2001.12.06
米 国最大の高炉メーカー、USスチールは4日、国内一貫製鉄メーカーの合併に関する包括的な計画を検討していると発表した。高炉各社の首脳と基本的な協議を始めているという。高炉2位のベスレヘム・スチールも同日、USスチールとの間で合併について協議していると発表している。両社が合併すれば、粗鋼2500万トン規模の鉄鋼メーカーが誕生することになる。

 ロイター電は関係者の話として、2社のほか、LTV、ナショナル・スチール、ウィーリング・ピッツバーグ・スチールが合併を検討していると伝えた。5社合併の場合、粗鋼は4000万トン規模になる。

 USSは合併が実現するには政府、米国鉄鋼労働組合(USWA)などの支援が必要になるとしている。USWAは高炉大手の合併について同日、協議する用意があるとの声明を出した。

 USSは政府の役割として、既に進めている201条調査に基づく鋼材の緊急輸入制限や世界の過剰能力削減のほか、退職者の年金や医療給付金などのいわゆるレガシーコストについて救済策をとるよう求めている。

 また、操業コストを抜本的に削減する新たな労働協約が必要になるため、組合の協力も欠かせないとしており、USWAは統合自体は支持する考えを示しているという。

N KKが開発・商品化した耐候性鋼のさび安定化処理剤「カプテンコートM」は、高性能で施工性・経済性を大幅に改善できる特長が高く評価され、販売開始以来2年を待たずに累計受注実績10万平方メートルを突破した。

 「カプテンコートM」は、販売初年である2000年は2万平方メートルを受注し、さらに今年は新横浜元石川線橋梁(横浜)などへの採用により需要が急拡大し、販売当初からの累計受注実績として、2年を待たずに短期間で10万平方メートルを突破した。なかでも保管・加工時の赤さび発生を抑制し、製品ブラスト工程を簡略化可能な『プレコート型カプテンコートM処理法』の新施工プロセス適用が好評を得て、その受注量は初年が5000平方メートルに対し今年はすでに3万平方メートルと6倍に達し、「カプテンコートM」全受注量の3分の1以上を占めるにまで至っており、急激に増加している。

 今後もさらに『プレコート型カプテンコートM処理法』の適用拡大を背景に、年間20万平方メートルを上回る「カプテンコートM」の需要拡大を見込んでいる。

大 手スクラップ業者の東金属(本社=東京都江戸川区、坂本清彦社長)は、10億円をかけ群馬工場でシュレッダーダスト(ASR)焼却炉プラントを建設する。高騰するダスト処理費を考慮したもので、自社焼却を果たすことが狙い。回転(ロータリーキルン方式)炉を採用し、ダスト処理能力は日量50トン。群馬県など関係省庁から許可が下り次第建設に着手し、稼働開始は03年1月を目指す。

 シュレッダーダストの処理費用は、95年の廃棄物処理法改正により、管理型処分場への埋め立てが義務付けられたことで年々高騰している。現在、東日本地区で3万6000―4万円となっており、スクラップ業者はこの埋め立て費用が大きな負担となっていた。同社は、数年前から自社焼却の可能性について検討してきたが、今回、設備投資環境が整ったため焼却プラントの導入を決定した。

 同社が導入する回転(ロータリーキルン方式)炉は、1日当たり約50トンのダスト処理能力があり、炉内容積は70・7立方メートル。同工場が1日に排出するダスト量30―40トンをカバーできる。また、2002年に再設定されるダイオキシンの新基準値1ナノグラム以下(処理能力=1時間当たり2―4トン)をクリアし、その他の公害防止基準にも適応していることから、環境に配慮した焼却炉となっている。
日 本鉄鋼産業労働組合連合会(荻野武士・中央執行委員長)は5日、静岡県熱海市の熱海後楽園ホテルで「TAP2002春季総合生活改善闘争中央討論集会」を開催した。同集会には全国から180単組、約420人が出席した。

 同集会では、02年の春季闘争を取り巻く情勢として、「世界同時不況とともに中期的にデフレ基調が続く」とのマクロ観の下、わが国鉄鋼業の現状について(1)高炉などが「体力勝負の消耗戦」を続け危機的経営状況に陥っている(2)鋼材在庫は危機的ラインまで積み上がり、鋼材価格は歴史的な低水準にある――との認識を示した。

