。

大 阪地区のコラム市況は僚品のH形鋼が値戻し機運に転じたのを受け、扱い筋が売り腰を強化する。市況はベース5万1000円中心で底入れ。

 地区の扱い大手筋はH形の本格値戻しを受け、来週から唱え引き上げに転じる。各社は第1ステップとして3000円程度の値上げを実施し、STKRで5万3000円、BCRで6万1000円の市況形成を図る。

 また、需要期とあって市中の荷動きが若干上向く方向にあることも追い風。扱い流通筋では、「小型物件の集積から9月の出荷量はそこそこの動き」としているほか、市中在庫も過剰感は見られない。このため、市況は底入れから値戻しの展開となろう。