2002.02.04
住 友商事・金属事業部門は、中国で4社目となる薄板コイルセンターの新設に向けてのFS(事業化調査)に着手するとともに、新たに発足させた中国タスクフォースのメンバーによる営業活動を開始するなど、拡大する中国市場対応の強化を図っている。東莞、上海、天津の3カ所にある薄板CCは順調に稼働、プレス加工など川下展開も具体化しているが、「経済発展のスピードの速さと日本製造業の中国シフトの勢いから考えて、3社では足りない」(平沼重巳副社長・金属事業部門長)との認識で、「鉄鋼ミル、他商社との合弁事業とする可能性もある」(同)としている。

 金属事業部門は、東莞住商益安金属有限公司、上海頂鋒金属製品有限公司、天津華住金属製品有限公司の3CCを93―95年に相次いで設立した。

 東莞住商は94年11月の操業開始で、第2期投資を終え、スリッター4ライン、レベラーシャー1ライン、プレス、オシレーターなどの設備を持つ。スリッターベースの加工能力は月間1万5000トン。上海頂鋒は95年4月に操業を開始。主要設備はスリッター2ライン、レベラーシャー2ラインなどで、加工能力は月間9000トン。天津華住は96年1月の操業開始。スリッター、ミニレベラー、リシャーなどを持ち、加工能力は月間4000トン。3社はいずれも黒字経営を維持しており、とくに上海頂鋒は需要増加に対応して能力増強を迫られている。
住 友金属工業は、鹿島製鉄所NO1高炉改修工事を石川島播磨重工業に発注し、02年5月から改修工事に踏み切る方針を固めた。総工費は当初予定していた500億円を下回る見込み。基礎を転用しない事実上の新設工事。炉内容積は、90年に休止した旧NO1高炉3680立方メートルから5370立方メートルへ拡大し、早期に年産800万トン態勢確立を狙う。

 新NO1高炉の火入れに合わせ、現有のNO3高炉は04年をメドに休止し、改修後の07年に再稼働する。

 これに伴い、現有のNO2高炉は、07年をメドに休止、将来的に鹿島製鉄所は、新NO1高炉とNO3高炉の2基態勢となる。

 現在、両社間で設計や調達など最終的な詳細スペックを詰めており、02年5月から本格着工し、04年9月火入れの予定。

 住友金属では、98年3月から鹿島製鉄所に190億円を投じて行ってきた製鋼総合効率化工事を00年3月末に完了。今回の改修工事を経て、世界トップレベルの製鉄所として鹿島に経営資源を集中させる。
日 鉄溶接工業(本社=千葉県習志野市、中島啓之社長)は、中国最大の造船所である、外高橋造船基地(上海)に、自動化溶接設備一式を受注し、このほど据え付け工事が完了した。溶接ラインは長さ250メートル×幅30メートルで、厚鋼板にロンジ(縦骨)とトランス(横骨)を溶接しブロックを形成する。2ライン分の設備を納め、受注金額は10億円。日溶工では中国で6件目の受注となるが、今後、親会社の新日本製鉄と連携し、造船所建設が拡大する中国での受注活動を強化していく。

 中国は、コスト競争力を背景に造船業が活況で、99年以降、年間建造量100万総トンクラスの大型造船所の拡張工事が相次いでいる。日溶工では溶接設備一式をそろえ、トータルのエンジニアリングが可能な点を強みに、受注を積極化。98年大連造船(旧廠)、99年滬東造船、01年の渤海造船所と南通造船所など中国で90%を超える受注実績を持つ。

 こうした実績が評価され、99年から建設が始まった外高橋造船基地(180万総トン)に採用された。
油 空圧機器の有力メーカー、太陽鉄工(本社=大阪市東淀川区、花澤義則社長)は米国の大手産業機器・航空機器メーカーのパーカー・ハネフィン・コーポレーションと資本・業務提携する方向で動き出した。パ社に第三者割当増資を行うほか、油空圧シリンダー分野で業務提携し、アジア戦略を強化する。今後、詰めの交渉を行い、2月22日に太陽鉄工の高島成光会長が米国でパ社と提携契約に調印する予定である。

