2001.12.11
神 戸製鋼所は、今年度下期の粗鋼生産を、当初計画の310万トン弱から、300万トン強に10万トン近く落とす。上期実績の340万トンと比べて40万トン近い減少となる。来年度上期も減産基調を継続する。鋼材の出荷ベースでは、国内の薄板を上期の81万トンから、下期は70万トン強へと20%近く削減する。実需に見合う供給と、在庫の圧縮を最優先した生産・出荷体制をとる。

 上期の粗鋼生産実績は前期(00年度下期)比5万トン増の340万トン。鋼材出荷ベースでは、国内の薄板が同比6%減の81万トン、国内計では同比2%減の214万トン。薄板が大幅に減少したが、薄板以外では大きな変動がなかった。輸出は同比8%増の77万トンとなり、半製品やスポット受注が増加。結果、出荷合計では横ばいの290万トンをキープした。

 下期は薄板を中心とした価格の立て直しに注力。当初計画では第3・四半期、第4・四半期とも155万トン、下期計では310万トン弱としていたが、計画を見直し3Qは155万トン弱、4Qはさらに絞り込み、下期計では300万トン強とする。

 鋼材の出荷ベースでは、国内の薄板が同比20%弱の減少で70万トン強、国内計では同比10%減の190万トン、輸出は半製品やスポット受注がなくなるが、表面処理鋼板(EG)の在庫調整が4Qで終了して増加するため同比5%減の70万トン強、合計では同比10%弱の減少で265万トン前後とする。

更 生手続き中の電炉小棒メーカー、中山鋼業(大阪市)の更生計画案を審議する関係人集会が10日、大阪地方裁判所で開かれ、債権者大多数が同意、可決成立し、地裁が更生計画を認可した。関係人集会終了後、更生計画により選任された新取締役による取締役会が開催され、代表取締役会長に猪熊研二管財人代理・合同製鉄社長、代表取締役副会長に高島成光管財人・共英製鋼会長、代表取締役社長に曽田展生・合同製鉄常務、代表取締役副社長に宮村一成管財人代理の就任が決まった。中山鋼業はスポンサーである共英、合鉄の共同支援体制のもと、更生計画案を策定、9月20日に大阪地裁に提出していた。関係人集会での同意、裁判所の認可で更生計画がスタートした。

 認可された更生計画の骨子は、負債額約448億円のうち、約108億円(更生担保権約94億円、一般更生債権約14億円)を最長20年で弁済。一般更生債権で銀行など大口債権者の5億円を超える債権については96%の免除を受ける。弁済の原資は収益のほか、所有不動産の売却、一部債権の資本への振り替えによる代物弁済などで行う。

 資本金は来年3月をメドに現資本金4億9500万円を100%減資したうえで、新株発行で増資、スポンサーである共英、合鉄が10億円ずつ引き受ける。この他5億円を超える一般更生債権者は債権の一部を資本に振り替える新株割り当てを選択できる。

I ISI(国際鉄鋼協会)は9・10日の2日間、フランス・パリで第35回年次大会を開催した。

 同大会は米国で起きた同時多発テロの影響で10月に予定されていた韓国・ソウル大会が中止、規模を縮小して行われたもの。9日に理事長スピーチと定例総会を実施。10日には、ボストンコンサルティンググループ、ロランドバーガートラスティッジコンサルタント、マッキンゼーの3者により、「鉄鋼業の将来に向けた戦略」をテーマとしたパネルディスカッションが行われた。

 なお、同協会が10月中旬に公表した02年の世界鋼材需要は前年比3・4%増の7億9900万トン。増加要因は中国需要が同比6・3%増の1億7000万トン、NAFTAが同比5・2%増の1億4100万トンと高水準に推移するほか、全地域での増加を見込んでいるため。

 また、01年の鋼材需要は同比0・5%増の7億7300万トンと予測。これは欧州やNAFTA、その他アジアなどの地域でマイナス見通しとなるものの、中国が同比13・5%増の1億6000万トンと高い伸びを示すため。
日 本鉄鋼連盟の千速晃会長は10日、米国通商法201条による包括的鉄鋼調査に関するITC救済措置投票について、「ほとんどの品種において高率の関税賦課による輸入制限策が勧告されているが、これは米国鉄鋼業救済のために米国鉄鋼需要家に過大な犠牲を強いる不当なものである」とコメントした。

