2002年7月24日
中山製鋼所は23日、第2高炉を休止し、高炉での粗鋼生産から完全撤退した。これに伴い、新たな鉄源態勢をスタートした。鋼板用(ホットコイル、厚板)のスラブ月間7万トンは新日本製鉄・大分製鉄所から約5万5000トン、神戸製鋼所・加古川製鉄所から1万4000―1万5000トンを購入。線材用ビレット(月間4万トン)は新日鉄の名古屋製鉄所と君津製鉄所から手当てする。残りの鋼板用の電炉スラブ(月間3万トン)は引き続き、自社生産する。すでに、購入ビレットとスラブの備蓄は17万トンとなっている。転炉の正式な休止により、23日から転炉設備を活用し、冷鉄源溶解法の本格的なチャレンジを開始した。
神戸製鋼所加古川製鉄所(所長=田中毅執行役員)は、本年度粗鋼生産を当初計画比7%強上方修正した。自動車メーカーが国内生産を上方修正するなど、自動車向け出荷が好調に推移していることが要因。
住友金属工業は7月出荷分から、ガス管・ライニング鋼管の値上げを実施した。設備業者向けを中心としたひも付き分野ですでに、陥没価格の是正を進めており、店売り分野でも値上げの浸透を図る。また、国内向けシームレス鋼管についても、年度後半の値上げを検討。国内向け主要鋼管類で全面的に価格是正を進めていく。
三井物産、三菱重工業、長栄開発など日台連合の台湾新幹線軌道工事共同企業体は台湾向け新幹線軌道システムの南部分の受注を決め、23日、都内で台湾高鉄(台湾高連鉄路)と正式に契約した。
米大手鉄鋼ミルの業績が急回復している。第2四半期決算でUSスチール、AKスチールが黒字転換、ニューコアの純利益も2倍増と大幅に改善した。鋼材市況の急騰が主因で、AKの場合で「2四半期の鋼板のトン当たり平均販価は前期比48ドル上昇している」。加えてLTVをはじめとする鉄鋼ミルの相次ぐチャプター11(会社更生法)申請、セーフガード発動を背景とする輸入減によって、大手ミルの出荷が増加したことも業績を下支えした。

 第3四半期についても「出荷は2四半期を上回り、価格の改善も進む」(USS)と見込まれており、大手各社の業績は回復基調を保つと見通しだ。