2002.02.18
米 通商法201条(セーフガード)に基づく、ブッシュ大統領による救済措置最終決定を控え、日本サイドの対応も大詰めを迎えている。ブ大統領の来日で小泉純一郎首相との首脳会談の中で201条措置に絡む鉄鋼通商問題が取り上げられる見通しのほか、米政府中枢に対し、平沼赳夫・経済産業大臣、経済産業省の今野秀洋・経済産業審議官などが、措置回避のメッセージを改めて伝える。さらに、翌週には経済省の半田力・鉄鋼課長が訪米する予定。3月6日ごろとされる大統領の措置決定を見据え、最終段階の攻防が続くことになる。大統領決定が高率関税賦課など内容となった場合には、日本サイドでは世界貿易機関(WTO)ルールに沿った二国間協議などの手続きに入る構えだ。

 201条措置を巡っては、1月中旬に今野・経済産業審議官と、米通商代表部(USTR)のハンツマン次席代表、米国務省のラーソン国務次官などとの協議でも取り上げられた。さらに先の経済協力開発機構(OECD)のハイレベル鉄鋼会合に合わせ、USTRの担当官などと話し合いの場を設けた。きょう18日に予定されている小泉首相、ブ大統領との首脳会談などでも、日本側の考えが強く示される見込みで、政府サイドの対応は大詰めを迎えることになる。
経 済協力開発機構(OECD)は、先のハイレベル鉄鋼会合での鉄鋼生産過剰能力削減履行状況のモニタリングに関するワーキング・グループ(WG)と、設備投資などを促進する補助金などの規制強化に関するスタディ・グループ(SG)を、3月13、14、15日に仏・パリで開催する。

 日本からは、経済産業省・鉄鋼課の喜多見淳一・製鉄企画室長を派遣、協議を行う。WGを13日に開き、各国が示した過剰能力削減の動向をチェックするシステムについて話し合う。

 一方のSGについては、14、15の両日に、政府による補助金を活用しての能力増加を抑止するメカニズムづくりを討議する予定となっている。なお、次回のハイレベル鉄鋼会合は4月18、19日にパリで開催される運びだ。

三 菱商事は15日に開催した取締役会において、新任執行役員8人、昇格執行役員4人、退任執行役員8人、新任取締役2人、退任取締役3人を含む02年度役員人事を内定した。

 金属グループでは、桜井健司副社長(金属グループCEO)、佐部浩執行役員(金属グループCEO補佐)が6月総会日付で退任。また石井芳昭常務執行役員(関西支社長)、羽田亨執行役員(北海道支社長)も同日付で退任する。一方、勝村元・米国三菱商事、金属・機械部門担当SVPが4月1日付で執行役員、5月1日付で台湾三菱商事会社社長に就任する。

 また、同社は同日、新任理事8人(4月1日付)、退任理事2人(6月末付)を内定。金属関連では武田禅次・鉄鋼本部副本部長、板谷健二郎MDP社長(在豪)、海外では市川悌二・イスタンブール支店長、工藤章・伯国三菱商事会社社長らが理事に就任。佐藤守正・炭素、LPG事業本部長、鹿子木卓・レンタルのニッケン副社長が理事を退任する。

 金属グループでは、4月1日付で岡田紀雄常務執行役員(金属グループCOO)、金田守司執行役員(鉄鋼本部長)、武田禅次理事(鉄鋼本部副本部長)が特命担当となり、多田稔・金属事業投資センターユニットマネージャーが鉄鋼本部長に就く。

 海外では高島正之・常務執行役員(欧州支社長兼欧州三菱商事会社社長)が4月1日付で副社長執行役員に昇格、6月総会日付で取締役に就任。亀崎英敏執行役員が4月1日付で常務執行役員に昇格、6月総会日付で取締役に就任する。