 特に荻野委員長はあいさつの中で、「鋼板類の価格は10年前の半値に近く、(その水準は)30年前に戻り、採算割れの状態」と指摘し、「高炉の過当競争で先の見えない状況になったのは5社経営の共同責任」と非難した。同委員長はその主因を「オイルショックや円高時のような外因ではなく、いわば身内のけんかによるもの」と断じた上で、「価格是正こそが鉄鋼経済の最大の課題」と改めて強調した。

 また、鉄鋼労連は総合各社(高炉)の中間決算に関し、「予想を超えた大幅な下方修正」という厳しい状況を示しながら、同集会の中で、02年を「雇用春闘」と位置づけ、同時に「雇用と生活を守り抜く」との方針を確認した。
韓 国資産管理公社は30日実施した韓宝鉄鋼工業唐津製鉄所の売却入札で、AKキャピタルに優先交渉権を与えたと発表した。30日の入札には、AKキャピタル、CHB(米系投資会社)、平和鉄鋼(日米合弁の投資会社)の3社が応札していた。この中で最高の条件を提示したAKキャピタルと、今後具体的な詰めの交渉に入る。最終決定には3カ月近くかかる見通しで、来年2月末には正式契約のもよう。債権団は、今回の入札で韓宝問題を決着したいとの意向が強く、まとまる可能性が高い。

 韓宝鉄鋼唐津製鉄所は、牙山湾に面した臨海部に立地しており、最終的には600万トンの電炉一貫工場として展開する計画だった。しかし小棒工場200万トン、ホットコイル工場200万トンが完成した段階で倒産。投資額6兆ウォン近くが債務として残り、債権銀行団が中心になりこれまで入札を2回実施。1回目は東国製鋼への売却で内定していたが、銀行団がキャンセル。2回目はネイバース・コンソーシアムが買収することで合意していた。

 ネイバース・コンソーシアムは、聯合鉄鋼の前オーナー会長・権吉呟氏が中心となって米系投資会社を資金源に組織されていたが、4億8000万ドルの払い込みがなく、売却は振り出しに戻っていた。

 今回、第1交渉権を得たAKキャピタルは、ネイバース・コンソーシアムをアレンジした権氏が中心になっており、再び権氏が買収に乗り出す形となっている。成功すれば、権氏は電炉経営者として一線に復活することになる。
安 治川鉄工建設(本社=大阪市西淀川区竹島、川田逸夫社長)は、インドネシア電力庁の500キロボルト送電線路建設プロジェクト向けの鉄塔を受注した。スイスの重電エンジニアリング会社、ABB(アセア・ブラウン・ボバリー)社が主請負とするもので、契約数量は6型752基(約2万7000トン)、受注金額が約21億円。同社では今後、海外送電線事業の受注活動について積極展開を図る。

 今回受注したのは、ジャワ島パイトン発電所とジャカルタを結ぶ送電線路のうち約310キロメートル区間。国際協力銀行資金によりインドネシア電力庁からABB社が主請負として受注した大型ターンキープロジェクトで、同社は鉄塔設計、鉄塔試験(2型)、加工、めっきおよび輸送について業務契約しており、納期は2002年3月から03年6月まで。

 低迷する国内市場の落ち込みをカバーすべく90年から海外送電線事業へ再参入、東南アジア市場を主要ターゲットに、ベトナムに設計エンジニアリング事業会社を設立したほか、タイの鉄塔メーカーへの資本参加や東南アジア各国のロールメーカーとの協力体制構築など積極的に展開し、最近ではタイ電力庁およびブルネイ電力庁向けなど約5000トン(5億円)の受注も決定している。
日 本鉄鋼連盟スチールハウス委員会(委員長=内田耕造・新日本製鉄薄板営業部長)がまとめた、01年度におけるスチールハウスの国内建築は、鉄鋼6社関連で1261棟(00年度325棟)、その他(輸入型など)は280棟(同163棟)と、前年度実績比で大幅増となる見通し。

