2001.11.27
経 済産業省がまとめた01年度民間設備投資計画調査によると、鉄鋼業(企業数98社)は3926億円(前年度比8・2%増)と増加した。高炉メーカーをはじめ、鉄鋼各社では大型投資は一巡しているものの、IPPなどの省エネ・新エネ対策、環境保全、合理化・省力化投資などの伸びから前年度実績を上回った。また、02年度計画額(同77社)は1855億円(同0・9%増)と2年続けて増加計画となる。

 大企業、中堅企業別にみると、大企業は前年度を9・3%上回ったのに対し、中堅企業は同16%減となった。02年度は大企業同0・7%増、中堅企業同3・4%増とともに増加する。

 投資目的は、生産能力増強が5・2%、更新・維持・補修が35・8%を占め、合理化・省力化29・9%、省エネ・新エネ11・8%、環境保全6・3%。省エネ・新エネが同645ポイント増加したほか、環境保全も同27・3ポイント増えた。情報化投資も33%で9・2ポイント上昇、02年度は1・5%で同37・5ポイントのマイナスとなる。

 また、01年度の資金調達額合計は1890億7200万円(同14・3%減)、借入金は842億6700万円(同105・2%増)、減価償却額は2804億8500万円(同6・8%減)だった。02年度は資金調達額合計が1300億4600万円(同6・4%増)、借入金が260億1900万円(同52・4%減)、減価償却額1459億4000万円(同12・5%減)。

川 崎製鉄は26日、マレーシアのCoralProject向けに油井管6万トンを受注したと発表した。6万トンの受注トン数は同社のプロジェクト単位の油井管受注量としては最大。契約期間は2年、総受注額約100億円で、共同入札商社は伊藤忠丸紅鉄鋼。

 同プロジェクトは油井管約10万トンを使用するマレーシアの石油・天然ガス開発の国策プロジェクトで、マレーシアのPetronas Carigali、Shell、Esso、日石三菱の4社の共同発注。川崎製鉄が受注した油井管6万トンの内訳はチュービング用の13Crシームレス鋼管1万2000トン、ケーシング用(一部チュービング用)炭素鋼シームレス鋼管4万トン、ケーシング用の電縫管およびUOE鋼管8000トン。13Crシームレス鋼管、電縫管およびUOE鋼管については、川崎製鉄が全量受注した。

 また、川崎製鉄と共同入札を行った伊藤忠丸紅鉄鋼はファイナンスとともに、マレーシアまでの製品輸送と在庫・補修を行う。伊藤忠丸紅鉄鋼では受注に至った背景として、短納期対応を含む過去の実績のほか、シンガポールに設立している油井管の技術サービス会社のサポート力などの要素が、総合的に評価されたとみている。

N KK、住友重機械工業、日立造船の3社は26日、製鉄プラント事業の統合計画を1年前倒して、2002年4月をめどにスチールプランテックに集約する形で製鉄事業を統合すると発表した。01年4月からスタートした3社での共同営業活動に加え、エンジニアリング部門を含めた形で製鉄プラント事業を包括的に統合する方針を固めた。

 包括事業統合後の新会社は、01年4月に発足した販売会社「スチールプランテック」の名称を継承、引き続きNKK常務の藤原義之氏が社長に就任する。4月1日付けで資本金を2億円から10億円に増資。人員は約180名体制でスタートする。

 本社事務所については、現在の品川天王洲からの移転を検討中で、新事務所は東京、神奈川地区に新たに設置する予定。現在、3社の製鉄プラントトータルの在籍人員数は480名から300名に減ったが、今後とも製造部門での人員を含めたコストダウン、技術開発に課題が残る。

 国内やアジアや中南米など海外マーケット向けに製鉄プラント販売やエンジニアリングサービスを提供。事業統合の成果をベースにコストダウンを推進し、さらなる競争力強化を図る。また、川崎製鉄との事業統合も視野に入れ、統合会社の事業運営について協議を進めていくという。
住 金精圧品工業(本社=愛知県半田市日東町1、岸田達社長)の今年度連結業績は、国内に関しては前年度並みの水準となるものの、米国子会社が設立以来初の黒字を達成しそうな情勢にあり、売上高で105億円程度、収益面でも黒字定着が見込める状況となっている。

 同社は100%親会社である住友金属小倉の素材を主力に、ハイテンションボルト、自動車・産業機械用精密部品の製造・販売、金型の製作などを行っている。ただ、分野別では好調な自動車生産をバックに自動車部品関連がハイテンの落ち込みをカバーしており、売上比率では精密部品が60%、ハイテンが40%といった割合となっている。

 また、今期の業績としては当初、米国子会社で日系自動車メーカーやビッグスリー向けに自動車精密部品を販売しているI・P・F(インディアナ・プレシジョン・フォージ)も含めた連結ベースで売上高115億円を見込んでいた。しかし、国内自動車部品ユーザーからの厳しい値下げ要求やハイテンの不振などもあって、上期の売上高はほぼ前年度並みで推移、最終的にはトータルで95億円程度に落ち着くとの見方をしている。
ニ チメン金属販売(本社=東京都中央区、吉川浩社長)は、03年3月期までに売上高総利益率を現在の3・8%から5・0%に引き上げる。鉄鋼、非鉄金属ともに、在庫・加工機能を持つことで付加価値を高め、即納体制を整える。非鉄金属では原料中心の取引に加え、ダイカスト製品や金型を拡充。中国のマグネシウム生産工場の能力を増強し、シリコンなどマグネ以外への進出を検討する。02年3月中間期で大幅な増収増益を計上したが、付加価値向上でさらに収益力を高める。

