2003年09月09日
新日本製鉄は名古屋製鉄所のコークス炉ガスホルダー爆発事故後の復旧状況について8日本社で記者会見し、「9月中旬までに高炉2基稼働態勢を再開し、9月末には通常の9割レベルでの操業が可能となる」(平尾隆副社長)との見通しを明らかにした。フル稼働には少なくとも12月末までかかる見通し。9月の出銑量は58万トンの計画に対し、20―30万トン程度の減産、12月末まででは計50万トンの減産となる見込み。「今回の事故が収益に与える影響はMAX300億円になる見通し」(三村明夫社長)。納期を直前に控えた鋼材については、他の製鉄所への振替生産、他メーカーへの応援依頼、納入調整などで対応するが、鉄鋼需給への影響は続くとみられる。



トヨタ自動車は8日、新日鉄名古屋製鉄所のガス爆発事故で懸念されていた操業について、9日はトヨタ本体のほか、グループ8社を含めた15工場26ラインで通常操業すると発表した。9日に残業するかは、名古屋製鉄所の操業状態をみながら、同日午後までに決める。また10日以降の生産についても再度協議するが、同社では「現時点では操業停止は避けられるのではないかと判断している」(広報部)とコメントしている。



日鉄鋼管(木下洋社長)は、一般構造用鋼管(STK)および配管用鋼管(SGP)に関して、10月出荷分からトン当たり3000円値上げすることを決めた。同時に、排ガス規制等による輸送コスト上昇を受けて、機械構造用鋼管を含む全鋼管で同1000―2000円の運賃値上げを実施するため、トータルで同4000―5000円の値上げとなる。店売り、ひも付きユーザー向けなど全分野対象。

東京地区でH形鋼を扱う主要流通筋は、10月から持ち込み5万円に販売価格を上げる。これまでのメーカーの値上げ分を転嫁しきれていないうえ、高炉メーカーが10月契約分から値上げする可能性があるため。さらに積載規定の変更で、持ち込み運賃の上昇も見込まれる。従って、まずは17日から持ち込み4万9000円、置き場4万7000円下限を固める方針。製販の価格優先姿勢により、市況は当面、強含みで推移する見通しだ。

三井物産は8日、サハリンUプロジェクトの事業主体、サハリンエナジーから原油輸送用鋼管約11万トンを総額約100億円で受注し、出荷を開始したと発表した。ロシアメーカー、ヴィクサ製のUO管約5万トン、新日本製鉄製電縫管約6万トンを納入する。納入完了は04年末予定。三井物産は昨年アゼルバイジャンのガス輸送用にロシア製鋼管を約2万トン納入。これらロシアメーカーとの提携をテコに、ロシアと旧ソ連で今後見込まれる大規模なエネルギー開発で鋼管の拡販につなげたい考えだ。