 同会長によると、米国鉄鋼業の経営悪化の要因として、「国内需要の増加を上回る米国ミルによる設備拡張、高炉ミル間および高炉ミニミル間の過当競争」を指摘し、「自動車向けなどの需要減退および米国ミルが抱える過重なレガシーコストの負担にある」としている。同会長は「米国はこうした事実を無視して、問題を全て輸入鋼材に転嫁することは誤りである」と強い調子で非難した。

 米国通商法201条に基づく輸入規制は、米国鉄鋼業が競争力を回復するための調整を行うにあたり一時的な猶予期間を与えようとする補助的手段。

 同会長はこれを踏まえ、「仮に米国が何らかの輸入規制措置を取るのであれば、米国鉄鋼需要家に悪影響の少ない数量規制とすべきであるが、その場合でも、米国鉄鋼業が自ら努力して真摯にリストラを実行することが前提とされるべきである」と要望した。
日 本と中国との鉄鋼通商問題や日中鉄鋼産業の発展などについて意見を交換する「日中官民鉄鋼対話」の第2回会合が、このほど経済産業省内で開催された。この中で中国による鋼材輸入規制問題など現状の問題点を踏まえ、世界貿易機関(WTO)ルールや、これに基づくアンチ・ダンピング(AD)協定などを活用することなく、両国間の鉄鋼貿易関係が健全に実施される方策などについて話し合った。また、中国のWTO加盟も念頭に、日中が主軸となり、アジア鉄鋼産業の発展とグローバル問題への対応での考えを共有していくことなどで意見が一致した。

 今回の日中鉄鋼対話には、日本側は経済産業省から岡本巖・製造産業局長、半田力・鉄鋼課長、鉄鋼業界から新日本製鉄の三村明夫・副社長、川崎製鉄の岩橋誠・常務、住友金属工業の本部文雄・常務執行役員などが、中国側は国家経済貿易委員会の李建勲・対外経済調協司進出口処長、宝鋼集団公司の何文波・副総経理、武漢鋼鉄公司の賈宝軍・総経理助理、鞍山鋼鉄公司の越廣傑・副総経理などが出席し、約6時間30分にわたって行われた。

 日本側から中国のWTO加盟への歓迎の意向が表明されたうえで、日中鉄鋼貿易の健全発展と、アジアの鉄鋼産業発展と国際問題対応での両国の主導的役割などについて討議した。
関 東地区小棒は、ベースメーカーの販売姿勢が強く、ここへきて市況が引き締まってきた。ベース市況は、トン当たり2万5000円台が中心で、幅のある展開ながら上値をうかがう状況。出荷が堅調でメーカーは即納物には応じられず、合同製鉄・船橋製造所が設備故障で12月末まで製鋼を休止する見通しなど、市中では玉手当てが難しくなっている。鉄筋加工業は「来年2月までは現状レベルの忙しさ」(商社)が続く見込みで、年末年始の減産強化を予定するメーカー施策も手伝って、年明け以降も強気気配が維持されそうだ。

 関東地区のベースメーカー各社は、12月契約から1000円の値上げを実行した。安値受注は原則拒否の構えで、伊藤製鉄所では「実質売り止めの状態」という。鉄スクラップ価格が上期に比べトン2000円方上昇していることを背景とし、市中の強烈なタイト感を追い風に、メーカーの値上げ意欲はさらに高まっている。

 これを受け、商社も販価改善の意識を強めている。ユーザーのゼネコンは、仕入れ原価を引き下げる姿勢に変わりはなく、厳しい指し値を寄せている。先週、中堅ゼネコンの青木建設が民事再生手続きを申請するなど信用不安が表出する折り、売り買いに微妙な影響を与えるとみられている。

 商社サイドは「銀行系列など適正な枠内での商売にシフトしており、リスク管理は徹底している。ゼネコン不安は足元、そう問題はないはず」(内販商社)と落ち着いた態度をみせる。一方で、「安全な顧客に売りが集中する可能性は否定できない」(別の内販商社)との見方もあり、予断を許さない情勢。

 さらに来年初めには、価格上昇力の乏しい細物需給が、米国による輸出制限によって緩んでくる可能性が高い。細物メーカーは減産対応で臨むが、国内の需要感は縮小傾向にあり、不安感はぬぐえない。

 商社と細物メーカーの対応が注目されるが、ゼネコンの第2、第3の経営破たんの予測も重なり、来年の市況見通しは不透明感を増している。当面はベースメーカーの強気が下支えそうだが、需給がどこまでタイト感を維持できるかが焦点となってこよう。
建 築用アンカーボルトメーカー協議会(天雲正春会長)はこのほど、第5回全体協議会を開催し、建築用アンカーボルト製作工場認定制度についての具体策を決定した。