N KKは15日、モバイル式ダイオキシン無害化処理プラントをツールに既設焼却炉解体撤去事業に参入すると発表した。バーナー加熱方式による移動式プラントで、処理能力は毎時1000キログラム。今回、奈良県の上下北山衛生一部事務組合から受注した「上下北山ごみ処理場施設建設工事」を含めるかたちで既設焼却炉解体撤去工事を初受注した。受注金額はトータル約6億6300万円。すでに基発第401号適用工事としてスタートしており、全体工事は02年12月の竣工予定。

 NKK式の廃棄物焼却施設解体システムは、モバイル式のダイオキシン処理プラントを現地に持ち込んで現場で完全無害化できるのが特徴。バーナー加熱方式によるキルン型プラントで、毎時1000キログラムのダイオキシン類を0・1ナノグラムTEQ/g以下に無害化処理できる。

 解体に伴って発生するさまざまな廃棄物は、資源リサイクルの観点で分別し、危険物や有害物質は適正処分、リサイクル可能な物質は可能な限り再資源化していく。

 同社は、これまで全国120カ所を超える豊富な廃棄物処理施設の建設に携わってきた。これまでのダイオキシン類無害化技術や製鉄所の高炉解体技術などをベースに、今回、国内初のモバイル方式プラントを開発。今後、既設炉解体撤去事業に参入し、5年間で約20件の受注を目指す。
住 商鋼板加工(本社=大阪市此花区、岸上奎介社長)は今期(02年12月期)、前期並みの年間36万トンの加工を目指す。建設中の滋賀工場(仮称、滋賀県甲賀町)が今年春から、稼働を開始することから、稼働開始後は既存の滋賀地域の顧客に加工、納期面できめ細かく対応していく。本社工場も1月に2000年版のISO9001を取得したことから、さらに品質管理の徹底を図り、受注・加工の数量確保を目指す。また、今年から能力主義と成果主義を織り込んだ賃金体系を導入する方向で検討、人的面からの競争力のある体制を構築する。

 同社は住友商事系の大手コイルセンターで、本社倉庫・工場には大型レベラー3基、大型スリッター3基で、加工能力は月間3万トン。また、加工用のコイル、各品種の薄・中板を在庫しており、鋼材保管能力は約5万トン。

 前期の業績は細かい部分まで、明らかにしていないが、00年12月期比で減収減益で、経常段階の黒字は3期連続。ただ、減収減益となった要因は加工数量が年間約36万トンと00年12月期比10%程度減少したことに加え、販売単価が大きく落ち込んだため。

 今期は加工量については前期並みの年間36万トンの確保を目指す。本社工場は少数精鋭の体制で加工を行っており、定尺を中心に価格是正を目指す。また、今年1月に2000年版のISO9001を取得したことから、今後はさらに顧客からの加工の品質対応を向上させていく。





阪 和興業の01年度の鉄骨扱い量は7万トン前後で、前年度比7―10%の減少となる見通しだ。今年度の鉄骨総需要量は650万トン程度とみており、物件の減少から目標としていた8万トンには届かなかったものの、商社を通す鉄骨取引の増加傾向から、02年度は9万トン程度の扱い量を目指す。

 ゼネコンの受注額のうち、100億円のビルの場合で約10%が鉄骨の金額とされる。ゼネコンは、商社に鉄骨の扱いを一括して任せることで、中小ファブの選定や材料の安定供給を受けることができる。また最近の与信不安の増大もあり、ゼネンコン、ファブ双方に、鉄骨取引で商社を入れることを求める傾向がある。



日 鉄商事・大阪支店は近く、冷延薄板と電気メッキ鋼板の定尺価格の是正の取り組みを開始する。具体的には両品種を今月21日の帳破明けから1000円、来月21日の帳破明けから2000円、計3000円の唱え引き上げを行う。国内外メーカーの供給削減と値上げ、市中在庫の減少を材料に、陥没した価格を戻し、採算面の改善を図る。

 地区の薄・中板市況はすでに、ホットコイル、酸洗については扱い業者が再度の唱え引き上げの動きをとっており、すでに、中板(ホットコイルベース)は今月、500円方値戻しした。

