2001.10.11
N KK、豊田通商など8社は10日、直接合成技術を用いた21世紀の新クリーンエネルギーであるジメチルエーテル(DME)の製造・販売の事業化検討会社「ディーエムイーインターナショナル(株)」を10月19日付で設立することに合意したと発表した。新会社はマーケティング、ビジネスプラン策定、ファイナンスプラン検討を行う。2年間の調査の後、06年度にDMEの供給開始を目標に事業化検討に入り、事業規模は年間80万トンから150万トンを想定している。実証プラントは、北海道・釧路に持つ。

 事業化検討会社に参加するのは、NKK、豊田通商、日立製作所、トタルフィナエルフ、丸紅、出光興産、国際石油開発、日本酸素の8社。資本金は1億円。出資比率はNKK34%、豊田通商と日立製作所が17%ずつ、トタルフィナエルフ、丸紅、出光興産、国際石油開発がそれぞれ7%、日本酸素が4%。本社はNKK本社内(東京都千代田区)に置き、社長は若林幹人NKK常務・環境ソリューションセンター長。

 DMEは多様な炭化水素系原料から製造が可能で、燃焼時に硫黄酸化物や、ばいじんが全く発生しないなどの環境負荷の低いクリーンエネルギー。毒性が低く、ハンドリング性にも優れていることから、民生用燃料(LPG代替燃料)、輸送用燃料(ディーゼル自動車燃料・燃料電池自動車燃料)、発電用燃料(火力プラント・燃料電池燃料)および水素エネルギー源燃料として幅広い利用が見込まれている。潜在的なDMEのマーケットはアジア地域だけでもLPG代替、発電燃料などとして2010年で年間約1億トンの規模になるとの試算もある。

粗 鋼減産を踏まえた高炉各社の薄板の値戻しが本格化する。国内外で不況色が強まっていたところに同時多発テロの勃発。企業防衛のためには鉄鋼市場の立て直し以外の選択肢は残されていないという待ったなしの決断だ。

 各社の営業トップの粗鋼減産と値戻しにかける意気込みを紹介する。

 鉄鋼産業懇談会の会長でもある新日本製鉄の三村明夫副社長。同氏は9月27日の鉄産懇後の記者会見で「(同時多発テロ勃発で)世界全体が大変な時期を迎えたという実感を持っている。その中で鋼材価格は異常なまでの低水準に落ち込んでいる。いまやるべきことは各社それぞれの責任においての危機管理対応だ」として危機管理の実行を強く提唱した。

 「過去40年の経験で最悪の事態」と言うのは、住友金属工業の加藤幹雄副社長。

 加藤氏は「薄板価格が(国内、輸出とも)ここまで落ち込んだ理由の一つは、昨年から今年にかけて需要が減少するなかで、需要家からの価格低減プレッシャーに十分なレジスタンスができなかったこと」と反省。減産をテコに、当面は店売り向け価格3000円の底上げを「なにがなんでもやり遂げなければならない」と固い決意だ。

 川崎製鉄の佐藤脩副社長は「他社がどうあれ、当社は絶対に値戻し価格以下では契約しない」と断言。「これで駄目なら鉄鋼業は当分立ち直れない」と危機感を募らせる。

 「各社とも上期は走り過ぎ。需要がないところに造り過ぎ、置き場がないという話も聞く」と語るのはNKKの矢島敦夫副社長。「当社は第3・四半期で粗鋼を前期生産実績の320万トンから30万トン以上絞り込む。四半期生産が290万トン以下というのはNKKの生産としてはかなり低い水準だ」としている。

 神戸製鋼の光武紀芳副社長は「上期では造り過ぎたと認識している」と反省の弁。同社は「その上で、上期生産の340万トンを下期では310万トンに絞り込む。減産の対象は薄板が中心になるが、普通線材と店売り構造用鋼も20%、30%それぞれ減産する」。 

 日新製鋼は、屋根・壁材など非住宅向け建材のウエートが高く薄板市場の混乱の影響をモロに受けている。同社の販売は店売りとヒモ付きの垣根が低く、市況連動型の価格体系となっているため、同社の田中卓男専務は「10―12月の粗鋼生産は上期生産より月間3万―4万トン減産、ヒモ付き向けを含めた販価是正に総力を注ぐ」構えだ。

