2003年04月10日
JFEグループの鉄鋼事業会社、JFEスチール(數土文夫社長)は03年度で02年度対比400億円のコスト改善を見込む。05年度までの中期経営計画で高炉2基と下工程15ラインの休止などを背景とした970億円のコスト改善を目標に掲げるが、約40%を初年度で達成するもの。コストの改善に加え、鋼材価格の内外是正なども進む見通しのため、05年度での連結経常利益目標2300億円の達成に向けては「前高」で推移する可能性が強い。

関東地区の鉄スクラップ業者で構成する関東鉄源協同組合(理事長=渡辺淳・丸和商事社長)はきょう10日、1万5000―2万トンの5月積み鉄スクラップ輸出入札を行う。前回の4月積み入札では、海外相場の下落を受けて、落札価格が1万7020円(前々回比1020円安)と6カ月ぶりに下落。アジアメーカーの下押し圧力はいぜん強く、今回の入札は大幅下落の公算が大きい。

全国鉄構工業協会(会長=橋本誠・大川トランスティル社長)の会員ファブリケーターで構成し、鉄骨工事の共同積算システムを運用する「全国共積会」がこのほど設立された。これまで一部地区で行われてきた共同積算を全国規模に広げる狙い。鉄骨価格が低迷する中、コストダウンをめざす。本部は群馬県鉄構業協同組合内に設けられ、会長には岩永洋一郎・協同組合長崎県鉄構工業会理事長(岩永工業社長)が就任した。

厚生労働省は、建設業における労働災害を撲滅するため、中央省庁として初めて「手すり先行工法に関するガイドライン」を策定し、都道府県労働局長をはじめ、建設業労働災害防止協会や全国建設業協会など建設関連団体に通達した。同時に、国土交通省は、2003年度の建設工事事故防止に向けた重点対策において、直轄工事では同ガイドラインによることを決めており、厚労省と国交省の連携によって、建設労働災害は撲滅に向けて大きく前進することになる。

共英製鋼(本社=大阪市、高島秀一郎社長)は4月の関西地区における小棒販売価格としてベース換算4万500円を打ち出し、今週から売り出しを開始したが、需要の低迷や原料価格の天井感台頭によって新価格の浸透が難しい場合はスキップも辞さない――といった強い販売姿勢で臨む方針である。

北九州空き缶リサイクルステーション(奥田貴光社長)は、福岡県北九州市若松区響町1―62―19の北九州エコタウン内に建設を進めてきた「空き缶リサイクル工場」が完成、きょう10日竣工披露を行う。新工場は時間当たり3トン、年間約2万トン処理可能な国内最大の最新鋭プラントで、CAN・TO・CANを実現する高純度・高品位なスチール・アルミ素材を得ることができる。このため国内でも最先端を行く環境リサイクル企業・研究機関が集積する北九州エコタウン事業の一翼を担い、ゼロ・エミッションの推進、資源循環型経済社会の構築をめざす。フル稼働は来春の予定。

 同社は、日青鋼業(静岡県浜松市、川窪謙介社長)とヤマゼン(三重県上野市、奥田耕一郎社長)が共同事業として2000年8月に設立した。資本金2000万円。大量消費社会から資源循環型社会への構造転換という時代的・社会的要請にこたえるため、理想的な空き缶の最終処理、リサイクルの事業化を図ることが狙いで、日青鋼業が開発した「空き缶再資源化システム」(関連含め特許申請中22件)を導入した。

 このシステムは、従来Cプレスとして再利用されてきたスチール缶の新しい再生システムで、高品位なスチール、およびアルミペレットを製造でき、アルミ缶混在でも対応可能。このシステムの採用はこれまで静岡、長野、名古屋、北海道、京都の5社を数える。

 一方、工場を建設した北九州エコタウンは、北九州市が環境産業を21世紀の社会を担う産業として確立するため、プランを策定し(国から97年に承認)、若松区響灘地区を中心に各プロジェクトを総合的に進めている日本を代表する広域的資源循環拠点。

 この中の地元中小・ベンチャー企業が独創的、先駆的な技術やアイデアを生かして各種リサイクル事業に取り組む響リサイクル団地フロンティアゾーンの一角に建てられた。同ゾーンへの進出は4社目となる。

 敷地面積は3974平方メートル。工場建屋は2階建ての第1工場を含め延べ床面積2235平方メートル。従業員は15人。工場は、空き缶のリサイクル処理フローを明確にするため、受入・選別(中間処理)を行う第1工場、金属加熱処理・ペレット加工処理(再生処理)を行う第2工場に分けた。その主力設備の空き缶再資源化プラントは時間当たり処理能力が缶換算で約8万個。対象物は飲料済みスチール缶、アルミ缶、スチール缶プレス(Cプレス)、アルミ缶プレス。このプラントは、プルタブ・プルトップ仕様の缶に必ず付いている上蓋部分のアルミを分離し、ペレット化が可能なラインで、一般的なリサイクル方法に比べ高純度・高品位のスチール・アルミ素材を得ることができる。

 具体的には鉄・アルミの分離度を飛躍的に高め、スチールペレットは高炉メーカー向けの冷却材、冷鉄原としてだけでなく、自動車関連の鋳物原料、またアルミについては二次合金原料、高炉向け脱酸材として再利用できる。総事業費は約7億円(土地除く)。工場の施工は新日本製鉄九州支店があたった。

 主要工程は、まず第1工場に搬入された袋入り混在缶をホッパーに投入し、破・集袋機によってビニール袋を破って除去し、内容物をコンベアで選別工程に送る。この中でスチール缶は磁選機によりスチール缶プレスのラインへ、残ったもののうち、アルミ缶はアルミセパレータにより、アルミ缶プレス機ラインへそれぞれ選別されて送られる。そして最終的に残った缶以外の異物は手選別される。その後、スチール缶プレスは、第2工場のプレスホッパーに投入され、防音型缶プレス解砕ラインにより解砕し、バラバラにする。続いて材料を一定量供給させるため、ホッパーに一時的にストック。その後、金属加熱炉で缶を加熱・乾燥させ、塗膜・残量液などを揮発させると同時に、スチール缶上蓋のアルミ部分を分離しやすくする。そして酸化物の分離除去を行いながら、比重の高いペレット状に造粒。不純物の除去を経てスチールとアルミを選別分離する。

 この間、加熱炉排ガスは二次燃焼炉で完全燃焼させ、ダストを排ガス集塵サイクロンバグフィルターで完全に除去。また分離・造粒過程で排出される粉塵は環境集塵機で集め、クリーンな作業環境を実現するなど、全プロセスにおいて環境・リサイクル面での対策、配慮をきめ細かく、かつ徹底して取り入れた。

 製造された再生品の特徴は、(1)ペレット状のため性状・形状が安定し、異臭・腐敗臭の発生がなく、輸送も効率的(2)不純物を揮発しているため、再生品メーカーにおける溶解時に煙・異臭がない―などが挙げられる。

 以上、一連の工程は見学者用通路から見学することができる。

 一方、同社ではこの新しいリサイクルシステムの能力を最大限引き出し、同時に完全な循環型リサイクルシステムを構築するため、製品となるペレットの販売先だけでなく、原料となるスチール缶・アルミ缶に関係する飲料缶メーカーや飲料メーカー・販売会社、さらにそのベンダー・集客施設・コンビニ・小売店などの参加を積極的に呼びかけ、缶容器のトータルなリサイクルを推進していく考え。