2002.02.06
新 日本製鉄大分製鉄所(嶋宏取締役所長)は、1998年4月から世界で2番目の熱延ミル(ホットストリップミル)の連続化操業を開始したが、2001年で月間平均7万トンに達した。連続化操業により、能力的には0・8ミリ程度まで熱延ミルで生産できる。しかし、大分は熱延ミルのサイズレンジ拡大より、生産性向上と品質・精度アップに活用している。生産サイズも1・2ミリ主体になっており、1・0ミリ主体で進む川崎製鉄千葉製鉄所と違う路線で進んでいる。

 大分製鉄所のホットストリップミル連続化は、粗圧延したシートバーをコイルボックスにいったん導入。ここで時間を稼いでレーザー方式で接合している。これにより、高いテンションをかけながら制御圧延ができるようになり、最も薄いホットコイルで0・8ミリまで生産できる。1・2ミリ以下は冷延の世界というのが従来の薄板の常識であり、これを引き下げたという意味では画期的な技術と評価されている。
淀 川製鋼所(鈴木鐸志社長)は、ガルバリウム鋼板のクロムフリー製品を開発し、このほどユーザー向けで本格販売をスタートした。同社では溶融亜鉛めっき鋼板とカラー鋼板でクロムフリー化を実現しているが、これで全製品においてクロムフリー対応が可能となる。ガルバリウム鋼板のクロムフリー化は国内メーカーで初めてという。

 ガルバリウム鋼板は、めっきに占めるアルミの含有比率が重量比で55%、体積比では80%以上と大きく、防錆性を高める目的やロール時の黒ズミ発生を防ぐため、同社ではガルバリウムめっき層の上にクロム酸とアクリル樹脂の混合物を塗膜してきた。ただ、ここにきて環境負荷が大きいクロムや鉛などは欧米を中心に代替品への切り替えが進んでおり、ユーザーからは対応を求められていた。

 淀川製鋼所では、すでに溶融亜鉛めっき鋼板とカラー鋼板でクロムフリー化を完了しているが、高まりつつある需要家ニーズに対応するため、ガルバリウム鋼板での実現を目指し、開発を進めてきた。

北 越メタル(本社=新潟県長岡市、清水良朗社長)がトンネル工事用の新製品「鋼管膨張式ロックボルト」を今月から発売。初成約に向けて東北新幹線・八甲田山区間の工事元請け会社と商談を進めている。

 同社はすでにロックボルト市場で約25%のシェアを持っており、今回新たに「鋼管膨張式ロックボルト」を加えたことによって、各種ロックボルトの品ぞろえを達成。さらにシェアを拡大できると期待している。

 「鋼管膨張式ロックボルト」は、特殊な形状に折り曲げた鋼管に高水圧をかけて鋼管を膨張させ、孔壁面と膨らんだ鋼管との摩擦でボルトを定着する。とくに、トンネル工事のわき水区間では、モルタルなどの定着材を必要とせず、瞬時に支保機能が得られるため威力を発揮する。
大 手熔断業者の大阪玉造鋼業(本社=大阪市西区九条南、中本茂社長)は、大阪事業所・西淀川工場(大阪市西淀川区百島)の事務所棟を建て替え、3月末の完成を目指す。旧事務所は老朽化が目立っていたためで、建て替えることで、職場環境の改善を行う。また、建て替えに伴い、同工場のCAD/CAMの一部もリプレースを検討、加工前段階の事務処理作業の効率化も図る。

 同社は全国に5つの事業所(大阪、名古屋、福岡、福山、四国)、7つの工場(九条、西淀川、玉川、名古屋・第2、福岡、福山、四国)を持ち、産機、建機、橋梁、プラント、製缶向けに切板を行っている。

 西淀川工場は主力工場で、敷地面積が約6600平方メートル、工場建屋面積が4620平方メートル。加工設備はレーザー切断機2基、NCガス切断機9基などで、切板数量は月間2200―2300トン。

 ただ、事務所は建築後40年が経ち、老朽化が目立っていた。こうした老朽化に対応し、OA化などをさらに推進するには建て替えが必要と判断したもの。 すでに、旧事務所棟は取り壊しており、仮事務所で作業を行うとともに、今年1月から新事務所の建築を開始した。建築概要は建屋の延べ床面積が390平方メートルで、S造の2階建て。完成は3月末。



新 日本製鉄は5日、省エネルギーセンター主催の01年度省エネルギー優秀事例全国大会において、君津製鉄所が最優秀事例として経済産業大臣賞を受賞したと発表した。今回の受賞は、世界初となるダストペレット高炉装入技術を確立した君津製鉄所の「製鉄余剰ダストの高炉原料としての再資源化技術開発」。そのほか経済産業局長賞など広畑製鉄所や名古屋製鉄所含む全社5件が受賞となった。

 今回、同社が受賞したのは、君津製鉄所が推進する、世界初の回転炉床炉による製鉄余剰ダスト高炉装入再資源化技術に関するもの。これまで高炉が閉塞するとして装入規制が求められてきた亜鉛分を還元反応で回収、パチンコ大の還元ペレットの圧潰強度1センチ平方メートル当たり100kgfとすることで高炉装入によるリサイクルシステムを構築した。

 これにより、年間30万トン発生する余剰ダストを年間18万トンリサイクル。所内で発生する鉄含有ダストリサイクル率が従来の75%から90%に向上を図った。さらに炭素分や鉄分の有効利用を通じて、原油換算で年間2万キロリットル相当の省エネルギーを達成している点などが今回の受賞のポイントとなった模様。