 両社の油空圧シリンダー分野での業務提携は、アジアで強いタイヨーブランドと、パ社のもつ幅広い販売拠点網を活用し、中国市場を中心とするアジア戦略を共有、強化するのが狙い。油空圧シリンダーの共同開発や共同資材購入、最適地生産などにも取り組む。

 太陽鉄工は1月31日に臨時株主総会を開き、パ社に対し総額28億7100万円(うち14億円を資本金に組み入れ)の第三者割当増資を実施する形での資本・業務提携への承認を得た。同実施により資本金は29億4400万円となり、株主構成はパ社が40%の株式を保有する筆頭、次いで電炉メーカーの共英製鋼の17・74%、太陽鉄工持ち株会の7・64%の順となる。提携に伴い、太陽鉄工はパ社から海外担当を副社長として迎える。
ス マートオンライン(本社=東京都港区、西村博夫社長)は1日、いい在庫ドットコム(本社=東京都千代田区、白石裕介社長)との提携を発表した。「スマ市場」の鋼材明細を抽出して、工務店のバイヤー約700社を抱える「いい在庫」社を経由し販売することで、「鋼材問屋以外の需要家を効率よく掘り起こし、需要を喚起する」(西村社長)ことを目指す。

 いい在庫ドットコムは、余剰品の電子商取引市場として00年6月に出資金4億9000万円(株主=三井物産35%、伊藤忠グループ35%、オリックスグループ15%、東京海上グループ15%)で設立され、住宅資材や日用雑貨、電子機器などを扱っている。住宅関連資材分野では、住宅建設に携わるバイヤーの中小工務店が鋼材を購入する際、専門問屋との付き合いが少なく新規販売先の開拓も困難で、廉価購入が難しかった。ネットを使うことで、「中間業者を飛び越えて鋼材を購入できる可能性が生まれ、仕入れコスト削減につながる」(白石社長)とみられる。

福 崎コイルセンター(本社=兵庫県神崎郡福崎町、小平健男社長)は今期(02年12月期)、電池向け以外の一般向けの加工量を増やし、収益の改善に乗り出す。具体的には前期の加工量は全体で年間2万5000トンで、電池向けと一般向けのウエートは半々だったが、今期については加工量は電池向けが前期並みの設定だが、一般向けは年間2万トンと前期比約60%増、同向けのウエートも65%強まで引き上げる。住友商事の大阪や姫路支店との連携を強化するとともに、自社のシビアな検査と精密な加工の技術力を最大限に発揮し、数量の拡大を図る。

 同社は住友商事の直系コイルセンターで、本社工場に大型スリッター2基、ミニスリッター1基、極薄スリッター2基、ミニレベラー1基を持ち、電池向けのニッケルメッキ鋼板、銅メッキ鋼板、クロムメッキ鋼板、電気メッキ鋼板、溶融メッキ鋼板、プレコート鋼板などを加工している。

 前期(01年12月期)の業績は現在、集計中だが、売上高は約10億円と00年12月期比で減少、損益も赤字となったもよう。これは加工量が年間2万5000トンと同17%程度減少したため。中でも、主力の電池向けの加工量が大幅に落ちたため。

 このため、今期については加工は電池向けの依存度を軽減し、一般向けの数量の拡大を図る。具体的には住友商事の大阪と姫路支店との連携を密接化し、住商が手掛けている薄板商売で、福崎コイルセンターで加工した方がメリットのあるものなどをピックアップし、可能な範囲で行っていく。
全 国鉄構工業協会(橋本誠会長)の構成員数が、前回調査から16社減少して3389社となった。01年度累計では129社の減少となる。このうち33社が倒産、3社が転業、23社が廃業、14社が縮小、3社が休業によるもので、需要減や鉄骨価格下落の影響を受けた、ファブリケーターの苦境が顕著になってきた。

