2001.11.07
日 本高周波鋼業は高合金、ステンレスなどの特品・ステンレス事業戦略(3カ年)を策定、実行に移した。工具鋼と並ぶ中核事業の一角として競争力を向上。同事業の売上高を半期ベースで、01年度上期の5億3000万円から、戦略最終年度の03年度下期には倍増に当たる10億円レベルに引き上げる。高合金を主体に従来の線材・ロッド供給からワイヤまで対応領域を広げ、設備面でも富山製造所の特殊溶解設備を生かすほか、チタン合金、アルミ合金など多様な材料に対処可能な陣容を構築。電子材料、自動車材料や原子力、精密部品材料などをターゲットに独自色の強い事業体制固めを目指す。

 同社では親会社である神戸製鋼所に移管した軸受鋼部門に代わる新たな中核事業として特品・ステンレス事業を位置付け、体制の強化に取り組むことにした。

 特品・ステンレス事業戦略では、特殊分野の少ロット対応を基軸に据え、高付加価値化を図る。現状同社の持つシェアは高合金1・4%、ステンレス4・5%だが、ニッチの新規需要を掘り起こし、高合金で3%、ステンレスで5ー6%レベルを確保。数量でも01年度上期の月間1200トンを40%増の同1650トン規模にアップする。

 同事業の売上高構成については高合金に傾斜、30%を50%に高める。ステンレスは56%を40%にする。高合金については電子材料、自動車材料、溶接材料や原子力関連なども手掛け、新規の販路を伸ばす。ステンレスについてもIT分野でHDD(ハードディスク・ドライブ)やOA機器の精密部品材料など非汎用ステンレスを拡販する。

タ イ政府が輸入鋼板のサーチャージ制導入を検討している。同国の現行輸入関税率は熱延鋼板10%、冷延鋼板12%、表面処理鋼板15%。これら薄板3品種について、輸入関税に加えてトン当たり70―100ドルのサーチャージ導入あるいは関税率引き上げが検討されているもので、実施のタイミングは来年1月前後とみられている。

 この事実上の輸入関税引き上げは、低操業率に苦しむ国内鉄鋼企業の支援が目的。関係筋によると、再輸出を中心とするリローラー向け原板、タイ投資委員会の認可事業会社向けの原板などを対象外にする方向で最終調整が進められている。基本的に対象は薄板3品種であるが、ブリキ、ブリキ用原板を対象に含むかどうかの協議もなされている。

 東南アジアの鋼材消費は、金融危機後の最悪期を脱したものの対米依存度が高いこともあって伸び悩んでおり、域内各国にある鉄鋼・単圧ミルの操業率は低水準にとどまっている。

 さらに米国の鉄鋼輸入規制強化の動きによって、行き場を失った世界各国からの輸出鋼材がアジア市場に集中するとの懸念が強まっている。

 こうした中、すでにマレーシアでは熱延・冷延鋼板の輸入許可制が導入されている。インドネシアでも熱延鋼板を対象とする反ダンピング提訴の動きがみられる。今回のタイのサーチャージ制検討に続いて、東南アジア各国で鉄鋼保護貿易政策がさらに強化される可能性は高い。

中 山製鋼所(神崎昌久社長)は6日、高炉の休止を中心とする鉄鋼生産上工程(製銑・製鋼部門)の抜本的な構造改革策を発表した。鉄鋼事業で安定した収益基盤を確保するには上工程の抜本的改革が不可欠との判断のもと、競争力のない第1高炉、第2高炉および焼結工場を来年9月末をメドに休止、これに伴う鉄源確保のため、これまで高炉の補助機能として稼働させてきた電気炉の夜間フル生産、転炉からの生産のほか、ホットコイル、厚板用スラブを外部から購入する体制とする。

 スラブの購入についてはホット、厚板用のほぼ全量(月間7万―8万トン)を新日鉄(主に大分製鉄所)から購入する一方、余力化するコークスを新日鉄に販売することで双方合意に達している。これにより中山は、全鉄源の約50%を新日鉄に依存することになる。また、転炉からの生産にあたり、転炉は新日鉄の技術協力を得て、広畑製鉄所で現在行われている冷鉄源溶解法(屑鉄を主原料として高品質鋼を生産する方式)への改造を検討する。電炉製鋼分は棒鋼、線材の生産などにあてる。高炉、焼結工場の休止による余剰人員は希望退職募集などで対応する。

