2003年09月12日
鋼板の市中在庫調整が進んでいる。材料不足が定着してきた厚板に加えて、薄板では遅れていた熱延の在庫調整が、予想よりも早く完了したとの見方が出ている。新日本製鉄・名古屋製鉄所で発生した事故の心理的な影響を含め、薄板、厚板ともに需給タイト化の方向。指標となる薄板3品在庫は7月末時点で400万トン台の高水準を示したものの、今後は在庫水準に先行して需給タイト感が広がりそうだ。



新日本製鉄名古屋製鉄所のタンク爆発事故に伴い、トヨタ自動車をはじめとする自動車メーカー・部品メーカーと、JFEスチールや住友金属工業など高炉メーカーとの間で、振り替えのための調達協議が本格化してきた。自動車メーカーや部品メーカーの間に、先行きの調達不安が出ているためで、カーメーカー側が名古屋製鉄所への発注品を開示し、必要な部品1点ごとに在庫があるか、出荷が可能かを両社で確認し合っている。

 JFEスチールなどは既に一部の自動車用鋼材の出荷を始めている。今のところ部品ごとにとどまり、まとまった数量の発注ではないようだが、高炉メーカー筋では「カーメーカー側などからは、週明けにもさらに踏み込んだな要請が出るのではないか」と話している。



日鉄商事はこのほど、中国・蘇州に薄板加工拠点の「蘇州日鉄金属製品有限公司(蘇州市)」を設立した。新日本製鉄の中国市場への取り組みに歩調を合わせ、中国・華東地区の家電需要家向けを中心に薄板の加工・販売を手がける。同社はすでに、華南地区にコイルセンター(CC)を2拠点持ち、アジアでのCCはタイを含め4拠点目となる。蘇州日鉄金属製品は来年6月に稼働を始める計画。当面月間5000トンから始め、近い将来1万トン規模に拡大する方針。



東京地区の縞板市況は、メーカーの値上げを受けてトン当たり3000円上昇した。高炉、電炉を含めて縞板メーカーの値上げが出揃い、流通段階での価格転嫁が浸透した。定尺品の市中価格はトン当たり6万3000―6万5000円となった。

大阪地区のH形鋼市況は、需給バランスの好転を受け強基調で推移している。10日発表の地区ときわ会8月末在庫は4カ月ぶりに4万トンを割り込んだ。メーカーの減産や実需の増加で歯抜けサイズが拡大、今週で置き場4万5000円が浸透した。今後、トラック規制問題や鉄スクラップ価格の上昇など、コスト要因を抱えている供給サイドの再値上げは避けられない見通しであることから、当面は基調に変化はなさそうだ。