 鉄骨価格は、中小S造10万―11万円前後で弱含みの状態が続いている。H形鋼が底値から4000円上昇して3万7000円中心になるなど鋼材価格は上昇基調にあるが、その分は鉄骨価格に転嫁されていない。むしろ、さらに下げる見通しが強い。

 これには首都圏に物件が集中していることも影響する。都内は丸の内などの再開発物件が、残っているが地方は枯渇状態。国土交通省による11月分の建設工事受注動態調査によると、東京で施工する工事は、公共機関発注分は482億円で前年度比51・3%減だが、80%を占める民間発注分は、建築1529億円で同47・0%増、土木246億円で同27・5%増と、他地区の多くが2ケタ台の減少幅を示したのに比べて、大きく増加した。

 このため、地方のファブが首都圏に仕事を取りにくる動きが顕著になっている。しかし今後、発注が見込まれる大型物件は40万トン程度で、「全体の需要を底上げするほどではない」(高炉メーカー)。競争が激化して、鉄骨価格を下げる一因になっている。

浅 井産業グループはこのほど、環境マネジメントシステム規格ISO14001の認証を取得した。認証機関は日本環境認証機構(JACO)。登録日および登録期限は02年1月15日―05年1月14日。

 登録事業所は浅井産業の東京本社、大阪本社、名古屋支社、相模原営業所、碧南営業所、長野出張所と浅井産業サービスセンターの市川サービスセンター、大阪サービスセンター、衣浦サービスセンター。

 同グループは01年1月にISO14001認証取得委員会を発足させ、01年2月にキックオフ宣言をしてスタート。グループの環境にかかわる問題を直接影響と間接影響大きく分類し、業務分析から景況影響の洗い出しを行って、目的・目標を設定した
東 京地区の異形棒鋼はメーカーが値上げで足並みをそろえ、強気気配が台頭。市況はベース2万5000―2万6000円で幅があるが、商社も唱え上げ、安値が切り上がっている。 出荷は堅調で、メーカーの在庫レベルは極度に低い。1月は減産基調にあり一部歯抜けも見られる状況。需給はひっ迫しているが市況は反応せず、一方でスクラップ価格が高騰しているため、ベース、細物メーカー各社は2月1日から1000円上げを表明。中旬には再値上げを予定し段階的に引き上げる。

 ゼネコンの指し値は厳しいが、メーカーの売り腰は堅く、商社は1000円程度唱えを引き上げて対応。目先強横ばい推移の公算大。

東 京地区の熱延鋼板(中板)は強含み横ばい。市中価格(3・2―4・5ミリ、ベースサイズ)は3万4000―3万5000円中心。

 東京製鉄の値上げ発表が潮目となり、強気が支配しつつある。店売り大手のコイルセンターや流通は、500―1000円の足固めをしながら、新年度に向けて値上げを進めたい考え。在庫の過剰感はなく、環境は整っている。

 ただ、需要の低迷と需要家への値上げ難航が市況の頭を押さえる格好。

 需要は建機、産機や建材向けが低調で、特に建築関連では貸し倒れを懸念する傾向から、守りの商売に徹する姿勢もある。先行きは仲間価格から値上げが広がるか。
大 阪地区の異形棒鋼はメーカーの強気姿勢を映して強含みで推移。相場はベース2万4000円どころ。

 原料高などを背景にメーカーの販価是正への足並みがそろっている。1月契約ではベースで2万5000円、細物でベース換算2万4000円とする値上げを厳守。2月契約でも上値を狙う姿勢。

 流通サイドもメーカーの値上げを受けて、2万4000円以上を本格的に高唱えている。ベースメーカーの大幅減産継続で納期が相当タイトになり、一部デリバリーに混乱も見られる。

 新規引き合いには乏しいが、需給タイト化からメーカーの値上げが浸透、流通の売値への転嫁が進みそうで、相場は上伸基調をたどる見通し。