金 属の切断・溶接加工機メーカーの小池酸素工業(本社=東京都墨田区、小池康雄社長)は9日から2日間、千葉の精機工場でプライベートフェアを開催する。9月にドイツで開催されたエッセン国際溶接フェアに展示し、好評を博した最新モデルを中心に、切断現場のニーズに応える機器の展示・実演を行う。

 新製品となるテクノグラフ―4500は、ガス・プラズマ切断の両切断が可能で、「NC化(数値情報化)」により、さまざまな用途に対応する。オプションとして、高精度3Dリンク式プラズマ開先ブロックを搭載。切断時、鋼材に高精度な開先切断を施し、溶接時の加工性を高め、作業の効率化できる。

 他にもグローバルスタンダード機2機種、プラズマ専用機3機種(新機種1機)、レーザー切断機2機種(新機種1機)、自動プログラミングシステムのほか、溶接・切断現場のニーズに応じた各種自動機・治具を展示し、省力化・省人化を提案する。

 CADの急激な普及により、現在はほとんどの切断関連作業がデジタル化されつつある。今回のフェアでは、アイトレーサーに代表される「壁紙」を用いた切断作業に一層の「NC化」を図る。今後も小池酸素工業では、効率性・経済性の両側面から「NC化」した新製品の開発に取り組む方針だ。

 ▽場所=千葉県市川市新田2―3―1小池酸素工業精機工場
 ▽開催時間=午前10時から午後5時
 ▽TEL=047―379―4611(販売部)
テ チント・テクノロジーズは5日、鉄鋼設備供給業者のEMCインターナショナルをミドレックス・エンタープライズから買収したと発表した。同時にミドレックスと親会社の神戸製鋼所の石炭ベースの還元鉄などに関して協業契約を結んだ。

 EMCIはミドレックスが91年に買収した電炉、炉外精錬設備の設計・製造会社で、特に炉外精錬に強みを持つ。米国事業を強化したいテチントと、EMCIを戦略に組み込みながら上流部門の直接還元鉄に資源を集中させたいミドレックスの利害が一致した。
日 本鋼管ライトスチール(谷一浩社長)は、関東エリアの営業強化や、全国集中管理の徹底などを視野に入れたエクステリア部門の組織改正を10月15日付で実施し、事業基盤をより一層強化した。同社では今年度、エクステリア部門に関して、経常ベースでの黒字浮上を目指しており、新体制の下でネットおよびメッシュの新型フェンスの拡販に注力し、年度計画を達成していく。

 エクステリア営業部門は従来、第一営業部(官公庁担当)と第二営業部(設計コンサルタント担当)、第三営業部(特殊・大型プロジェクト担当)と流通営業部(特約店担当)と細かく分類されていた。これを10月15日付で第一と第二、流通の3つを統合してエクステリア営業部に、第三営業部の名称をエクステリアプロジェクト部に変更、効率化を実現する体制を整えている。

 一方、長野など関東周辺の4支店にそれぞれエクステリア専門の営業マンを配置(うち2支店は既存商品営業と兼務)した。関東エリアの地方自治体や設計コンサルタント向け営業活動はこれまで東京で行ってきたが、下期以降は地場密着型営業を推進していく。
E Uは、韓国との新造船受注摩擦をめぐりWTOへの提訴準備を進めているが、EU域内での提訴後の暫定措置(上限14%の補助金支給)が合意できず、当初の5月末から実質的に半年間進展が見られていない。このため12月のEU理事会に再度諮り、年内でのWTO提訴を目指す方針。

 WTO提訴が実施されると、EU諸国では1年ぶりに造船補助金が復活することになる。また、韓国は正式提訴になれば現在進めている新造船の選別受注が、一段と強化されるのは避けられない見通し。EUと韓国の造船をめぐる提訴問題は、正式にテーブルに乗れば船主からの発注手控えを誘導する懸念もあり、造船鋼材の需要にも影響を与えるのは必至。