 冷延薄板、電気メッキ鋼板もここにきて、市中環境が好転してきたことから、日鉄商事・大阪支店では近く、価格是正を開始することを決めた。

 両品種の市中環境はまず、国内の高炉メーカーが昨年秋から、減産、店売り向けの出荷の削減に本腰を入れるとともに、輸入材も入着が昨年夏場以降、低水準な状態が続いている。



青 柳鋼材興業(本社=千葉県船橋市、川那正寿社長)は、浦安事業所(浦安市)の収益構造改善を進め、今年度は事業所単体として、黒字に転換する見通しとなった。不採算の販売を見直すとともに、設備増強と加工・販売量の拡大で目標を達成した。今後は厚板の在庫販売機能と加工能力をフルに発揮させながら、黒字体質の定着を図っていく。

 浦安事業所は、建築構造用を中心に規格・無規格各種厚板の在庫販売と溶断、シヤリング加工を行っている。加工設備としてシャーリングやプラズマ溶断機、アイトレーサーを設置し、当初は月間約350―400トンの加工量で推移してきた。しかし、販売量の低迷や採算悪化により、事業所単体では長年赤字を計上していた。

 このため00年から、収益改善策を本格的に実行。不採算販売を見直す一方で、事務所や工場スペースなど事業所環境の整備から着手した。

 01年にはNC溶断機1基(田中製作所製)を新設し、アイトレーサーのNC搭載を含めて加工機能を充実。加工能力も月間700トンに引き上げ、00年度は赤字幅を前年比で半減させた。

 今年度は、顧客開拓により販売目標を引き上げるとともに、加工設備のフル稼働を維持。加工量で月間700トンを達成し、ほぼ収支均衡となった。

 3年間で加工量を2倍以上に伸ばし、厚板の在庫販売と合わせて黒字基調への転換を果たした。事業所単独の売上高は、前年度に比べて23%増となる見通し。

東 京地区の異形棒鋼はメーカー値上げが後押しし、ベース2万6000円どころで強含みに転じている。

 メーカーが2月1日にトン1000円の値上げを打ち出し、今週以降追加値上げを検討していることで、メーカーの強気が市況ムードを押し上げている。これを受け、商社は唱えを引き上げており、前月から市況は500―1000円方上伸。ただ、ゼネコンの指し値は厳しく、モミ合う局面も多い。

 鉄スクラップ価格の高騰を受けたメーカーの強腰から段階を経てさらに唱えを高める方針。細物の韓国向け輸出も一部メーカーで成約され、メーカーは需給調整姿勢を固めており、当面強基調が見込まれる。





東 京地区の熱延鋼板(中板)は流通の値上げが本格化する気配で、強含み。市中価格(3・2―4・5ミリ、ベースサイズ)は3万4000―3万5000円。

 メーカーの値上げに対し、流通やコイルセンターも再販価格の転嫁へと本格的に動き出した。東京製鉄が計3000円の値上げを実施し、実際に新価格のコイルが流通する3―4月に向け、値上げが急務となっている。

 建築関連を中心に実需が振るわないため、需要家への値上げ浸透はいぜんとして難しいようだが、少なくとも値下げ圧力は低くなっており、流通の販売価格に対する姿勢次第。在庫調整が進み環境は整っている。目先値上げ含みの展開か。

大 阪地区のH形鋼はベース3万5000円どころで強含み。不需要期とあって荷動きが低調だが、市中在庫はメーカーの減産効果からタイトな状況。実際、1月末のときわ会在庫も前月比1・9%増の4万8600トンと微増にとどまった。流通筋によると、在庫はベースサイズを中心に歯抜けだらけで、「2月以降も増える要素がない」という。

 また、高炉をはじめメーカー各社は昨秋の値上げ(3000円)に続き4月以降も値上げする方向。4―6月の生産についても1―3月比横ばいか、もしくはさらに絞り込む計画で、当面、需給が緩和することは考えにくい。このため、市況は春先まで強含みか。