東 京製綱(上西凖社長)は10日、世界最大のワイヤメーカーのベカルト社(ベルギー)と、極細金属繊維の開発・製造・販売を行う合弁会社「ベカルト東綱メタルファイバー」を設立することで合意したと発表した。資本金は8800万円で出資比率は東綱30%、ベカルト70%。来年1月に生産を開始し、初年度4億円以上の売上高を見込む。金属繊維材の国内市場は年約10億円で新会社はトップシェアを持つ。製品のアジア地域での成長率(年20%)も高く、アジア市場への供給拠点に位置づける。

 メタルファイバーは、直径1―80ミクロンの極細金属線で作られ、さまざまな合金を材料とする。フィルターメディアやフィルターエレメント、導電性プラスチック、導電性織布、電磁波遮蔽材など幅広く使用されている。とくに日本市場は成長性が高くユーザーの品質要求が厳しいため、両社はユーザー対応の強化を迫られていた。

 東綱は新日本製鉄系の鋼線メーカーで83年から、メタルファイバー「サスミック」を製造・販売してきたが、採算性が低く事業の見直しを検討してきた。一方、ベカルトはベルギーおよび米国から製品を日本に輸入し販売。ハイテク特性と多様性から製品開発、用途開発が重視されるため、国内に開発・製造拠点を持つことでニーズに迅速に対応する。両社は一般ロープで競合関係にあるが、同製品において双方にメリットがあるとし合意に至った。

 新会社(東京都中央区)は、東綱の土浦工場(茨城県)の敷地内に製造拠点を置く。
伊 藤忠丸紅鉄鋼は02年1月1日までに、欧州および米国の鋼管事業会社を統合する。伊藤忠・丸紅の金属部門統合に合わせたもので、これにより欧州・米国の鋼管事業会社は、現在のそれぞれ2社から、各エリア1社となる。新会社では統合を機に情報収集力の向上など経営強化を図り、プロジェクトなどの受注拡大を狙う。

 統合で米国に設立する予定の新会社は、主に油井管の販売を行うMarubeni Itochu Tubulars America Incで、事業規模は2億4000万ドル(02年度見込み。)。欧州では、ラインパイプをメーンに扱う事業規模2億5000万ドルのMarubeni Itochu Tubulars Europe PLCが設立される。

 また、豪州でも同様に、油井管の販売を行っているMarubeni Tubulars Australiaと伊藤忠の鋼管販売会社を、今後6カ月―1年をメドに統合し、事業規模1億ドルの新会社を発足させる予定。

 なお、アジア地区における両社の鋼管会社の事業統合は、10月1日付で事業規模1億6000万ドルのMarubeni Itochu Tubulars Asia PTE Limitedを設立している。
伊 藤忠丸紅スチールトレード(本社=東京都中央区、高杉幹生社長)は、需要家サイドで高まっている廉価購買ニーズに対応し、近年力を注いできた各部材の輸出・輸入量がここにきて拡大してきた。今年度は、下期以降に新規成約を見込むなど、好調に推移している。

 伊藤忠丸紅スチールトレードは、伊藤忠商事と丸紅の鉄鋼事業の統合に伴い、10月1日付で現社名に変更。伊藤忠丸紅鉄鋼100%出資(資本金4億円)の関連会社としてスタートした。従業員は約60人。02年3月期では売上高150億円、当期利益6000万円を予想している。

 ここ数年のデフレ経済下において、ユーザーの原価低減ニーズはさらに強まっており、各分野で資材調達は一層シビアになってきている。

 これを受けて、同社では需要家ニーズに積極対応するため、長年蓄積してきた技術・ノウハウを活用した提案型営業を推進。この一環として、近年はメーンの薄板に加えて、各部材の輸出・輸入関連に注力しており、ユーザー数は漸増している。

 輸出・輸入は、本社3部門(建材二部、鋼板部、自動車鋼板部)で手がけ、品種は輸入が鍛造品(台湾)、ボルト・ナット(台湾、韓国)、木材(カナダ)、塗料(米国)、化学品(台湾、韓国)、電子基板(台湾)。また、輸出は自動車部品で本格化し始めている。

 伊藤忠丸紅スチールトレードでは、海外の協力工場に母材を供給し、加工した部材を輸入してユーザーに販売する形態を取る。
大 同特殊鋼系の精密シャフトメーカー、下村特殊精工(本社=千葉県市川市、土屋根弘道社長)は、9月からインターネットのウエブ上で受注システムを開始したが、今年度末には利用率を8割まで高める意向だ。下村の在庫情報が閲覧でき、24時間体制なので顧客である問屋からの受注の効率化、事務処理スピードの向上につながる。ネットを利用した受注は専業メーカーでは初の試みで、さらなる顧客サービスの向上に利用率を高めていく。