 韓国とEUの新造船受注摩擦は、韓国が2000年で2079万総トンの新造船を受注し、世界の45・1%のシェアを確保したのが発端。ドイツ、フィンランド、フランスなどEU諸国は、99年より増加したものの、単価ダウンで採算的には非常に厳しい状況にある。この単価ダウンは、韓国の受注ラッシュに原因があるとして、EUサイドが態度を硬化させている。今年はじめからWTO提訴を前提に調査を進めてきている。一方で、個別交渉の形で韓国に受注船価の引き上げを要請している。

韓 国のH形鋼生産が増加している。秋需に対応して増産しているためで、9月の生産量は22万8897トン、前年同月比15・6%の増加となった。国内向け販売が同19・7%増加するとともに、輸出向けも同14・1%の増加を記録した。

 韓国鉄鋼新聞が調査した9月のH形鋼生産は、INIスチールが仁川工場分が14万1875トン、同17・9%の増加。販売は国内が8万2975トン、同45・1%の増加。輸出が6万12トン、同10・3%の増加。浦項工場(旧江原産業)は、生産が5万22トンで同6・4%の増加。販売は国内が4万1622トン、同3・8%の増加。輸出が2万70トン、同56・2%の減少。

 東国製鋼は生産が3万7000トン、同18・5%の増加。販売は国内が2万7000トン、同7・5%の減少。輸出が8000トン、同242・3%の増加。

 1月以降、9月までの累計では生産が178万7739トン、前年同期比9・7%の減。国内向けが123万1147トン、同1・3%の減。輸出向けが60万771トン、同17・3%の減。輸出不振は、対米と東南アジア向けの低下を反映したもの。

東 京地区の等辺山形鋼市況は6×50で3万5000円、溝形鋼は5×50×100で3万9000円中心の強含み。

 10月の販売量は稼働日数の増加や9月の反動から、前月比15−20%増加。流通は先高観から、厳しい指し値は断り、年内の山形3万6000円、溝形4万円固めを目指している。

 減産の継続により歯抜けが拡大し「6×50でもロールでないと対応できない」(大手販売店)状態で、タイト感は強い。11月分販価を据え置いたメーカーは、スクラップ高から12月分を値上げしたい意向を示す。しかし、大半の販売店は、一般形鋼では上期赤字を計上したため抵抗が強い。

東 京地区の冷延薄板市況は横ばい。市中価格(1・0―1・6ミリ、ベースサイズ)は4万5000―4万6000円。

 高炉各社が薄板値上げとともに減産方針を打ち出したが、需給への影響は現段階では小さい。ピークを越えた在庫も、大幅な減少は見られない。高炉値上げの実効が出るか、メーカーの姿勢を流通も注目している。

 コイルの過剰感に押されて一部安値はあるものの、市況は横ばい小康状態。高炉の値上げ姿勢の強さが市況の下落を抑えている。電機メーカーなど大幅な業績悪化が表面化。需要自体の停滞はもちろん、価格引き下げ要請が一段と強まる懸念から店売りも不安感をぬぐえない。

大 阪地区の厚板市況は需要が低迷しているが、メーカーの供給がタイトなうえ、仕入れ価格が上昇してきていることもあって、流通は唱えを上げてきている。市況は3万7000円(トン当たり、12ミリ厚の3×6幅)どころで強含み。

 輸出用の大径管がテロ後に、出荷への影響が出ていると指摘する声もあるが、高炉メーカーの厚板ミルは造船、プロジェクト向けでロールが埋まっている。輸入材は韓国、台湾に限定されている。在庫は熔断業者段階、特約店段階ともに減少しており、厚み16、19、22ミリサイズは品薄感が強い。岸壁の輸入材の在庫も枯渇した状態。

 需要は建築が落ち込んでいるうえ、機械もさえない。ただ、流通は国内外のメーカーの値上した製品が本格的に入ってきているだけに、今後、さらに唱えを上げる方向だ。