 これは、先に日本鋼構造協会が建築構造用アンカーボルト製作工場認定に関する運用規定と同工場認定基準を作成し、事実上工場認定制度が確立されたことを受けてのもの。協議会として運用規定を制定するとともに、審査業務を行う工場審査委員会を新たに設置。審査委員会は会員以外の学識者で構成されるもので、選任された6氏は、田中淳夫・宇都宮大学工学部建設学科教授(委員長)、田川泰久・横浜国立大学工学部建設学科助教授、大竹章夫・住友金属工業鋼板建材事業部専門部長、永田匡宏・新日本製鉄建材開発技術部建築建材技術グループリーダー、打越瑞正・久米設計構設計副部長、佐藤義也・日本設計構造設計群構造設計部。

 工場認定制度の運用に際しては、建築用アンカーボルト製作工場申請書類の受理および工場審査委員会への依頼、工場審査委員会の審査結果に基いたアンカーボルト製作工場の認定可否などを行う工場認定制度分科会の設置も併せて決定した。

 また、全体協議会終了後に引き続き素材供給側の製鋼メーカー6社(神戸製鋼、朝日工業、共英製鋼、合同製鉄、新関西製鉄、中山製鋼所)の関係者を交えての懇談会を実施。新制度構築に向けた意見交換がなされたが、メンバーからは、「在庫整備を含めた工程管理に取り掛かるまでに、材料の供給が可能か否かを明確化してほしい」などの要望が相次いだ。

2 005年3月に開催される愛知万博(2005年日本国際博覧会)の基本計画がこのほどまとまり、理事会・評議員会で承認された。この計画は10月に発表された基本計画骨子を肉付けしたもので、構想自体は大きく変わっていない。今後は基本設計、実施設計に着手、来年秋には具体的な建設工事を開始したい考えだ。

 基本計画骨子と今回の基本計画とでは、青少年公園地区に予定しているグローバルループ、グローバルコモンの位置が若干変更となったほか、海上地区に建設予定の政府施設と愛知県施設を隣接して設置するなどの点が変更された程度で、全体的により具体化した内容となっている。また、会場へのアクセスについては開催時期に合わせて現在急ピッチで工事が進められているが、愛知環状鉄道や東部丘陵線といった鉄道系の利用が59%、自家用車、団体バスといった道路利用が41%と想定、会場周辺に6カ所の大型駐車場を整備し、シャトルバスによる運行を行う。

東 京地区の厚板は市中価格(12ミリ、ベースサイズ)3万9000―4万円中心で横ばい。

 造船、プロジェクト向け鉄骨需要の支えで高炉メーカーからの供給は絞られている。輸入材も引き続き月間4万トン前後と低水準だが、価格に影響が出るほど流通での需給ひっ迫感は出ていない。値上げに伴う材料の入れ替えが進みつつあるとは言いながら、市況の反応は鈍い。

 その要因は中小溶断業者に波及するような実需が細っている点、そして大手、中小を含めて与信警戒感が年末に入ってさらに強くなっている点。市況が上昇する材料が見当たらない中で、当面は底値圏を横ばいで推移する見込み。

東 京地区の一般構造用鋼管(STK400、48・6×2・3ミリ)はトン5万2000円を中心に、弱含み横ばい。

 流通の扱い量に上向き気配はなく、商いは活気薄。11月の月間の扱い量はほぼ前月並みで、需要期でのこの荷動きのなさに、関係者は憂慮の念を示している。年内いっぱいは需給環境に大きな変化が起こる可能性は低く、価格も現状レベルで推移する見通し。だが年明け以降は、荷動きのもう一段の減少を予想する向きもあり、基調の先行きにはさらなる厳しさが予想される。商いが小口中心のため、在庫は各社とも需要見合いとなっている。

 目先、弱含み横ばいの見込み。

大 阪地区のH形鋼はベース3万3000―3万4000円どころで綱引き。同地区に影響力のある住金スチールが炉修のため、今月末から20日間の休止を実施。大和工業も今月から大幅な引き受けカットを実施するなど、年末から来期(1―3月)にかけて供給削減の動きが活発化してきた。

 現在、市中在庫は広幅やジュニアの細幅サイズを中心に歯抜けが散見。「流通1社ではとてもそろわない」(特約店筋)ほどタイトな状況となっている。

 こうした需給改善の動きを受け、流通各社は再度、売り腰を強化。荷動きは伴わず、需要家の抵抗も強くなっているが、各社は年内最後の値戻しに全力を挙げている。