2001.12.18
日 立金属は磁性材料事業で構造改革を加速する。海外のグループ企業も含め、より生産性の高い体制に再編、現状の低生産レベルでも利益確保が可能な陣容構築を急ぐ。01年度末までに人員30%削減などの改善策を進め、来年度以降の事業運営をにらんだ体制づくりに一定のメドをつける。事業展開では希土類磁石の自動車関連の売り上げ構成比を06年度でに希土類磁石全体の50%強とするほか、後工程を東南アジア地域にシフト。ハードフェライトでも来年初からの中国での後工程委託生産を皮切りに、海外事業を強化する。国内での上工程合理化と併せ、安定した収益基盤を固める。来年度上期には黒字化させ、06年度には海外構成比を50%から66%程度にアップ、全体売り上げも15%増の360億円規模を目指す。

 IT不況による需要減退と、中国などとの競合による厳しい経営環境を踏まえ、磁材の事業構造の抜本改革を推進。グローバル展開を加味し、国内外で事業体制を再編、需要家への最適な供給体制の確立とコスト面での国際競争力の確保を念頭に、体質を強めていく。

 改善策では、まず希土類磁石、ハードフェライトとも、後工程で海外シフトを拡大する。連結ベースで現状の売り上げ構成比50%の海外比率を、05―06年度には66%レベルに引き上げる。並行して人員減などで固定費を約30%低減させる。さらに、国内、海外のグループ企業については、将来的な市場の動向などを勘案し、各社の性格付けを明確化。そのうえで選択と集中を通じ、再編や統廃合などを実践する。

東 京製鉄は17日、1月契約からホットコイル、酸洗コイル、縞鋼板をそれぞれトン1000円値上げ(建値)すると発表した。輸入材の減少や在庫削減の傾向から「市況に変化の兆しが表れてきた」(安田英憲常務)ため、価格改善に踏み切った。薄板値上げは2000年1月以来2年ぶり。高炉各社は7月から店売りホットの値上げに着手、動向が注目されていた東鉄は「市場環境を見極めた上で」とこれまで慎重な態度を示していた。引き続き減産と輸出の組み合わせで需給調整を図り、条鋼品種を含めて販価の立て直しに向かう考え。

 東鉄は、00年1月契でホット・ベース(1・6―12・0ミリ厚)3万8000円と1000円値上げしたが、その後の市況下落から、01年2月契では1万円の大幅値下げを行った。7月契ではさらに1000円引き下げたが、一方で高炉各社は7月出荷から店売りホット(黒皮)3000円、10―11月から店売り(一部ヒモ付き)の酸洗、冷延鋼板、表面処理鋼板について各3000円の値上げを表明。高炉値上げに対し、店売り市場に一定の影響を持つ東鉄の出方が市中の関心の的だった。

淡 路産業(本社=兵庫県洲本市、三尾光司社長)は明和産業(本社=東京都千代田区、浜田真二社長)、日建産業(本社=大阪市西区、濱口康宏社長)とともに来年1月、フランジメーカーの赤萩フランジを設立する。

 新会社の資本金は6000万円で、出資比率は淡路産業42・5%、明和産業42・5%、日建産業15%。社長には淡路産業専務の三尾堯彦氏が就任する。新会社では自社生産の鍛造フランジと輸入品の汎用フランジを扱い、長期的な目標として年商30億円を目指す。

 3社による新会社設立は、倒産した旧ベンカンの子会社・赤萩フランヂ製作所の営業権を継承するもの。赤萩フランヂ製作所は事業規模約35億円で、シモダフランジや瀬尾高圧と並ぶ「国内の3大フランジメーカー」(関係者)と言われ、黒字経営と品質管理の高さに定評があった。

 このため、フランジ製造業への新規参入を図る淡路産業が先月19日に営業譲渡を受け、その後、中国製フランジ製品を輸入し赤萩フランヂ製作所に販売していた明和産業と、赤萩フランヂ製作所の製品を扱っていた鋼管問屋の日建産業が事業再生の動きに加わり、新会社設立に向けた調整が続けられていた。
大 同特殊鋼とニチメンは17日、ニチメン100%出資の工具鋼問屋・石原鋼鉄(本社=東京都港区、石原清社長)の株式のうち19%を大同特殊鋼が譲り受けることで合意したと発表した。現在石原鋼鉄の資本金は9600万円。ニチメン保有の株式の一部譲渡であり、増資は行わない方針。出資時期は02年1月の予定だ。

