2001.10.18
新 日本製鉄・名古屋製鉄所(所長=永広和夫取締役)は、今年度の大型設備投資として熱延サイジングプレスの設置と製鋼ORP改良工事を主力に進めていたが、サイジングプレスについてはこのほど設置を完了、現在試運転に入っており11月にも本格稼働を開始する。また、製鋼ORP改良も11月には完了させることになっており、今年度下期以降コスト削減面などで大きな効果が見込まれている。

 同所は新日本製鉄における薄板製造拠点の中核製鉄所。全生産量の85%を薄板品種で占めるとともに、中部地区に存在している大手自動車メーカーなどを主力に、全体の8割弱を地元に出荷する地域密着型の都市型銑鋼一貫製鉄所でもある。設備投資については昨年4月に第3高炉の改修工事を行うとともに、1CCのVB化工事にも取り組み、上工程における生産設備基盤の整備を図った。

 こうした中、今年度は生産効率の向上を目的に熱延サイジングプレスの設置を計画していた。これは連鋳でのスラブの大型化、コイル単重アップによる効率化を進めるもので9月に設置工事を終了、来月にも本格的な稼働を開始する予定。また、製鋼ORPの改良は、従来脱硫と脱燐を同時に行っていたのを分離して処理することで、大幅な処理効率のアップを図ることにしており、これも来月中には工事が完了する見通しだ。

日 立造船は、世界初となる駆動モーター1台でコンベヤーを垂直に設置できる「エア浮上式屈曲装置」の開発に成功し、11月から営業を開始する。同社は、山岳用コンベヤーでは国内トップレベルの実績を持ち、ここにきてニーズが高まっている都市トンネル向け土砂搬送向けツールとして提案強化する。同社では都市部トンネルを含めて全国に400億円の市場規模があると見ており、コンベヤーを含めたトータルシステムとして年間20億円の受注を狙う。

 同装置は、ドラムエアベルトの走行方向を1台の駆動モーターで屈曲させ、垂直に走行させることが可能となる屈曲装置。従来、不可能だったトンネルにもコンベヤーを適用できるようになり、省スペースと大幅なコスト縮減が狙える。

 ベルトの走行方向に対して斜めに配置された円筒面にベルトを合わせ、走行方向を変える。回転するドラムから圧縮エアーを吹き出すことで摩擦を低減しているのが特徴。また、通常の平ベルトが使用でき、機械部品が少なく堅牢で長く使用できる。

 同社では、トンネルの掘進に応じて伸びる延伸ベルトコンベヤーを製作販売しており、これに組み込むことで、延伸ベルトコンベヤーの用途拡大を狙う。さらに、この技術を発展させることで、都市部でのシールドトンネルなどでも提案をスタートする。

新 英金属(本社=愛知県安城市住吉町3―12―1、細井忠正社長)は、総合金属リサイクル企業を目指す中で環境問題に積極的に取り組み、鉄スクラップ関連ではダストをこの2年間で半減させ、また非鉄関連(ナゲット)では廃棄物をゼロにするメドを付けた。

 同社は、鉄スクラップ加工処理販売量が月間約6万トンの大手ヤードディーラー。主力製品の鉄スクラップに次ぐ柱としてステンレス、非鉄(被覆電線・アルミなど)部門を強化している。拠点は本社をはじめ豊田、東栄、碧南、豊橋、四日市、岡崎、一宮の8工場を持ち、大型ギロチンプレス、竪型グライダーミルなどを有する。

 同社が積極的に展開している環境対策、廃棄物削減は、鉄関連ではギロチンを有する全5工場(岡崎、豊橋、東栄、豊田、四日市)で自社開発のダスト選別機を導入し、2年前からダストの減量化に本格的に取り組んできた。その結果、ダスト中の非鉄を回収すると同時にギロチンダストを半分以下にさせることで削減目標を達成し、ほぼ一段落させた。また非鉄に関しては3年前からナゲット処理加工の際に発生するビニール、ゴムなどを徹底して選別することで、有価物として取り出す方法を検討、試行を重ねてきた。その結果、廃棄物の全量資源化へのメドが付いたことから、設備の導入によりゼロエミッションを実現させる予定。

