2002.02.01
経 済産業省が集計した2001年度第4四半期(02年1―3月)の特殊鋼熱間圧延鋼材生産計画によると、特殊鋼生産は国内、輸出合わせて381万8800トン(前期比2万6000トン、0・7%減、前年同月比35万4000トン、8・5%減)と策定された。昨年末、同省がまとめた01年度第4四半期特殊鋼需要見通しと比べ12万9000トン、3・5%増となる。国内向けでは自動車生産を前期比微増と見込み、需要見通しを上回る。輸出は機械構造用合金鋼が石油掘削関連需要の減少で微減の計画だ。

 第4四半期の特殊鋼生産計画の内訳は、国内向けが262万8000トン(同2万4000トン、0・9%減、同43万4000トン、14・2%減)、輸出向けが119万1000トン(同2000トン、0・2%減、同8万1000トン、7・3%増)。

 国内向けは5期連続の前期比減、4期連続の前年同期比減で、輸出向けは5期ぶりの前期比減に対し、5期連続の前年同期比増となる。この結果、合計量は4期連続の前期比減、3期連続の前年同期比減とマイナスが続く。依然、一部の鋼種では在庫調整局面にある。
日 新製鋼はステンレス冷延薄板を1月契約、2―3月積みから店売りを対象に、ニッケル系、クロム系ともにトン当たり2万円引き上げる。また、輸出価格についても2―3月積みオファーから同200ドル値上げする。昨年来の市況軟化に加え、原料のニッケル価格(LME)が昨年11月のポンド当り2・3ドルから直近では2・74ドルにまで上昇、さらに昨年末からの円安を受けて、コストプッシュを強めており、採算確保のため、販価是正に踏み切る。

 これまで市場環境の整備として、店売り向けを中心に減産を実施、ハイレベルに積み上がった市中在庫の圧縮を進めてきた。こうした効果から全国ステンレスコイルセンター工業(JSCA)調べによる昨年11月末の総在庫量は10万7342トン、前月比1・8%減と減少、9月から3カ月続いて減少した。需要そのものの落ち込みが進む中でも、在庫量は減少してきている。



ブ リキの大手取り扱い業者の富安(中山芳博社長)の関係会社である富安金属印刷(本社=埼玉県草加市、永沼龍躬社長)は早ければ今年4月にも本社工場に最新鋭のブリキ板の金属印刷設備を導入する。導入予定の設備はドイツ製で、1回でブリキ板に6色刷りができる世界初めてのもの。投下金額は約15億円。富安では導入後、この最新鋭の印刷設備をフル活用し、少量多品種の缶の印刷の受注を強化することで、ブリキの販売量の確保を目指す。

 これまで、富安金属印刷では本社、大阪(大阪府枚方市)、広島(広島県佐伯郡佐伯町)の3工場でブリキ板やその他の物に金属印刷を行うとともに、製版、付帯事業を手掛けていた。

 本社工場には敷地面積が1万2992平方メートル、建屋面積は事務所および寮が1349平方メートル、印刷工場3棟が6103平方メートル、倉庫が881平方メートル。設備は高速自動輪転印刷機が9基、高速自動塗装機4基、ジョンソンワックス塗装機2基、製版設備2基。

 ただ、これまでの設備ではブリキの金属印刷は2色刷りが基本であったことから、注文内容が6色刷りの場合、3回の印刷が必要だった。さらに、次の印刷までの乾燥時間も入れると、6色刷りの印刷はかなりの手間ヒマが掛かっていた。

 このため、富安ではこれらの作業を画期的に改善できないかどうか検討、そうした過程で、ドイツの企業との接点ができ、今年4―5月に富安金属印刷の本社工場にこのドイツのメーカーが開発した最新鋭機を導入することを決めた。
合 同製鉄は、関東地区のベース小棒販価について、2月1日からトン1000円値上げを実施する。高騰を続ける原料の鉄スクラップ価格に対応し、製品価格を引き上げて採算の改善に取り組む。2月中旬にはさらにプラス販価で臨む方針で、すでに商社には値上げの意向を伝えており、年度末に向け値上げ浸透に傾注する。

 スクラップ価格が昨年夏から比べて3000円以上値上がりしているが、一方で製品価格は横ばいで推移し、収益が圧迫されている状況。年明け後もスクラップ高の勢いが衰えず、なお上昇気配にあることから、コスト負担増分を製品価格へ転嫁していく。

 今回の値上げは第一弾となり、段階を経て上積みを図る考え。安値には応じない構えで、明細の入りが鈍った場合も減産によってバランスを取る。



大 同特殊鋼の100%子会社、ダイドー電子(岐阜県中津川市、野田孝昭社長)は31日、自動車用ワイパーゴムのトップメーカー、フコク(埼玉県上尾市、河本太郎社長)と等方性フレキシブル磁石として世界最高の磁気特性、形状自由度、耐温度特性などを有するネオジム・鉄・ボロン系磁石「NFシリーズ」(特許数件申請中)を共同開発し、ダイドー電子が4月に発売すると発表した。

 新製品はネオジムボンド磁石の生産量で世界一のダイドー電子とワイパー製造などで優れたノウハウを持つフコクの両社がそれぞれの得意技術を持ち寄り開発したネオジム・鉄・ボロン系のフレキシブル・シート磁石で、ダイドーは、従来の圧縮成形磁石、射出成型磁石と合わせることで、ボンド磁石をフルラインアップ化した。

