東京製鉄（池谷正成社長）は20日、７月契約の販売価格を発表し、ホット、酸洗、溶融亜鉛めっきコイル、縞鋼板の各板製品について、それぞれトン当たり１０００円引き上げた。ホットはベース３万４０００円、酸洗が同３万７０００円、１月からの段階値上げで計９０００円の改善となる。「海外市況は上伸し、国内は在庫削減が進んでいる」（安田英憲常務）とみて、販価是正に臨む。条鋼品種は、市況の停滞感を考慮して、据え置いた。その他品種は、エキストラ含め前月通り。

中国の乗用車販売が好調で、現地自動車各社は増産体制を敷いているが、鉄鋼セーフガード発動による鋼材調達不足のため生産調整、さらにラインストップを余儀なくされる状況に直面している。トラックを含む同国の自動車生産は、１、２月こそ前年並みの20万台ペースで推移したが、３月30万台、４月34万台と急増、１―４月累計は前年同月比23％増の１０５万台に達している。

　中国の乗用車販売は、ＷＴＯ加盟前後に買い控えが見られたものの、その後は輸入関税率および現地生産車の販売価格引き下げにより、好調に推移している。

山陽特殊製鋼は20日、ハイス（高速度鋼）並みの高硬度と耐摩耗性を有し、硬質表面処理に適した金型素材として冷間工具鋼（商品名「ＱＣＭ10」）を開発した、と発表した。ダイス鋼の熱処理でハイス並みの型寿命を実現した画期的な開発鋼種で、今秋をメドに本格的に市場参入する。

　自動車や家電部品などの分野で塑性加工に用いられる金型には、これまで以上に高い耐摩耗性と耐焼付性が求められている。これら用途の金型は汎用冷間工具鋼（ダイス鋼）ＳＫＤ11に硬質表面処理を施したり、より耐摩耗性に優れたハイス（ＳＫＨ51）や粉末ハイスなどの高級鋼に高温（１２００度Ｃ）の焼入処理をして使用していた。しかし、ＳＫＤ11では表面処理した硬質膜が剥離しやすく、ハイスでは素材費や熱処理費が高くなるといった問題があった。

　同社が今回開発したＱＣＭ10は、ＳＫＤ11の熱処理条件（焼入れ１０３０―１０５０度Ｃ、焼戻し５２０―５４０度Ｃ）で、焼入れ温度１２００度Ｃが要求されるＳＫＨ51並みの高硬度と耐摩耗性を実現した。また、硬質表面処理した際、密着性の高い表面処理層が得られるため剥離が起こりにくいのも特徴。販売価格はＳＫＤ11とＳＫＨ51との間に設定しているが、ＳＫＤ11に比較すると２倍以上の型寿命がある。これにより、ユーザーでは金型の熱処理費用の低減や納期短縮を図ることが可能。

　用途としては、ハイスが用いられているパンチ、ダイ、あるいは硬質表面処理が適用されているマンドレルやプレス金型の市場を見込んでおり、年間３０００トン以上と推定されるそれら金型素材市場において当面10％のシェア獲得を目指す。

大同特殊鋼は20日、等方性ボンド磁石として世界最高の磁力（14ＭＧＯｅ）を実現、しかも耐食・耐熱性に優れるサマリウム―鉄―窒素系等方性ボンド磁石（特許５件申請中）を開発したと発表した。製造・販売は子会社のダイドー電子（岐阜県中津川市、野田孝昭社長）が行い、今後投入する新製品を含め大同グループ全体の磁材事業の売り上げを２００７年度には現在の２倍強の１８０億円に拡大する計画。

　等方性ボンド磁石は、フェライト系、ネオジム―鉄―ボロン系磁石が主体で、これまでの最高磁力（最大エネルギー積）は後者の12ＭＧＯｅであった。今回開発した新等方性ボンド磁石は、サマリウム―鉄―窒素系で、従来製品を大幅に上回る性能を発揮する。具体的には14ＭＧＯｅの世界最高磁力を達成し、等方性ボンド磁石で課題となっている耐食性、長期耐熱性の問題をもクリアできた。このためより高磁力、耐食、耐熱が要求されるＯＡ・通信機器用超小型モーターやセンサーなどの小型化が可能になり、さらに自動車・水中ポンプ用小型高出力モーターなどに利用できる。

　その製造プロセスは、(1)ボンド磁石の原料粉を液体超急冷プロセス―窒化処理で製造（以上、東芝）(2)コンパウンド作製―圧縮成形や射出成形などによりボンド磁石を製造（以上、ダイドー電子）に分かれる。その際、大同は、ジルコニウム添加物などの成分適正化による高磁気特性や優れたプレス成形性の実現に成功した磁石粉末開発の成果、知見を東芝に開示して、ボンド磁石を製造するダイドー電子が東芝から磁石粉末の供給を受ける。

川鉄コンテイナー（近藤徹社長）は99年―01年度の３カ年の中期計画に基づいて、全工場（３工場）でドラム缶品質向上の設備投資を行っていたが、このほど、千葉工場と水島工場の２工場については作業を完了した。設備投資は「ドラム缶の胴体溶接段差全長平坦化装置」「全数漏れ検査装置」の導入、および外面塗装の縦型化の改造。伊丹工場は現在、段階的に作業を進めているが、今年度中にも完了する見込み。今回の一連の設備投資はトータルで５億７０００万円。