事 業売却先を模索している配管メーカー大手のベンカン(保全管理人=才口千晴弁護士)の各事業の売却先が、ほぼ2社に絞り込まれた。関係者の話を総合すると、事業譲渡先として有力なのは、半導体関連部材事業がバルブなどの流体制御機器の製造販売を行う日本の大手メーカー、溶接継手およびモルコシステム事業などが外資の投資ファンド会社。両社は事業継承のため、ベンカンの人員約200人、約500人を、それぞれ引き継ぐとみられる。

 ベンカンの01年12月期事業報告によると、同社の半導体関連の事業規模は年商35億8900万円(売上高構成比7・2%)、溶接継手部門は234億8400万円(同47・3%)。半導体関連事業の買収に意欲をみせている日本企業は、自社の半導体部門の強化として、ベンカンの半導体・液晶の製造プロセスに用いられる流体用バルブ部材などに、興味を示しているといわれる。また、その他事業への買収に意欲を示している外資企業は、ベンカンの日本における継手製品のシェアと販売力に、買収メリットを感じているとみられている。

住 友金属は16日から、同社ホームページ上に関西製造所、和歌山製鉄所、鹿島製鉄所のHPを新設した。

 内容は、所長のあいさつから始まり、沿革、設備概要、関係会社の案内、各製鉄所・製造所の説明、と詳しく掲載されている。また、環境方針から各種の省エネルギー設備、省資源・リサイクル活動など、各所における環境活動への取り組みも紹介している。

 HPのアドレスは、http://sumitomometals.co.jp/steelworks/
日 鉄建材工業(岡田明久社長)はこのほど、安全性や景観性に優れ、収納・設置作業の効率を飛躍的に高めた「可倒式防風・防雪柵」を開発した。同社では、国土交通省や日本道路公団向けに積極的なPRを展開しており、年間受注目標5000メートルの早期達成を目指す。

 今回開発した「可倒式防風・防雪柵」は、1スパン当たりサイズが長さ3メートル×高さ3・86メートル、防風・防雪パネルは250ミリ×68ミリで12枚で構成。防雪板にはダイマジンク(新日本製鉄のプレめっき鋼板)を採用し、後めっき処理後のキラキラ感を解消しつつ、十分な腐食対策を行っている。価格は下部収納タイプと同水準に抑えた。

 既存製品は収納・設置作業において、車線規制やユニック車を手配しなければならず、作業工程が多いなどコスト負担が大きい。また、対向2車線の高速道路で車線規制を行った場合は交通量を低下させるだけでなく、事故を誘発する危険性が高くなる。

 これに対して、新製品は、防雪柵を1スパンごとに回転させてガードレールの背後に収納するため、周辺環境に配慮するとともに、ドライバーの快適な運転環境を創出する。施工後、防雪柵の収納・設置に関してはユニック車や作業工具などを使用せず、車線規制の必要がない。また、1スパン当たりの収納・設置時間は2人で20秒と、下部収納タイプ(3人で12分)に比べて工期短縮に寄与。
特 殊鋼圧延鋼材、自動車部品、建設機械部品など製造のトヨシマ(本社=大阪府池田市住吉、神藤盛二社長)は、建機用カッティングエッジの加工設備を増強した。受注増に対応し、先月末までに社工場(兵庫県加東郡社町)の切断・穴開けなどの加工ラインを増設、加工能力を従来の倍に拡大したもの。

 同社は社工場に分塊圧延機、中形圧延機などを備え、合同製鉄、宇部スチール、山陽特殊製鋼からスラブ、ビレットを購入、特殊鋼圧延鋼材を製造するほか、各種加工設備で板バネ、コイルバネ、フォークリフトアーム、カッティングエッジなどを製造販売し、年商は100億円弱。