 鉄鋼、非鉄金属とも既存の取引先に対してサービスと付加価値を向上させるため、在庫・加工機能を持ち、即納体制をとる。非鉄金属ではダイカスト製品や金型を増やすと同時に、中国でのマグネ生産拠点「山西日綿易威1業有限公司」(山西省太源市)を増強。現在はニチメングループで46%の株式を保有しているが、02年3月末までにニチメン分をニチメン金販に株式を移動。マグネの生産能力増強や、マグネ以外のシリコンなどへの展開を広げる。

 鉄鋼部門の関連会社、ニチセイ鉄筋加工は要員1人増と財務体質の強化を図った。年度初めは月間の鉄筋加工量が2500トン程度だったが、9月以降は3000トン近くになっており月次で黒字をキープ。通期でも黒字化を達成し、累積損失を一掃する見通し。
全 国鉄構工業協会(橋本誠会長)がこのほどまとめた鉄骨製作工場の性能評価に基づく今年度前期分の審査結果によると、申請368工場のうち325工場が適合、26工場が不適合、17工場が保留延期となった。対象は今年5月申請分。今年度後期分の性能評価は、工場審査日の通知を12月5日までに、実施を遅くとも3月16日までに完了する。

 グレード別にみると、Hは申請54工場中、適合が52工場、不適合1工場。Mは180工場中164が適合で不適合が11。Rは117工場中、適合95で不適合12。Jは17工場中、適合が14で不適合が2。審査日に対象鉄骨がない等の理由で保留延期となった17工場は、再度審査が行われる。
京 江シャーリング(本社=千葉県浦安市、下河原金道社長)は、レベラーシャーライン通板部分の全面改造により加工精度を引き上げた。とくに板厚2・3―3・2ミリの加工で平坦度が向上した。月間平均1500トンの加工量で安定稼働に入っており、今後も品質、納期対応の充実を図っていく方針。

 レベラーシャーラインでは従来、板厚0・3―2・3ミリの冷延鋼板や亜鉛めっき鋼板を加工し、中でも0・4―2・0ミリを中心に比較的板厚の薄い鋼板の加工が多かった。設備導入から10年余りが経過していたことから、品質強化のため今年8月に、約2000万円を投資しロールの全面改造を行った。

 通板部分の上下に中間ロールを導入し、4段から6段に改造。中間ロールが入ることでワークロールにかかる力を適切に調整、正確な圧下を実現した。これにより、2・3―3・2ミリの中板加工でも寸法精度がアップし、工場の稼働効率化にも結びついた。施工はレベラーラインと同じ光和工研。

 本格稼働から約3カ月が経過、月間1500トン前後で加工を軌道に乗せた。とくに、小ロット対応で要望が増えている巻き戻しコイルの再通板時にも、安定した加工精度が確保できるという。

日 本鉄リサイクル工業会(会長=鈴木孝雄、鈴徳社長)は、日鉄技術情報センター市場調査部長の林誠一氏を講師に招き、「転換点に立つ日本の鉄リサイクル」をテーマに全国で講演会を開催する。

 同氏が10月に出版した「転換点に立つ日本の鉄リサイクル」をテキストとして、価格低迷で危機的な状況の鉄スクラップリサイクルについて、現状分析やスクラップ業界の生き延びる方策などを講演する。

 申し込みはFAXで、締め切りは12月26日まで。受講料は5000円(テキストを持っている人は3000円)。FAX03(5695)1548 担当者は大津氏。

 <開催日程>
 ▼大阪=12月6日午後1時30分から大阪YMCA国際文化センター
 ▼東京=1月10日午後1時30分から東京・鉄鋼会館
 ▼広島=1月19日午後1時から弥生会館
 ▼名古屋=1月22日午後4時40分からクレールワンダーランド
 ▼仙台=1月25日午後3時からマークスGホテル仙台
 ▼福岡=1月29日午後4時から八仙閣


東 京地区の縞板は弱気ムード。市中価格(3・2―4・5ミリ、ベースサイズ)は5万4000―5万5000円。

 小口中心の縞板は、同じ熱延鋼板でありながら大きな市況の崩れはない。ただ、大手向けの物件では仕事量優先のため値引きに応じる動きもある。受注は10月が好調だったが、11月に入ってから「止まった」(扱い筋)という。

 市況で関連性のある建設鋼材のうち、鋼板類は相変わらず弱気が先行、形鋼類は比較的堅調で値上げも一部進展しているが、先行き楽観できない状態。こうした中で、調達が最後になりやすい縞板はこれまで堅調だった分、今後の需要に反動減が懸念される。

東 京地区の一般構造用鋼管(STK400、48・6×2・3ミリ)はトン5万2000―5万3000円を中心に弱含み横ばいが続く。

 需要環境に大きな変化は見られない。扱い量は季節的に動く第3四半期に入っているものの、前月比レベルでみて上向いているとは到底言えず、問屋によっては「前月より数%落ちている」(問屋営業)との声が出ているところもある。

 今後、大きく需要が落ち込むことはないと思われるが、ジリ安ムードは当面の間続くと予想される。中心値は先月上旬から、やや下方に押されているもようだ。目先、弱含み横ばい推移の公算。

大 阪地区のH形鋼はベース3万3000円どころで強含み。

 東京製鉄が12月積み契約を先月に続いて1000円値上げするなど仕入れ高を反映して、扱い流通筋は再度、売り腰を強化。各社は今週から、持ち込み3万5000円を固めるべく唱えを引き上げる。流通筋では「メーカーの値上げで、あと2000円は市況転嫁しないと採算が合わない」との見方だ。

 一方、流通の出荷量は好調だった10月の反動減から、若干、減少する見通し。メーカーの強力減産で供給量は当面増えない模様だが、「市中在庫は年内横ばい」(特約店筋)が濃厚。また、ファブなどの需要家で値上げへの抵抗感も強まっている。