2002年8月2日
三菱商事は、南アフリカのフェロクロム大手、ハーニック・フェロクロム社(コリン・ベインMD)の株式を今月中に追加取得し、傘下に収める。親会社などから株式を取得し、出資比率を9・35%から53・475%に引き上げるもので、取得金額は約50億円。日本企業として初めて南アの資源会社を傘下に置くことで、ステンレス事業を一段と強化する。今後、ステン鋼生産の拡大が見込まれる中国や東南アジア向けに、主原料であるフェロクロムの供給拡大を図る。
中国、韓国などアジアの鋼材需要拡大を背景に、1―6月の鉄鋼輸出は1789万トン、前年同期比31%の大幅増となった。日本鉄鋼連盟まとめによると、主力の普通鋼鋼材輸出は1263万トンで同25%増、特殊鋼鋼材が233万トン、18%増、半製品も210万トンで87%増加している。仕向先別では韓国443万トン、47%増、中国358万トン、79%増、タイ147万トン、19%増、台湾140万トン、29%増とアジア向けが軒並み増加、一方で米国向けは19%減の81万トンにとどまった。同期の鉄鋼輸入は249万トン、28%減。地域別では韓国が97万トン、33%減、台湾は52万トン、9%減だった。
NKKは、廃プラスチック高炉原料化などの環境事業で02年度売上高150億円を目指す。同社では、01年度に売上高100億円を達成し、リサイクル事業で初めて黒字化を果たした。02年度に入り、4月1日に稼働したPETボトルリサイクル設備も順調で、9月からはコンパネ用型枠製造設備なども稼働する。都市型製鉄所という立地と鉄鋼業のユーティリティー活用をベースに展開する同社のリサイクル事業の動きは、今後さらに加速していくものとみられる。
鉄、非鉄スクラップを扱う専業商社、泰和商事(本社=東京都台東区)はこのほど、上海市に現地法人「上海和木金属制品有限公司」(資本金=50万米ドル)を設立した。同社は、昨年7月に上海市にスクラップヤードを取得し、本年3月から本格稼働させていたが、さらに取扱量拡大を図るとともに、中国国内での安定的なリサイクル事業構築を目的に、同ヤードを現地法人に格上げした。今後、積極的に中国向けスクラップの販路拡大をめざす。
神戸製鋼所がタイ・中国に持つ線材加工拠点3社は、日系需要家の海外進出やアジア市場の成長がフォローとなり、生産量が拡大している。このため、タイの2社は設備増強を計画。鋼線メーカーのコウベCHワイヤ(KCH)は焼鈍炉と伸線機を増設し、月産能力を25%増の1500トンに拡充。磨棒鋼メーカーのマハジャック・キョウドウ(MKCL)は、抽伸機を増やし、50%増の同1200トンまで対応する。中国の南京宝日鋼絲製品有限公司は現行600トンから、年内に800トン程度に増量する見通しだ。