 カッティングエッジはホイルローダーのバケットの先端などに使われる。従来、受注量の約75%は外注加工。自社の社工場での加工は約25%と小ロット対応のみ行ってきたが、建機メーカーから品質面で評価を受け、受注先が増えてきたことや除雪車向けの注文も入ったことなどから、加工能力拡大が不可欠となり、ライン増設に踏み切った。

ナ イロンコーティング鋼管などを製造する東海鋼管継手(本社=名古屋市南区桜台2―5―24、乾盛雄社長)はこのほど、社名を東海鋼管に変更した。今年7月に設立30周年を迎えたのを機に、市場が縮小している継手の生産を中止し、ナイロンコーティング鋼管のトップメーカーとして高品質の製品開発に注力する意気込みを示したもの。乾社長は5年後には現在の約1・5倍となる売上高50億円を目指したいとしている。

 同社は1970年に乾社長が個人創業。72年に岐阜工場を建設し、業界でも先駆的にナイロン―12樹脂粉体を用いた流動浸漬法によって水道用継手(パイプニッケル)の内外面防食コーティングを開始、また、73年からは現在の主力商品であるナイロンコーティングパイプ(NCP)の生産をはじめている。
 当初は知名度のなさもあって実際にNCPが使用されることは少なかったが、官公庁やコンサルに粘り強いPR活動を続けた結果、次第に水道用配管として普及、現在では水道橋などの大型配管、浄水場の場内配置などにも使われ、市場規模も拡大してきている。これに伴い、同社も平成2年に第二工場、平成9年に第3工場を新築するなどして業容を拡大、また工事や設計部門にも注力し、設計加工、コーティング、施工を手掛ける一貫体制を構築している。

東 京地区のH形鋼は200×100で3万5000円中心の強含み。在庫の減少と高炉各社が3000円をメドとする値上げを発表。これをしたことを受けて上昇圧力が強まっている。

 商社を中心とする大手流通は、帳端明けから3万7000円を、遅くとも11月中旬からは3万8000円を唱える予定。

 東京ときわ会9月末在庫は8万366トンと前月比8・7%減少した。出庫が同1・9%減少したものの、入庫が同7・8%減と大きく絞られたため。年末には、全国在庫が26万―27万トン前後まで減少する見通し。当面強含み。

東 京地区の冷延薄板は弱横ばい。市中価格(1・0―1・6ミリ、ベースサイズ)は4万5000―4万6000円。

 輸入コイルの入着が6月以降、4万トン台と今年前半の半分近くに減少。関東地区を含めて国内の市況が大幅に下落し、需要も低迷していることが要因で、供給面の圧力は全くなくなっている。

 国内メーカーは熱延に続いて冷延以下の各品種も店売りの値上げを表明した。末端の販売業者では「価格の防波堤にはなっている」が、市中への浸透は難しい。韓国POSCOでも、値上げの実現という点では時期尚早との見方があるようだ。安値コイルの話は消えていないが、市況は横ばい推移か。

大 阪地区の平鋼はベース4万円どころでもちあい。景気の悪化、設備投資の減退から建設、機械の需要環境は低調。市中の荷動きも需要期にもかかわらず小口中心の商いと変わらず、盛り上がりを欠いている。

 大阪鉄鋼流通協会によると、9月末の入出庫状況は入庫が前月比2・6%減の1万848トン、出庫が同比1・9%増の1万1367トン。在庫は同比3・1%減の1万6186トンと2カ月ぶりに減少に転じた。

 ただ、H形鋼や一般形鋼など僚品が値戻しに動いているのを機に、扱い筋は4万円以下の安値を回避。メーカー各社も減産体制を継続して、市中在庫の削減に取り組んでおり、市況は当面、もちあいで推移しよう。