2002.05.08
大 同特殊鋼は鋼材事業の02年度計画として、01年度下期の生産水準でも収益確保・拡大できる体質づくりを目指した構造改革を推進する。

 収益改善ではヒモ付き値上げに向けた環境整備にも取り組み、早期に販価を是正。新商品開発、新市場開発にも注力、IT関連のステンレスなど高級鋼の拡販や高特性の構造用鋼の比重を高める。工具鋼ではアジア地域の6拠点で人的強化、現地金型加工企業の仲立ちなどエンジニアリング的な業務も加え内容の充実を図る。国際事業部の新設も加味し、アジアを広域的な日本市場と位置付け展開を広げる。工具鋼で星崎工場の新熱延設備活用、知多工場の線材合理化など製造技術も強め、製・販で収益力向上につながる生産体制を構築する。

東 京都は、スーパーエコタウン事業の実施要綱を明らかにし、医療廃棄物も含めた処理施設として日量500トン規模のガス化溶融炉を建設する方針を固めた。医療廃棄物は日量100トン程度を受け入れ、発電効率20%以上の施設とする。事業は民間業者の公募で行われる予定で、6月末までには事業者を決定する。施設完成後、05年度中の稼働を目指す。

 ガス化溶融等発電設備は、廃プラスチック類などを発電燃料としてガス化溶融炉技術などの先進的な技術やシステムによって高効率発電を行うもの。建設予定地は、中央防波堤埋立地内の都有地約2・9ヘクタール。処理対象物は、廃プラスチック類や医療廃棄物などを計画している。

日 本政府は米国の鉄鋼セーフガード(緊急輸入制限)措置など鉄鋼通商問題で先週、平沼赳夫・経済産業大臣の訪米に合わせ、経相とエバンズ商務長官、ゼーリック米通商代表部(USTR)代表、リンゼー経済政策担当大統領補佐官と会談した。また、今野秀洋・経済産業審議官がアルガイア・USTR次官、アルドナス・米商務省次官、カール・欧州委員会(EC)貿易総局長と協議を相次いで行った。

 この中でセーフガードの適用除外品目に関し、日本の鉄鋼業界が重要視する品目を再度伝え、米側も真剣に検討するとして前向きな回答が得られた。

 協議は適用除外品目の回答以外は物別れに終わったが、日本サイドとしては今後、今月15日、16日にパリで開催される経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会で改めて平沼経相、ゼ代表との会談を行う方向のほか、平行して電話協議などを実施。代償措置が提供されなかった場合の対抗措置について発動期日の6月17日まで、世界貿易機関(WTO)ルールに則って協議を継続、米側の譲歩を引き出していく方針だ。



構 造用鋼のメーカー値上げに伴う問屋筋の販価引き上げが相次いでいるが、特殊鋼の大手特約店、アサヒスティール(本社=大阪市中央区久太郎町2―2―7)は、SC、SCMの店売り販価を5月出荷分からそれぞれトン当たり5000円値上げした。メーカーが3月契約から同額の値上げを実施していることから、販価への転嫁を図るもの。



大 手シャフト関連機器メーカーの増田鉄工所(本社=横浜市、増田尚男社長)はこのほど、走行切断方式の高速直線カット機「M―4ACB型」を開発した。精密細物シャフト対応で、無断変速のスピンナーを備え、高い真直性と曲がりやキズなどを防ぐ高品質な加工を施す。需要家先では、直線カット機―面取機―2ロール矯正機のオンラインが構築でき、最終ユーザーからニーズが高まる高精密品の供給に応える。



韓 国の鉄鋼上場企業40社の負債率の改善が進んでいる。40社平均の負債率は、2000年末の122・5%から2001年末の102・8%へ19・7ポイント改善した。鉄鋼需要の回復に伴い、鉄鋼各社の収益改善が進んだためとみられている。一方で借り入れを圧縮しないと収益改善が進まないといった経営意識の転換も、負債率圧縮に効果があった。

 負債率が最も低かったのは、冷延単圧のDCM。自己資本429億8100万ウォンに対し、負債47億2700万ウォンで10・3%の負債率。これに次いで高麗製鋼の17・7%。POSCOは自己資本9兆4299億4600万ウォンに対し、負債が7兆4190億3700万ウォンで72・8%。



日 本鉄鋼連盟によると韓国のPOSCOは、今月から国内の大口需要家に対して設定していた薄板製品の2万ウォンの数量エキストラ制度(値引き制度)を廃止した。実質的な2万ウォンの値上げになる。ホットコイルはトン当たり30万5000ウォンと30万ウォン台に回復する。4月から実施した厚板価格の2万ウォン値上げに続く国内向け本格値上げで、これにより2002年決算の収益力は、大きく改善する見通し。





東 北特殊鋼(本社=宮城県柴田郡村田町、水野正志社長)は、02年度にコスト合理化と新技術・新商材開発に拍車をかける。鋼材では電磁ステンレス市場の回復、精密加工では新しいアイテムの構築がポイント。熱処理では新しく導入した「複合表面処理装置」を活用して、ユーザーと共同で販路を拡大する。



東 京地区のH形鋼はベース3万7000―3万8000円中心で強含みもちあい。需要の減少で荷動きは低迷し続けているが、連休中は特に閑散な商い。

東 京地区の構造用鋼は機械構造用炭素鋼(SC)が6万9000円、クロム・モリブデン鋼(SCM)は8万9000円を中心に横ばい。

 メーカーは、5月積みからトン5000円の値上げに踏み切るなど、価格改善の姿勢を強めている。問屋には既に値上がり玉が入ってきており、需要家への売り値を「上げざるを得ない状況」(大手問屋)という。このため、5月下旬から一斉に値上げを実行する見通しだ。

大 阪地区の異形棒鋼はメーカーの減産を背景とした強気の姿勢に流通も追随しており、上げ含みで推移している。市中相場はベース、トン当たりで2万8000円どころ。