2002.02.26
住 友金属小倉(本社=北九州市、天谷雅俊社長)は25日、新型鉛フリー快削鋼を開発し、同時に米国での供給体制の構築に向けて、米国特殊鋼大手のTIMKEN社に技術供与すると発表した。自動車メーカーは世界同一品質の材料調達を求めており、住金小倉は米国でのニーズ対応に取り組む。住友金属工業は、英コーラスと包括提携を結び、薄板・棒鋼など自動車向け鋼材を第1段階とするグローバルな供給基盤構築を急いでいる。TIM社とは海外ミル連携第2弾となるが、タイにある線材加工拠点のスチールプロセシングと合わせ、棒鋼での日欧米アジア4極での自動車向け鋼材の供給拠点を確立することになる。

 TIM社へ供与する技術は、焼準(ノルマ)と呼ばれる熱処理工程が省略でき、鉛を添加することなく機械加工性を損なわない鋼材に関するもの。具体的には、ホンダ向けに住金小倉が製造・販売しているノルマフリー・鉛フリー鋼の化学成分と介在物形態制御技術が供与される。TIM社では、米国ホンダ向けに新型鋼を販売する計画だが、住金小倉サイドでは鉛フリー化技術の応用で他の部品向け鋼材への展開も視野に入れている。

 従来、クランクシャフトをはじめとする自動車の高強度部材は、被削性を向上させるため、鉛添加の鉛快削鋼が多く用いられている。環境対応の点から、鉛快削鋼の使用を制限する動きが広まっており、今後規制が強化されることが予想されている。自動車メーカーでは鉛フリー快削鋼のニーズが高まり、住金小倉では被削性を損なうことなく代替可能な「環境対応型鉛フリー快削鋼」を開発した。

 【TIMKEN社】=1889年の設立で本社はオハイオ州カントン。軸受け、特殊鋼の最大手で売上高は24億ドル(01年実績)。うち特殊鋼事業は、外販高8億1000万ドル(同)。主要工場はハリソンおよびフェアクレスト製鋼所。

川 崎製鉄は、第2四半期(4―6月)の薄板輸出価格をトン当たり30ドル引き上げる。具体的には熱延鋼板の輸出価格を今期の同190―200ドル(FOB)から30ドル高の220―230ドルへ引き上げる。また冷延鋼板を同270―280ドルから300―310ドルへ、メッキ鋼板についても同340―350ドルから370―380ドルへそれぞれ引き上げる。

大 和鋼管工業(本社=大阪市北区、中村松市社長)は関連会社が保有するセンチュリーチューブコーポレーション(CTC、本社=米国・アーカンソー州パインブラフ市、ボブ・ファルツ社長)の株式をアライドチューブ社(米国)に売却した。買収金額は約1億ドル強と推定されるが、同社ではこの資金を有利子負債の削減に充て財務体質の強化を図るとともに、中国や東南アジア地区の強化を図る。

 CTCは大和鋼管の米国現地企業で1979年に稼働を開始、パインブラフ本社とインディアナマディソン工場の2生産拠点を構え、ドアインパクトビーム(DIB)や亜鉛めっき鋼管、カラーパイプなどを月間約9000トン生産している。業績は順調に推移しており、前年度の売上高は約1億2000万ドル、経常利益は400万ドルを上げている。
日 本鉄鋼連盟の千速晃会長(新日本製鉄社長)は25日の定例会見で、日産自動車が14年度から3カ年で部品・資材購買費を15%削減する方針を打ち出したことについて「鉄鋼側としては14年度も包含した前提で話し合ってきた。それを13年度で切って、14年度は別途といわれても困る」と語り、事実上、14年度でのコスト低減要請にはこたえられないとの姿勢を示した。

 また3月6日に発動見通しの米国セーフガードについて「実際どういうアクションになるか聞いていない。現時点では何とも言えない」としながらも、個人的には「鉄鋼国際貿易上、問題があると考える。われわれとしてはWTOルールに則って対応していくしかない」との見解を述べた。
三 菱商事は、100%子会社である特殊鋼問屋のエムシー・メタルワークス(MCMW・本社=三重県三重郡、古市正興社長)と菱鉄(本社=埼玉県加須市、内田政憲社長)を4月1日付で統合すると発表した。統合後はMCMWが存続会社になる予定。また、3月末までには三菱商事系特殊鋼問屋・アサヒスティール(本社=大阪市、石村博社長)相模営業所の構造用鋼の在庫・加工機能をMCMWに集約する。

 統合は設備や重複業務を集約して、三菱商事グループの経営資源の有効活用を図る「機能の分担」が狙い。統合後はMCMWが、関東・中部地区でのグループの構造用鋼店売り在庫・加工拠点になり関連流通各社の「在庫・加工」機能を補完する。これにより、三菱商事がアライアンスなどによるハードの整備を、MCMWは倉庫のオペレーションや加工・物流を、関連流通各社は販売業務に専念する――という特殊鋼分野での事業体制が確立する。今後はITインフラの整備に注力し、事業の合理化を更に強化する方針だ。

小 棒取引のEDI(電子商取引)化が加速している。メーカーと商社間のネット取引を運営・管理する、デーバー・イーディーアイ・センター(DBE、社長=松岡直人・三菱商事建設鋼材・冷鉄源ユニット部長)への参画企業が今年に入り拡大。DBE設立にかかわったメーカー4社・商社5社に加え、1月から関東メーカー2社が接続を開始、3月からは商社9社が接続を始める。関東地区からスタートし、続いて北海道地区が接続準備を進めているが、来年度内には全国のメーカーと大手商社との間で接続が完了する見通しだ。