 このフレキシブル磁石は、従来製品で大きな課題となっていた磁気特性が2―6倍と優れるだけでなく、柔軟性、耐温度特性などにおいてさまざまな特長を持つ。このため小型・高性能化のニーズが一段と高まっているAV・OA関連の高性能モータだけでなく、耐寒・耐熱性にも優れることから自動車関連にも用途開発が期待される。





I ISI(国際鉄鋼協会)を中心に、日本では新日本製鉄、NKK、神戸製鋼所の3社が開発を推進するスチール製超軽量車プロジェクト「ULSAB―AVC」は31日、08年の欧州委員会によるCO2削減の環境規制をもとに設定した1キロメートル当たり140グラムという燃費効率目標をクリアできるとの成果を発表した。現在、日本国内の燃費効率レベルは12・8キロメートルだが、10年を期限とする国内基準15・1キロメートルをはるかに上回る欧州基準値16・7キロメートルレベルをクリアできるという。

 今回の大幅な軽量化達成のポイントは、2004年に開発適用されると見られる最先端鋼材の積極採用だ。デュアルフェーズ鋼やTRIP鋼、150キロ級焼き入れ鋼板など全重量の98%にハイテン鋼を採用して大幅な軽量化を実現した。

 これらAHSSといわれる最先端の高強度鋼の積極採用により、製造コストを抑止しつつ衝突安全性や環境対策も考慮した設計に技術的なメドをつけた。

 具体的には軽量化については、ベンチマーク車に対して目標値をクリアできるレベルの19―32%の軽量化を実現。さらに、衝突安全性では、04年に予想される欧米での衝突安全テストでも最高の5つ星を得るなどULSABプロジェクトを大幅に上回る成果が出ている。また、製造コストもUSドルベースで約1万ドル程度に抑えられることを確認した。
川 崎製鉄は31日、海外グループ会社で、焼結鉱石の製造・販売のフィリンピン・シンター・コーポレーション(PSC、松本敏行社長=川崎製鉄理事)が環境マネジメントシステムの国際規格「ISO14001」の認証を取得した、と発表した。同社の海外グループ会社がISO14000シリーズを取得したのは初めてで、フィリピン北部ミンダナオでは2番目。

 両社によると、PSCの認証取得日は昨年11月6日で、今月17日、カガヤン・デ・オロ市でSGSスイッツランドSAから公式認証授与式が行われた。PSCは98年10月、品質に関する国際規格「ISO9002」の認証を取得しており、今回の認証で二つのISOを取得した。

 なお、PSCは、川崎製鉄が100%出資して74年12月に設立した焼結鉱・消石灰・石灰石の製造・販売会社で、現在の生産能力は年間500万トン。





日 本重化学工業は31日、水素最大手の米国エアプロダクト社(本社=ペンシルベニア州)と水素吸蔵合金システムを利用した燃料電池向け水素供給インフラの共同開発契約に調印した、と発表した。同社では、今回の共同開発を「水素経済社会の実現に欠かせないインフラ整備」と位置づけ、それに向け「大きな一歩を踏み出した」とコメントした。

 水素吸蔵合金システムは低圧常温付近で水素の吸蔵、排出が可能で、高圧や極低温を必要とする吸蔵方式と比較して、エネルギー効率およびコスト面で優れ、この特性は広範囲な燃料電池への水素供給を可能にするもの。 日本重化学は水素吸蔵合金開発、貯蔵、輸送技術、ヒートポンプなどの分野での応用開発で20年以上の実績を有し、山形県小国町に年産4500トン、米ノースカロライナ州に年産1500トンの水素吸蔵合金生産能力を持っている。



東 京地区のH形鋼は200×100で3万7000円中心の強含み。3万6000円は、ほぼ払しょくされた。3万8000円は通っていないが、大阪の上昇基調の強まりも受けて、流通の多くはきょう1日から3万9000円唱え、3万8000円下限販売を始める。

 足元の荷動きは悪く、1月の販売店ごとの出庫量は12月比減少、もしくは横ばいとなった。在庫率は1・2カ月程度。2月の稼働日数は1月とほぼ同数。「12―2月の3カ月間で2カ月分の商売になる」(在庫商社)と低迷の見通しだが、メーカーの3000円値上げを受け、流通は値上げ玉が入荷する2月末までに転嫁を目指す。



東 京地区の縞板は底値を横ばいで推移。市中価格(3・2―4・5ミリ、4×8)は5万4000―5万5000円。

 東京製鉄の2月販売価格値上げの発表は、市況の底固めという点で大きな材料。ただ、縞板は実需がすべてといわれ、工場・倉庫などの民間設備投資中心の建築需要が停滞する中で、強気に転じるのは難しい。

 縞板専業の加工販売業者では「年明け1月も昨年暮れの動きを引きずったまま来ている」と低調な加工量の現状を不安視。関東地区コイルセンターの統計(熱延黒皮)でも、12月の出荷が前月比17%減と大きく落ち込んだ。目先、下げはないが上昇もしばらくは見込めなさそう。

大 阪地区の中板は需要が落ち込んでいるが、流通は採算面の改善に動いており、市況は3万円(トン当たり、3・2ミリ厚の3×6幅)どころで強横ばい。

 東京製鉄が2月販売でホットコイルの2000円上げを発表したことで、国内外メーカーの値上げの足並みがそろった。

 現在、メーカーの供給は国内高炉が店売り向けを抑制しているうえ、輸入材も近国物に限定されており、入着量も月間15万トン前後と低水準。在庫はコイルセンター段階、特約店段階ともに減少しており、在庫率は1・4―1・5カ月。

 需要は建築、機械ともに低調で、定尺の荷動きも小口中心。しかし、地区の流通業者は2月のトップから、唱えを1000円上げる方針だ。