 下村はIT(情報技術)投資を積極的に進め、生産工程・事務処理の効率化を図っている。99年春に本格始動した生産管理システムでは、工程管理を高度化。松尾、富士見両工場の生産工程を一元管理し在庫圧縮、省力化、短納期化に効果を上げている。現在はマレーシア現地子会社のOSDもシステムの改定を行っている。

 さらに秋から顧客サービスの向上に向け、ウエブ上での受発注システムをスタートした。これによって顧客先の問屋は、いつでも下村の在庫状況を検索でき、夜間の発注などキメ細かなサービスを受けることができる。現在20社程度の問屋が利用しているが、さらなる拡大を見込んでいる。
関 西地区の小棒細物メーカーの大手、岸和田製鋼は10月の小棒生産計画を9月実績比4・5%減の4万2000トンとした。需要見合いの生産方針に基づくもの。製鋼は電炉更新工事に伴う既存1基の片肺操業のため3万トンの計画。不足分は外部購入などで備蓄しているビレットで対応する。同社は9月の小棒店売り契約で前月比1000円値上げを厳守したため、同月の契約量は通常月の4割程度にとどまったとしている。

日 本住宅設備システム協会と日本能率協会は、10月30日から11月2日までの4日間「東京ビックサイト(東2・3ホール)」で、日本最大規模の住宅関連専門展示会である「ジャパンホームショー 2001」を開催する。これには国内外18カ国・1地域から519社が出展する予定。

 「ジャパンホームショー 2001」は「住宅建材・部材展」や「住宅設備・システム展」「リフォーム&メンテナンス展」や「ホームヘルスケア」の4つの専門展示会で構成される。

 住宅業界では、昨年4月の「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の施行に続いて、同10月には住宅性能評価表示制度がスタート。

 さらに来春には建設リサイクル法が施行するなど、関係者は今後、対応が求められる課題が多い。

 これを受けて、23回目である今回は、10年瑕疵保証や耐震性能補強金物、シックハウス症候群に対応する空気環境など、多方面からアプローチ。

 また、材料や素材の良さを工法・デザインに生かし、消費者が満足する住宅の提案もみられる。

 問い合わせは、ジャパンホームショー事務局(電話=03―3434―1988)まで。

東 京地区のH形鋼は200×100で3万4500円中心の強横ばい。

 商社中心の大手在庫流通は、今週から3万6000円に唱えを引き上げた。1日から実施した3万5000円下限販売が浸透し、またヒモ付きの値上げが確実視されているため。

 しかし需要は増えず、末端流通では安値販売が払拭されていない。

 高炉の店売り建値は3万3000―3万4000円。在庫経費等を加えた流通の採算確保には置き場3万7000―3万8000円必要。これに店売り値上げも見込んで22日に3万7000円へ唱えを上げる。

東 京地区の冷延薄板は弱横ばい。市中価格(1・0―1・6ミリ、ベースサイズ)は4万5000―4万6000円。

 定尺品の小売価格は販売業者に安値を抑える姿勢が強いが、販売量は前年を下回る形で推移。高炉各社の値上げ表明にも、流通の最前線では「ユーザーには伝えるが、ユーザー自体が大変厳しく転嫁できないだろう」と厳しい見方だ。

 供給は輸入コイルの入着が月間4万トン台と低い水準にとどまり、メーカーの減産表明もあって過剰には歯止めがかかりそう。ただ、需要減に加え、酸洗や亜鉛めっきの採用により冷延の需要が相殺される状況もある。需給の緩和がまだ続くとみられる。

大 阪地区の平鋼はベース4万―4万1000円どころで高値寄り推移。

 扱い特約店筋は先週から、陥没価格の是正を目的に売り腰を強化。各社は4万円下限に唱えを引き上げており、ここにきて3万円台の安値も徐々に切り上がってきている。

 また、僚品のH形鋼が市況立て直しに動いていることもあって、これも値戻しの追い風となっている。

 ただ、需要は依然として低調。秋需は期待外れで、市中の荷動きも相変わらず小口中心。メーカー各社は極限に近い減産体制で臨んでいるが、需給そのものはH形や一般形鋼ほどの品薄感はないのが現状だ。