 関東のベース4社(朝日工業、伊藤製鉄所、合同製鉄、東京鉄鋼)と5商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠丸紅テクノスチール、住友商事、日商岩井)が株主となり、00年7月にDBEを設立した。01年12月にシステムを稼働させ、株主企業間では、すでに取引の全量をDBE経由で行っている。

 DBEはシステム化した受発注業務の管理センターとなり、商社の確定注文情報をメーカーに発信し、メーカーが注文請・出荷請求請情報を商社に送る。一部メーカーでは請求書を廃止しペーパーレス化しており、伝票チェックなど事務処理作業が大幅に削減されている。

 普通鋼電炉工業会では、昨年から小棒取引勉強会を開き、不明瞭な契約概念などにDBEの利用拡大を決めた。全国各地で幹事メーカー・商社を割り振り、スケジュールを組んで普及を推進。関東から広がり、1月に三興製鋼、ダイワスチール・東部事業所が接続を開始。他の関東細物4社も社内システムの構築を進めている。
澁 谷工業はテーブル移動式の炭酸ガスレーザー加工機「武蔵HPシリーズ」で、加工範囲が1250×1250ミリのコンパクトタイプ(SPL3412型)を開発、販売を開始した。定尺型レーザーを保有する金属の精密切断加工業者のセカンドマシンとして、また限られたスペースでの設置を検討する業者などに売り込む。テーブル移動式レーザーは加工範囲1550×3080ミリ(SPL3430型)、1250×2500ミリ(SPL3425型)と合わせシリーズ3機種がそろった。3機種で年間100台の販売を目指す。

 テーブル移動式レーザー「武蔵HPシリーズ」は、従来の「武蔵シリーズ」の機能を高めて2年前に一新したもの。今回ユーザーの要望もあり、そのシリーズに加工範囲1250×1250ミリコンパクトタイプを加えた。テーブル移動式レーザーでは業界で最もコンパクトなタイプで、レーザー発振器は1・7KWと2KWを用意、SSで板厚最大16ミリまで切断できる。ステンレスの無酸化切断は2KWで板厚8ミリまで。

 シリーズの標準装備による高速・高精度切断に加え、オプション機能のFツールにより、高速エッジ切断、ステンレスでの保護シート付き切断などが可能。標準価格は発振器1・7KWで3500万円、2KWで3700万円。

阪 和興業は25日、02年1月末の輸入材岸壁在庫をまとめ、発表した。今年1月末の在庫は19万8000トンと前月比3000トン、1・5%増、前年同月比11万9000トン、37・5%減。新規入着は低水準ながら、引き取りが低調なことから、在庫は前月比で微増となった。

 地区別の状況は大阪地区は全体で13万3300トンと前月比2000トン、1・5%増。品種別の在庫内訳は厚板が3万8000トンと同1000トン、2・5%減、ホットコイルは2万9000トンと同2000トン、6・4%減、冷延コイルは6万6000トンと同5000トン、8・1%増。

 東京地区は全体で6万5000トンと同1000トン、1・5%増。品種別では厚板が1万7000トンと同1000トン、5・5%減、ホットコイルは2万トンと同3000トン、17・6%増、冷延コイルは2万8000トンと同1000トン、3・4%減。

 先行きについて輸入業者では「ほぼ在庫調整が完了しており、若干の増減の変化はあるが、当面は低水準で推移しそうだ」としている。

東 京地区の冷延薄板は引き続き横ばいだが需要の弱さが市況の雰囲気を重くしている。市中価格は4万5000―4万6000円(1・0ミリ、4×8)。

 熱延コイルの値上げが市中にも波及しつつあり、コイルセンターや小売業者も3月に向けて転嫁を急ぐ構え。冷延薄板は先行きの値上げを進める姿勢は流通に強いものの、熱延とは対照的に中心値が上がってこない。

 大きな要因は酸洗やめっき鋼板と価格差が圧縮する中で、需要全体が低調に推移していること。加えて市況を左右する韓国、台湾の輸入コイルの値上げを巡り、様子見の向きが多いことも挙げられる。ただ、流通に上値を目指す意向は強い。

東 京地区のガス管は弱含み横ばいで推移。市中価格(50A・2インチ)は、黒ガス管がキロ当たり71円、白ガス管が同2529円。

 建築需要の停滞感が強く、公共投資の削減傾向や設備投資の低調が大きく影響している。建築物件の発注はピークを越えたとはいえ、プロジェクトで首都圏が唯一堅調。「白ガス管など需要は比較的多いはず」(商社)との声もある。

 しかし、鋼材使用量に対して単価の値下げ圧力は強く、流通では単価下落による収益悪化を抑えるのに必死。年度末を控えた月末とあって、一部メーカーによる販売動向が市況の一段の弱気を誘うのではないか、と流通は懸念している。
大 阪地区の等辺山形鋼はベース3万5000円どころで強含み。

 市中の荷動きは主力の機械、建築が不振とあって、極めて低調。今月はさらに動きが鈍化しており、流通出庫量は「前月比10%程度落ち込んだ」(特約店筋)感触。また、市中在庫や流通の契約残も増加。需給は緩和傾向にあり、値戻しを進める流通もここにきて苦戦。値戻し速度はやや鈍化する傾向にある。

 ただ、メーカーは依然として出荷調整による減産姿勢を固く堅持。価格についても、3月契約で東京製鉄が連続して値上げするなど、引き続きスクラップ価格の上昇を反映した値上げ攻勢が続くもよう。市況は当面、強含み。