韓 国鉄鋼協会のまとめによると、02年の韓国の冷延ステンレスの生産量は前年比2・4%増の84万5000トン、輸入は同16・7%増3万5000トン、国内消費は同2・7%増の58万トン、輸出は同3・4%増の30万トンと見込まれている。冷延ステンレスの最大輸出市場である中国が、昨年11月にWTOに加盟。今年は中国へのステンレス輸出の関税が20%から14%に下がるため、各国との輸出シェア競争は強まるが、最終的には輸出量は1万トン程度増加するという見方だ。

 01年の生産量は82万5000トンで当初予想の80万6000トンを上回り、前年比1・6%増加したようだ。輸入量は3万トン(同33・3%減)。また、国内消費は56万5000トン(同1・8%増)、輸出は29万トン(同4・0%減)。

 01年は、中国のサスペンション・アグリーメント方式のアンチダンピングにより、輸出品の最低価格が設定されたことで中国への輸出量は減少した。ただ、国内で再建築などによる建設関連需要が冷延ステンレス製品の需要増に貢献し、生産量は増加したようだ。最終的な生産量については、3月に発表される。
韓 国の鉄鋼市場は、電炉メーカーの減産強化と政府の景気対策を目的とした住宅建設の拡大で「品枯れ現象」が広まっている。電炉メーカーは、昨年8月の価格是正を目的にした減産強化以降、基本的な生産スタンスを変えておらず、供給は低水準で推移。こうした中で、政府が2002年で55万戸の住宅建設を実施することを計画。このうちの30万戸を上期に前倒し発注するため、今年3月に向け鉄筋需要は、回復傾向を一段と強めるとみられている。

 韓国の鉄筋市場は、昨年夏場から採算回復を目的としたメーカーの減産と値戻しが本格化。これを受け8月の鉄筋需要は、86万5000トンに増加。仮需を伴ったものと見られていたが、9月以降も86万2000トン、89万5000トン(10月)と85万トンを上回る水準が続いている。この後も回復の動きは衰えず、11月まで4カ月連続の85万トン以上の需要が継続している。

 これに対し供給サイドは、減産を継続している。生産活動の指標となるスクラップ輸入は1―10月累計で557万トン、前年同期比8%の減少を記録している。電炉メーカーの減産を裏付けており、これも市場への減産シグナルと見て好感されている。 

 昨年後半からの減産を軸にしたひっ給逼迫は、年明け後も継続している。こうした中で政府が、住宅55万戸の建設を打ち出しており、鉄筋需要の拡大に拍車をかけた形となっている。



日 本鉄鋼連盟によると、台湾の高興昌鋼鉄は台湾国内での鋼管生産を停止し、2002年末までに中国にシフトすることを決定した。中国石油天然ガス集団公司との合弁で、上海の張家港に年産15万トンの工場を建設する。さらに2004年央までに第2工場の建設を計画している。

 高興昌鋼鉄は、冷延鋼板30万トンと鋼管15万トンを生産している。鋼管部門の中国シフトは、需要地立地とコスト対応の高度化を狙ったものと見られている。

 中国での新工場は、口径60インチまでの生産を計画しており、現在の48インチまでの生産から口径アップを進める。さらに需要動向を見ながら2004年央までに第2工場を建設する。

 台湾には、冷延工場が残る形となり、鋼管用の素材は台湾から供給する。一部は中国鋼鉄が供給することを表明。また、中国国内での調達も計画されている。

東 京地区のH形鋼は200×100で3万7000円中心の強含み横ばい。北関東に安値が残り、一部の流通が2月から試みている3万9000円唱え3万8000円下限販売は通っていない。

 需要は低迷し、12月の着工床面積から算出した鉄骨量は、59万4300トンと前年同月比9・4%減。新日鉄は、1―3月の内需は85万トンと10―12月比10%減と予測。メーカー各社は需要見合いもしくは以下に生産を抑える。昨年の3000円値上げは、店売り向けはほぼ浸透。

 このため市況は底値から3000―4000円アップしたが相殺されたとして、流通は引き続き売り腰を強める。



東 京地区の表面処理鋼板(電気亜鉛めっき)は横ばい。市中価格は5万3000―5万4000円(熱延)、6万3000―6万4000円(冷延)。

 薄板3品の中でも在庫が多かった電気亜鉛めっきだが、コイルセンターでは出荷が入荷を上回り、特に12月は入荷が極端に落ち込んだ。このため在庫は年末の時点で3年前の水準まで減少、在庫調整が進んだ。

 小売りの状況は建築需要が低調な中で振るわないが、1月は比較的稼働が良かったコイルセンターもある。ただ、2―3月にかけて関連企業、需要業界の倒産に歯止めがかからないため、販売業者にも警戒感が強まっている。目先は横ばい。

大 阪地区の平鋼はベース3万9000―4万円どころで様子見。メーカー各社がスクラップ価格の上昇などを背景に、2月契約から約1年ぶりに販価を2000円値上げ。併せて、引き受け量を10―12月比30%カットする方針を打ち出すなど、本格的な値戻しに動き出している。

 この中で、流通各社は減産の実行や、需要家・地方筋向けのヒモ付き価格の値上げなどに不信感を持っており、現在のところ値上げには慎重な姿勢を見せている。

 ただ、春先にかけてH形鋼など建材品種全般で値上げムードが盛り上がっているため、先行き平鋼も値上げの方向に向かいそう。