 また、戸数は6861戸(同851戸)で、棟数に比べて伸びは大きく、今下期から大手ユーザーが本格採用を始めたことで、集合住宅向けが好調に推移している。

 これまで、日本鉄鋼連盟スチールハウス委員会(旧・鋼材倶楽部スチールハウス委員会)では、KC型スチールハウスの開発や普及活動のほか、旧建設大臣認可や住宅金融公庫の承認、住宅性能保証などに対応してきたが、6社での共同研究はすでに完了している。

 その後、スチールハウスは徐々に市場浸透し、鉄鋼6社ベースで98年度61棟、99年度88棟、00年度325棟と建築実績は年々増加。また、レオパレス21など大手ユーザーが共同住宅にKC型スチールハウスを採用する傾向にあることから、今年度から集合住宅向けで実績は急増している。

 その一方で、国土交通省は11月15日、旧・建築基準法38条失効に伴う薄板軽量形鋼造を告示化。これは板厚0・4ミリ以上2・3ミリ未満の亜鉛めっき鋼板など薄板が、3階建て以下の住宅・非住宅向け建築構造用として使うことを可能にするもの。また、木造・鉄骨造などの建築物にも部分使用ができると同時に、スチールハウスの用途制限がなくなるなど、普及・促進に向けた基盤ができつつある。

日 本鋼構造協会(JSSC、会長=千速晃・新日本製鉄社長)は、建築溶接技能者資格を設けることを検討している。98年前後から計画が持ち上がっていたものの見送られてきた。現在、溶接資格は日本溶接協会のものがある。しかし対象を建築鉄骨に限定していないため、最近の品質保証に対する要求の高まりを受けて、資格を設けることで、建築鉄骨の適正な品質管理体制確立を目指す。実現すれば、95年に設置した建築鉄骨品質管理機構で認定している技術者資格の5つ目になる。

 これまでの同機構による4資格の合格者数は、98年に設けた建築鉄骨製品検査技術者資格が1万1027人、98年からの建築鉄骨超音波検査技術者資格が4128人、98年からの建築高力ボルト接合管理技術者資格が7044人、99年からの鉄骨工事管理責任者が5318人と、合計で2万7287人。現在全国で実施中の今年度分の考査を加えると、3万人近くになる見込み。

 協会によると、中間検査で取得を求められていることなどから、受験者は年々増加傾向にあるという。

東 京地区の厚板は需給ひっ迫感がなく底ばい。市中価格(12ミリ、ベースサイズ)は3万9000―4万円中心。需給は母材の入着が低水準で推移し、需要が増加した10月にまとまった数量が手当てされて以降は、流通や溶断業者の買い意欲も低いまま12月に入っている。高炉メーカーのロールタイト化は、造船を核に来年にかけても続く見通し。

 ただ、価格は母材段階でも値上げが完全に浸透しているとは言えない状態。流通の多くは小口需要が中心の中で供給側の姿勢を慎重に見たい考え。このため、動きの小さい定尺品を含めて価格は底値からの浮上に時間がかかっている。目先も横ばいか。

東 京地区の軽量C形鋼はベース4万7000―8000円中心で弱含み。

 工場、店舗などの需要の落ち込みが大きく荷動きが悪いため、二、三次店からの指し値が厳しい。高炉メーカーによるホットコイルの建値上げを受けて、高炉品を母材とするメーカーには値上げを検討する向きもある。

 東鉄連の調査によると、10月末の出庫量は2865トンで9月比8・2%増。9月の落ち込みの大きさによる反動が表れたため。11月の出庫量は、浦安では大幅に減少したところもあり、全体では9月並みに落ち込む見込み。3月決算期前のメーカーからの供給圧力を懸念する販売店も。目先弱横ばい。

大 阪地区のH形鋼はベース3万3000―3万4000円どころで上げ一服。市中の荷動きはピークだった10月からやや後退。11月末の流通出庫は「前月比10%程度のマイナス」(流通筋)となる方向で、年内の需要環境はこれ以上良くならない見通し。

 また、ここにきて主力需要家であるファブの値上げへの抵抗感も強まってきて、市況は上げ一服商状となっている。

 ただ、流通各社はメーカーの連続値上げのため、依然として採算回復に至っていない。このため、年内に「もう1000―2000円の値戻しは不可避」として、再度、売り腰を引き締め直している。