 大同特殊鋼は、戦略商品である工具鋼のシェア拡大策として、「流通体制の整備・強化」を重要なテーマと位置付けている。今回、工具鋼販売の主力問屋・石原鋼鉄に資本参加することにより、流通全体の活性化を図るとともに、現在展開中の工具鋼圧延平角製品「e―QUALITY」ブランドの拡販に弾みをつける。一方ニチメンは、石原鋼鉄を工具鋼販売の主力拠点として位置付けており、大同特殊鋼の資本参加は石原鋼鉄の販売力強化・業容拡大にメリットがあると判断した。
伊 藤忠丸紅鉄鋼は、今年度の下期以降、連結税引き後利益の極大化を目指す。ロジスティクスの活用、新商品の開発、ベンチャー企業への投資など、要員の有効活用も進める。下期の売上高は連結で7000億円程度の予算。本体と連結の最終利益比率は1対3となっている。

 連結利益の極大化のため、シナジー効果を追求する。ロジスティクスの統合でコストダウンを図り、共同活動することで業務の集約と効率化につなげ、それを最終的には総資産の圧縮に結びつける。「ソリューション開発室」では、ITを活用してファイナンスシステムやロジスティクスシステムを構築、これを海外を含む自動車や電気向けなどのSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)につなげることも強化ポイント。すでに複数の顧客と新しいビジネスモデルの開発に着手している。

 新商品では、日本・アジア圏で独占的な販売権を持つモーター向け磁石材「マグネクエンチパウダー(MQP)」が伸びている。今後は、新素材も開発からフォローして新商品を生み出し、鋼材のユーザー向けにも拡販していく。
ア ラヤ特殊金属(本社=大阪市中央区南船場2―12―12、白井健士郎社長)は、福岡支店・福岡ステンレスセンターを移転し、ステンレス鋼管・条鋼類の在庫能力を拡大する。来年5月、福岡市東区から福岡県粕屋郡須恵町に移転、倉庫面積を現在の約1・5倍に拡張する。

 同社の福岡支店・福岡ステンレスセンターは現在、福岡市東区松田1―8―38にある。約1900平方メートルの倉庫のほか、近隣に約660平方メートルの倉庫を借り、2カ所の倉庫に合わせて約1500トンの製品を常時在庫している。

 しかし、倉庫が2カ所に分かれていることにより作業効率が悪いこと、需要家の要望に一段ときめ細かくこたえる必要性から、かねてより移転を考えていた。

 移転先は、福岡県粕屋郡須恵町大字旅石225―1。同社の要望により建築した賃貸物件を借り受ける。敷地面積が6401平方メートル、事務所が2階建て延べ362平方メートル、倉庫が3849平方メートルで、約3500トンの在庫能力を持つ。倉庫には2・8トンクレーン8台、保管用ラック100台(2000ホール)を設置する。

 今月上旬に地鎮祭を行っており、来年5月予定で完成、移転する。移転・倉庫拡張に伴い、福岡支店の売り上げ目標を月間4億円に引き上げる。

東 京地区の縞板は横ばい。市中価格(3・2―4・5ミリ、ベースサイズ)は5万4000―5万5000円。

 11月後半から12月にかけて受注に勢いがなくなってきた。月末にかけて正月休みを控えた発注が出る可能性はあるが、今年は夏から秋の需要が堅調だっただけに低調なまま越年するとの見方も出ている。設備投資の低迷が長期化する気配で、年明け中期的な需要も期待薄だ。

 小口販売を中心に市況は変わらないが、物件の量に応じて一部では割引価格があるようだ。高炉減産の方針下で供給はほぼ需要見合い。ただ、需要減との比較ではまだ引き締まり感がない。市況は今後も横ばい推移か。

大 阪地区の異H形鋼はベース3万3000―3万4000円どころで強含み横ばい。

 ときわ会によると、11月末出庫が前月比2%減の微減にとどまり、日割りの出庫ではプラスとなるなど、「締めてみれば思った以上の出庫レベル」(特約店筋)となった。

 在庫も入庫の抑制から2カ月連続で減少。市中では広幅サイズに加え、細幅のジュニアサイズで歯抜けが広がっているほか、同地区に影響力のある住金スチールが20日間の炉修に入るなど、在庫はさらに枯渇化する可能性がある。

 こうした需給の好転を確認して、特約店筋は再度、売り腰を強化しており、市況は当面強含み横ばい。